生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ハロチオフェノール類を製造する方法
出願番号:1995196377
年次:2006
IPC分類:C07C 323/09,C07C 319/14


特許情報キャッシュ

坂本 純一 梶原 栄 五田 博 JP 3743865 特許公報(B2) 20051202 1995196377 19950801 ハロチオフェノール類を製造する方法 住友精化株式会社 000195661 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 斎藤 健治 100099988 関 仁士 100099911 坂本 純一 梶原 栄 五田 博 20060208 C07C 323/09 20060101AFI20060119BHJP C07C 319/14 20060101ALI20060119BHJP JPC07C323/09C07C319/14 C07C323/00 C07C319/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平8−143532(JP,A) 特開平8−143533(JP,A) 11 1997040636 19970210 9 20020718 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ハロベンゼン類を原料とする、ハロチオフェノール類の新規な製造方法に関する。ハロチオフェノール類は、医薬、農薬、機能性材料などの種々の用途に用いられている有用な化合物である。【0002】【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、ハロチオフェノール類を合成する方法としては、いくつかの方法が知られている。【0003】例えば、チオフェノールを塩素化し、その後、亜鉛などで還元する方法(US3331205)、フェニルチオ酢酸を塩素化後、酸化、還元する方法(US3296308)、クロロベンゼンスルホニルクロリドを亜鉛等で還元する方法(US3325981)、クロロベンゼンスルホン酸をリンで還元する方法(DE1939469)、ジクロロベンゼンを高温下で硫化水素と反応させる方法(Zh.Org.Khim.11(5).1132(1975))等が知られている。【0004】しかしながら、これらの方法は、塩素化後に還元が必要なこと、反応条件が厳しいこと、収率、生産効率が悪いこと等より、いずれも工業的に製造するには適した方法とは言い難い。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記欠点を排除して、工業的に簡便かつ経済的に有利にハロチオフェノール類を製造する方法を提供すべく鋭意検討した。【0006】その結果、工業的に安価に供給されているハロベンゼン類を出発原料に用い、メチルチオ化、ハロゲン化、引き続き加水分解と言う簡便な方法で、ハロチオフェノール類が高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】すなわち、本発明は、一般式(I)で表わされるハロベンゼン類を、メチルメルカプチドアルカリ金属塩により、一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類とした後、ハロゲン化剤により一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類となし、加水分解することを特徴とする、一般式(IV)で表わされるハロチオフェノール類の製造方法である。【化2】【0008】【発明の実施の形態】以下、本願発明を順次、具体的に説明する。【0009】一般式(I)で表わされるハロベンゼン類に対するメチルメルカプチドアルカリ金属塩による求核置換反応により、一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類が得られる。ここに、X1、X2、X3で表わされるハロゲン原子は、Cl、Br、Iを意味し、Cl、Brである場合に、良好な結果が得られる。【0010】一般式(I)で表わされる化合物としては、具体的には、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン等が挙げられる。【0011】反応に用いるメチルメルカプチドアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を使用することができるが、経済的見地からは、ナトリウム塩水溶液が好ましく用いられる。【0012】メチルメルカプチドアルカリ金属塩の使用量は、一般式(I)で表わされるハロベンゼン類に対して、通常0.1〜3倍モル、好ましくは0.2〜2倍モルである。反応温度は、用いるハロベンゼン類により異なり一概には言えないが、通常70〜200℃、好ましくは100〜150℃である。【0013】反応は、ハロベンゼン類とメチルメルカプチドアルカリ金属塩を混合して撹拌するだけでも進行するが、界面活性剤の存在下で行なうと、反応はさらに円滑に進行する。界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤、アミノ酸等の両性界面活性剤等が挙げられるが、中でもポリエチレングリコール、4級アンモニウム塩が経済的見地から好ましく用いられる。界面活性剤を用いる場合の使用量は、ハロベンゼン類に対して、通常0.001〜5倍重量、好ましくは0.005〜2倍重量の範囲である。界面活性剤の使用量が、0.001倍重量未満の場合には、効果が充分あらわれず、一方、5倍重量を超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。