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タイトル:特許公報(B2)_揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法および揮散性物質内包マイクロカプセルの製法
出願番号:1995157803
年次:2004
IPC分類:7,B01J13/00,A61K9/50,B01J13/16


特許情報キャッシュ

片岡 裕紀 村田 勝 JP 3592403 特許公報(B2) 20040903 1995157803 19950623 揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法および揮散性物質内包マイクロカプセルの製法 第一工業製薬株式会社 000003506 西藤 征彦 100079382 片岡 裕紀 村田 勝 20041124 7 B01J13/00 A61K9/50 B01J13/16 JP B01J13/00 B A61K9/50 B01J13/02 D 7 B01J 13/00- 13/02 A61K 9/50 特開昭48−84086(JP,A) 特開平9−12447(JP,A) 6 1997000911 19970107 14 20011128 柴田 昌弘 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、揮散性物質の徐放性に極めて優れ、長期にわたる薬効を奏することができる揮散性物質を内包したマイクロカプセルの製法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来から、揮散性物質を内包したマイクロカプセルは、常温においてもその内包された揮散性物質の放出が著しく、その結果、揮散性物質の含有量が急激に低下し、短時間でその放出量が減少してしまう問題がある。また、未使用時において、内包された揮散性物質の保持性が不充分であるために、マイクロカプセルの保存期間が極めて短期間であるという問題を有している。【0003】このため、揮散性物質の保持性を向上させるために様々なマイクロカプセルが試みられている。例えば、特開平2−145383号公報において、香料、殺虫剤等の揮散性物質をガラス転移温度が50〜200℃の壁膜を用いて内包したマイクロカプセルが提案されている。このマイクロカプセルは、ポリウレタン、ポリウレアを壁膜とするマイクロカプセルであって、つぎのようにして製造される。すなわち、芯物質となる揮散性物質または揮散性物質を含む疎水性媒体中に多官能性イソシアネートを溶解し、これを乳化剤および必要に応じてポリアミンやポリオールを添加した水性媒体中に乳化分散させた後、系の温度を上げて油滴界面で反応させることにより製造される。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記製法により得られた揮散性物質内包のマイクロカプセルは、芯物質である揮散性物質の保持性が未だ不充分であることから、徐放性に関して満足のいくものではなく、長期間にわたり揮散性物質の有する薬効を発揮することができないという問題を有している。【0005】また、特公昭42−771号公報には、ヘキサメチレンジアミンを水に溶解してこれを水相とし、一方の油相には、イソシアネート成分とヒマシ油を入れて、マイクロカプセルを製造する方法が記載されている。しかし、この方法では、イソシアネート成分がヒマシ油と反応する前に、水相中のヘキサメチレンジアミンと反応してしまい、ヒマシ油を芯物質とした、すなわち、ヒマシ油のみが内包されたマイクロカプセルが製造される。このような方法では、揮散性物質を内包するマイクロカプセルを製造することはできない。【0006】本発明は、内包する揮散性物質の徐放性に優れ、長期間にわたって揮散性物質を放出させることのできる揮散性物質を内包したマイクロカプセル分散液および揮散性物質内包マイクロカプセルの製法の提供をその目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)液を、下記の(B)液に添加して乳化分散させ、樹脂化反応させる揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法を第1の要旨とする。(A)下記の(a)〜(d)成分を含有する油性液。(a)揮散性物質。(b)多官能性イソシアネート。(c)ヒマシ油。(d)有機スズ化合物。(B)下記の(e)および(f)成分を含有する水性液。(e)少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン。(f)乳化剤。【0008】また、上記(A)液を、上記(B)液に添加して乳化分散させ、樹脂化反応させて、揮散性物質内包マイクロカプセル分散液をつくり、この分散液から揮散性物質内包マイクロカプセルを取り出す揮散性物質内包マイクロカプセルの製法を第2の要旨とする。