タイトル: | 特許公報(B2)_β−ケトカルボン酸エステルの製造法 |
出願番号: | 1995116440 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C67/343,C07C67/313,C07C67/32,C07C69/738 |
梅津 一登 JP 3603141 特許公報(B2) 20041008 1995116440 19950418 β−ケトカルボン酸エステルの製造法 イハラケミカル工業株式会社 000102049 梅津 一登 20041222 7 C07C67/343 C07C67/313 C07C67/32 C07C69/738 JP C07C67/343 C07C67/313 C07C67/32 C07C69/738 Z 7 C07C 67/30-67/347 C07C 69/738 特開平02−131447(JP,A) Synthesis,1993年,290-292 1 1996291109 19961105 8 20010517 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、農薬および医薬の中間体等に有用なβ−ケトカルボン酸エステルの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、β−ケトカルボン酸エステルの製造方法として、アセトニトリル溶媒中、マロン酸モノエチルエステルのカリウム塩、塩化マグネシウム、およびトリエチルアミンを反応させた後、ベンゾイルクロリド等の酸クロリドを反応させてβ−ケトカルボン酸エステルを得る方法が知られている〔シンセシス(Synthesis)、290〜292頁(1993)〕。しかしながら、酸クロリドを使用する方法は時としてスラリーが多量に生成し、攪拌状態が極めて悪くなる欠点があった。ところで、反応系内でスラリーが発生すると反応系の均一な攪拌において支障をきたし、場合によってはスラリーの一部しか攪拌されていないような状態になり、その結果、目的物の収率の安定性がきわめて悪くなる。目的物の収率のこのような不安定性は、予定した量の目的物が得られないといった事態を招くこととなり、実際の工業規模での生産場面においては大きな問題となる。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は工業的規模で実施した場合でも安定した収率でβ−ケトカルボン酸エステルを製造しうる方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】発明者が、このような欠点を克服する手法について種々研究した結果、意外にも原料として酸クロリドに代えて特に酸フルオリドを使用すると反応におけるスラリーの発生がなく、スラリーの発生に起因する従来の問題を解決でき、上記課題を達成しうることを認め、この知見に基づき本発明を完成した。【0005】すなわち本発明は、一般式【0006】【化4】(式中、Rはアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す。)【0007】で表されるマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩、ハロゲン化マグネシウム、および塩基を反応させた後、さらに一般式【0008】【化5】(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは互いに同一でも相異なっていてもよい。)【0009】で表される酸フルオリドを反応させることを特徴とする、一般式【0010】【化6】(式中、R、Xおよびnは前記と同じ意味を示す。)【0011】で表されるβ−ケトカルボン酸エステルの製造方法を提供するものである。【0012】なお、本発明方法により得られる一般式(化6)で表されるβ−ケトカルボン酸エステルには、ケト・エノール互変異性体が存在し得るが、本発明においては何れの互変異性体も、また、それらの互変異性体の混合物も包含している。なお、本明細書においては本発明により得られる化合物の構造は一般式(化6)の構造で代表させて記載するものとする。【0013】以下に本発明を詳細に説明する。【0014】本発明方法は、マロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩(化4)、ハロゲン化マグネシウム、および塩基を反応させた後、さらに特に酸フルオリド(化5)を加えてこれを反応させることによりβ−ケトカルボン酸エステル(化6)を生成させるものである。生成したβ−ケトカルボン酸エステル(化6)は、酸フルオリド(化5)を作用させて得た反応混合物に希塩酸、および水を加え夾雑物を除いたのち分離し、有機層を濃縮することにより取り出すことができる。取り出したβ−ケトカルボン酸エステル(化6)は、そのまま次の使用に供することも可能であるが、所望により再結して、または蒸留して精製することも可能である。【0015】本発明方法では、まず、マロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩、ハロゲン化マグネシウム、および塩基を反応させる。【0016】当反応で使用しうるマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩としては、一般式(化4)で表される化合物であればよい。該式中、Rで示されるアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基、具体的には例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基あるいはブチル基を例示できるが、メチル基またはエチル基が好ましく、また、該式中、Mで示されるアルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等を例示できるが、なかでも工業的に入手容易で空気中で安定なカリウムが好ましい。