タイトル: | 特許公報(B2)_新規な2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体及びそれを含有するジアゾ型記録材料 |
出願番号: | 1995080816 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C275/14,C07C275/28,C07C281/06,G03C1/58,G03C1/61 |
丸山 勝次 JP 3604761 特許公報(B2) 20041008 1995080816 19950313 新規な2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体及びそれを含有するジアゾ型記録材料 株式会社リコー 000006747 廣田 浩一 100107515 丸山 勝次 20041222 7 C07C275/14 C07C275/28 C07C281/06 G03C1/58 G03C1/61 JP C07C275/14 C07C275/28 C07C281/06 G03C1/58 G03C1/61 501 7 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN) 特開平9−43769(JP,A) 特開平9−152677(JP,A) 8 1996248560 19960927 16 20010111 爾見 武志 【産業上の利用分野】【0001】本発明は、透明または半透明の原稿と重ねて露光し、潜像を形成した後、その潜像を熱で現像するか、または、サーマルヘッド等により直接熱記録後に未記録部を露光して光定着が可能な感熱記録材料に適合する新規なカップリング成分として有用な化合物及び、それを用いたジアゾ型の記録材料に関するものである。【従来の技術】【0002】ジアゾ型記録材料特に複写機に用いられるカップラーは、現像方式が乾式か湿式かによりその構造はほぼ定型化されている。熱現像化に関しては一部脱炭酸カップラーのような提案もあるが、カップラーのカップリング速度と媒体化した場合の保存性の関係から乾式型カップラーを採用した検討が主である。特に、青色系のカップラーについては、ナフトールAS系の2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド誘導体が知られているが、従来の提案の殆どが既知のカップラーによるものが大部分である。そして、熱現像型への改良としての提案もあるが、決して多くは無い。例えば、特開昭59−162541号では2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸ヒドラジドとアルデヒドまたはケトンとの反応による所謂シッフ塩基型の提案がある。しかし、ナフトールAS系誘導体もそうであるように、この場合も、多くの場合200℃を越える融点を有しているため、その利用価値が低いという問題を有している。また、これらを利用してより低温における熱現像ができるように、熱可融性物質としてステアリン酸アミド等が用いられているが、保存性、現像性において未だ満足するまでに至らず実用化されていないのが現状である。また、特開昭59−174387号では、アリルエーテル基を置換したナフトールAS系の提案があるが、この場合も前記と同様な理由で実用化に至っていない。また、特開平2−18083号では2−ヒドロキシ−3−ナフトアミドである3位置換基−CONH−A−Bとして、AはC1〜C20の間にエーテルまたはチオエーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基を表し、Bは水素、フェニル基、シクロヘキシル基、モルホリノ基を表すカップラーの提案がある。この場が、は、一般にカップラーのカップリング活性により、保存性があまり良くなく、また、生成した色素の耐褪色性が十分でなく改良が求められていた。【発明が解決しようとする課題】【0003】本発明の第1の目的は、前記のようなカップラーの有する問題を解決し、複写時の熱現像または光定着型のジアゾ型記録材料のカップラーとして有用な2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体を提供することにある。本発明の第2の目的は、そのようなカップラーを含有する、画像の鮮明性及び保存安定性に優れたジアゾ型の記録材料を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一に、次の一般式(I)で表される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体が提供される。【化1】(式中、nは0〜12の整数、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。)第二に、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−ω−アミノ−アルキレンアミドとイソシアネート化合物とを反応させることを特徴とする上記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の製造方法が提供される。第三に、支持体上に、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と上記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する記録層を設けたことを特徴とするジアゾ型記録材料が提供される。第四に、支持体上に、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と上記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する記録層を設けたジアゾ型感熱記録材料において、該記録層に加熱により塩基性を呈する化合物を含有させたことを特徴とする感熱記録材料が提供される。第五に、支持体上に、少なくとも上記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体からなるカップリング成分、結着性樹脂及び加熱により塩基性を呈する化合物を含有する層を設け、ついで少なくとも感光性ジアゾニウム化合物を含有する層を積層させたことを特徴とする感ジアゾ型熱記録材料が提供される。