【0009】【作用】本発明者らは、マイクロカプセルに内包される揮散性物質の放出量を抑制して長期間にわたって放出可能な、徐放性に優れたマイクロカプセルを得るために一連の研究を重ねた。その研究の過程で、芯−殻構造であるマイクロカプセルにおいて、揮散性物質を被包する殻部自身の機能等を向上させる手段では揮散性物質の長期にわたる放出性を得るのは困難であるという知見を得た。この知見にもとづき、殻部ではなく揮散性物質を内包する芯部の構成を、単に揮散性物質のみからなるのではなく、揮散性物質を含有した固体もしくはそれに近い性質のもので構成すると、揮散性物質の徐放性の向上が図れるのではないかと着想し、上記芯部の構成を中心にさらに研究を重ねた。その結果、有機スズ化合物を含有する油性液(A液)を、少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミンおよび乳化剤を含有する水性液(B液)に添加して乳化分散させると、上記水性液中に多価アミンを含有するため、油滴界面において、A液中の多官能性イソシアネート(b成分)とB液中の多価アミン(e成分)とが極めて速く反応して、ポリウレア樹脂製の殻部が形成され、遅れて、有機スズ化合物(d成分)の触媒作用により、多官能性イソシアネート(b成分)とヒマシ油(c成分)とが反応して、殻部の内部のゲル化が始まり、揮散性物質(a成分)を含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部が形成され、上記揮散物質含有のゲル状ポリウレタン樹脂からなる芯部が殻部で被覆された特殊な揮散性物質内包マイクロカプセルが得られることを見出し本発明に到達した。このようにして得られる揮散性物質内包マイクロカプセルは、芯部がゲル状ポリウレタン樹脂からなり、それに含有される揮散性物質は、芯部からの放出量が抑制されるため、優れた徐放性を有する。【0010】このような特殊な揮散性物質内包マイクロカプセルの製法において、上記油性液(A液)中に溶剤を含まない場合、より徐放性に優れた揮散性物質内包マイクロカプセルが得られるようになる。【0011】そして、上記油性液(A液)に、二酸化ケイ素およびシクロデキストリンをそれぞれ単独で、もしくは併用して添加すると、揮散性物質の包接という作用により、より一層徐放性に優れた揮散性物質内包マイクロカプセルが得られるようになる。【0012】上記揮散性物質(a成分)としては、一般に、農薬、香料、植物精油があげられ、特に徐放性という点からイソチオシアン酸アリルを用いることが効果的である。【0013】つぎに、本発明について詳しく説明する。【0014】本発明の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法では、特定の油性液(A液)と、この油性液を添加して乳化分散させる、特定の水性液(B液)とが用いられる。【0015】まず、上記特定の油性液(A液)について述べる。【0016】上記油性液(A液)は、揮散性物質(a成分)と、多官能性イソシアネート(b成分)と、ヒマシ油(c成分)と、有機スズ化合物(d成分)とを用いて得られる。【0017】上記揮散性物質(a成分)は、その物質の有する融点、沸点の値にかかわらず、常温で揮散性を有するものであれば特に限定するものではない。具体的には、農薬、香料、植物精油等があげられる。【0018】上記農薬としては、ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)、o,o−ジメチル−o−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート、ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート等の有機リン系殺虫剤、メチルイソチオシアネート、臭化メチル、クロルピクリン等のクン蒸剤、テレピン油、ピネン油等の誘引剤等があげられる。【0019】上記香料としては、各種天然香料、合成香料があげられ、その原料となるものとして、例えば、ブーケ、ローズオイル、グリーンフローラル、ユーカリオイル、ラベンダーオイル、ジャスミン、レモンオイル、各種ハーブ等があげられる。【0020】上記植物精油としては、薬効を奏するものとして、例えば、ヒノキオイル、ヒバオイル、イソチオシアン酸アリル、シダーオイル、月桃油、柑橘オイル、生姜オイル等があげられる。これらのなかでも、本発明に用いられる揮散性物質としては、徐放性という点からイソチオシアン酸アリルを用いることが効果的である。【0021】なお、上記揮散性物質(a成分)はそのまま用いてもよいが、疎水性媒体中に含有させて用いることもできる。好ましくは、より優れた徐放性が得られるという点から、揮散性物質をそのまま用いることである。【0022】また、上記揮散性物質とともに、二酸化ケイ素、シクロデキストリンを各々単独で、もしくは併せて用いることにより、より一層優れた徐放性が得られるようになる。これは、揮散性物質の包接作用によるものと考えられる。上記二酸化ケイ素、シクロデキストリンを用いる場合の配合量は、油性液(A液)全体の0.5〜20重量%(以下「%」と略す)の範囲内に設定することが好ましい。