このようなアルキル基Rおよびアルカリ金属原子Mを有するマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩(化4)の具体例としてはマロン酸モノメチルエステルのカリウム塩、マロン酸モノエチルエステルのカリウム塩、マロン酸モノプロピルエステルのカリウム塩、マロン酸モノイソプロピルエステルのカリウム塩、マロン酸モノブチルエステルのカリウム塩、マロン酸モノメチルエステルのナトリウム塩、マロン酸モノエチルエステルのナトリウム塩、マロン酸モノプロピルエステルのナトリウム塩、マロン酸モノイソプロピルエステルのナトリウム塩、マロン酸モノブチルエステルのナトリウム塩、マロン酸モノメチルエステルのリチウム塩等を挙げることができる。なお、これらの化合物はオーガニック シンセシス(Org.Synth.)Coll.Vol.IV,417(1963)に記載の方法により製造できる。【0017】当反応で使用しうるハロゲン化マグネシウムとしては、例えば無水塩化マグネシウムおよび無水臭化マグネシウム等を例示できる。工業的な入手の容易性等から無水塩化マグネシウムを好ましいものとして例示できる。なお、その形態は粉状のものが好ましい。ハロゲン化マグネシウムの使用量は、マロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩(化4)1モルに対し、0.5モル〜2モル、好ましくは1.0モル〜1.5モルの範囲であればよい。【0018】当反応で一般的に使用しうる塩基としては有機塩基、例えば脂肪族三級アミン、芳香族三級アミン、窒素含有複素環化合物等を例示できる。ここで、脂肪族三級アミンとしては炭素数1〜6の脂肪鎖が置換したトリアルキルアミン類(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン等)を、芳香族三級アミンとしては炭素数1〜6の脂肪鎖が窒素原子上に2つ置換したアニリン類(例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等)を、窒素含有複素環化合物としては、例えばピリジン類(具体的にはピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジエチルアミノピリジン等)、ジアジン類(具体的には1,2−ジアジン、1,3−ジアジン、1,4−ジアジン等)、トリアジン類(具体的には1,3,4−トリアジン等)、メチルイミダゾール、ヘキサメチレンテトラミン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等の窒素含有複素環化合物をそれぞれ例示することができる。これらの塩基は、当反応を阻害しなければ、さらにハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。工業的には脂肪族三級アミン類の使用が好ましく、例えば入手の容易なトリエチルアミンなどを好適なものとして挙げることができる。塩基の使用量は、マロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩(化4)1モルに対し1.0モル〜6.0モル、好ましくは1.0モル〜3.0モルの範囲であればよい。【0019】当反応における溶媒としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等)、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルカルボン酸のエステル類(例えば酢酸エステル類、より具体的には例えば酢酸メチル、酢酸エチル等)、鎖状あるいは環状であっても良いエーテル類(例えばジエチルエーテル、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド結合含有溶媒類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等)、尿素結合含有溶媒類(例えばテトラメチル尿素等)、スルホン系溶媒類(例えばジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、および芳香族系溶媒類(例えばニトロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゼン等)を例示することができ、これらの溶媒は2種以上を混合して使用することもできる。なかでも工業的にも入手が容易なアセトニトリルに代表されるアルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルに代表される、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルカルボン酸のエステル類、メチルイソブチルケトンに代表されるケトン類、あるいはジオキサンに代表される、鎖状あるいは環状であっても良いエーテル類を使用に好適な溶媒として例示できる。溶媒の使用量は、攪拌可能な量以上であれば差し支えないが、通常はマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩(化4)1モルに対して1L(リットル)〜4L、好ましくは1.5L〜2Lの範囲で用いられる。【0020】当反応の反応温度は、溶媒の沸点以下の温度範囲で任意に選ぶことができるが、0〜60℃の範囲を好ましい反応温度として例示できる。当反応の反応時間は、反応条件(例えば用いた化合物や溶媒の種類および量、反応温度等)の影響を受けるため一概には言えないが、通常は2〜8時間である。なお、当反応は常圧、加圧、減圧の何れの条件下で行ってもさしつかえないが、通常は常圧で行われる。【0021】本発明方法では、上記の様にして得られた反応液に、さらに特に酸フルオリドを反応させて目的とするβ−ケトカルボン酸エステルを生成させる。【0022】当反応で使用可能な酸フルオリドとしては、一般式(化5)で表される酸フルオリド類であればよい。ここで、該式中のXはハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)であればよく、また、2つ以上のXを有する場合、Xは互いに同一であっても相異なっていてもよい。