生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ジャガイモの増収方法
出願番号:1995157952
年次:2004
IPC分類:7,A01G7/06,A01G1/00,A01N37/08,A01N43/40,A01N43/54,A01N43/653,C07D213/81,C07D249/08


特許情報キャッシュ

柴田 秀之 大内 誠悟 西川 章 JP 3577787 特許公報(B2) 20040723 1995157952 19950623 ジャガイモの増収方法 住友化学工業株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 柴田 秀之 大内 誠悟 西川 章 20041013 7 A01G7/06 A01G1/00 A01N37/08 A01N43/40 A01N43/54 A01N43/653 C07D213/81 C07D249/08 JP A01G7/06 A A01G1/00 301Z A01N37/08 A01N43/40 101D A01N43/54 A A01N43/653 A C07D213/81 C07D249/08 518 7 A01G 7/06 A01G 1/00 301 A01N 37/08 A01N 43/40 101 A01N 43/54 A01N 43/653 C07D213/81 C07D249/08 518 特開平03−160929(JP,A) 4 1997000071 19970107 8 20011227 郡山 順 【0001】【産業上の利用分野】本発明はジャガイモの増収方法に関するものである。【0002】【従来の技術】一般に、ジャガイモの収量を増加させる場合、窒素、燐酸、カリ等の肥料の施用、育種法による多収性優良品種の選抜が知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、肥料の施用の場合、過度の施用によりジャガイモの収量が減少することがあり、肥料の効果を最大限発揮させるには栽培土壌に適合した適切な管理が必須である。また育種法による多収性優良品種の選抜の場合、年単位の時間、多くの労力を必要とするが、必ずしも飛躍的な増収は期待できない。仮に優良品種が出ても、栽培地域によって適応性が異なるため広範囲な地域において該品種を利用することは容易でない。【0004】【課題を解決するための手段】このような状況下で、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ある種の植物生長調節剤を、特定な時期のジャガイモ植物に茎葉散布することによって、栽培地域に関係なくしかも容易にジャガイモの収量を著しく向上させることができることを見い出し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、非植物ホルモン型の植物生長調節剤を開花期又は塊茎肥大期にあるジャガイモ植物に茎葉散布することを特徴とするジャガイモの増収方法(以下、本発明方法と記す。)を提供するものである。【0005】以下、さらに詳細に本発明を説明する。本発明の対象となる植物は、ジャガイモ植物である。ジャガイモ植物の代表的な品種としては、例えば、「男爵」、「メークイン」、「馬鈴薯農林1号」、「デジマ」、「ワセシロ」、「トヨシロ」、「ユキジロ(馬鈴薯農林13号)」、「ホッカイコガネ」、「メイホウ」、「ニシユタカ」、「紅丸」、「タチバナ(馬鈴薯農林7号)」、「シマバラ(馬鈴薯農林11号)」等をあげることができる。【0006】本発明で用いられる薬剤は、「非植物ホルモン型の植物生長調節剤」である。ここで、非植物ホルモン型の植物生長調節剤とは、オーキシン作用を示すようなフェノキシ酢酸、4−クロロ−2−ヒドロキシフェノキシ酢酸、インドール酢酸、インドール酪酸、ナフタリン酢酸及びエチクローゼ(フィガロン)、サイトカイニン作用を示すようなベンジルアデニン、タバコの腋芽発生抑制、ジャガイモの発芽防止、ダイコン等の抽だい防止等の作用を示すようなマレイン酸ヒドラジド、ブドウの果実着色増進、果実成熟促進等の作用を示すようなダミノジド(B−ナイン、B995)、開花促進、果実成熟促進等の作用を示すようなエセホン、野菜類の生長促進、花卉類の開花促進、ブドウの単為結実促進等の作用を示すようなジベレリン、花卉類の開花促進、ナシ、アーモンド、ブドウ、トマト等の着実促進等の作用を示すようなクロルメクアット(CCC)等の植物ホルモン作用を有するような化合物ではない植物生長調節剤のことを意味する。例えば、代表的な化合物としては、例えば、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(特開昭56−25105号公報に記載される化合物)もしくはその塩、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(特開昭53−28170号公報に記載される化合物)もしくはその塩、(E)−1−シクロヘキシル−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(特開昭55−111477号公報に記載される化合物)もしくはその塩、rel−(1R,2R,6S,7R,8R,11S)−5−(4−クロロフェニル)−3,4,5,9,10−ペンタアザテトラシクロ[5.4.1.O2,6 .O8,11]ドデカ−3,9−ジエン(Short Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第316頁に記載の化合物)もしくはその塩等のトリアゾール系化合物や4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(Short Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第306頁に記載の化合物)等のイソニコチンアニリド系化合物や(RS)−2−メチル−1−ピリミジン−5−イル−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロパン−1−オール(米国特許第4002628号及びShort Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第318頁に記載される化合物)もしくはその塩、α−シクロプロピル−4−メトキシ−α−(ピリミジン−5−イル)−ベンジルアルコール(英国特許第1218623号及びShort Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第318頁に記載される化合物)もしくはその塩等のピリミジン系化合物等があげられる。