特に好ましくは1〜10%である。すなわち、配合量が0.5%未満では、一層優れた徐放性の向上効果が得られ難く、逆に20%を超えると、揮散性物質内包マイクロカプセルの製造が困難となる傾向がみれらるからである。【0023】上記疎水性媒体としては、揮散性物質の揮発性防止剤として用いられ、例えば、安息香酸ベンジル、フタル酸ジオクチル等のエステル類、鉱物油類、綿実油類等の植物油類があげられる。さらには、これらに加えて、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、有色染料等の各種助剤を適宜に添加することができる。【0024】上記a成分とともに用いられる多官能性イソシアネート(b成分)としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等、さらには、上記多官能性イソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体や、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのようなポリオールとの付加物であるイソシアネートプレポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。【0025】上記トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール以外のポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール、キシリレングリコール等の芳香族ポリオール、ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノール、あるいはこれら多価フェノールとアルキレンオキシドとの縮合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールプレポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらポリオールのなかでも、徐放性に優れた揮散性物質内包マイクロカプセルが得られるという点から、トリメチロールプロパンを用いることが好ましい。【0026】そして、上記多官能性イソシアネート(b成分)のなかでも、無黄変型の揮散性物質内包マイクロカプセルを得るという点および経済的であるという点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートを用いることが好ましい。【0027】上記a成分およびb成分とともに用いられるヒマシ油(c成分)は、反応性および徐放性という点から好ましい。上記ヒマシ油(c成分)の配合量は、上記多官能性イソシアネート(b成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜300部に設定することが好ましく、特に好ましくは50〜200部である。このヒマシ油(c成分)の配合量が10部未満、あるいは300部未満を超えると、すなわち、上記配合量の範囲外では、目的とする芯部がゲル状の揮散性物質内包マイクロカプセルを得ることが困難となる傾向がみられる。【0028】さらに、上記a〜c成分とともに用いられる有機スズ化合物(d成分)としては、例えば、トリ−n−ブチルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレート、トリメチルチンハイドロオキサイド等があげられる。これら有機スズ化合物(d成分)はそのまま用いてもよいし、酢酸エチル等の溶剤に、濃度が0.1〜20%となるように溶解して、油性液中、イソシアネート成分である多官能性イソシアネート(b成分)100部に対して、固形分として0.01〜1部となるよう添加してもよい。このように、上記有機スズ化合物(d成分)の配合量は、そのまま、あるいは溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固形分として、多官能性イソシアネート(b成分)100部に対して0.01〜1部となるように設定することが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5部である。すなわち、有機スズ化合物(d成分)の配合量が、0.01部未満のように少な過ぎると、多官能性イソシアネート(b成分)の殆どが殻部の形成に使用されてしまい、芯部の形成が困難となる。逆に1部を超えると、芯部の形成が極端に速くなり、目的とする揮散性物質内包マイクロカプセルが得られ難いという傾向がみられるからである。そして、油性液(A液)中で上記有機スズ化合物(d成分)の触媒作用により、ヒマシ油(c成分)と多官能性イソシアネート(b成分)の反応が開始されるが、極端に反応の進行が速くならないように、上記有機スズ化合物(d成分)の配合量を調整する必要がある。