【0014】さらに、メチルメルカプチドアルカリ金属塩の水溶液を使用する場合、系内から水を除きながら行なうと、さらに反応は円滑に進行する。反応時間は、用いるハロベンゼン類により異なり一概には言えないが、通常1〜20時間、好ましくは3〜10時間の範囲である。【0015】溶媒は、特に限定されるものではなく、無溶媒またはハロベンゼン類自身を溶媒として好んで用いるが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(I)で表わされるハロベンゼン類に対して、0.1〜10倍重量である。【0016】このようにして得た、一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類は、常法の蒸留などにより単離可能であるが、単離することなく、塩を取り除いたのみの反応液を次のハロゲン化工程に用いることも可能である。【0017】ハロゲン化工程に用いるハロゲン化剤としては、塩素、塩化スルフリル、臭素、ヨウ素が挙げられる。塩素、臭素を用いた場合に、良好な結果が得られる。【0018】一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類においては、nが1、2または3であるが、nが2、3またはこれらの混合物を用いると、次工程の加水分解を円滑に進行させることができる。【0019】したがって、ハロゲン化剤の使用量は、一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類に対して1〜10倍モル、好ましくは2〜3倍モルである。【0020】溶媒は、特に限定されるものではなく、無溶媒反応も可能であるが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類に対して、0.1〜10倍重量である。【0021】ハロゲン化の反応温度は、通常、約0〜120℃、好ましくは約20〜50℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり、収率低下の原因となり好ましくない。反応時間は通常0.5〜20時間の範囲である。【0022】生成した一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類も、常法の蒸留、晶析により単離することができるが、単離することなく、ハロゲン化の反応液のまま、次の加水分解反応に用いることも可能である。【0023】このようにして得た、一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類を加水分解することにより、一般式(IV)で表わされるハロチオフェノール類が得られる。【0024】加水分解は、単に水を加えて加熱することによっても進行するが、酸の存在下に行なうと、反応は円滑に進行する。酸としては、特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸が経済的見地から用いられる。塩酸、硫酸が特に好ましい。酸の使用量は、用いる酸種により一概に言えないが、通常、一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類に対して0.01〜1倍重量で充分である。【0025】また、加水分解にアルコールを添加することも有効である。特に低級アルコールを添加すると、加水分解反応がより円滑に進行する。低級アルコールとしては、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等を挙げることができる。中でもメタノールが経済的見地から好ましく用いられる。アルコールの使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類に対して0.5〜10倍重量である。【0026】溶媒は、特に限定されるものではなく、無溶媒反応も可能であるが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類に対して、0.1〜10倍重量である。【0027】反応温度は、通常、約30〜200℃、好ましくは約60〜110℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり、収率低下の原因となり好ましくない。反応時間は、通常、約1〜10時間の範囲である。【0028】このようにして、目的の一般式(IV)で表わされるハロチオフェノール類が得られる。生成したハロチオフェノール類は、常法の抽出や晶析、蒸留等により単離することができる。【0029】本発明で得られるハロチオフェノール類としては、具体的には、2−クロロチオフェノール、3−クロロチオフェノール、4−クロロチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノール、3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2−ブロモチオフェノール、3−ブロモチオフェノール、4−ブロモチオフェノール、2,5−ジブロモチオフェノール、3,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール等が挙げられる。【0030】【実施例】以下に、実施例により本願発明をさらに詳しく説明するが、本願発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。