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タイトル:特許公報(B2)_1,3−オキサチオラン誘導体
出願番号:1995051851
年次:2005
IPC分類:7,C07D411/06,A61K31/41,A61P31/10,C07M7:00


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湯浅 輝之 田中 裕二 寺島 幸司 川上 佳成 石塚 泰博 JP 3702321 特許公報(B2) 20050729 1995051851 19950215 1,3−オキサチオラン誘導体 味の素株式会社 000000066 高木 千嘉 100091731 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 湯浅 輝之 田中 裕二 寺島 幸司 川上 佳成 石塚 泰博 20051005 7 C07D411/06 A61K31/41 A61P31/10 C07M7:00 JP C07D411/06 A61K31/41 A61P31/10 C07M7:00 7 C07D401/00-421/14 A61K 31/00- 31/80 A61P 1/00- 43/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) 特開平6−263757(JP,A) 特開平7−188223(JP,A) 特開昭61−22082(JP,A) 2 1996217778 19960827 8 20020212 荒木 英則 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、抗真菌薬として有用な(R)−(+)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4−ジメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−オキサチオランに関する。【0002】【従来の技術】本発明と関連のある1,3−オキサチオラン誘導体は、特開昭61−22082号公報及び特開昭62−116579号公報に開示されている。しかしながら、本発明についての具体的な記載はない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、臨床上特に重要であるアスペルギルス症やカンジダ症に対して優れた効果を発揮し、安全性の高い経口あるいは静脈内投与が可能な抗真菌剤を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前述のような状況に鑑みて鋭意研究を行った結果、1,3−オキサチオラン誘導体及び薬理学的に許容されるその塩が上記課題に適合することを見い出し本発明を完成した。【0005】すなわち、本発明は下記の式〔I〕【0006】【化2】【0007】で表される(R)−(+)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4−ジメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−オキサチオラン及び薬理学的に許容されるその塩に関する。【0008】本発明化合物の薬理学的に許容される塩の具体例としては、好適には塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の鉱酸との付加塩や、酢酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸との付加塩を挙げることができる。【0009】本発明に用いる化合物〔II〕は、特開平5−262764号公報に記載の方法に従って製造された光学活性体である。【0010】また、本発明の化合物〔I〕は、下記に示す方法によって製造することができる。【0011】【化3】〔式中、Xはハロゲン原子を示す。〕【0012】すなわち、溶媒中塩基の存在下、化合物〔II〕を一般式〔III〕で表わされるジハロゲン化合物と反応させることにより化合物〔I〕を製造することができる。前記反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類又はジメチルスルホキシド等が好適に使用できる。前記塩基としては、通常の反応において使用されるものであれば特に限定されないが、好適には水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。反応温度は、−20℃〜溶媒の沸点であるが、好ましくは−10〜100℃である。反応時間は、反応温度、原料化合物又は溶媒の種類によって異なるが、通常0.5〜100時間である。【0013】【作用】本発明化合物は、真菌に対して強い抗菌力を有しているので真菌感染症の予防又は治療に用いることができる。【0014】本発明化合物及び薬理学的に許容されるその塩を医薬製剤として用いる場合、投与形態については特に制限はなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤等の経口剤や、注射剤、外用剤等の非経口剤のいずれによっても投与することができる。【0015】投与量は感染の状態、投与ルートによっても異なるが、例えば真菌感染症の治療の目的で成人患者に投与する場合、経口投与では、0.1〜200mg/kg/日、好ましくは1〜50mg/kg/日である。【0016】経口用固形製剤の場合は、主薬に賦形剤及び必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法に従って製造できる。ここで賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロース、無機塩等が挙げられる。また結合剤としては、例えばデキストリン、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、マクロゴール、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドン等、滑沢剤としてはタルク、ロウ類、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、水素添加植物油等、崩壊剤としてはデンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン等、矯味矯臭剤としてはココア末、ハッカ油、龍脳、桂皮末等が使用できる。これらの錠剤、顆粒剤に糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングを施すことは何等差し支えない。