生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グリコール酸エステルの製造方法
出願番号:1995247894
年次:2004
IPC分類:7,C07C67/31,C07C69/675,B01J23/46,B01J32/00,B01J35/10,C07B61/00


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平井 浩一 中村 靖夫 真鍋 卓美 JP 3573229 特許公報(B2) 20040709 1995247894 19950926 グリコール酸エステルの製造方法 宇部興産株式会社 000000206 平井 浩一 中村 靖夫 真鍋 卓美 20041006 7 C07C67/31 C07C69/675 B01J23/46 B01J32/00 B01J35/10 C07B61/00 JP C07C67/31 C07C69/675 B01J23/46 301X B01J32/00 B01J35/10 301A C07B61/00 300 7 C07C 67/31 C07C 67/317 C07C 69/675 特開平07−017915(JP,A) 特開平06−135895(JP,A) 特開平06−263692(JP,A) 特開昭57−123143(JP,A) 特開昭57−122946(JP,A) 特開昭57−122940(JP,A) 特開昭57−122938(JP,A) 特開昭55−040685(JP,A) 特開昭58−015930(JP,A) 特表平03−500657(JP,A) 1 1997087232 19970331 10 20010116 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、新規な触媒の存在下、シュウ酸ジエステルを水素で水素化することにより、グリコール酸エステルを高い反応速度及び高い選択率で製造する方法に関する。グリコール酸エステルは、ボイラー等の洗浄剤、メッキ用添加剤、エッチング剤、革なめし剤として、また洗剤のビルダーや生分解性ポリマー等の製造原料として非常に有用な化合物である。【0002】【従来の技術】シュウ酸ジエステルを水素で水素化してグリコール酸エステルを製造する方法としては、(1) 炭酸第二銅とクロム酸から得られた触媒の存在下で水素化する方法(例えば特公昭55−42971号公報)、(2) ルテニウム、ニッケル及びラネーニッケルの中から選ばれる触媒の存在下で水素化する方法(特開昭55−40685号公報)、(3) 銅のアンミン錯体がシリカ担体に担持された触媒の存在下で水素化する方法(特公昭60−45938号公報)、(4) 銀又はパラジウムが担持された触媒の存在下で水素化する方法(特公昭62−37030号公報)が知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1) の方法には、水素化反応が更に進行してエチレングリコールが副生するためにグリコール酸エステルの選択率が低下し、それに伴ってグリコール酸エステルの分離精製も煩雑になるという問題が存在し、更に廃触媒からのクロムの回収やその際の排水の処理が非常に煩雑であるという環境上の問題も存在している。(2) の方法では、エチレングリコール又はグリコール酸エステルの一方が相対的に多く含まれる反応生成物が得られるものの、グリコール酸エステルを工業的に製造するためには、更に反応速度及び選択率を上げることが必要である。また、(3) 及び(4) の方法には、触媒の活性やグリコール酸エステルの選択率が低いという問題が存在している。本発明は、上記の問題を解決して、グリコール酸エステルを高い反応速度及び高い選択率で製造できる方法を提供することを課題とするものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、比表面積が900m2 /g以上の担体にルテニウムが担持されている触媒の存在下、シュウ酸ジエステルを水素により水素化することを特徴とするグリコール酸エステルの製造方法によって達成される。【0005】以下に本発明を詳しく説明する。シュウ酸ジエステルとしては、シュウ酸と炭素数1〜6の脂肪族1価アルコールとのジエステルが用いられる。具体的には、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジn−プロピル、シュウ酸ジi−プロピル、シュウ酸ジn−ブチル、シュウ酸ジn−アミル等が挙げられる。これらシュウ酸ジエステルの中では、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジn−プロピル、シュウ酸ジi−プロピル、シュウ酸ジn−ブチル等のシュウ酸と炭素数1〜4の脂肪族1価アルコールとのジエステルが好ましいが、中でもシュウ酸ジメチル及びシュウ酸ジエチルが最も好ましい。【0006】触媒としては、比表面積が900m2 /g以上、好ましくは900〜2600m2 /gの担体にルテニウムが担持されているものが用いられる。比表面積が900m2 /g以下の担体を用いると活性(反応速度)もしくは選択性(選択率)が低下するので好ましくない。なお、触媒の比表面積は公知のBET法により測定される。【0007】前記担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ケイ藻土、ゼオライト等が挙げられる。担体の中では活性炭が好ましく、例えばマックスソーブ(関西熱化学製)、白鷺(武田薬品製)、ダイアホープ(三菱化学製)等の市販の活性炭が好適に用いられる。【0008】前記担体は粉末、粒状、破砕状、ビーズ状もしくは成型体で使用される。その形状は特に限定されるものではないが、通常、粉末の場合は20〜100μm程度のもの、粒状、破砕状及びビーズ状の場合は4〜200メッシュ程度のもの、成型体の場合は数mm程度のものが用いられる。【0009】ルテニウムの担持量は、触媒当たり、ルテニウム金属として通常0.2〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは1.0〜20重量%である。前記担体には、ルテニウムに加えて、更に周期表I族、II族、VII 族、VIII族及びランタノイド族等の他の成分が担持されていても差し支えない。