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タイトル:特許公報(B2)_酢酸ビニルの製造におけるエチレンのアセトキシル化のための流動層法
出願番号:1995034163
年次:2007
IPC分類:C07C 69/15,B01J 23/58,C07C 67/05,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

ナンシー クリストファースン ベンカロウィッツ パトリシア レイ ブラム ラリー マイケル サージャク マイケル フランシス レマンスキー クリストス パパリゾス マーク アンソニー ペペラ ディビッド ルドルフ ワグナー JP 3868514 特許公報(B2) 20061020 1995034163 19950222 酢酸ビニルの製造におけるエチレンのアセトキシル化のための流動層法 ザ スタンダード オイル カンパニー 391028395 THE STANDARD OIL COMPANY 浜田 治雄 100064012 谷田 睦樹 100102222 ナンシー クリストファースン ベンカロウィッツ パトリシア レイ ブラム ラリー マイケル サージャク マイケル フランシス レマンスキー クリストス パパリゾス マーク アンソニー ペペラ ディビッド ルドルフ ワグナー US 08/252874 19940602 US 08/375762 19950120 20070117 C07C 69/15 20060101AFI20061221BHJP B01J 23/58 20060101ALI20061221BHJP C07C 67/05 20060101ALI20061221BHJP C07B 61/00 20060101ALN20061221BHJP JPC07C69/15B01J23/58 XC07C67/05C07B61/00 300 C07C 69/15 B01J 23/58 C07C 67/05 C07B 61/00 特開平05−186393(JP,A) 英国特許第01266623(GB,B) 米国特許第03759839(US,A) 特開昭53−035049(JP,A) 化学大辞典編集委員会,化学大辞典9,共立出版(株),1962年 8月25日,「流動床法」の項 16 1996040977 19960213 11 20020204 山田 泰之 【0001】【産業上の利用分野】本発明はオレフィン、ジオレフィンのオキシアシル化のための流動層法に関し、特に、流動層触媒の存在下において、エチレン、酢酸および酸素含有ガスから酢酸ビニルを製造するための流動層法に関する。さらに本発明はパラジウム−金−カリウム流動層触媒を使用して酢酸ビニルを製造するための流動層法に関する。【0002】【発明の背景】パラジウム、促進剤金属、酢酸アルカリ金属を含有する固定層触媒の存在下で気層においてエチレン、酢酸および酸素を反応させることによる、酢酸ビニルの産業的な製造方法は知られている。ふつう、固定層触媒を構成する成分は、シリカ、ジルコニアあるいはアルミナのような多孔性の担体に支持されている。パラジウムを促進剤とする触媒を利用して酢酸ビニルを製造することを開示する米国特許第3,759,839号、英国特許第1,266,623号などの多くの特許が存在する。これらの特許それぞれにおいて、流動層法を用いることが記載されている。しかしながら、これらの特許のいずれにおいても、固定層法に比べ予想以上にすぐれた結果あるいは経済的に有益な結果をもたらす流動層法の技術あるいは特徴について何も記載されていない。実際、これらの文献の各々において、その方法が実施される典型的な条件は固定層法の条件である。【0003】【発明が解決しようとする課題】固定層法による酢酸ビニルの製造方法に関連する数多くの欠点が存在する。これらの欠点のいくつかを以下に記載する。【0004】1.使用される触媒は、固定層反応器中で、時間の経過と共に連続的に活性を失う。この結果、酢酸ビニルの生産量が減少する。従って、生産および回収システムにおいて、酢酸ビニルの初期生産量を高く設定するように設計しなければならず、酢酸ビニルの産出量が減少していくと、生産・回収設備の一部が活用されないことになり、結果的に設備投資が無駄となる。【0005】2.固定層触媒は、反応器全体にわたってその温度は不均一である。過度に高い温度にさらされる触媒は早く劣化する。所望の操作温度より低い領域にある触媒は、酢酸ビニルの最大量を生産する最適な状態で反応を促進することができない。【0006】3.エチレンの単流転化率は固定層反応器に供給される酸素濃度によって制限される。固定層方法では、酸素は反応器に入る前にエチレン/希釈剤および酢酸の気流と予備混合される。