第六に、支持体上に、少なくとも加熱により塩基性を呈する化合物と結着性樹脂を含有する層を設け、ついで少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と上記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体カップリング成分として含有する層を積層させたことを特徴とするジアゾ型感熱記録材料が提供される。【0005】本発明者らは、2−ヒドロキシ−3−ナフトアミドである3位置換基に、アルキレン基と置換尿素残基を導入することにより、得られる化合物が、カップリング活性、融点等の適性化、共融性の付与等により熱増感性をも有し、色調もこの分野に好ましいパープル・ブルーを示し、前記の問題を改良し得るカップラーとして極めて有用であることを知見し、本発明に到達した。本発明に係る前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸誘導体は、たとえば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸メチルエステルとアルキレンジアミンとをメタノール等の有機溶媒中加熱反応にさせて得られる2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−ω−アミノ−アルキレンアミド(III)とイソシアネート化合物(II)を反応させることによって得られる。この反応式は、次式で示される。【化2】(但し、n及びRは前記と同じ。)この反応は、基本的には一般式(III)で示される2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−ω−アミノアルキレンアミドとイソシアネート化合物(II)とを、活性水素を有していない有機溶媒、例えばケトン系溶媒中で加熱反応させることにより行われる。反応は比較的短時間で終了し、目的とする2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体は結晶性粉末として生成するが、濾過して得た結晶を必要があればテトラヒドロフランから再結晶により精製する。【0006】本発明の原料として用いられる2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−ω−アミノアルキレンアミド化合物(III)の具体例としては例えば次のような化合物が挙げられる。【表1】【0007】また、本発明に用いられるイソシアネート化合物(II)の具体例としては例えば次のような化合物が挙げられる。【化2】【0008】本発明で得られる新規な前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体は水不溶性であり、特に、ジアゾ系記録材料の現像または熱記録に求められる温度範囲90〜140℃に適合する150〜180℃程度の融点を有する。また、アミド結合、置換尿素結合が、記録剤主剤の感光性ジアゾニウム化合物や、加熱により塩基性を呈する化合物のカップリング促進剤等との共融系形成に有効に作用し、また色素生成には熱増感性を有するためこの種のジアゾ系記録材料のカップリング成分として極めて有用である。【0009】前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有するジアゾ系記録材料は、例えば支持体上に少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と前記2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する記録層を設ければよい。本発明においては、カップリング成分としては、前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体が用いられるが、必要に応じ従来公知のジアゾ記録材料に用いられるカップリング剤を併用してもよい。このようなカップリング剤としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,5−ジメチル−4−モルホリノメチルフェノール、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−ベンゾイルアミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホンアミド、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ソーダ、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、2,5−ジヒドロキシナフタレン−スルホン酸ソーダ、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ソーダ、1−アミノ−3−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホンアミド、ナフトールAS、ナフトールAS−D、2−ヒドロキシナフタレン−3−ビグアナイド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2,4,2’,4’−テトラヒドロキシジフェニル、2,4,2’,4’−テトラヒドロキシジフェニルスルホキシド等が挙げられる。【0010】本発明におけるカップリング成分の使用量は、ジアゾ化合物1重量部に対して0.1〜10.0重量部、好ましくは0.8〜4.0重量部である。0.1重量部より少ないと発色不足が生じ、逆に10重量部より多いと保存時好ましくないカブリが生じる。【0011】本発明で使用されるジアゾ化合物は、一般式ArN2+X−で示されるジアゾニウム塩である(式中、Arは置換或いは無置換の芳香族部分を表わし、ArN2+はジアゾニウム塩を表わし、X−は酸アニオンを表わす。)ジアゾ化合物の具体例としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5ージブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メチルシベンゾイルアミノ))−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシフェニルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2’−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシ−−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼンなどの塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫の複塩、及び前記ジアゾ化合物の硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸などの無機酸の塩などが挙げられる。