このようなハロゲン原子Xを有する酸フルオリド(化5)としては、具体的には例えば4−フルオロベンゾイルフルオリド、2−フルオロベンゾイルフルオリド、2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイルフルオリド、2,4−ジクロロベンゾイルフルオリド、2,4−ジフルオロベンゾイルフルオリド、3,4−ジフルオロベンゾイルフルオリド、2,6−ジフルオロベンゾイルフルオリド、2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド、2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾイルフルオリド、3−クロロ−4−フルオロベンゾイルフルオリド、3−ブロモ−4−フルオロベンゾイルフルオリド等が挙げられる。酸フルオリド(化5)の使用量は、マロン酸モノアルキルエステルの金属塩(化4)1モルに対し、0.3モル〜1.0モル、好ましくは0.5モル〜0.9モルであればよい。なお、使用する酸フルオリドは、例えば酸クロリドあるいは酸フルオリドのハレックス反応による方法等の公知の方法により得ることができる。【0023】当反応の反応温度は、溶媒の沸点以下の温度範囲で任意に選ぶことができるが、0℃〜30℃の範囲を好ましい反応温度として例示できる。反応の終点は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により確認できる。当反応の反応時間は通常、1時間〜24時間である。なお、本発明の方法は常圧、加圧、減圧の何れの条件下で行っても差し支えないが、通常は常圧で行われる。【0024】当反応終了後の反応液から、常法に従い抽出、洗浄、分液、濃縮等の後処理を行うことにより目的とするβ−ケトカルボン酸エステル(化6)を得ることができる。ここで得られるβ−ケトカルボン酸エステル(化6)は、特に精製することなく次の反応原料として使用することもでき、また、蒸留することにより、または適宜選択される例えば脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルキルエーテル類、酢酸エステル類、アルコール類等の溶媒単独で、または混合した溶媒で、あるいはこれらの溶媒と水とを用いて再結することによってβ−ケトカルボン酸エステル(化6)を精製して、単離することもできる。【0025】なお、後記する実施例5、実施例6および実施例7において本発明方法に従って製造された2,4−ジフルオロベンゾイル酢酸メチル(融点;43〜45℃)および2−フルオロベンゾイル酢酸メチル(沸点;96℃/1mmHg)は文献未記載の新規化合物である。【0026】【発明の効果】本発明によりβ−ケトカルボン酸エステルの工業的な製造方法が提供される。本発明方法は、マロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩、ハロゲン化マグネシウム、および塩基を反応させた反応液に加える酸ハライドとして、酸クロリドに代えて特に酸フルオリドを選択使用した事によって、反応系内でのスラリーの発生を低減させ得たものである。これによって、スラリーの発生に起因する目的物の収率の不安定さが改善され、工業的な規模でも安定した収率でβ−ケトカルボン酸エステルを得られるようになるという効果を奏する。さらに、攪拌時の抵抗の増大により攪拌装置へ高い負荷が加わることや、反応容器の内部表面がスラリーによって磨耗すること等に起因する、製造装置の耐久性に対する心配がなくなる等、工業的な生産場面においてもスラリーの影響を考慮しなくて済む。従って、本発明方法はβ−ケトカルボン酸エステルの工業的な製造方法として好適である。【0027】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。【0028】実施例1攪拌機、温度計、還流冷却器、塩化カルシウム管を付けた1L容の4径フラスコにマロン酸モノエチルエステルのカリウム塩20.4g(0.12モル)と酢酸エチル200mlを加え、氷浴中で冷却後、10℃以下でトリエチルアミン29.1g(0.29モル)、無水塩化マグネシウム13.7g(0.14モル)を順次加え、35〜40℃で6時間攪拌し、反応させた。続いて、反応液を氷浴中で冷却しながら、10℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド17.8g(0.1モル)を滴下した。滴下終了後、室温にて12時間攪拌を続け熟成した。その後、反応液を氷浴中で冷却しながら、25℃以下で12%塩酸水溶液300mlを滴下した。次いで、分液ロートに移しトルエン200mlで抽出し、このトルエン層を12%塩酸水溶液、水、飽和食塩水溶液で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、トルエンを減圧濃縮して2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルを24.1g得た〔収率;98.0%(2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド基準)、純度;99.0%(HPLC分析)、融点;63℃〜64℃〕。【0029】また、得られた2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルをプロトン核磁気共鳴スペクトル分析したところ、ケト互変異体とエノール互変異体が混合していることが明らかとなった。〔2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチル(ケト体:エノール体の比=5:5の混合物)〕60MHz 1H−NMR δ値(CDCl3):1.07〜1.60(m,3H)、3.96(d,1H,J=3.54Hz)、4.03〜4.53(m,2H)、5.83(s,0.5H)、6.73〜7.40(m,1H)、7.47〜8.13(m,1H)、12.70(s,0.5H)【0030】実施例2酢酸エチル200mlの代わりに酢酸メチル200mlを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルを23.9g得た〔収率;97.0%(2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド基準)〕。