これら薬剤は一種単独でも二種以上の混合物であってもよい。もちろん、光学活性な異性体を有する化合物においては、植物生長調節活性を有する光学活性な異性体を用いることもできる。【0007】上記のような非植物ホルモン型の植物生長調節剤は、通常、液体担体、固体担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤を用いて乳剤、液剤、水和剤、懸濁剤等に製剤して用いられる。これらの製剤には、有効成分が重量比で、通常、約0.00001〜約99.9%含有される。【0008】用いられる液体担体としては、例えば、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素、イソプロパノール、エチレングリコール、セロソルブ等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、大豆油、綿実油等の植物油、ジメチルスオルホキシド、アセトニトリル、液状複合肥料、水等をあげることができる。固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アタパルジャイトクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、クルミ殻粉、尿素、硫酸アンモニウム、化成肥料、合成含水酸化珪素等の微粉末あるいは粒状物があげられる。【0009】乳化、分散、湿潤、展開、結合、崩壊性調節、有効成分安定化、流動性改良、防錆等の目的で使用される界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性のいづれのものをも使用しうるが、通常は非イオン性および/または陰イオン性のものが使用される。代表的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等をあげることができる。また代表的な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩等があげられる。【0010】その他の製剤用補助剤としては、リグニンスルホン酸塩、アルギン酸塩、ポリビニールアルコール、アラビアガム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)等をあげることができる。【0011】このようにして製剤された非植物ホルモン型の植物生長調節剤の処理濃度や処理量は、該植物生長調節剤の種類等によりことなるが、通常、有効成分が約0.01〜約1000ppmの溶液を、有効成分量として約0.1〜約50000g/ha、好ましくはトリアゾール系化合物の場合には、約0.1〜約5000g/ha、イソニコチンアニリド系化合物の場合には、約1〜約50000g/ha、ピリミジン系化合物の場合には、約0.1〜約5000g/haの割合で施用する。もちろん、非植物ホルモン型の植物生長調節剤を処理する場合には、本発明の効果を妨げない範囲において、肥料、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、その他の植物生長調節剤との混合も可能である。【0012】つぎに、本発明における薬剤散布時期、すなわち「開花期又は塊茎肥大期」について説明する。本発明では、上記のような植物生長調節剤を、開花期又は塊茎肥大期にあるジャガイモ植物に茎葉散布することが必須である。ところで、ジャガイモ植物は栽培期間中に開花期を有する場合と有さない場合がある。栽培期間中に開花期を有する場合、本発明における薬剤散布時期は開花期である。なかでも開花初期及び開花盛期を好ましくあげることができる。ジャガイモの開花期の期間は、天候、品種、栽培条件等によって約7週間にわたるものもあるが、通常、約3週間から約4週間である。例えば、種イモ植付け後25日から75日が開花期に相当する場合、前半の約20日間が開花初期に相当し、次の約10日間が開花盛期に相当する。開花期を有さない場合、本発明における薬剤散布時期は塊茎肥大期である。なかでも塊茎肥大初期及び塊茎肥大中期を好ましくあげることができる。ジャガイモは、茎が塊状に肥大し、貯蔵組織として発達したものである。したがって、ジャガイモ植物は地上部の生育とともに茎の塊茎化過程が収量の決定に重要である。ジャガイモ植物の塊茎は種イモ植付け後、匐枝形成期、匐枝伸長期、塊茎形成期、塊茎肥大期(塊茎肥大初期、塊茎肥大中期、塊茎肥大後期)、塊茎完成期を経る。そして本発明でいう塊茎肥大期の期間は、天候、品種、栽培条件等によっても異なるが、一般的には種イモ植付け後約25〜75日の間である。例えば、種イモ植付け後25日から75日が塊茎肥大期に相当する場合、前半の約20日間が塊茎肥大初期に相当し、次に約10日間が塊茎肥大中期に相当する。【0013】本発明の薬剤処理方法は、噴霧、散粉等による茎葉散布である。【0014】【実施例】以下、本発明を製剤例および試験例によっさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、製剤例を示す。これらの製剤例中、部は重量部を表すものである。【0015】製剤例1 (乳剤)(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(以下、化合物Aと記す。)5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル10部およびシクロヘキサノン50部にキシレンを加えて全体を100部とし、攪拌混合することにより乳剤を得る。【0016】製剤例2 (水和剤)(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(以下、化合物Bと記す。)10部、ラウリル硫酸ナトリウム5部および芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物2部にカオリンクレーを加えて全体を100部とし、ジュースミキサーでよく混合した後ジェットミルで微粉砕することにより水和剤を得る。