タイトル: | 特許公報(B2)_局所麻酔組成物 |
出願番号: | 1995090308 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/165,A61K 31/47,A61K 47/44,A61K 47/14,A61K 47/16,A61K 9/08 |
鮫島 輝行 大町 賢吾 加瀬 尚毅 野田 悦之助 JP 4124495 特許公報(B2) 20080516 1995090308 19950322 局所麻酔組成物 天藤製薬株式会社 592066572 竹内 卓 100062498 鮫島 輝行 大町 賢吾 加瀬 尚毅 野田 悦之助 20080723 A61K 31/165 20060101AFI20080703BHJP A61K 31/47 20060101ALI20080703BHJP A61K 47/44 20060101ALI20080703BHJP A61K 47/14 20060101ALI20080703BHJP A61K 47/16 20060101ALI20080703BHJP A61K 9/08 20060101ALI20080703BHJP JPA61K31/165A61K31/47A61K47/44A61K47/14A61K47/16A61K9/08 A61K 9/08 A61K 31/00 A61K 47/00 CAplus(STN) WPIDS(STN) 特開平06−040947(JP,A) 特開平05−286860(JP,A) 特開昭59−122420(JP,A) 2 1996259464 19961008 10 20010713 大久保 元浩 【0001】【産業上の利用分野】本発明は局所の粘膜や皮膚に急速かつ持続的な作用を示す局所麻酔組成物、さらに詳しくは、塩基性局所麻酔剤とその塩酸塩を併有する組成物に関する。【0002】【従来の技術と発明が解決しようとする課題】粘膜や皮膚の局所的なかゆみや疼痛を処置するために局所麻酔剤が用いられている。【0003】たとえば、直腸の局所的疾患である痔疾患には、痔核、裂肛等があり、患部の痛み、かゆみ、腫れ、出血等を伴う。これらの症状の中でも患部の疼痛が患者に極度の苦痛を与える。そして、従来の痔疾用剤には、坐剤または軟膏剤等に局所麻酔剤を単独で配合して用いている製品があるが、その効果は一般的に比較的短時間で消失し充分ではない。また、切傷、すり傷、かき傷、にきび、とびひ、面ちょう等の皮膚上の創傷面、あせも、ただれ、かぶれ、じんましん、虫刺され、水虫、たむし等の疾患に伴う皮膚または粘膜上の局所及び歯痛による局所の痛み及びかゆみの緩解は、患者の苦痛を軽減するとともに、その痛み及びかゆみを回避するために爪または外的因子により疾患部を損傷させる行為を抑制する上で重要であり、これらの目的で局所麻酔剤を配合した製剤が使用されているが、その効果は通常短時間で消失することから充分とは言えない。【0004】病院内の処方では、限定された2種の塩基性局所麻酔剤を混合することで共融混合物とし、これを用いて調製した軟膏について、静脈カニューレ、注射等を行う際に伴う物理的な刺激を緩和させる報告があるが、持続性及び薬物の安定性が問題となっている。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は上記問題を解決するため鋭意研究を行った結果、切傷、すり傷、かき傷、にきび、とびひ、面ちょう等による皮膚上の創傷面、痔疾患、あせも、ただれ、かぶれ、じんましん、虫刺され、水虫、たむし等の疾患に伴う皮膚または粘膜上の局所及び歯痛に伴う痛み及びかゆみを軽減するため、その作用の速効性且つ持続性を有する局所麻酔組成物についての本発明を完成した。【0006】本発明は、油脂またはそれと混和しうる親油性基剤に溶解または分散した塩基性局所麻酔剤を、溶媒に溶解または分散した塩基性局所麻酔剤の塩酸塩と混和してそれらの薬物を均質かつ安定に含有する局所麻酔組成物に関する。【0007】塩基性局所麻酔剤としては、たとえば、リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、クロロプロカイン、ブピバカイン、プロパラカイン、フェナカイン、コカイン、オキシブプロカイン、プロピトカイン、アミノ安息香酸エチル、オルソカイン及びオキセサゼインなどが、塩基性局所麻酔剤の塩酸塩としては、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、塩酸メピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸フェナカイン、塩酸コカイン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸プロピトカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。【0008】塩基性局所麻酔剤と塩基性局所麻酔剤の塩酸塩の配合比は、それぞれの量を治療の場で許容される最大量で除した係数の比が7:3〜2:3で、且つ係数の総和が0.5以上となるように配合する。