この完全な供給混合物は、爆発や火災の危険を避けるため、可燃帯の外になければならない。従って反応器に供給させることができる酸素の量は、混合物の可燃性の制約により制限される。【0007】4.固定層中の酢酸ビニル合成反応は、非常に拡散が制限されている。従って、多くの努力が、粒子の表面上の薄い殻に活性組成物が存在するような触媒を設計することに向けられてきた。粒子全体に活性物質が均一に分散されている固定層触媒は、一般に殻タイプの触媒よりも、貴金属単位重量あたりの酢酸ビニルの産出量がかなり少ない。【0008】5.典型的な固定層法においては反応が進行している際、連続的に触媒活性剤(酢酸カリウム)が添加されなくてはならない。このことは、その活性剤が固定層反応器の入り口で加えられて反応器既存の活性剤と置換されることを意味する。このように活性剤を添加する方法では、活性剤は触媒に均一に行き渡らず、触媒活性の高い部分と低い部分を生じることになる。【0009】本発明の流動層法は産業上典型的に用いられている固定層法の欠点の多くを克服しており、固定層法に比べて予想を超える優れた結果が達成される。【0010】本発明の主要な目的はオレフィンやジオレフィンのオキシアシル化のための流動層法を提供することである。【0011】本発明のさらなる目的は、エチレン、酢酸および酸素から酢酸ビニルを製造する流動層法を提供することである。【0012】本発明のさらなる別の目的は、パラジウムあるいはパラジウム−金−カリウムを基体とする流動層触媒を使用して酢酸ビニルを製造する流動層法を提供することである。【0013】本発明のさらなる目的および利点は、一部は以下の記述において明らかにされ、一部は記述により明白であるか、発明の実施により認識されるであろう。本発明の目的ならびに利点は、特許請求の範囲において特に示される手段や組み合わせによって実現され達成されるであろう。【0014】【課題を解決するための手段】本発明の前記の目的を達成するため、流動層反応器中で酢酸ビニルを製造する方法は、エチレンおよび酢酸を1つ以上の入口から流動層反応器中に供給する工程と、酸素含有ガスを少なくとも1つ以上のさらなる入口から流動層反応器中に供給する工程と、酸素含有ガス、エチレンおよび酢酸を流動層反応器中で合流させ、流動層触媒剤に接触させることにより、エチレン、酢酸および酸素を反応させて酢酸ビニルを製造し、そして流動層反応器から酢酸ビニルを回収する工程とから成る。【0015】本発明の好適な実施例において、エチレンおよび酢酸は、1つ以上の入口からガス状混合物として反応器に供給される。【0016】本発明の別の実施例において、酸素含有ガスは複数の入口から反応器に供給される。【0017】本発明の別の好適な実施例において、エチレンおよび酢酸の酸素を含むガス状混合物は、混合物における可燃性に対する限界以下の量の酸素を含有する。【0018】本発明のさらに別の好適なも実施例において、本発明の方法を実施するために使用される流動層触媒は、次式で示される触媒から成る。: Pd- M- A ここでMはバリウム、金、カドミウム、ビスマス、銅、マンガン、鉄、コバルト、セリウム、ウランおよびこれらの混合物であり、Aはアルカリ金属およびそれらの混合物(好ましくはカリウム)である。典型的には、触媒中のパラジウムとアルカリ金属の割合は、パラジウムで0.1から5.0重量%、好ましくは0.5から2.0重量%、アルカリ金属で0から10重量%、好ましくは0.01から5重量%である。さらに、Mの割合は0から約5重量%の範囲にあり、好ましくは0より大きく5重量%まで、より好ましくは0.1から3重量%である。流動層触媒は、米国同時継続出願第08/252,800号に開示されている手順に従って製造される。【0019】本発明の別の好適な実施例では、流動層反応器に存在する他の流動化可能な固形物(例えばシリカのような非活性粒子)を含有する触媒の量が、反応中に生じる熱の放散を可能にするのに十分なレベルで維持され、反応が触媒に損耗をきたすことなく進行する。【0020】本発明のさらに別の好適な実施例では、流動層触媒は、少なくとも60%が直径が200ミクロン(0.2 mm)以下であり、40%未満が直径40ミクロン(0.04 mm )未満であるを触媒粒子を含有している。触媒粒子の直径は、少なくとも50%が100ミクロン(0.1 mm)未満で、40%未満が直径40ミクロン(0.04 mm )未満の範囲にあることが好ましい。【0021】本発明の流動層法の実施により、酢酸ビニルを製造するため現在商用されている固定層法における前述した顕著な欠点のいくつかを解消することができる。流動層法においては、触媒は均質かつ連続的に反応器中で混和されるため、促進剤の均質な添加ということにおいて、たとえそれが単一の入口を介して供給される場合でも有意な改善をもたらしている。