【0029】なお、上記a〜d成分を含有して構成される油性液(A液)中には、前記多官能性イソシアネート(b成分)であるイソシアネート成分に存在する溶剤や、揮散性物質(a成分)を含有する疎水性媒体等の溶剤が含まれない方が、内包される揮散性物質の徐放性に優れるようになる。前記有機スズ化合物(d成分)の添加に用いられる溶剤は少量であるため、徐放性に大きな影響はない。この溶剤を含まない方が一層優れた徐放性を奏するのは、多官能性イソシアネート(b成分)とヒマシ油(c成分)との反応が阻害されず、三次元架橋構造に優れたポリウレタン樹脂が形成されるためと考えられる。【0030】つぎに、上記特定の油性液(A液)を添加して乳化分散させる、水性液(B液)について述べる。【0031】上記水性液(B液)は、少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン(e成分)と、乳化剤(f成分)とを用いて得られる。【0032】上記多価アミン(e成分)は、少なくとも2個のアミノ基を有するものであって、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチレントリアミン等があげられる。なかでも、経済性および揮散性物質内包マイクロカプセル表面の硬化性という点からエチレンジアミンを用いることが好ましい。上記多価アミン(e成分)の配合割合は、水性液(B液)全体の0.1〜10%の範囲となるよう設定することが好ましい。特に好ましくは、0.1〜6%である。すなわち、多価アミンの配合割合が、0.1%未満では、揮散性物質の揮散の抑制ができ難くなり、10%を超えると、揮散性物質内包マイクロカプセルの製造が困難となる傾向がみられるからである。【0033】上記多価アミン(e成分)を添加することにより、この多価アミンと、前記油性液(A液)中の多官能性イソシアネート(b成分)との反応が、油性液(A液)中のヒマシ油(c成分)と多官能性イソシアネート(b成分)との反応よりも速やかに反応する。したがって、芯−殻構造のマイクロカプセルの形成に関し、まず、油滴界面において、殻部のポリウレア樹脂が形成され、その後、この殻部内部で、やや遅れて、芯部となる揮散性物質(a成分)を含有するゲル状ポリウレタン樹脂が形成されることから、特殊な構造を有する揮散性物質内包マイクロカプセルが得られる。【0034】上記多価アミン(e成分)とともに用いられる乳化剤(f成分)としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各水溶性高分子物質、各種界面活性剤を用いることができる。【0035】上記アニオン性高分子物質としては、アラビアゴム、アルギン酸等の天然高分子、カルボキシメチルセルロース、硫酸化セルロース、フタル化ゼラチン等の半合成高分子、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレンスルホン酸系重合体および共重合体、無水マレイン酸系共重合体等の合成高分子があげられる。【0036】また、上記カチオン性高分子物質としては、カチオン化デンプン等があげられる。【0037】上記ノニオン性高分子物質としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等があげられ、上記両性高分子物質としては、ゼラチンがあげられる。【0038】さらに、上記各種界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型等の両性界面活性剤があげられる。【0039】そして、これら乳化剤(f成分)は、一般に、水に対して、水溶液濃度が1〜20%となるよう添加して調製する。【0040】本発明の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、前述のa〜d成分を用いて特定の油性液(A液)を調製する。また、前述のe成分およびf成分を水に添加して所定濃度の水性液(B液)を調製する。そして、上記調製した油性液(A液)を上記水性液(B液)に添加し、高速回転による攪拌により乳化分散させた後、続いて、低速回転による攪拌により反応を継続させる。このようにして、油滴界面および内部で反応させることにより、芯部が殻部で被覆された芯−殻構造で、しかも、上記芯部が揮散性物質を含有するゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記殻部がポリウレア樹脂で形成された特殊な揮散性物質内包マイクロカプセル分散液が製造される。つづいて、この分散液から所定の方法によって水分を分離することにより揮散性物質内包マイクロカプセルが得られる。【0041】上記のようにして得られた揮散性物質内包マイクロカプセル分散液において、分散液中の揮散性物質内包マイクロカプセルの含有量は、後述の各種基材に塗布、噴霧および含浸させて用いる際の期待する薬効、徐放性を考慮して、分散液中の2〜70%の範囲に設定することが好ましい。【0042】上記油性液(A液)と水性液(B液)との混合割合は、重量比で、油性液1に対して水性液0.5〜50となるように設定することが好ましい。