【0031】実施例3攪拌機、温度計、還流冷却器、塩化カルシウム管を付けた1L容の四径フラスコにマロン酸モノエチルエステルのカリウム塩34.0g(0.2モル)とアセトニトリル200mlを加え、氷浴中で冷却後、10℃以下でトリエチルアミン20.2g(0.2モル)、無水塩化マグネシウム23.8g(0.25モル)を順次加えて、室温にて3時間攪拌し反応させた。続いて反応液を氷浴中で冷却しながら10℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド17.8g(0.1モル)を滴下した。滴下終了後、室温にて12時間攪拌を続け熟成した。その後、減圧下でアセトニトリルを回収し、トルエン400mlを加え、反応液を氷浴中で冷却しながら25℃以下で12%塩酸水溶液300mlを滴下した。次いで分液ロートに移し、分液後、トルエン層を12%塩酸水溶液で2回、水で2回、飽和食塩水溶液で1回順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、トルエンを減圧濃縮して2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルを22.9g得た〔収率;93.0%(2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド基準)〕。【0032】実施例4酢酸エチル200mlの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド200mlを用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、実施例3と同様の手順で溶媒回収等の後処理を行った。その結果、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルを23.7g得た〔収率;96.3%(2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド基準)〕。【0033】実施例5(2,4−ジフルオロベンゾイル酢酸メチルの製造)マロン酸モノエチルエステルのカリウム塩20.4g(0.12モル)の代わりにマロン酸モノメチルエステルのカリウム塩18.7g(0.12モル)を、また、2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド17.8g(0.1モル)の代わりに2,4−ジフルオロベンゾイルフルオリド13.8g(0.086モル)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様に反応および後処理を行った。その結果、白色結晶の2,4−ジフルオロベンゾイル酢酸メチルを18.0g得た〔収率;97.8%(2,4−ジフルオロベンゾイルフルオリド基準)、純度;97.3%(HPLC分析)〕。【0034】(2,4−ジフルオロベンゾイル酢酸メチルの物性)融点:43〜45℃沸点:92℃/0.8mmHg(確認データ)〔(ケト体:エノール体の比=6:4の混合物)〕60MHz 1H−NMR δ値(CDCl3):3.78(s,1.8H)、3.97(m,2.4H)、5.80(s,0.4H)、6.60〜7.40(m,2H)、7.61〜8.30(m,1H)、12.60(s,0.4H)IR(KBr錠剤、cm−1):3200〜2700、1740、1690、1600、1510、1440、1410、1330、1270、1210、1155、1102【0035】実施例6マロン酸モノメチルエステルのカリウム塩とトリエチルアミン、および無水塩化マグネシウムとの反応温度を35〜40℃から室温に変更した以外は実施例5と同様に行った。その結果、2,4−ジフルオロベンゾイル酢酸メチルを17.5g得た〔収率;95.2%(2,4−ジフルオロベンゾイルフルオリド基準)〕。【0036】実施例7(2−フルオロベンゾイル酢酸メチルの製造)2,4−ジフルオロベンゾイルフルオリドの代わりに2−フルオロベンゾイルフルオリド12.2g(0.086モル)を用いた以外は実施例5と同様に行った。その結果、無色透明液体として2−フルオロベンゾイル酢酸メチルを16.0g得た〔収率;95.1%(2−フルオロベンゾイルフルオリド基準)、純度;96%(HPLC分析)〕。【0037】〔2−フルオロベンゾイル酢酸メチル(ケト体:エノール体の比=8:2の混合物)の物性〕沸点:96℃/1.0mmHg60MHz 1H−NMR δ値(CDCl3):3.75(s,3H)、4.01(d,1.6H,J=3.54HZ)、5.83(s,0.2H)、6.87〜8.12(m,4H)、12.57(s,0.2H)IR(NaCl板、cm−1):3300〜2700、1744、1690、1610、1480、1452、1440、1400、1332、1260、1203、1150、1105【0038】実施例8〜12用いる酸フルオリドやマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩の種類をそれぞれ(表1)に記載のものに代えて(使用モル数は同じ。)、実施例8〜12については実施例1と同様に、また実施例12については実施例5と同様に行い、それぞれ対応する生成物(β−ケトカルボン酸エステル)を得た。その結果を(表1)に示す。【0039】【表1】【0040】実施例13アセトニトリル200mlの代わりにジオキサン200mlを用いた以外は実施例3と同様に行った。その結果、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルを23.4g得た〔収率;95.0%(2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド基準)〕。 一般式(式中、Rはアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す。)で表されるマロン酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩、ハロゲン化マグネシウム、および塩基を反応させた後、さらに一般式(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは互いに同一でも相異なっていてもよい。)で表される酸フルオリドを反応させることを特徴とする、一般式(式中、R、Xおよびnは前記と同じ意味を示す。)で表されるβ−ケトカルボン酸エステルの製造方法。