【0009】治療の場で許容される最大量は法令に定められる基準に基づくもので、たとえば外用痔疾用薬の場合、製造承認基準記載の局所麻酔剤の最大濃度は表1のとおりである。【0010】【表1】【0011】したがって、製剤100g中にリドカイン1gと塩酸ジブカイン0.2gを配合するとすれば、リドカインの係数は1.0/3=0.33、塩ジブカインの係数は0.2/0.5=0.4で、両係数の比は0.33:0.4=2.48:3、係数の総和は0.73である。【0012】本発明で塩基性局所麻酔剤を溶解または分散する油脂またはそれと混和しうる親油性基剤としては、通常の軟膏剤、坐剤等の製造に用いられるものであればよく、例えばヤシ油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、トウモロコシ油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、カカオ脂、ラウリン脂、牛脂等、ハードファット、ラノリン、ミツロウ、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、セタノール、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等があげられる。これらの基剤は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。【0013】本発明で用いられる塩基性局所麻酔剤の塩酸塩の溶媒としては、水のほか、鎖状または環状炭化水素基のような疎水基と水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ポリオキシエチレン基のような親水基を有する溶媒が用いられ、その例としてはクロタミトン、【0014】例えばプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタン−ジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤があげられる。これらの溶媒は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。【0015】好適な溶媒の例は、油脂性軟膏剤及び坐剤ではクロタミトン、界面活性剤等、クリーム、水性ゲル及び水性坐剤等では、1,3ブチレングリコール、精製水、ポリエチレングリコールである。【0016】溶媒の好適な配合量は、塩基性局所麻酔剤の塩酸塩の配合量及び溶媒の種類、剤形によって異なるが、通常組成物全量に対して1〜60重量%の範囲内で、好ましくは、製剤中で液状の分散となるように調製するのがよい。【0017】本発明の組成物には、局所麻酔剤以外の薬物を配合することができる。その薬物は特に制限されるものではないが、例えば、抗炎症剤である酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、グリチルレチン酸等、ビタミン剤である酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、エルゴカルシフェノール、塩酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサミン、リン酸ピリドキサミン、塩酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサール、リボフラビン、酪酸リボフラビン等、消炎解熱鎮痛剤としてアスピリン、アセトアミノフェン、フェナセチン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、メフェナム酸、アミノピリン、イブプロフェン等、鎮痒、創傷治癒剤である塩化リゾチーム、アラントインまたはアルクロキサ等、サルファ剤であるスルファジアジン、スルフィソミジン、スルフィソミジンナトリウムまたはホモスルファミン等、抗生物質または抗真菌剤であるエリスロマイシン、テトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸カナマイシン、クロトリマゾール、ミコナゾールまたは硝酸ミコナゾール等、殺菌剤であるアクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベルベリン、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン液、フェノールまたはレゾルシン等を配合することができる。【0018】本発明の組成物は塩基性局所麻酔剤を油脂またはそれと混和しうる親油性基剤に溶解し、他方塩基性局所麻酔剤の塩酸塩を溶媒に溶解または分散させ、前者の溶解物と後者の溶解または分散物を混和することにより両者を安定かつ均質に含有する組成物が調製される。油脂またはそれと混和しうる親油性基剤と溶媒を予め混合してこれに塩基性局所麻酔剤とその塩酸塩を加えると塩酸塩については溶解度が著しく減少するものもあるので安定な均質な組成物を得るためには好ましくない。