さらに、流動層法では不活化した触媒の一部を連続的に除去することおよび実施中に触媒を連続的に置換することが可能となる。これにより安定した性能が得られる。さらに流動層反応器はその形状から全体の温度がほぼ均一であり、過度の熱への暴露による触媒の不活化を最小限に抑えることができる。最後に、本発明の流動層法では、典型的には、酸素と炭化水素化合物は両者が反応器の中に入るまで混合されない。従って触媒が、供給物質が反応がおこる温度で最初に混合される時点で存在するため反応は速やかに進行する。このことは酸素分圧が直ちに減少することを意味する。あるいは酸素は典型的な固定層法と同様に、水素含有ガスと一緒に供給され得るが、追加の酸素は別の入口を経由して反応器中に分散させることもできる。流動層法独自のこのような特徴により、酢酸とエチレンを酢酸ビニルへ転化するために有意に大量の酸素を火災の危険無しに安全に使用することができる。大量の酸素を使用できるために、固定層法で可能なレベルよりも実質的により大量のエチレンと酢酸の転化が可能となる。エチレンと酢酸を合わせた量の反応器に供給する酸素含有ガスの量に対する割合は、前記混合物の可燃性に対する限界以下である。【0022】【実施例】本発明の方法は、エチレンおよび酢酸を好ましくはガス状にして少なくとも1つの入口を通して流動層反応器へ供給する工程と、酸素含有ガスを少なくとも1つの第二の入口を通して流動層反応器へ供給する工程と、酸素含有ガス、エチレンおよび酢酸を流動層反応器中で合流させ、流動層触媒に接触させることによりエチレン、酢酸および酸素に反応を生じせしめて酢酸ビニルを製造し、かつ流動層反応器から酢酸ビニルを回収する工程とから成る流動層反応器における酢酸ビニルの製造方法から成る。【0023】酢酸ビニルを製造するためにエチレンをアセトキシ化する(または一般にオレフィンあるいはジオレフィンをオキシアシル化する)ための、本発明の流動層法の概要を図1に従って詳述する。【0024】流動化可能な微細球状の触媒が入る流動層反応器7には、反応器からの伝熱を行うための冷却コイル9が設けられている。ライン3を通って反応器7に入るものはエチレンおよび酢酸の混合物である。この混合物は(図示しない)グリッドあるいはスパージャーにより反応器7中で分散される。このエチレンと酢酸の混合物の一部は、ライン31を通してエチレンと酢酸が再循環されることにより供給され得る。さらに、酸素がライン3を通る気流に加えられ得るが、その際、気流における酸素の濃度は可燃性混合物とならない低濃度に維持される。【0025】酸素はライン1を通じて独立した気流として反応器に供給され、独立したガス分散(図示しない)グリッドまたはスパージャーにより、反応器中に分散される。酸素は単体で、あるいは窒素や二酸化炭素のような不活性ガスとの混合物として加えることができる。この酸素の気流はまた、低濃度のエチレンや酢酸のような炭化水素化合物と混合することもできるが、その際、混合物はまだ可燃性の範囲外の状態にある。ライン3と1で供給されるガス気流は、反応器に入る以前および反応器中の触媒によって反応が開始されるまでは決して混合されず、可燃性のガス混合物は生成されない。【0026】反応器7で生成したガス状の流出物はサイクロンおよび/またはフィルタ機構13を通過し、生成したガス状の生成産物からすべての固体触媒が分離される。その触媒はそれからライン15を通じて反応器に戻るか、あるいはライン16を通って金属を再生させるために集められる。好適な実施例では、ライン14を通して新しい触媒が再循環される触媒と一緒に供給され得る。さらに、促進剤がライン14を通して新しい触媒と一緒に触媒系全体にあるいは部分的に加えられる。これによりライン5経由の促進剤の添加が不要になるかあるいは補足される。【0027】ガス状の反応生成物の気流は、サイクロンまたはフィルター13の頂部からライン17を通って生成物分離ユニット19に達し、ここで酢酸ビニルの粗気流がライン21を介して回収される。本出願において参照文献として組み入れられている米国特許第3,759,839号や英国特許第1,266,623号を含む、当業者に周知のあらゆる回収・精製方法が使用され得る。未反応のエチレン、酢酸、二酸化炭素(および/あるいは他の不活性ガス)、および酸素を含有する残存気流は、ライン20を通して流動層反応器運ばれて再利用される。再循環のための気流中に二酸化炭素などの不活性ガスが過度に蓄積しないようにするため、小さな分流を設け、ライン23を通して不活性ガス除去部25へと気流を送ることができ、ここで不活性ガスは除去され、ライン27を通して排出される。一方の再循環する気流はライン28を通してライン31に戻され、反応器7に再び入れられる。