特に好ましくは油性液1に対して水性液0.8〜1.5である。すなわち、油性液に対して水性液が0.5未満では、水を連続相とすることが困難である。また、水性液が50を超えると、得られる揮散性物質内包マイクロカプセル濃度の低過ぎる製品しか得られないという傾向がみられるからである。【0043】上記乳化分散のための高速回転による攪拌条件は、1000〜2000rpmに設定し、低速回転による攪拌条件は、100〜500rpmに設定することが好ましい。また、乳化分散等の攪拌に用いられる攪拌機としては、例えば、高速デゾルバー型ミキサー(オートホモミキサー、ホモディスパー等)等が用いられる。【0044】さらに、上記反応条件は、20〜40℃で0.5〜2時間程度の短時間に設定される。このような従来に比べて短時間および低温条件下で上記のような特殊な揮散性物質内包マイクロカプセルが得られる。【0045】また、上記揮散性物質内包マイクロカプセル分散液中から水分を分離して揮散性物質内包マイクロカプセルを得る方法としては、特に限定するものではなく、従来公知の方法、例えば、遠心分離法、加圧濾過法、減圧吸引濾過法等があげられる。さらに、上記分離により得られた揮散性物質内包マイクロカプセルを、従来公知の方法、例えば、加熱乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等によって適宜に乾燥してもよい。【0046】このように、特殊な揮散性物質内包マイクロカプセルが得られる生成機構について、本発明者らは、一連のマイクロカプセルの研究により得た知見から、つぎのように推察している。すなわち、上記水性液(B液)中に添加された、少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン(e成分)の存在により、油性液(A液)を水性液(B液)に添加し攪拌すると、内部のゲル化反応よりも、油滴界面において、油性液(A液)中の多官能性イソシアネート(b成分)と多価アミン(e成分)とが極めて速く反応する。このため、芯−殻構造のマイクロカプセルの形成において、まず、ポリウレア樹脂が反応生成して殻部が形成され、その後、やや遅れて芯部となる揮散性物質を含有するポリウレタン樹脂のゲル化が始まるものと考えられる。このゲル化反応は、ヒマシ油(c成分)と多官能性イソシアネート(b成分)との反応によるものである。【0047】このようにして得られる揮散性物質内包マイクロカプセルの模式図を図1に示す。図示のように、芯部である揮散性物質を含有するゲル状ポリウレタン樹脂1の外周を、ポリウレア樹脂製の殻部2によって被包された、芯−殻構造となっている。また、揮散性物質内包マイクロカプセルの粒子径については特に限定するものではないが、一般に、0.5〜500μmの範囲に設定される。【0048】本発明の製法により得られた揮散性物質内包マイクロカプセルにおいて、芯部がゲル化状態であることは、得られた揮散性物質内包マイクロカプセルの断面を電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。また、得られた揮散性物質内包マイクロカプセルを用いて溶媒により残存ヒマシ油(c成分)の抽出操作を行った結果、ヒマシ油(c成分)が得られないことから、ヒマシ油が多官能性イソシアネートと完全に反応し、内部がゲル化状態となっていると判断される。さらに、揮散性物質と、多官能性イソシアネートと、ヒマシ油と、触媒を、20〜40℃で混合し、0.5〜2時間放置すると流動性がなくなりゲル化状態となることからも推察される。【0049】そして、本発明の製法により得られた揮散性物質内包マイクロカプセル分散液は、分散液から抽出された揮散性物質内包マイクロカプセル自身をそのまま様々な分野に利用してもよいし、上記分散液を、例えば、紙製基材や布製基材に、塗布、噴霧あるいは含浸させて用いてもよい。そして、本発明の製法により得られた揮散性物質内包マイクロカプセルは、揮散性物質の徐放性に優れているため、芳香(香料、植物精油)、消臭、抗菌(植物精油)、防虫、忌避(農薬)といった薬効を、従来にもまして、長期間にわたって持続させることができる。【0050】【発明の効果】以上のように、本発明は、前記a〜d成分を含有する油性液(A液)を、前記e成分およびf成分を含有する水性液(B液)に添加して乳化分散させ、樹脂化反応させることにより、揮散性物質を含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部の外周に、ポリウレア樹脂製殻部が形成された揮散性物質内包マイクロカプセルが分散された分散液を製造するものである。すなわち、上記水性液中の多価アミン(e成分)の存在により、この多価アミンと油性液(A液)中の多官能性イソシアネート(b成分)とが反応して、先に外殻となるポリウレア樹脂製の殻部が形成され、つぎに、内部で、多官能性イソシアネート(b成分)とヒマシ油(c成分)とが反応して、揮散性物質(a成分)を含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部が形成され、上記揮散性物質含有のゲル状ポリウレタン樹脂からなる芯部が殻部で被覆された特殊な揮散性物質内包マイクロカプセルが得られる。