タイトル: | 特許公報(B2)_血小板検査方法及び血小板検査用採血管 |
出願番号: | 1995227132 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N33/49,A61B5/15,G01N33/48 |
石澤 衛 JP 3640712 特許公報(B2) 20050128 1995227132 19950811 血小板検査方法及び血小板検査用採血管 石澤 衛 395014323 小林 良平 100095670 石澤 衛 20050420 7 G01N33/49 A61B5/15 G01N33/48 JP G01N33/49 X G01N33/48 K A61B5/14 300B 7 G01N 33/49 G01N 33/48 特開平04−309863(JP,A) 特開昭55−142248(JP,A) 特開昭62−242854(JP,A) 2 1997054083 19970225 5 20020701 加々美 一恵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、血小板及び白血球の検査方法、及び、その検査に用いる採血管に関する。【0002】【従来の技術】血液検査には、血液中の赤血球、白血球、血小板等の数を計測する血球計数検査がある。この血球計数検査を行う際には、計数中の血液の凝固を防止するため、抗凝固剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)の結晶等を血液に添加する。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかし、被検者によっては、このEDTA等の抗凝固剤の添加により特異的な血小板凝集を生じることがあり、このため血小板の数が実際よりも少なく計測されるという問題がある(偽性血小板減少症)。この偽性血小板減少症によると、14万〜38万個/μl程度の標準的な血小板数を有する人でも、血小板の凝集により血小板数が5万個/μl程度として計測されることがあり、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)等の真に血小板数が少ない場合との区別がつかなくなる。血小板検査の結果、特発性血小板減少性紫斑病の恐れがあるとされた場合には骨髄検査等を受ける必要があるが、この検査は被検者にとって負担の大きいものである。また、偽性血小板減少症においては凝集した血小板が白血球として計測されるため、白血球数が見かけ上真値よりも高く計測されるという問題もある。本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、偽性血小板減少症による血小板の凝集を防止し、正しい血小板及び白血球検査を行なうことのできる方法、及び、その方法に適した採血管を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係る血小板検査方法は、所定量の希釈液を入れた採血管を予め用意しておき、採取した血液を希釈液の該所定量の20〜67%の量だけ該採血管に注入することにより血小板の凝集を抑制し、正しい血小板数の計数を行なうことを特徴とする。また、本発明に係る血小板検査用採血管は、検査用血液の注入予定量の1.5〜5倍の希釈液が予め注入されているものである。【0005】【発明の実施の形態】血小板数を検査する際は、まず、所定量の希釈液を入れた採血管を予め用意しておく。採血管に入れておく希釈液の量VDは、採血管に入れる検査用血液の注入予定量の1.5〜5倍としておく。なお、希釈液を入れた採血管は、ゴムキャップにより封止しておくことが望ましい。【0006】なお、予め採血管に注入しておく希釈液としては、例えば、生理的塩類溶液、緩衝液等を使用することができる。或いは、アイソトン(商品名:コールター社製)等も好適に用いることができる。なお、希釈液は血液と等張のものを用いることが望ましい。上記生理的塩類溶液としては、通常の組成を有するものでよく、例えば生理食塩水や、これにNa+ 、K+ 、Ca2+等のイオンを数種加えたもの(例えば、リンガー溶液、ロック溶液等)が挙げられる。上記緩衝液としては、血液と等張のものが適当である。具体的には、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等が例示される。また、上記希釈液には、さらに抗凝固剤を混合してもよい。この抗凝固剤としては、EDTA−2Na、EDTA−2K、EDTA−3K等のEDTA塩、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ塩等が例示される。