生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エステル交換油脂の製造方法
出願番号:1995024297
年次:2010
IPC分類:C12P 7/64,C11C 3/10


特許情報キャッシュ

松本 渉 清水 洋太 前田 亘一 廣川 敏幸 JP 4446496 特許公報(B2) 20100129 1995024297 19950213 エステル交換油脂の製造方法 株式会社ADEKA 000000387 羽鳥 修 100076532 松本 渉 清水 洋太 前田 亘一 廣川 敏幸 20100407 C12P 7/64 20060101AFI20100318BHJP C11C 3/10 20060101ALI20100318BHJP JPC12P7/64C11C3/10 C12P7/00-64 BIOSIS WPI 特開平6−38753(JP,A) 特開平6−38779(JP,A) 1 1996214890 19960827 13 20020107 2006003652 20060301 鈴木 恵理子 森井 隆信 鵜飼 健 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、エステル交換油脂の製造方法、詳しくは、リパーゼを触媒としたランダムエステル交換油脂の製造方法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】油脂のエステル交換反応は、油脂の物性(口溶け性、結晶性、耐熱性等)を改質するのに有効な方法であり、最近盛んに研究が行われている。油脂のエステル交換反応は、化学的エステル交換反応と酵素的エステル交換反応の2つに大別される。【0003】化学的エステル交換反応は、カセイソーダ、ナトリウムメチラート等の触媒を用いて、原料油を高温下で反応させ、マーガリン、ショートニング等に適した油脂に改質する方法である。この化学的エステル交換反応の特徴は、油脂の脂肪酸配列がランダム化され、位置選択性のないトリグリセリドが生成することである。しかし、化学的エステル交換反応では、触媒としてナトリウムメチラートを用いるため、反応系から触媒を除去する際に反応液を水洗する必要があり、そのときに加水分解が起こり、脂肪酸、モノグリセリド及びジグリセリドが副生し、収率の低下を招く。さらに、この化学的エステル交換反応では、ランダムエステル交換しかできず、選択的なエステル交換を行うことはできない。【0004】一方、酵素的エステル交換反応は、リパーゼを触媒としてエステル交換反応を行うもので、脂肪酸、モノグリセリド及びジグリセリドの副生がなく、ほとんど収率の低下がなく、且つ、リパーゼの種類を選択することにより、1、3位選択的エステル交換及びランダムエステル交換の何れも行うことができる。例えば、リゾプス属(Rizopus sp.) 、ムコール属(Mucor sp.) 等由来のリパーゼは、1、3位選択的エステル交換反応に利用することができ(特開昭55−71797号公報、特開昭58−42697号公報及び特開昭63−198992号公報等参照)、キャンディダ属(Candida sp.) 、クロモバクテリウム属(Chromobacterium sp.) 等由来のリパーゼは、ランダムエステル交換反応に利用することができる(「リパーゼの基礎と応用」幸書房、平成3年7月25日発行、第258〜289頁参照)。【0005】また、特開昭60−78586号公報及び特開平1−137988号公報には、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.) 由来のリパーゼを用いた1、3位選択 的なエステル交換反応の例が報告されているが、これを用いてランダムエステル交換を行っている例は報告されていない。【0006】従って、本発明の目的は、1、3位選択性を有するリパーゼを用いたランダムエステル交換油脂の製造方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究を行った結果、触媒として特定の1、3位選択性を有するリパーゼを用い且つエステル交換反応の反応率を制御することにより、上記目的が達成されることを知見した。【0008】 本発明は、上記知見に基づきなされたもので、1、3位選択性を有するアルカリゲネス属由来のリパーゼを触媒として用いた、油脂のエステル交換反応において、1、3位選択性がなくなり、ランダム化を起こすまで反応を行って、反応率を80%以上にすることにより、ランダムエステル交換を行うことを特徴とするエステル交換油脂の製造方法を提供するものである。【0009】以下、本発明のエステル交換油脂の製造方法を詳細に説明する。本発明で用いられる原料油としては、例えば、大豆油、ナタネ油、米油、コーン油、綿実油、パーム油、パーム軟質油、パーム分別油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、サル脂等の植物油脂、魚油、ラード、牛脂、乳脂等の動物油脂及びこれらの分別油、硬化油、トリラウリン、トリオレイン、トリパルミチン等の合成油脂、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸、ステアリン酸エチル、パルミチン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル等の脂肪酸エステルが挙げられる。本発明におけるエステル交換の態様としては、油脂と油脂とのエステル交換、油脂と脂肪酸とのエステル交換、及び油脂と脂肪酸エステルとのエステル交換がある。【0010】本発明で用いられるリパーゼは、1、3位選択性を有するアルカリゲネス属(Alcaligenes sp.) 由来のものであり、具体的には、名糖産業(株)製の「リパーゼPL」、「リパーゼQL」(ともに商品名)等を用いることができる。このリパーゼは、ケイソウ土、シリカ、セラミック、活性炭、イオン交換樹脂等の担体に固定化して用いることが好ましい。斯る固定化リパーゼは、上記担体を上記リパーゼの水溶液に浸潤した後、乾燥することにより調製することができる。乾燥後の固定化リパーゼの水分活性は、0.1〜0.2とすることが好ましい。【0011】上記固定化リパーゼを用いたエステル交換は、回分式反応または充填層型の連続反応で行うことができる。回分式反応では、水分200ppm以下、好ましくは100ppm以下まで脱水した原料油に対し、固定化リパーゼを0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜5重量%添加し、エステル交換を行う。充填層型の連続反応では、固定化リパーゼを充填したカラムに、水分200ppm以下、好ましくは100ppm以下に脱水した原料油を通液することでエステル交換を行うことができる。【0012】エステル交換反応は、無溶媒またはヘキサン等の非極性溶媒下で行うことができるが、無溶媒下で行うことが好ましい。これは、無溶媒下で反応を行った方が、よりランダム化が起こりやすいためである。また、この時の反応温度は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜60℃である。