このため、得られる揮散性物質内包マイクロカプセルは、芯部がゲル状ポリウレタン樹脂からなり、それに含有される揮散性物質は、芯部からの放出量が抑制されるため、優れた徐放性を備える。したがって、本発明により得られた揮散性物質内包マイクロカプセルは、内包揮散性物質の優れた徐放効果が発揮されることから、例えば、長期の薬効が要求される、農薬、香料、植物精油等の揮散性物質を内包したマイクロカプセルとして様々な分野に、種々の形態で使用に供される。【0051】このような特殊な揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法において、上記油性液(A液)中に溶剤を含まない場合、より徐放性に優れた揮散性物質内包マイクロカプセルが得られるようになる。【0052】そして、上記油性液(A液)に、二酸化ケイ素およびシクロデキストリンをそれぞれ単独で、もしくは併用して添加すると、揮散性物質の包接という作用により、より一層徐放性に優れた揮散性物質内包マイクロカプセルが得られるようになる。【0053】また、内包される揮散性物質としては、一般に、農薬、香料、植物精油があげられ、特に徐放性という点からイソチオシアン酸アリルを用いることが効果的である。【0054】つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。【0055】【実施例1】イソチオシアン酸アリル100部(揮散性物質)、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物〔日本ポリウレタン社製、コロネートHL(酢酸エチル含有、イソシアネート成分濃度75%)〕120部(イソシアネート成分)、ジブチルチンジラウレート(触媒)の10%酢酸エチル溶液1部、ヒマシ油120部(水不溶性のポリオール)を混合溶解して油性液を調製した。ついで、この油性液を、25℃の部分ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセノールKM−11、ケン化度80%)35部とエチレンジアミン10部(多価アミン)を含有した水性液350部に加え、オートホモミキサー(特殊機化工業社製)により1000rpmの高速回転で5分間攪拌することにより乳化液を得た。引き続き、この乳化液を、25℃で1.5時間、200rpmの低速回転で攪拌し反応を完結させることによりイソチオシアン酸アリル内包のマイクロカプセル分散液を得た。このマイクロカプセルの粒子を遠心分離により取り出し、電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−T300)で観察したところ、粒子径5μmの粒子が観察された。さらに、このマイクロカプセルを割ったものを電子顕微鏡で観察したところ、芯部がゲル化状態であることが確認された。このことから、イソチオシアン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂(芯部)が、ポリウレア樹脂製の殻部によって被包された芯−殻構造をとる特殊マイクロカプセルであることがわかる(図1参照)。【0056】また、得られたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルを用い、テトラヒドロフランにて残存ヒマシ油(水不溶性のポリオール)の抽出操作を行ったところ、ヒマシ油は検出されなかった。この結果からも、ヒマシ油が芯部に存在せず、イソシアネート成分と完全に反応しており、芯部がゲル状のポリウレタン樹脂であることがわかる。【0057】さらに、上記調製した油性液を、25℃で1.5時間そのまま放置したところ、流動性がなくなりゲル化状態となった。【0058】これらのことから、実施例1で得られたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの、芯部はゲル化していることは明らかである。【0059】【実施例2〜8、比較例1,2】揮散性物質(あるいは揮散性物質に二酸化ケイ素、シクロデキストリンを併用)、イソシアネート成分、触媒および水不溶性のポリオールとして、下記の表1および表2に示す材料を同表に示す割合で用い、実施例1と同様にして目的とする揮散性物質内包マイクロカプセル分散液を作製した。そして、得られた揮散性物質内包マイクロカプセルを遠心分離により取り出して、実施例1と同様、電子顕微鏡の観察により粒子径を測定し下記の表1および表2に併せて示した。【0060】また、実施例1と同様にしてマイクロカプセルを割り電子顕微鏡写真を撮ったところ、いずれも芯部がゲル化していることが確認された。さらに、上記と同様にして、水不溶性のポリオールの抽出操作、および油性液のみを反応させたところ、実施例1と同様の結果が得られた。これらのことから、実施例2〜8および比較例1,2の揮散性物質内包マイクロカプセルの、芯部はゲル化していることは明らかである。