【0031】実施例1撹拌機、温度計、滴下ロート、リービッヒ冷却器および受器を備え付けた300ml四つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン147g(1.00モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量300)27g(0.09モル)を仕込み、撹拌下約135℃で30%メチルメルカプチドナトリウム塩水溶液70g(0.30モル)を4時間かけて滴下した。この際、水48gおよび1,2−ジクロロベンゼン37gが系外に留去された。さらに1時間撹拌し、反応を終了した。水を添加して分液し、粗2−メチルチオクロロベンゼンの1,2−ジクロロベンゼン溶液を得た。この溶液に塩素ガス42.6g(0.6モル)を約40℃で2時間かけて吹き込み、さらに1時間撹拌した。窒素を吹き込むことにより溶存塩素を脱気した後、メタノール60gを加え、還流下で4時間撹拌し、加水分解反応を終了した。水を加えて分液した後、有機層からアルカリ水溶液で逆抽出し、酸性水で中和し、オイル層として2−クロロチオフェノール30.5gを得た。メチルメルカプチドに対する収率は70.4%であった。【0032】実施例2〜7原料を表1に示したハロベンゼン類に変える以外は実施例1と同様の操作により、相当するハロチオフェノール類を得た。【0033】【表1】実施例8反応に添加するポリエチレングリコールの代わりにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド3.2g(0.01モル)を用いた以外は実施例1と同様の操作により粗2−メチルチオクロロベンゼンの1,2−ジクロロベンゼン溶液を得た。この溶液に塩素ガス42.6g(0.6モル)を約40℃で2時間かけて吹き込み、さらに1時間撹拌した。溶存塩素を脱気した後、10%塩酸水100gを加え、還流下で5時間撹拌し、加水分解反応を終了した。分液後、有機層からアルカリ水溶液で逆抽出し、酸性水で中和し、2−クロロチオフェノール29.8gを得た。メチルメルカプチドに対する収率は68.7%であった。【0034】実施例9撹拌機、温度計、滴下ロート、リービッヒ冷却器および受器を備え付けた200ml四つ口フラスコに、1,2−ジブロモベンゼン47.2g(0.200モル)、キシレン100g、ポリエチレングリコール(平均分子量300)60g(0.20モル)を仕込み、撹拌下約135℃で30%メチルメルカプチドナトリウム塩水溶液74.7g(0.320モル)を3時間かけて滴下した。この際、系外に留出したキシレンおよび1,2−ジブロモベンゼンは適時系内に戻した。さらに2時間撹拌し、反応を終了した。水を添加して分液し、粗2−メチルチオブロモベンゼンを得た。減圧蒸留を行ない、2−メチルチオブロモベンゼン25.5g(0.126モル)を得た。このものにクロロベンゼン100gを加え、塩素ガス22.4g(0.315モル)を約40℃で2時間かけて吹き込み、さらに1時間撹拌した。溶存塩素を脱気した後、10%硫酸水50gを加え、還流下で6時間撹拌し、加水分解反応を終了した。分液後、有機層からアルカリ水溶液で逆抽出し、さらに酸性水で中和し、減圧蒸留して2−ブロモチオフェノール22.3gを得た。1,2−ジブロモベンゼンに対する収率は59.0%であった。【0035】【発明の効果】本発明は、医薬、農薬、機能性材料などの種々の用途に用いられるハロチオフェノール類の新規な製造方法を提供するものである。本発明の方法を採用すると、工業的に安価なハロベンゼン類を、メチルチオ化、ハロゲン化、加水分解することにより、簡便なプロセスで目的物が得られる。したがって、経済的、工業的価値が極めて大きい。 一般式(I)で表わされるハロベンゼン類を、メチルメルカプチドアルカリ金属塩により一般式(II)で表わされるメチルチオハロベンゼン類となし、さらにハロゲン化剤により一般式(III)で表わされるハロメチルチオハロベンゼン類とした後、加水分解することを特徴とする、一般式(IV)で表わされるハロチオフェノール類を製造する方法。 メチルメルカプチドアルカリ金属塩によるメチルチオ化を、界面活性剤の存在下に行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。 界面活性剤がポリエチレングリコールである請求項2に記載の方法。 界面活性剤が4級アンモニウム塩である請求項2に記載の方法。 ハロゲン化剤が塩素である請求項1に記載の方法。 一般式(III)のnが2または3である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 酸の存在下に加水分解することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 低級アルコールの存在下に加水分解することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 ハロチオフェノール類が2−クロロチオフェノールまたは4−クロロチオフェノールである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 ハロチオフェノール類が2−ブロモチオフェノールまたは4−ブロモチオフェノールである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 ハロチオフェノール類が2,5−ジクロロチオフェノールまたは3,5−ジクロロチオフェノールである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。


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