新しいエチレンはライン29を通して再循環気流ライン31に供給することができる。新しい酢酸はライン4を通して再循環気流に供給され、ライン3経由で反応器7に導入することができる。【0028】この方法は一般に高圧条件下で実施される。典型的には50から200psig、好ましくは75から150psigの範囲の圧力で実施される。反応器の温度は、典型的には100℃から250℃の範囲が設定されるが、最も好ましいのは135℃から190℃の範囲である。一般に高温条件のときにはより好適には低圧力が採用され得る。【0029】エチレン、酢酸および酸素のガス状供給物質の濃度は変更可能である。典型的に用いられる範囲を以下に示す。【0030】エチレン − 30から70%、35から65%が好適、40から60%が最適:酢酸 − 10から25%、12から22%が好適、15から20%が最適:酸素 − 8から25%、9から15%が最適。【0031】気流のバランスは二酸化炭素、窒素、アルゴンおよびヘリウムといった不活性物質によりとられる。供給物質の組成は、流動層反応器中に存在するガス気流が可燃性の範囲から外れるように反応器から出る流出気流中の酸素濃度を低くするための制約を受ける。この酸素濃度は、供給物質中の酸素の量、反応器中の酸素の転化の度合いおよび流出気流中の不活性ガスの濃度によりコントロールされる。以下の実施例は本発明を例示することのみを目的として記載する。【0032】実施例1: 米国特許第5,185,308号に報告されている固定層触媒の製造KA-160シリカ球状粒子(直径5mm)に0.91重量%のパラジウム、0.34重量%の金、および3.2重量%のカリウムが支持されている代表的な固定層触媒の組成物を以下のように製造した。【0033】適当量のNa2 PdCl4 および HAuCl4 を蒸留水8.7mlに溶解し、15gのKA-160シリカ球状粒子に含浸し、数時間静置した。それからこの含浸された固形物にメタケイ酸ナトリウムの水溶液を注いだ後、再び一晩静置した。次にこの触媒球状粒子を覆っている溶液にヒドラジン水化物の水溶液を加え、一晩静置した。次に溶液を捨て、含浸された球状固形物を蒸留水で洗浄して塩化物を取り除いた。この球状固形物を60℃で乾燥し、それから適当量の酢酸カリウム溶液で含浸し目的の触媒を60℃で乾燥した。【0034】触媒の評価は以下の条件で行った。【0035】供給物質: C2 H4 :HOAc: O2 :He = 53.1:10.4:7.7:28.6ガス空間速度: 3850/時間温度: 150℃(高温域で)圧力: 115 psig触媒添加量: 2.50g触媒の希釈: 30ccの4mmガラスビーズ報告されている酸素の転化率32.2%を基に計算し、8.0%のエチレンが転化し、94.2%の選択性で酢酸ビニルを生成した。【0036】実施例2:流動層触媒の調製0.90重量%のパラジウム、0.40重量%の金、および3.1重量%のカリウムに相当する、目標とする組成を有する触媒を上記の工程を使用した好適な方法により製造した。Na2 PdCl4 (8.57g)と HAuCl4 (2.18g)とを128gの蒸留水に溶解した。次にこの溶液を210gの球状シリカ担体(KA-160、Sud Chemie社製)にゆっくりと添加した。それから溶液と担体の混合物を撹拌し、むらが生じないように緩やかに震盪した。この混合物を室温で2時間静置し、実質的に全ての溶液を担体中に吸収させた。15.1gのメタケイ酸ナトリウムを252gの蒸留水に溶解した溶液を含浸された担体に注ぎ、3時間静置した。次に26.8gのヒドラジン水化物を加え、一晩静置した。それから球状固形物を蒸留水で完全に洗浄し、塩化物を除去した。次に球状固形物を60℃で一晩乾燥した後粉砕した。粉砕した触媒200gを、133.3gのシリカゾル(30重量%の SiO2 )と粉砕を継続させるのに十分量の水を加えてさらに一晩粉砕した。こうして得たスラリー状の触媒を噴霧乾燥して微細球状粒子とした。この微細粒子固形物の一部15gに、0.75gの酢酸カリウムを10gの蒸留水で溶解した溶液を含浸し、60℃で一晩乾燥した。こうして得た目的の触媒を顕微鏡で検査したところ、良好な微細球状粒子が形成されていることが確認された。【0037】この触媒の評価は、触媒層が7.5gの触媒からなり、十分量の不活性シリカ流動層担体で希釈し、層の総容積を30ccにしたことを除いて実施例1で特定した条件下で、40ccの流動層反応器中で行った。エチレンの転化率が5.2%で酢酸ビニルが93.7%の選択性で生成され、用いた製造法が効果的であることが示された。【0038】実施例3乃至7:流動層触媒の性能に及ぼす実施条件の変更の影響実施例2で製造した触媒を、酸素供給濃度、空間速度および温度の触媒の性能に対する影響を決定するために試験した。