この理由は、反応温度が30℃よりも低いと固定化リパーゼのエステル交換活性が低くなり、70℃を越えると固定化リパーゼの失活が速くなるためである。【0013】反応は、当然ながら固定化リパーゼの種類及び固定化する担体の種類により反応速度が異なるが、反応平衡値に対して反応率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上になるように行う。この理由は、アルカリゲネス属由来のリパーゼは、反応平衡値に対して反応率が80%以上になると、1、3位選択性がなくなり、急激にランダム化を起こすためであり、反応率が高くなるほどこの傾向が顕著になるためである。また、反応平衡値に対して反応率が80%未満の場合は、ランダム化の程度が低く、完全にランダム化されたものにはならない。尚、反応率が80%以上の場合、反応の初期では1、3位選択性反応が起こり、反応の後期ではランダム化反応が起こっていると推測される。本発明におけるランダムエステル交換とは、ランダム化率(2位の脂肪酸の変化率)が50%以上、好ましくは60%以上変化する反応のことである。【0014】【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。【0015】実施例1名糖産業(株)製のアルカリゲネス属(Alcaligenes sp.) 由来の「リパーゼPL」を5%水溶液とし、この水溶液400mlを粉末ケイ藻土(昭和科学(株)製、ラジオライト#3000)80gに添加し、室温で30分間攪拌後、濾過、硫酸デシケーター中で室温下48時間乾燥し、固定化リパーゼを調製した。この固定化リパーゼの水分活性は、0.15であった。原料油(IV65のスーパーオレイン Lam Soon社製)は、減圧下で脱水し、水分80ppmとしたものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量0.8g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、このエステル交換反応は、ランダム化が起こっている。【0016】実施例2名糖産業(株)製のアルカリゲネス属(Alcaligenes sp.) 由来の「リパーゼQL」を5%水溶液とし、この水溶液400mlを粉末ケイ藻土(昭和科学(株)製、ラジオライト#3000)80gに添加し、室温で30分間攪拌後、濾過、硫酸デシケーター中で室温下48時間乾燥し、固定化リパーゼを調製した。この固定化リパーゼの水分活性は、0.15であった。原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量1.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、酵素を「リパーゼQL」に変えても、ランダム化が起こっている。【0017】実施例3固定化リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量2.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度60℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、このエステル交換反応は、ランダム化が起こっている。【0018】実施例4固定化リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量3.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度70℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、このエステル交換反応も、ランダム化が起こっている。【0019】実施例5固定化リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量1.2g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、反応率85.2%でも、ランダム化が起こっていることがわかる。【0020】実施例6固定化リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量3.2g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度60℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、このエステル交換反応も、ランダム化が起こっている。【0021】実施例7固定化リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。1リットルのフラスコに上記原料油300g及び上記固定化リパーゼ3g(対油1%)を入れ、50℃で72時間攪拌して、エステル交換を行い、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表1〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表2〕にそれぞれ示した。下記〔表2〕から明らかなように、このエステル交換反応も、ランダム化が起こっている。また、経時的にエステル交換油脂を分析し、反応率と2位の脂肪酸組成(C16:0)のランダム化率との関係を〔図1〕に示した。〔図1〕から明らかなように、反応率が80%以上になると、急激にランダム化が起こることがわかる。【0022】【表1】【0023】【表2】【0024】比較例1天野製薬(株)製のリゾプスデルマー(Ryzopus delmer)由来の「リパーゼD」を5%水溶液とし、この水溶液400mlを粉末ケイ藻土(昭和科学(株)製、ラジオライト#3000)80gに添加し、室温で30分間攪拌後、濾過、硫酸デシケーター中で室温下48時間乾燥し、固定化リパーゼを調製した。この固定化リパーゼの水分活性は、0.15であった。原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量1.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、リゾプスデルマー由来の酵素を使用すると、ランダム化は起こらず、1、3位選択的な反応しか起こっていないことがわかる。【0025】比較例2固定リパーゼは、比較例1と同じものを、原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量0.2g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、リゾプスデルマー由来の酵素を使用すると、流量を遅くして、油脂との接触時間を長くしても、ランダム化は起こらず、1、3位選択的な反応しか起こっていないことがわかる。