【0061】【表1】【0062】【表2】【0063】【比較例3】実施例1で油性液を調製する際に、触媒であるジブチルチンジラウレートを用いなかった。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた乳化液を遠心分離したところ、マイクロカプセルが得られた。このマイクロカプセルを観察したところ、芯部にヒマシ油とイソチオシアン酸アリル(揮散性物質)が内包されたマイクロカプセルであった。【0064】【比較例4】実施例2で油性液を調製する際に、触媒であるトリメチルチンハイドロオキサイドを用いなかった。それ以外は実施例2と同様の操作を行った。得られた乳化液を遠心分離したところ、マイクロカプセルが得られた。このマイクロカプセルを観察したところ、芯部にヒマシ油と、レモンオイルおよび二酸化ケイ素(揮散性物質)が内包されたマイクロカプセルであった。【0065】このようにして得られた各マイクロカプセルが分散した分散液を、それぞれ5個のシャーレに、各1gずつ採取した。そして、これらを25℃で所定日数放置した後、シャーレ内の分散液を有機溶媒(テトラヒドロフラン)で全量抽出してHPLC法(高速液体クロマトグラフィー)で、内包された揮散性物質の含有量を測定した。また、調製直後の各分散液を用い、上記と同様にしてHPLC法により内包された揮散性物質の含有量を測定したところ、理論上の含有量と上記実測値とが一致した。その各含有量を下記の表3および表4に示す。さらに、上記方法により、各経過日数毎に揮散性物質の含有量を測定し、その室温放置での残存率を算出した。その経日変化を図4に示した。図4の経過日数−残存率を表す曲線図において、曲線Aは実施例1、曲線Bは実施例2、曲線Cは比較例1、曲線Dは実施例3、曲線Eは比較例2、曲線Fは実施例4、曲線Gは比較例3、曲線Hは比較例4である。そして、上記1週間後の揮散性物質の残存率を下記の表5および表6に示した。【0066】【表3】【0067】【表4】【0068】【表5】【0069】【表6】【0070】上記表5および表6(図4に示す曲線図)から、従来の揮散性物質内包マイクロカプセル(比較例3,4)では、1週間経過後には、揮散性物質の残存率は30%を下回っている。これに比べて実施例の揮散性物質内包マイクロカプセルでは、1週間経過しても、全ての実施例は残存率が89%以上であり、徐放性に優れていることが明らかである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の製法により得られる揮散物質内包マイクロカプセルの一例を模式的に示す断面図である。【図2】揮散性物質の残存率と経過日数の関係を表す曲線図である。【符号の説明】1 ゲル状ポリウレタン樹脂2 ポリウレア樹脂製の殻部 下記の(A)液を、下記の(B)液に添加して乳化分散させ、樹脂化反応させることを特徴とする揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法。(A)下記の(a)〜(d)成分を含有する油性液。(a)揮散性物質。(b)多官能性イソシアネート。(c)ヒマシ油。(d)有機スズ化合物。(B)下記の(e)および(f)成分を含有する水性液。(e)少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン。(f)乳化剤。 (A)液が、その液中に溶剤が含まれていない油性液である請求項1記載の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法。 (A)液が、(a)〜(d)成分に加えて、二酸化ケイ素およびシクロデキストリンの少なくとも一方を含有する油性液である請求項1または2記載の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法。 (a)成分である揮散性物質が、農薬、香料または植物精油である請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法。 (a)成分である揮散性物質が、イソチオシアン酸アリルである請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮散性物質内包マイクロカプセル分散液の製法。 下記の(A)液を、下記の(B)液に添加して乳化分散させ、樹脂化反応させて、揮散性物質内包マイクロカプセル分散液をつくり、この分散液から揮散性物質内包マイクロカプセルを取り出すことを特徴とする揮散性物質内包マイクロカプセルの製法。(A)下記の(a)〜(d)成分を含有する油性液。(a)揮散性物質。(b)多官能性イソシアネート。(c)ヒマシ油。(d)有機スズ化合物。(B)下記の(e)および(f)成分を含有する水性液。(e)少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン。(f)乳化剤。


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