【0019】上記のようにして得られる均質な組成物は、これを局所に適用した場合、局所の粘膜や皮膚の表面に塩基性局所麻酔剤とその塩酸塩を均一に接触させるので、それらの種類の選択、濃度調整などの手段により、吸収や作用発現の遅速、持続時間などを制御するのが容易となり、本発明の意図する局所麻酔作用の速効かつ持続的な発現という目的を達成するのに極めて有利である。【0020】また、塩基性局所麻酔剤とその塩酸塩の配合比を前記の範囲に調整すれば、より好ましい持続性と速効性を有する安定な局所麻酔組成物が得られる。【0021】【実施例】以下に実施例および実験例を挙げて本発明をさらに説明する。【0022】白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリン及びミグリオール812を加温溶解後、リドカインを加えて溶かす。別に加温したクロタミトンに塩酸ジブカインを溶解し、先の油相に加え均一に混ぜて調製した。【0023】白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリン及びミグリオール812を加温溶解後、リドカインを加えて溶かす。別に加温したクロタミトンに塩酸ジブカインを溶解し、先の油相に加え均一に混ぜて調製した。【0024】白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリンを加温溶解後、リドカイン及び酢酸トコフェロールを加温したミグリオール812に加えて溶かし、先の油相に加え混和し、アラントインをミグリオール812で分散して加える。別に塩酸ジブカイン、酢酸プレドニゾロンを加温したクロタミトンに溶解し、先の油相に加え均一に混ぜて調製した。【0025】白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリン及びミグリオール812を加温溶解後、リドカインを加えて溶かし調製した。【0026】白色ワセリン、モノステアリン酸グリセリン及びミグリオール812を加温溶解し、別に塩酸ジブカインをミグリオール812を用いて分散して加え均一に混ぜて調製した。【0027】白色ワセリン、クロタミトン、モノステアリン酸グリセリン及びミグリオール812を加温溶解後、リドカインを加えて溶かして調製した。以上の各例における塩基性局所麻酔剤(リドカイン)と塩基性局所麻酔剤の塩酸塩(塩酸ジブカイン)の量を許容最大量(外用痔疾用薬承認基準)で除した係数、配合比および係数の総和は表2のとおりである。【0028】【表2】【0029】実験例1実施例1、2及び比較例1、2、3について、雌性モルモット(体重180〜300g)の角膜を用いて表面麻酔作用試験を行った。試料を角膜に20mg塗布し、一定時間後にマンドリン線で角膜を5回軽く刺激し、反射回数を測定した。この測定は2回行い、1試料の各時点での刺激回数を10とした。10回のうち10回とも角膜反射が消失した完全反射時間を開始時間(Onset time)として速効性の指標とし、また、10回のうち1回でも角膜反射が消失の場合を麻酔状態とみなし麻酔持続時間として持続時間(Duration time)を測定し、持続性の指標とした。これらの結果を表3及び図1に示した。【0030】【表3】【0031】表3および図1から明かなように、実施例1と2の製品は、角膜の表面麻酔作用の速効性において、比較例1,3の製品と同等、比較例2より勝っており、持続性においては比較例1〜3の製品より遙かに優れている。【0032】【発明の効果】本発明によれば、速効性かつ持続性を有する安定な局所麻酔組成物が提供され、それは、たとえば、切傷、すり傷、かき傷、にきび、とびひ、面ちょう等の皮膚上の創傷面、痔疾患、あせも、ただれ、かぶれ、じんましん、虫刺され、水虫、たむし等の皮膚または粘膜上の局所及び歯痛による局所の痛み及びかゆみを軽減するため外用剤として用いることができる。【図面の簡単な説明】【図1】グラフ実施例1における比較試験の結果を示すグラフである。 油脂またはそれと混和しうる親油性基剤に溶解したリドカインと、クロタミトンに溶解した塩酸ジブカインとを混和し、リドカインと塩酸ジブカインを均質かつ安定に含有する組成物において、リドカイン、塩酸ジブカインそれぞれの量を治療の場で許容される最大量3%(リドカインの場合)、0.5%(塩酸ジブカインの場合)で除した係数の比が7:3〜2:3で、且つ係数の総和が0.5以上1以下である局所麻酔組成物。 油脂またはそれと混和しうる親油性基剤が、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、トウモロコシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、カカオ脂、ラウリン脂、牛脂、ハードファット、ラノリン、ミツロウ、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、セタノール、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ミリスチン酸イソプロピルまたはミリスチン酸オクチルドデシルの単独または2種以上の組み合わせである請求項1記載の局所麻酔組成物。