【0012】本発明のジアゾ系記録材料は、好ましくは紙又はプラスチックフィルム等の支持体の上にジアゾ化合物を含とカップリング成分を含有する記録層を設けたものである。層構成は単層で形成されていてもかまわないし、積層構造でもよく、積層の順序は特に限定されない。結着剤としてはポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カゼイン、ゼラチン、デンプン及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、等の水溶性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン樹脂が使用できる。【0013】また、本発明においては画像濃度及び光感度を高くしたり筆記性等を改良する目的で支持体と記録層の間に微粒子粉末と結着剤を主成分とするプレコート層を設けても構わない。プレコート層中に使用する微粒子粉末は、無機微粒子粉末、有機微粒子粉末が使用でき、無機微粒子粉末の具体例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等があり、有機微粒子粉末としては、スチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン縮合物樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等が挙げられる。【0014】本発明のジアゾ型記録材料では、上述した発色成分のほかに、通常のジアゾ系記録材料に適用されている各種添加物を併用することもできる。たとえば、保存性向上剤としては、ナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸、硫酸カドミウム、硫酸マグネシウム、塩化カドミウム、塩化亜鉛などが使用できる。また、酸化防止剤としては、チオ尿素、尿素などが、溶解剤としては、カフェイン、テオフィリンなどが、酸安定剤としては、クエン酸、酒石酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸などが用いられ、その他にサポニンを小量添加することができる。【0015】また、本発明のジアゾ系記録材料を光定着型として使用する場合は、熱ヘッドに対するスティッキングの防止や走行性を改良する目的で填料を加えることができる。このような填料としては、例えば、スチレン樹脂微粒子、尿素−ホルマリン縮合物樹脂微粒子、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、チタン、タルク、カオリン、シリカ、アルミナ等の有機、無機系の粉体微粒子が挙げられる。また同様の目的で、金属石鹸類も使用することができる。【0016】また、本発明において、前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体を用いたジアゾ型感熱記録材料は、例えば支持体上に少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と前記一般式(I)で示されるカップリング成分を含む記録層を設け、該記録層に加熱により塩基性を呈する化合物を含有させることによって作成される。この場合、感光性ジアゾニウム化合物及びその使用量は前記ジアゾ型記録材料において述べたものがそのまま適用できる。【0017】また、加熱により塩基性を有する化合物としては、従来、この種のジアゾ型感熱記録材料で使用されているものがそのまま適用できる。その具体例としては、例えばトリフェニルグアニジン等のグアニジン、尿素結合を分子内に有する尿素誘導体等が挙げられるが、次のような尿素誘導体チオ尿素誘導体または両者の混合物を用いることが好ましい。CH3(CH2)5NHCONH2 CH3(CH2)7NHCONH2 CH3(CH2)8NHCONH2 CH3(CH2)11NHCONH2 CH3(CH2)13NHCONH2 CH3(CH2)14NHCONH2 CH3(CH2)15NHCONH2 CH3(CH2)16NHCONH2 CH3(CH2)17NHCONH2 CH3(CH2)21NHCONH2 CH3(CH2)5NHCSNH2 CH3(CH2)9NHCSNH2 CH3(CH2)11NHCSNH2 CH3(CH2)13NHCSNH2 CH3(CH2)15NHCSNH2 CH3(CH2)17NHCSNH2【0018】この場合、結着樹脂としては、前記ジアゾ型記録材料で述べたものと同様な樹脂が適用されるが、ポリアニオンを有し、塩基形成で水可溶性であり、中和若しくは加熱により水不溶化するもの、例えば、スチレン−アクリル酸共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、メタクリル酸−N−ビニルピロリドン共重合樹脂、無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、またはスチレンスルフォン酸樹脂等のアンモニウムまたは有機アミン塩からなる水可溶性化した樹脂が用いることができる。また、これらの樹脂から選択した混合物が好ましい場合もある。これらの結着性樹脂の適用方法としては、少なくとも例えば、ナフトールAS等のカップリング性化合物と熱可融増感性塩基物質化可能な物質、例えば、ステアリル尿素をさらに、場合によっては微分シリカ等の添加剤を加え、例えば、スチレン−アクリル酸共重合樹脂のアンモニウム塩水溶液中でボールミル等の手段により発散微粒子化する。次いで、分散液を紙等の支持体上に塗布して、適当な温度の乾燥機中で乾燥するとき、アンモニウム塩が分散飛散して樹脂が不溶化した状態で塗布膜を構成できる。【0019】また、本発明のジアゾ型感熱記録材料においては、画像濃度及び光感度を高くしたり筆記性等を改良する目的で支持体と記録層の間に微粒子粉末と結着剤を主成分とするプレコート層を設けても構わない。