【0007】被検者から血液を採取すると、そのうち血小板検査用として割り当てられる量VTの血液をその採血管に注入し、十分に攪拌する。上記の通り、VD:VT=1.5:1〜5:1である。【0008】これにより、偽性血小板減少症の場合でも血小板の凝集が防止され、常に正しい血小板数及び白血球数の計数が可能となる。なお、このように希釈した検査液で血小板数もしくは白血球数を計数した場合には、希釈率D=[VT/(VD+VT)]に応じて計数値を補正する必要があるが、希釈率Dは次のような各種方法で決定することができる。(1)採血管中の希釈液の量VDを一定としておくとともに、採血管中に注入する血液の量VTを採血管の重量を測定する等の方法により厳密に求め、検査の都度D=[VT/(VD+VT)]で計算する。(2)採血管中の希釈液の量VDを一定としておくとともに、採血管中に注入する血液もピペット等で採取することにより常に一定量VTとなるようにし、希釈率Dは常に一定として取り扱う。(3)希釈した検査液と希釈しない原血液のそれぞれについて、ヘモグロビン量、赤血球数等の別の検査値の測定を行ない、その比により希釈率Dを算出する。血球数の計数が機械により自動化されている場合には、(3)の方法が最も便利である。【0009】採血管に入れておく希釈液の量を血液の1.5〜5倍としたのは、これ以下では血液が凝固するのを防止することができないためであり、逆に5倍以上とすると、血小板数の計数の効率が悪化し、検査結果の精度も低下するためである。【0010】【発明の効果】本発明においては、予め採血管に希釈液が入っているため、被検者から採血後直ちに検査血液を採血管に注入し、偽性血小板減少症による血小板の凝集を最小限に抑えることができる。従って、血小板数の計数結果の信頼性が非常に高いものとなる。また、このような採血管は大量生産しておくことが可能であるため、多数の検体の検査を連続的且つ速やかに、しかも低コストで行なうことができる。【0011】【実施例】図1は、本発明の一実施例である採血管の断面図である。図1に示す採血管10は、管体11に希釈液12が注入された構成を有している。管体11としては、通常、容量1〜10ml程度のガラス或いは透明樹脂製のものを用いる。希釈液12としては前記のものが用いられ、その注入量は、血小板計数装置の必要量を考慮して適宜定める。希釈液12を注入した後、管体11の開口部にはゴム又はプラスチック製のキャップ13を嵌着する。採取した血液をこの採血管10に注入する際には、キャップ13に採血針を挿通し、この採血針を通じて注入する。又は、キャップ13を取り外し、血液を注入した後再びキャップ13をはめる。【0012】以下、血小板凝集試験の結果を説明する。実施例1[採血管の調製] 図1に示すガラス製管体11内に、希釈液12としてアイソトン(商品名:コールター社製)1mlを注入し、該管体11の開口部にゴムキャップ13を嵌着して、採血管を作製した。[血小板数の測定] 上記採血管10を10本用意し、各採血管10に、10名の被検者(Case1〜10とする)から採取した血液約0.5mlずつを注入し、撹拌した。この後、自動血球計数器(商品名STKS:コールター社製)により、各サンプル中の血小板数を、採血直後、30分後、60分後及び120分後にそれぞれ測定したところ、図2に示す結果が得られた。【0013】比較例1上記実施例1において、採血管に希釈液を注入せず、採取後の各血液にEDTA−2Na 3mgずつを添加する以外は全て同様にしてCase1〜10の血液を採取し、その血小板数を測定したところ、図3に示す結果が得られた。なお、この比較例で使用した採血管は、セキューターE(栄研器材社製)である。実施例及び比較例における採血から60分後の血小板数を図4に示す。図2〜図4より明らかなように、比較例では多くのサンプルにおいて血小板数が大きく減少したのに対し、実施例では時間の経過による血小板数の減少が殆どみられない。従って、本発明により、採血後多少時間が経過しても正しい血小板数の計数が可能であることがわかる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の採血管の一実施例を示す断面図。【図2】 実施例における血小板数の経時変化を示すグラフ。【図3】 比較例における血小板数の経時変化を示すグラフ。【図4】 実施例及び比較例における採血から60分後の血小板数を示すグラフ。【符号の説明】10…採血管11…管体12…希釈液13…キャップ 所定量の生理的塩類溶液又は緩衝液を入れた採血管を予め用意しておき、採取した血液を前記生理的塩類溶液又は緩衝液の該所定量の20〜67%の量だけ該採血管に注入することにより血小板の凝集を抑制し、正しい血小板数の計数を行なうことを特徴とする血小板検査方法。 検査用血液の注入予定量の1.5〜5倍の生理的塩類溶液又は緩衝液が予め注入されている血小板検査用採血管。