他の成分の担持量は、触媒当たり、金属として通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。【0010】触媒は、可溶性のルテニウム化合物の水又はアルコール溶液に前記担体を添加して、担体にルテニウム化合物を担持させた後、水素等の還元剤で還元処理することによって調製される。このとき、必要に応じて他の金属の化合物が水又はアルコール溶液に添加されて、ルテニウム化合物と共に担体に担持される。【0011】前記ルテニウム化合物としては、例えば(1) 塩化ルテニウム、臭化ルテニウム等のルテニウムのハロゲン化物、(2) ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸カリウム等のルテニウム酸のアルカリ金属塩、(3) 酢酸ルテニウム、プロピオン酸ルテニウム等のルテニウムの有機酸塩、(4) ヘキサクロロルテニウム酸アンモニウム、ヘキサアンミンルテニウム塩化物、ルテニウムアセチルアセトナート、硝酸ルテニウムニトロシル等のルテニウムの錯塩又は錯体が挙げられる。【0012】ルテニウム化合物及び必要に応じて他の金属の化合物を担体に担持させる方法としては、含浸法、浸漬吸着法、混練法、沈着法、蒸発乾固法、共沈法等の通常実施される方法が挙げられるが、通常は簡便であることから含浸法や蒸発乾固法が用いられる。【0013】ルテニウム化合物及び必要に応じて他の金属の化合物が担持された触媒の還元処理は、例えば空気中もしくは窒素中120℃付近で該触媒を乾燥した後、水素ガス、ヒドラジン又はギ酸ソーダ等の一般的な還元剤を用いて行われる。水素ガスを用いる還元処理は、通常150〜600℃で1〜10時間行われる。このようにして得られた触媒はアンモニア水で洗浄された後、水洗、風乾又は加熱処理(窒素気流中、120℃、3時間)され、更に上記と同様に再度還元処理されることが好ましい。【0014】前記のように調製された触媒の存在下、シュウ酸ジエステルを水素で水素化してグリコール酸エステルを製造する反応は、液相又は気相で行われる。液相反応は、例えば攪拌装置を備えた耐圧式反応器を用いて、通常、反応温度が40〜250℃、好ましくは60〜200℃、水素圧が常圧よりも高い圧力、好ましくは10〜150気圧(atm)でバッチ式又は連続式で実施される。このとき、触媒は、シュウ酸ジエステルに対して通常1〜30重量%、好ましくは2〜10重量%用いられる。なお、反応時間は反応温度、反応圧等に依存して広範囲にわたって変動するが、通常30分〜10時間程度で充分である。反応後、グリコール酸エステルは反応器から抜き出される反応液から蒸留等により容易に分離精製される。【0015】液相反応では、必要に応じて溶媒を用いることもできる。溶媒としては、(1) メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等の炭素数1〜6の脂肪族1価アルコール、(2) ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、エチルブチルエーテル等の炭素数2〜20の非環式脂肪族モノエーテル、(3) ジシクロヘキシルエーテル等の炭素数6〜24の脂環式モノエーテル、(4) エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の非環式ポリエーテル、(5) テトラヒドロフラン、ジオキサン、18−クラウン−6等の環式エーテルなどが用いられる。なお、前記脂肪族1価アルコールを用いる場合は、シュウ酸ジエステルと同一のアルコキシ基をもつアルコールを用いることが好ましい。【0016】気相反応は、通常、前記触媒を充填した反応管に、気化させたシュウ酸ジエステルと水素ガス等を含む原料ガスを、反応温度が50〜250℃、好ましくは90〜200℃、反応圧が常圧よりも高い圧力、好ましくは2〜100気圧(atm)で供給することによって連続的に実施される。このとき、原料ガスと触媒との接触時間は、通常0.1〜60秒、好ましくは0.5〜30秒である。また、水素とシュウ酸ジエステルとのモル比(水素/シュウ酸ジエステル)は通常2〜100、好ましくは4〜50である。【0017】原料ガスにシュウ酸ジエステルを含有させる操作は、例えばシュウ酸ジエステル濃度が10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%のシュウ酸ジエステルのアルコール溶液を気化器又は気化層等で加熱蒸発させて、水素ガスや窒素ガスに同伴させることによって行われる。反応後、グリコール酸エステルは反応管から導出される反応ガスを凝縮させて得られる反応液から蒸留等により容易に分離精製される。【0018】【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、シュウ酸ジエステル転化率、グリコール酸エステル選択率、グリコール酸エステル空時収量(STY)、触媒当たりのグリコール酸エステル生成速度は次式によりそれぞれ求めた。【0019】【数1】【0020】【数2】【0021】【数3】【0022】【数4】【0023】実施例1〔触媒の調製〕塩化ルテニウム三水和物1.033gを濃塩酸2.5mlに溶解させた溶液を蒸発乾固させた後、乾固物を水5mlに再溶解した。この溶液に担体として比表面積1254m2 /gの活性炭〔粒状活性炭(粒状白鷺C2 X:武田薬品製、4mmφ押し出し品)〕7.6gを入れて充分混合し、塩化ルテニウムを活性炭に含浸させた。次いで、この活性炭を耐熱ガラス管に充填し、窒素気流中、120℃で3時間乾燥した後、水素−窒素混合ガス〔水素/窒素(容量比)=1:1〕を100ml/minで流しながら、300℃で1.5時間還元処理を行った。還元処理後、ルテニウムが担持されている活性炭を25%アンモニア水約32mlに浸して1時間静置した。その後、デカンテーションでアンモニア水を除き、該活性炭を約100mlの水で15回洗浄した。次いで、該活性炭を耐熱ガラス管に再度充填し、水素−窒素混合ガス〔水素/窒素(容量比)=1:1〕を100ml/minで流しながら、400℃で7時間還元処理を行った。【0024】〔グリコール酸エステルの製造〕上記の触媒(ルテニウムが担持されている活性炭)2g、シュウ酸ジメチル7.7g及びメタノール80mlを内容積200mlのオートクレーブに仕込み、内部の空気を水素ガスで充分置換した後、水素ガスを40気圧(atm)まで圧入した。