【0026】比較例3固定リパーゼは、比較例1と同じものを、原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量0.8g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度60℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、リゾプスデルマー由来の酵素を使用すると、反応温度を高くしても、ランダム化は起こらず、1、3位選択的な反応しか起こっていないことがわかる。【0027】比較例4固定リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ4gを充填したカラムに、流量0.8g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度20℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表3〕から明らかなように、反応温度20℃では、ほとんど反応が起こっていないことがわかる。【0028】比較例5固定リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ2gを充填したカラムに、流量20.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、アルカリゲネス属由来の「リパーゼPL」を使用しても、反応率が低いと、選択的な反応しか起こらないことがかわる。【0029】比較例6固定リパーゼは、実施例2と同じものを、原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ2gを充填したカラムに、流量20.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、アルカリゲネス属由来の「リパーゼQL」を使用しても、反応率が低いと、選択的な反応しか起こらないことがかわる。【0030】比較例7固定リパーゼ及び原料油は、実施例1と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ2gを充填したカラムに、流量15.0g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表3〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表4〕にそれぞれ示した。下記〔表4〕から明らかなように、アルカリゲネス属由来の「リパーゼPL」を使用しても、反応率が低い(80%未満)と、選択的な反応しか起こらないことがかわる。【0031】比較例8固定化リパーゼは、比較例1と同じものを、原料油は、実施例1と同じものを使用した。1リットルのフラスコに上記原料油300g及び上記固定化リパーゼ3g(対油1%)を入れ、50℃で70時間攪拌して、エステル交換を行った。この交換反応において、経時的にエステル交換油脂を分析し、反応率と2位の脂肪酸組成(C16:0)のランダム化率との関係を〔図2〕に示した。〔図2〕から明らかなように、リゾプスデルマー由来の酵素を使用すると、反応率が高くなっても、1、3位選択的な反応しか起こらないことがわかる。【0032】【表3】【0033】【表4】【0034】実施例8固定リパーゼは、実施例1と同じものを使用した。原料油(トリオレイン:リノール酸=1:1 重量比)は、減圧下で脱水し、水分80ppmとしたものを用いた(トリオレイン;当社調整品 純度98%、リノール酸;当社調整品 純度98%)。上記固定化リパーゼ20gを充填したカラムに、流量0.4g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表5〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表6〕にそれぞれ示した。下記〔表6〕から明らかなように、アルカリゲネス属由来の「リパーゼPL」を使用すれば、油脂と脂肪酸のエステル交換反応でも、ランダム化が起こることがわかる。【0035】実施例9固定リパーゼは、実施例2と同じものを、原料油は、実施例8と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ20gを充填したカラムに、流量0.5g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表5〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表6〕にそれぞれ示した。下記〔表6〕から明らかなように、アルカリゲネス属由来の「リパーゼQL」を使用すれば、油脂と脂肪酸のエステル交換反応でも、ランダム化が起こることがわかる。【0036】比較例9固定リパーゼは、比較例1と同じものを、原料油は、実施例8と同じものを使用した。上記固定化リパーゼ20gを充填したカラムに、流量0.4g/時間で上記原料油を通液してエステル交換を行い(反応温度45℃)、エステル交換油脂を得た。このエステル交換油脂の組成を下記〔表5〕に、また該油脂の2位の脂肪酸組成を下記〔表6〕にそれぞれ示した。下記〔表6〕から明らかなように、リゾプスデルマー由来の酵素を使用すると、油脂と脂肪酸のエステル交換反応においても、1、3位選択的反応しか起こらないことがわかる。【0037】【表5】【0038】【表6】【0039】尚、上記の実施例及び比較例で得られたエステル交換油脂の2位の脂肪酸組成は、次の方法により測定した。〔2位脂肪酸組成の測定方法〕0.1MのTris−アミノメタン7ml及び1MのCaCl2O 0.5mlを40℃にて30分間激しく攪拌した。その後、エステル交換油脂2mg及び10%タリバ−ゼ(田辺製薬(株)製)2mlを加え15分間加水分解反応を行った。15分後、濃塩酸を加え反応を止めた。この加水分解物をTLCプレ−トにて、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドに分離した。(展開溶液 ヘキサン:ジエチルエ−テル:ギ酸=30:70:1)分離したモノグリセリド部分の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィ−にて分析した。【0040】【発明の効果】本発明のエステル交換油脂の製造方法によれば、1、3位選択性を有するリパ−ゼを用いてランダムエステル交換を行うことができる(エステル交換反応の初期では1、3位選択性反応が起こり、反応の後期ではランダム化反応が起こっている)ため、特異なエステル交換油脂を得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、実施例7のエステル交換反応における反応率とランダム化率との関係を示すグラフである。【図2】図2は、比較例8のエステル交換反応における反応率とランダム化率との関係を示すグラフである。 1、3位選択性を有するアルカリゲネス属由来のリパーゼを触媒として用いた、油脂のエステル交換反応において、1、3位選択性がなくなり、ランダム化を起こすまで反応を行って、反応率を80%以上にすることにより、ランダムエステル交換を行うことを特徴とするエステル交換油脂の製造方法。


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