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タイトル:特許公報(B2)_化学発光分析試薬の安定化
出願番号:1995178122
年次:2004
IPC分類:7,G01N21/78,G01N33/532,G01N33/535,G01N33/543


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渡辺 誠 柴田 典緒 JP 3593384 特許公報(B2) 20040903 1995178122 19950621 化学発光分析試薬の安定化 栄研化学株式会社 000120456 渡辺 誠 柴田 典緒 20041124 7 G01N21/78 G01N33/532 G01N33/535 G01N33/543 JP G01N21/78 C G01N33/532 B G01N33/535 G01N33/543 545K 7 G01N 21/75-21/83 特開平06−034630(JP,A) 米国特許第04598044(US,A) 3 1997005241 19970110 7 20020523 加々美 一恵 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、化学発光分析試薬の安定化試薬および方法に関るものである。更に詳しくは安定化した2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬および2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬の安定化技術に関るものである。【0002】【従来の技術】近年、化学発光を測定系とする全自動分析装置ならびに分析用試薬が、いくつか開発され、臨床検査室で容易に化学発光測定を利用する環境が整いつつある。これらの測定系に用いられる代表的な化学発光物質は、5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン(ルミノール)、6−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン(イソルミノール)等の2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物、ジオキセタンおよびアクリジニウムエステル等が知られている。ルミノール、イソルミノールは、主としてペルオキシダーゼ(POD)を標識とした競合法またはサンドウィッチ法のEIAで用いられる。ジオキセタンは、アルカリフォスファターゼを標識としたEIAで、アクリジニウム化合物は、それ自体を標識とした化学発光法で用いられている。【0003】ルミノールおよびイソルミノールは、容易かつ比較的安価に入手可能な原料であり、フェノール化合物等の増感物質によって十分な発光強度が得られる。一般的な測定は、抗体または抗原を結合した固相と検体およびPOD標識抗体または抗原とを反応させ、サンドウィッチ型の結合物を形成させる。続いて過剰のPOD標識抗体または抗原を洗浄により除いた後、過酸化水素水および増感物質を含むルミノールまたはイソルミノール溶液を加えて、放出される光の量を測定することからなる。【発明が解決しようとする問題点】【0004】2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物は溶解直後の非特異発光が高いため、化学発光分析には、1週間程度エイジングした溶解試薬を使用しなければならない。ところが長期保存した溶液を用いると、保存状態が低温(4℃)であっても、発光強度が次第に低下してしまう欠点があった。発光強度の低下はS/N比の低下につながる。【問題点を解決するための手段】【0005】本発明の課題は、2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物による発光試薬を溶液状態で安定化する技術を提供する事にある。そしてその課題は、2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物含有発光試薬に無機アジドを0.01〜0.1%の範囲で添加することによって解決される。この濃度範囲以上の無機アジドの添加は、反応中にPOD活性を阻害して発光強度の低下をもたらすおそれが生じる。一方、この濃度範囲以下の無機アジド添加は、測定中の発光強度を安定化する作用が期待できるものの(特開平6−34630)、長期保存した2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物溶液の安定化には寄与しない場合がある。【0006】無機アジドとしては、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム等のアルカリ金属アジドおよびアジ化バリウム等のアルカリ土類金属アジドが使用されるが、特に好ましいのは、アジ化ナトリウムである。アジ化ナトリウムは広く一般に防腐剤として用いられているが、本発明の安定化効果は、雑菌汚染を防止することによって達せられたものではない。【0007】溶液組成物の安定化技術として、しばしば特定の緩衝液およびpHの効果が取り上げられているが、本発明の2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物溶液の安定化技術においては、緩衝液の種類は特に問わない。りん酸緩衝液、ほう酸緩衝液、くえん酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常用いられる緩衝液から1種またはこれらの2種を組合わせたものから適宜選べばよい。緩衝液のpHは5〜10の範囲内に調整されていれば、安定化効果は変わらない。pH3以下の酸性条件ではアジ化ナトリウムが分解されるので、安定化効果は得られない。【0008】2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物発光試薬中の2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物濃度は特に限定されるものではなく、試薬構成の量的比に合わせて任意に選べばよい。全自動化学発光分析機AL−1000(栄研化学販売)用試薬では、洗浄した固相ビーズにPOD基質である過酸化水素水とルミノール発光試薬をそれぞれ100μl分注するシステムであり、このシステムに適合する発光試薬の適当なルミノール濃度は0.001〜10mMであり、好ましくは0.01〜1mMである。化学発光エンハンサ−は、試薬構成上ならびに測定操作の簡便化のため、2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物発光試薬に共存させる方が望ましい。