エチレンの供給率は一定に保ち、窒素の供給は酸素または酢酸の濃度を上げるに伴って下方修正した。以下の試験結果が得られた。【0039】【表1】実施例 3 4 5 6 7酸素供給% 7.7 15.4 15.4 15.4 15.4酢酸供給% 10.4 10.4 15.8 10.4 10.4温度(℃) 160 160 160 160 170ガス空間速度(/時間) 3080 3850 3850 3080 3080エチレン転化率(%) 6.0 7.4 7.7 8.5 10.2酢酸ビニル選択性(%) 93.0 90.6 92.5 91.2 86.4【0040】上記表1は、供給物質の割合を変化させても、広範囲の供給条件で良好な選択性と転化が得られることを示している。【0041】実施例8: 流動層触媒の製造6.80gのNa2 PdCl4 と1.73gの HAuCl4 を110gの蒸留水に溶解し、この溶液を200gのKA-160球状シリカ担体(直径5mm)に含浸した。この含浸された固形物を2時間静置し、それから12.0gのNa2 Si O3 を240gの蒸留水に溶解した溶液を加え、緩やかに混和し2時間静置した。この混合物に21.3gの55%ヒドラジン水化物を加え、一晩静置した。次に混合物の固形物から溶液を除き、固形物をきれいな蒸留水で塩化物が検出されなくなるまで洗浄した。こうして得た触媒前駆体球状粒子を60℃で一晩乾燥した。この触媒前駆体200gを粉砕し、19.05gの粉砕したKA-160(洗浄して塩化物を除いたもの)と、202.8gのSnotex-N-30 シリカゾル(36重量%の固体部)と、粉砕を継続させてスラリー状混合物を得るために十分量の水とを加えて混和した。このスラリー状混合物をさらに一晩粉砕し、噴霧乾燥した。得られた微細球状触媒粒子を110℃で天火乾燥した。こうして得た球状固形物は基礎分析により、0.62重量%のパラジウムと0.23重量%の金を含有していることが確認された。【0042】1.66gの酢酸カリウムを13.5gの蒸留水で溶解し、この溶液を15.85gの前記微細球状粒子に含浸した。これを乾燥して得た固形物は、9.5重量%の酢酸カリウムを含有していた。【0043】実施例9乃至12:実施例8による触媒14.5gに十分量の流動化可能なシリカを加えて30ccとし、試験用の流動層反応器中に配置した。実施条件ならびに結果は以下の通りであった。【0044】【表2】実施例 9 10 11 12エチレン供給% 50.2 48.4 45.6 45.9酸素供給% 5.3 8.6 9.7 8.9酢酸供給% 10.3 9.9 13.5 13.7窒素供給% 34.3 33.1 31.2 31.4総流量 380.8 394.3 418.5 415.9温度(℃) 156 157 165 158圧力(psig) 115 115 115 115エチレン転化率(%) 12.9 17.5 20.5 16.2酢酸ビニル選択性(%) 90.0 87.7 86.1 89.3【0045】実施例13:実施例8において製造した触媒の16.0gを640℃で空気中で2時間か焼した。このか焼した固形物に、1.6gの酢酸カリウムを13.5gの蒸留水に溶解した溶液を加え、得られた触媒を60℃で乾燥した。【0046】実施例14および15:実施例13で得た触媒16.05gを十分量の不活性な微細球状シリカを加えて混和し33ccとした。この触媒混合物を流動層反応器で試験し、以下の結果を得た。【0047】【表3】実施例 14 15エチレン供給% 47.2 45.2酸素供給% 6.7 10.5酢酸供給% 14.0 13.4窒素供給% 32.2 30.9総流量 405 422.5温度(℃) 154 168圧力(psig) 115 115エチレン転化率(%) 11.1 16.9酢酸ビニル選択性(%) 91.8 83.7【0048】実施例16:17重量%のシリカゾルを含んでいること、パラジウムと金の含量がそれぞれ0.69重量%および0.25重量%に増量させていることを除き実施例8に記載の工程により噴霧乾燥した触媒を製造した(酢酸カリウムは含有しない)。この微細球状固形物の16gを400℃で0.5時間、さらに640℃で2時間か焼した。このか焼した固形物15gに、1.57gの酢酸カリウムを13.5gの蒸留水に溶解した溶液を含浸し、得られた触媒を60℃で乾燥した。【0049】実施例17−19:実施例16で得た触媒13.3gを十分量の不活性な微細球状シリカを加えて混和し30ccとした。この触媒混合物を流動層反応器で試験し、以下の結果を得た。