プレコート層中に使用する微粒子粉末は、無機微粒子粉末、有機微粒子粉末が使用でき、無機微粒子粉末の具体例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等があり、有機微粒子粉末としては、スチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン縮合物樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等が挙げられる。【0020】本発明のジアゾ型感熱記録材料では、上述した発色成分のほかに、通常のジアゾ系感熱記録材料に適用されている各種添加物を併用することもできる。たとえば、保存性向上剤としては、ナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸、硫酸カドミウム、硫酸マグネシウム、塩化カドミウム、塩化亜鉛などが使用できる。また、酸化防止剤としては、チオ尿素、尿素などが、溶解剤としては、カフェイン、テオフィリンなどが、酸安定剤としては、クエン酸、酒石酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸などが用いられ、その他にサポニンを小量添加することができる。【0021】本発明のジアゾ型記録材料及びジアゾ型感熱記録材料は、その他に各種の感熱記録の分野、特に、高速記録の要求されるファクシミリや電子計算機などの出力記録用紙として有利に応用することができる。特に、本発明の場合、記録紙の表面に記録された文字や画像は、加熱により画像形成後、露光により、未反応のジアゾ化合物を分解させることにより定着させることができるので、その操作が極めて簡単である。また、本発明の感熱記録材料は、その定着性を利用し、有価証券や商品券、入場券、証明書、伝票などに対する必要事項の記録や、それらの作成に応用することができる。【0022】【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。【0023】実施例1 〔2−ヒドロキシ−3−(N−オクタデシルウレイド)−ナフトアミドの合成〕2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸ヒドラジド10.2gを2−ブタノン50ml中に懸濁した中に、オクタデシルイソシアネート14.8gを2−ブタノン50ml中で希釈した液をかき混ぜ下に滴下し、1時間還流しながら反応を行った。内容物は一且溶解するが反応進行と共に生成物が析出してくる。若干の濃縮後冷却して濾過しmp165〜174℃の粗成物23.6gを得た。テトラヒドロフランから再結晶して、mp182〜183℃の灰白色の結晶19.6gを得た。【0024】実施例2 〔2−ヒドロキシ−3−(N−プロピルウレイド−プロピレン)−ナフトアミドの合成〕2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−(3−アミノプロピル)アミド19.3gをアセトン70ml中に懸濁した中に、プロピルイソシアネート5.96gを20ml中のアセトンで希釈した液をかき混ぜ下に室温で滴下した。内容物は徐々に溶解し、還流反応を始めるとまもなく生成物が析出してくる。1時間反応後冷却して濾過し、mp176〜178℃の薄黄白色結晶20.0gが得られた。アセトン/メタノールの混合溶媒から再結晶して、mp178〜179℃の僅かに黄白色を帯びた結晶13.1gを得た。【0025】実施例3 〔2−ヒドロキシ−3−(N−フェニールウレイド−プロピレン)−ナフトアミドの合成〕2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−(3−アミノプロピル)アミド17.1gをアセトン70ml中に懸濁した中にフェニルイソシアネート8.34gを30mlのアセトンに希釈した液をかき混ぜ下に室温で滴下した。還流反応を始めるとまもなく溶解し約20分後原料アミド化合物は殆ど消失していたため30分で反応を止め、冷却して析出結晶を濾過した。mp182〜183℃の僅かに黄色味を帯びた結晶16.3gを得た。【0026】実施例4 〔2−ヒドロキシ−3−(N−オクタデシルウレイド−ヘキシレン)−ナフトアミドの合成〕2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−(6−アミノヘキシル)アミド11.5gとオクタデシルイソシアネート11.8gを用いて、実施例1に準じて反応と精製を行った。mp161〜163℃の僅かに褐色味を帯びた結晶15.5gを得た。【0027】実施例5 〔2−ヒドロキシ−3−(N−オクタデシルウレイド−ドデカン)−ナフトアミドの合成〕2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−(12−アミノドデカン)アミド13.0gとオクタデシルイソシアネート10.3gを用いて、実施例1に準じて反応と精製を行った。mp155〜156℃の僅かに黄色味を帯びた結晶18.0gを得た。上記実施例1〜5で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図を各々図1〜5に示す。【0028】実施例6(1)下記の組成からなるプレコート層分散液を上質紙の表面にワイヤーバーを用いて塗布乾燥し、付着量2.5g/m2のプレコート層を形成した。シリカ粉末 2.0gポリビニルアルコール水溶液(10%) 20.0g水 78.0g(2)下記の組成からなるジアゾ感光層溶液を調製した。4−ジアゾ−1−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼン塩化物・1/2塩化亜鉛[ジアゾ成分] 0.5g酒石酸 0.5gイソプロパノール 5.0gサポニン 0.1g水 93.9g(3)下記の組成からなるカップラー層分散液を調製した。実施例4のカップラー[カップリング成分] 3.0gオクタデシル尿素(mp108〜110℃) 4.0gテトラデシルチオ尿素(mp106〜107℃) 2.0gシリカ粉末 2.0gメチルセルロース(5%水溶液) 60.0g水 29.0gからなる混合物をボールミルによって約24時間分散を行なった。(2)の感光層液と(3)のカップラー層分散液を混合して(1)のプレコート紙上に0.4mm径のワイヤーバーを用いて塗布乾燥して本発明のジアゾ型感熱記録材料を作成した。【0024】実施例7実施例1の(1)と(2)と同様にしてプレコート紙と感光層液を調製した。(3)下記組成からなるカップラー層分散液を調製した。実施例1のカップラー 3.0gオクタデシル尿素(mp108〜110℃) 6.5gシリカ粉末 2.0gスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(20%水溶液)25.0g(ジョンソンポリマー社製:ジョンクリル679)水 63.5gからなる混合物をボールミルにより約24時間分散を行なった。