【0017】また、非経口投与のための注射剤を調製する場合には、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、ポリエチレングリコール等が用いられ、必要に応じてpH調整剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤等を加えることができる。【0018】更に、外用剤として用いる場合には、例えばワセリン、ラノリンを基剤とし、1gあたり通常0.1〜100mg含有するクリーム剤として、皮膚あるいは、粘膜などの殺菌、消毒に用いることができる。【0019】【実施例】以下に実施例、製剤例および試験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。【0020】〔実施例1〕(R)−(+)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4−ジメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−オキサチオランの合成(R)−(−)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メルカプト−3−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール(4.00g、13.4mmol)とブロモクロロメタン(17.3g,134mmol)の無水テトラヒドロフラン(400ml)溶液に、60℃で60%油性水素化ナトリウム(1.60g、40.1mmol)を攪拌しながら加え、更に60℃にて2時間攪拌した。反応終了後、氷水(100ml)を加え、酢酸エチル(150ml)で2回抽出し、抽出液を水(150ml)で2回、次に飽和食塩水(100ml)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:1)により精製し、目的化合物2.95g(70.9%)を無色油状物として得た。【0021】比旋光度(25℃,D線):+107.4°(c=1.05,MeOH)IR(film法)νmax cm-1:3120, 2976, 1618, 1598, 1504, 1272, 11401H−NMR(CDCl3)δ:1.14(3H, s), 1.69(3H, d, J=2.9Hz), 4.98(1H, d,J=14.6Hz), 5.13-5.22(2H, m), 5.31(1H, d, J=6.0Hz), 6.72-6.69(2H, m), 7.36-7.46(1H, m), 7.71(1H, s), 7.80(1H, s)元素分析(C14H15F2N3OS・0.2H2O)理論値(%):C, 53.39; H, 4.86; N, 13.34実測値(%):C, 53.52; H, 4.58; N, 13.31【0022】〔製剤例1〕下記混合物を常法に従って混合し、打錠することにより、1錠当り主薬50mgを含有する錠剤を得た。実施例1の化合物 50mg乳糖 200mg結晶セルロース 40mgステアリン酸マグネシウム 5mg【0023】〔製剤例2〕下記混合物を常法に従って造粒し、顆粒剤とした。実施例1の化合物 50mg乳糖 90mgトウモロコシ澱粉 60mgタルク 30mgステアリン酸マグネシウム 10mg【0024】〔製剤例3〕下記混合物を常法に従って均一に混合し、クリーム剤とした。実施例1の化合物 2.0g白色ワセリン 25.0gステアリンアルコール 25.0gプロピレンアルコール 12.0gラウリン硫酸ナトリウム 1.5gパラオキシ安息香酸エチル 0.5g蒸留水 34.0ml【0025】〔製剤例4〕下記混合物を注射用蒸留水で全量1mlとし、アンプルに充填後、滅菌することにより注射剤を得た。実施例1の化合物 10mg溶解補助剤 適量塩化ナトリウム 適量【0026】〔試験例1〕カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)CCA-14 株及びアスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)Kawasaki 株に対するin vitro 抗真菌活性の評価2倍希釈系列の被験化合物と10%の牛胎仔血清を含むイーグル エムイーエム培地(Eagle's minimum essential medium)200μlに、カンジダ・アルビカンス102個あるいはアスペルギルス・フミガータス103個を接種し、5%二酸化炭素気流下、37℃で24時間培養後、被験化合物の菌糸発育阻止作用濃度を求めた。その結果を表1に示した。【0027】【表1】【0028】〔試験例2〕アスペルギルス・フミガータス (Aspergillus fumigatus)Kawasaki 株に対する in vivo抗真菌活性の評価ddy系雄性マウス(4週齢、1群10匹)に、27℃で7日間培養したアスペルギルス・フミガータス kawasaki 株を生理食塩水に懸濁して、1匹当り6×106個を尾静脈投与した。投与してから1、8、24、31、48、55、72及び79時間後の8回にわたり、10%HCO−60/5%グルコースに溶解した被験化合物を静脈内投与した。薬理効果は、感染21日後のマウスの生存率からProbit法により算出されるED50値によって示した。ED50値は8回投与の総投与量から求めた。また比較例として、フルコナゾール(fluconazole)及びイトラコナゾール(itraconazole)を用いた。その結果を表2に示した。【0029】【表2】【0030】〔試験例3〕急性毒性試験24時間絶食したddy系雄性マウス(5週齢、5匹)に、被験化合物100mg/kgを静脈内投与したところ、死亡例は認められず、安全性の高い薬物であることが判明した。【0031】【発明の効果】以上の結果から、本発明化合物は、アスペルギルス・フミガータスに対して強い抗真菌活性を示し、かつ低毒性であり、真菌感染症の予防又は治療に有用である。 下記の式〔I〕で表される(R)−(+)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4−ジメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−オキサチオラン又は薬理学的に許容されるその塩。 請求項1に記載の(R)−(+)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4−ジメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−オキサチオラン又は薬理学的に許容されるその塩からなる抗真菌薬。


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