【0050】【表4】実施例 17 18 19エチレン供給% 47.9 45.6 44.8酸素供給% 5.1 9.7 11.1酢酸供給% 14.2 13.6 13.4窒素供給% 32.7 31.0 30.6総流量 399 419 426温度(℃) 151 158 167圧力(psig) 115 115 115エチレン転化率(%) 11.5 15.5 18.7酢酸ビニル選択性(%) 92.0 89.3 86.0【0051】発明について特定の実施例に関連させて説明したが、多くの修正、変更、変量がこの記述を基に当業者によって為し得ることは明白である。従って、このような修正、変更、変量の全ては、本発明の精神や範囲に留まるものとして包括されるべきものである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の方法を模式的に示した流動層反応器の概略図である。 エチレンと酢酸とを1またはそれ以上のインレットを介して流動層反応器中に供給する工程と、酸素含有ガスを少なくとも1つの更なるインレットを介して流動層反応器中に供給する工程と、酸素含有ガスとエチレンおよび酢酸とを流動層反応器中で互いに接触させると共に、流動層触媒材とも接触させることによりエチレン、酢酸および酸素を反応させて酢酸ビニルを製造し、流動層反応器から酢酸ビニルを回収する工程とからなる流動層反応器中で酢酸ビニルを製造する方法。 エチレンおよび酢酸が、ガス混合物として1またはそれ以上のインレットを介して流動層反応器中に供給される請求項1記載の方法。 エチレンと酢酸とのガス混合物は、混合物での可燃性に対する限界以下の量の酸素を含有する請求項2記載の方法。 酸素含有ガスが少なくとも複数の更なるインレットを介して流動層反応器中に供給される請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。 流動層触媒は、式Pd−M−Aを有し、ここでMはBa、Au、Cd、Bi、Cu、Mn、Fe、Co、Ce、U又はそれらの混合物からなり、Aはアルカリ金属又はそれらの混合物からなる請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。 流動層反応器中の流動層触媒材の量を、エチレン、酢酸および酸素含有ガスの反応中に発生する熱の放散を可能とするのに十分な容積で維持することにより、前記反応が、流動層触媒に対するダメージをともなわずに進行する請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。 前記流動層触媒材は粒子状の触媒材と粒子状の不活性物質とからなる請求項6に記載の方法。 少なくとも60%の粒子状流動層触媒材は、200ミクロン以下の粒子寸法径を有し、40%以下の触媒粒子は、40ミクロン未満の径を有する請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。 少なくとも50%の粒子状流動層触媒材は、100ミクロン未満の粒子径を有し、40%以下の触媒粒子は、40ミクロン未満の径を有する請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。 反応器中に導入されるエチレンおよび酢酸の総量と酸素含有ガスとの比は、前記混合物での可燃性に対する限界内である請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。 反応器中に導入される結合ガス供給物中のエチレンの濃度は、30乃至70vol%である請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。 反応器中に導入される結合ガス供給物中のガス状酢酸の濃度は、10乃至25vol%である請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。 反応器中に導入される結合ガス供給物中の酸素の濃度は、約8乃至25vol%である請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。 更に、未反応の酢酸、エチレン及び酸素の少なくとも一部を流動層反応器中に再循環させる工程からなる請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。 更に、流動層反応器から洩れた流動層触媒材の少なくとも一部を回収し、流動層反応器中に再循環させる工程からなる請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。 圧力の範囲は50乃至200psigであり、温度範囲は100℃乃至250℃である請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。


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