次いで、(1)のプレコート紙上に(3)の分散液を0.3mm径ワイヤーバーで塗布し、60℃で十分乾燥して水不溶性カップラー層を設けた。引き続き、カップラー層上に、(2)の感光層液を0.2mm径ワイヤーバーで塗布乾燥して感光性ジアゾ層を積層させて本発明のジアゾ型感熱記録材料を作成した。【0025】実施例8実施例7の(3)におけるカップラーに代えて実施例5のカップラーを3.0g使用した以外は実施例2と同様にしてジアゾ型感熱記録材料を作成した。【0026】実施例9下記の組成からなるカップラー層分散液を調製した。実施例2のカップラー 3.0gオクタデシル尿素(mp108〜110℃) 6.5gシリカ粉末 2.0gスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(20%水溶液)25.0g(ジョンソンポリマー社製:ジョンクリル679)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩 10.0g(20%水溶液)(クラレ社製:イソバン)水 53.5g次いで、プレコート層は実施例6の(1)、感光層は実施例6の(2)と同様にして、ジアゾ型感熱記録材料の作成方法も実施例7と同様にして作成した。【0027】比較例1実施例2の(3)からなるカップラー層の組成中、カップラーとしてナフトールASを使用した以外は実施例2と同様にしてジアゾ型感熱記録材料を作成した。【0028】比較例2比較例1と同様に実施例7の(3)からなるカップラー層の組成中、カップラーとして2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸ラウリルアミドを使用した以外は実施例7と同様にしてジアゾ型感熱記録材料を作成した。【0029】以上の各サンプルに原稿を重ねて富士フィルム社製複写機COPIART 100で露光、熱現像した(焼き目盛りは2)ところ、青色画像が得られた。その画像部の濃度をマクベス濃度計914で測定し、初期の評価値とした。また、生保存性を試験するため、各サンプルを50℃、50%RHに調整されたデシケーター中に24時間放置して強制劣化させた後取り出し、上記の複写機で同様に露光、熱現像して画像部と非画像部の各濃度を測定して経時の評価値として比較した。その結果は表1の通りである。【0030】【表1】【0031】【発明の効果】本発明の新規な前記一般式(I)で示される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体は、その構造中にアルキレン基と置換尿素残基が導入された構造からなり、カップリング活性の適性化と高感度感光性ジアゾニウム化合物との色素形成において鮮明なパープル・ブルーを示して、この分野における好ましい色調を与える。また、前記の構造による疎水性化、融点の適性化及び共融性等を有することから、特にジアゾ型記録材料のカップラーとして用いた場合、十分な画像品質と優れた保存性を有するジアゾ型感熱記録材料が得られる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施例1で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図。【図2】本発明の実施例2で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図。【図3】本発明の実施例3で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図。【図4】本発明の実施例4で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図。【図5】本発明の実施例5で得られた2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の赤外線吸収スペクトル図。 下記一般式(I)で表される2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体。(式中、nは0〜12の整数、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。) 2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−ω−アミノ−アルキレンアミドとイソシアネート化合物とを反応させることを特徴とする請求項1の2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体の製造方法。 支持体上に、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と請求項1の2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する記録層を設けたことを特徴とするジアゾ型記録材料。 支持体上に、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と請求項1の2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する記録層を設けた感熱記録材料において、該記録層に加熱により塩基性を呈する化合物を含有させたことを特徴とする感熱記録材料。 支持体上に、少なくとも請求項1の2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体からなるカップリング成分、結着性樹脂及び加熱により塩基性を呈する化合物を含有する層を設け、ついで、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物を含有する層を積層させたことを特徴とするジアゾ型感熱記録材料。 支持体上に、少なくとも加熱により塩基性を呈する化合物と結着性樹脂を含有する層を設け、ついで、少なくとも感光性ジアゾニウム化合物と請求項1の2−ヒドロキシナフトエ酸誘導体をカップリング成分として含有する層を積層させたことを特徴とするジアゾ型感熱記録材料。 請求項4の加熱による塩基性を呈する化合物が、尿素結合を分子内に有する尿素誘導体であることを特徴とするジアゾ型感熱記録材料。 請求項5及び6の結着性樹脂がポリアニオンを有し、塩基形成で水可溶性であり、中和若しくは加熱により水不溶化することを特徴とするジアゾ型感熱記録材料。