【0017】製剤例3 (乳剤)3,5−ジオキソ−4−プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸(以下、化合物Cと記す。)5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル10部およびシクロヘキサノン50部にキシレンを加えて全体を100部とし、攪拌混合することにより乳剤を得る(なお、化合物Cは特開昭59−196840号公報に記載される。)。【0018】製剤例4 (水和剤)4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(以下、化合物Dと記す。)10部、ラウリル硫酸ナトリウム5部および芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物2部にカオリンクレーを加えて全体を100部とし、ジュースミキサーでよく混合した後ジェットミルで微粉砕することにより水和剤を得る。【0019】製剤例5 (水和剤)α−シクロプロピル−4−メトキシ−α−(ピリミジン−5−イル)−ベンジルアルコール(以下、化合物Eと記す。)10部、ラウリル硫酸ナトリウム5部および芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物2部にカオリンクレーを加えて全体を100部とし、ジュースミキサーでよく混合した後ジェットミルで微粉砕することにより水和剤を得る。次に、試験例を示す。【0020】試験例1圃場においてジャガイモ(品種、デジマ)を栽培し、塊茎肥大初期(種イモ植付け後35日)に、製剤例2に準じて水和剤に調製した化合物Aの10ppm溶液を、200L/haの薬剤処理量で茎葉散布した。種イモ植付け後から102日間栽培した後、収量を調査した。収量は一株当たりの上いも(1個重30g以上)数と上いも1個平均重の積で示した。収量の調査結果を表1に示す。なお、収量は対照区(無処理区)を100%とした相対値で示した。表1から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、高い増収効果を示した。【0021】【表1】【0022】試験例2薬剤処理濃度10ppm溶液を用いる代わりに20ppm溶液を用いること以外は試験例1と同様な方法によって試験した。その結果を表2に示す。表2から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、上記の試験例1と同様にきわめて高い増収効果を示した。【0023】【表2】【0024】試験例3圃場においてジャガイモ(品種、メイクイーン)を栽培し、開花期(種イモ植付け後55日)に、製剤例2に準じて水和剤に調製した化合物Aの5ppm溶液を、200L/haの薬剤処理量で茎葉散布した。種イモ植付け後から119日間栽培した後、収量を調査した。収量は一株当たりの上いも(1個重30g以上)数と上いも1個平均重の積で示した。収量の調査結果を表3に示す。なお、収量は対照区(無処理区)を100%とした相対値で示した。表3から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、きわめて高い増収効果を示した。【0025】【表3】【0026】試験例4薬剤処理濃度5ppm溶液を用いる代わりに10ppm溶液を用いること以外は試験例3と同様な方法によって試験した。その結果を表4に示す。表4から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、上記の試験例3と同様にきわめて高い増収効果を示した。【0027】【表4】【0028】試験例5化合物A[薬剤処理濃度(ppm):10]の代わりに化合物B[薬剤処理濃度(ppm):500]を用いること以外は試験例4と同様な方法によって試験した。その結果、同様な増収効果が認められた。【0029】試験例6圃場においてジャガイモ(品種、メークイン)を栽培し、開花期(種イモ植付け後60日)に、製剤例2に準じて水和剤に調製した化合物Cの50ppm溶液、化合物Dの5000ppm溶液又は化合物Eの100ppm溶液を、200L/haの薬剤処理量で茎葉散布する。種イモ植付け後から110日間栽培した後、収量を調査する。収量は一株当たりの上いも(1個重30g以上)数と上いも1個平均重の積として表し、対照区(無処理区)を100%とした相対値を算出することにより、増収効果を確認する。【0030】【発明の効果】本発明により、容易にジャガイモの収量を著しく向上させることが可能になった。 (E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オールもしくはその塩、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オールもしくはその塩、または、3,5−ジオキソ−4−プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸もしくはその塩、を開花期又は塊茎肥大期にあるジャガイモ植物に茎葉散布することを特徴とするジャガイモの増収方法。 (E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オールもしくはその塩、または、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オールもしくはその塩、を開花期又は塊茎肥大期にあるジャガイモ植物に茎葉散布することを特徴とするジャガイモの増収方法。 3,5−ジオキソ−4−プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸もしくはその塩、を開花期又は塊茎肥大期にあるジャガイモ植物に茎葉散布することを特徴とするジャガイモの増収方法。 (E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オールもしくはその塩、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オールもしくはその塩、または、3,5−ジオキソ−4−プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸もしくはその塩、を有効成分として含有するジャガイモの増収剤。


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