フェノール系エンハンサーとしては、4−ヨードフェノール、4−フェニルフェノール、2−クロロ−4−フェニルフェノールが特に有効とされるが(特公平3−5539)、これらのエンハンサーはいずれも、0.01〜10mMの濃度範囲で2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物と同一溶液中に共存させることができる。【0009】以下に実施例を述べる。【実施例1】CEA測定による無機アジド含有ルミノ−ル試薬の安定化効果無機アジド無添加ルミノ−ル試薬と無機アジド添加ルミノ−ル試薬をそれぞれ4℃、37℃に2週間および1カ月間保存し、ルミスポットCEA(栄研化学製・登録商標)の指示書に記載されたプロトコ−ルにしたがって、全自動化学発光酵素免疫測定装置AL−1000により免疫反応を実施した。CEAの酵素免疫反応後のペルオキシダ−ゼ活性を各種ルミノ−ル試薬により測定し、発光強度を比較した。【0010】1−(a)固相化抗体市販の抗CEAウサギポリクロ−ナル抗体(DAKO製)をPBSで希釈して1μg/mlとした抗体溶液中にポリスチレンビ−ズ(直径1/4インチ,積水化学工業製)を浸漬し4℃で一晩放置した。放置後生理食塩水で洗浄し、0.3%BSA含有PBSに室温3時間浸漬して固相化抗体を得た。【0011】1−(b)POD標識抗体市販の抗CEAモノクロ−ナル抗体(DAKO製)を石川らの方法(特願昭57−33662等)によりPOD(東洋紡績社製,西洋ワサビ由来)と結合させ、POD標識抗体を作製した。これをセファデックスG−200を用いて分画精製し、2%BSAを含むPBSで250倍に希釈して使用した。【0012】1−(c)発光試薬1、230%過酸化水素水(和光純薬工業製)0.3mlを0.1M、pH8.0のりん酸緩衝液1000mlに溶解し、過酸化水素試薬とした。ルミノール(東京化成製)225mgおよびp−ヨードフェノール(和光純薬工業製)11mgを0.1M、pH8.0のりん酸緩衝液1000mlに溶解し、一部はそのままルミノール試薬Aとし、一部はさらにアジ化ナトリウム(和光純薬工業製)を0.025%となるように加えルミノール試薬Bとした。【0013】1−(C)免疫学的測定法試料として市販精製CEA(SCRIPPS社)を用いこれを0.2%BSA加PBSで使用濃度に希釈して免疫反応に供した。測定は全自動化学発光酵素免疫測定装置AL−1000にて行った。プロトコ−ルは次の通りである。各免疫反応用チュ−ブにあらかじめ抗体不溶化固相を1コづつ入れておき、その中に被検試料60μlと希釈液200μlを添加し、37℃約7分反応させた。反応後溶液を吸引除去して、ビ−ズをPBSで洗浄し、POD標識抗体40μlおよび希釈液170μlを加え37℃,約7分反応させた。反応後溶液を除去し、ビ−ズを洗浄した後、前記の過酸化水素試薬、100μlおよびルミノール試薬A、100μlまたはルミノール試薬B、100μlを加え、発光強度(3秒間の積算値)を測定した。【0014】結果を表1に示す。表中の数値は、検体が精製CEAの場合は発光の計測値を、また検体が血清の場合はCEA濃度(ng/ml)を示す。測定値の右に示される%値は、調製時の試薬による測定値に対する比率である。低濃度の精製CEAにおいて、アジ化ナトリウムの顕著な効果が認められた。血清測定値はそれぞれの試薬でキャリブレーションを行った後の測定のため、アジ化ナトリウム添加効果は小さくなるが、測定値の正確性は明らかに無添加試薬より良好との結果が得られた。【0015】【表1】【0016】【実施例2】AFP測定による無機アジド含有ルミノ−ル試薬の安定化効果前記発光試薬2−Aと発光試薬2−Bをそれぞれ4℃、37℃に2週間および1カ月間保存し、ルミスポットAFP(栄研化学製・登録商標)の指示書に記載されたプロトコ−ルにしたがって、全自動化学発光酵素免疫測定装置AL−1000により免疫反応を実施した。AFPの酵素免疫反応後のペルオキシダ−ゼ活性を各種ルミノ−ル試薬により測定し、残存発光強度を比較した。【0017】2−(a)固相化抗体市販の抗AFPウサギポリクロ−ナル抗体(UCB社製)をPBSで希釈して1μg/mlとした抗体溶液中にポリスチレンビ−ズ(直径1/4インチ,積水化学工業製)を浸漬し4℃で一晩放置した。放置後、生理食塩水で洗浄し0.3%BSA含有PBSに室温3時間浸漬して固相化抗体を得た。【0018】2−(b)POD標識抗体市販の抗AFPモノクロ−ナル抗体(ザイメット社製)を石川らの方法(特願昭57−33662等)によりPOD(東洋紡績社製,西洋ワサビ由来)と結合させ、POD標識抗体を作製した。これをセファデックスG−200を用いて分画精製し、2%BSAを含むPBSで1000倍に希釈して使用した。【0019】2−(c)免疫学的測定法試料として市販AFP標準(日本バイオテスト研究所製)を用いこれを0.2%BSA加PBSで使用濃度に希釈して免疫反応に供した。測定は全自動化学発光酵素免疫測定装置AL−1000(栄研化学)にて行った。プロトコ−ルは次の通りである。各免疫反応用チュ−ブにあらかじめ抗体不溶化固相を1コづつ入れておき、その中に被検試料20μlと希釈液250μlを添加し、37℃約7分反応させた反応後溶液を吸引除去して、ビ−ズをPBSで洗浄し、POD標識抗体40μlおよび希釈液170μlを加え37℃、約7分反応させた。反応後溶液を除去し、ビ−ズを洗浄した後下記の各化学発光試薬を200μl加え、発光強度(3秒間の積算値)を測定した。【0020】結果を表2に示す。表中の数値は、検体がAFP標準品の場合は発光の計測値を、また検体が血清の場合はAFP濃度(ng/ml)を示す。測定値の右に示される%値は、調製時の試薬による測定値に対する比率である。AFPにおいてもCEAと同様に、アジ化ナトリウムを添加したルミノール試薬の安定性は顕著に向上している。【0021】【表2】【発明の効果】本発明により、2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬の保存安定性が向上し、全自動化学発光酵素免疫測定装置への適用が容易となる。 化学発光をシグナルとする化学発光分析用の試薬組成物において、無機アジドを0.01〜0.1%含有させる2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬組成物の安定化方法。 無機アジドがアジ化ナトリウムである請求項1に記載の2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬組成物の安定化法。 発光増強剤を含む請求項1に記載の2,3−ジヒドロ−1,4フタラジオン化合物試薬組成物の安定化法。


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