昇温して反応温度を130℃に保ち、水素ガスで反応圧を60気圧(atm)に維持して、攪拌下で4.5時間水素化反応を行った。反応終了後、オートクレーブを冷却し、得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、シュウ酸ジメチル転化率が93.2%、グリコール酸メチル選択率が84.4%で、グリコール酸メチル空時収量(STY)が11.8g/l−溶液・hr、触媒当たりのグリコール酸メチル生成速度が236g/l−触媒・hrであった。【0025】実施例2〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において、メタノールを30mlに、反応圧を40気圧(atm)に変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0026】実施例3〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積2174m2 /gの活性炭〔高機能多孔質カーボン(マックスソーブ造粒炭G15H:関西熱化学製、1.5mmφ)〕に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において、触媒を上記の触媒2gに変え、反応温度を120℃に変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0027】実施例4〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積1245m2 /gの活性炭〔クレハ球状活性炭(球状BAC−G−70R:呉羽化学製、0.8mmφ)〕に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0028】実施例5〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積1103m2 /gの活性炭〔ダイアホープ炭(ダイアホープ106:三菱化学製、1〜2mm破砕品)〕に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0029】実施例6〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積989m2 /gの活性炭〔ヤシガラ破砕活性炭(ヤシコールLC:大平化学製、2〜4mm粒)〕に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0030】実施例7〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において、シュウ酸ジメチルをシュウ酸ジエチル9.5gに、メタノールをエタノール80mlに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0031】比較例1〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積484m2 /gの活性炭〔機能性活性炭(モルシーボンX2 M:武田薬品製、4mmφ円柱)〕に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0032】比較例2〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積830m2 /gの活性炭(球状活性炭X−7000:武田薬品製、2mmφ球状)に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0033】比較例3〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積268m2 /gのアルミナ(KHD−24:住友化学製、2〜3mmφ球状)に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0034】比較例4〔触媒の調製〕実施例1において担体を比表面積560m2 /gのゼオライト(ST−34−3:東ソー製、NaY型、1mmφ押し出し品)に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕実施例1において触媒を上記の触媒2gに変えたほかは、実施例1と同様に水素化反応と反応液の分析を行った。その結果を表1に示す。【0035】【表1】【0036】実施例8〔触媒の調製〕実施例1と同様に触媒を調製した。〔グリコール酸エステルの製造〕上記の触媒8ml(3.68g)を内径25mm、長さ350mmのステンレス製気相反応管に充填した後、反応管を電気炉中に垂直に設置して触媒層の温度を135℃に加熱制御した。この反応管の上部からシュウ酸ジメチル濃度が20重量%のシュウ酸ジメチルのメタノール溶液13.4g/hrを供給し、これを触媒層上部の気化層で気化させて水素ガスと共に触媒層に供給して水素化反応を行った。なお、このとき、水素とシュウ酸ジメチルとのモル比(水素/シュウ酸ジメチル)は35.4、反応圧は9気圧、接触時間は6.67秒であった。54時間連続して反応を行った後、氷冷トラップに補集された液を実施例1と同様に分析した。その結果、シュウ酸ジメチル転化率が82.2%、グリコール酸メチル選択率が93.6%、グリコール酸メチル空時収量(STY)が196.6g/l−触媒・hrであった。【0037】【発明の効果】本発明により、シュウ酸ジエステルから高い反応速度及び高い選択率でグリコール酸エステルを製造することができる。また、触媒は高活性かつ高選択性であってクロムを含まないので、副生物の生成によってグリコール酸エステルの分離精製が煩雑になるという問題もなく、廃触媒の処理に伴う環境上の問題を引き起こすこともない。 比表面積が900m2/g以上の活性炭にルテニウムが担持されている触媒の存在下、シュウ酸ジエステルを水素により水素化することを特徴とするグリコール酸エステルの製造方法。


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