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タイトル:特許公報(B2)_ヘキサフルオロプロペンの製造方法
出願番号:1995020962
年次:2006
IPC分類:C07C 21/18,B01J 23/26,B01J 23/72,B01J 23/745,B01J 27/08,B01J 27/12,C07C 17/08,C07C 17/25,C07C 19/10,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

青山 博一 中田 龍夫 JP 3778298 特許公報(B2) 20060310 1995020962 19950113 ヘキサフルオロプロペンの製造方法 ダイキン工業株式会社 000002853 逢坂 宏 100076059 青山 博一 中田 龍夫 20060524 C07C 21/18 20060101AFI20060427BHJP B01J 23/26 20060101ALI20060427BHJP B01J 23/72 20060101ALI20060427BHJP B01J 23/745 20060101ALI20060427BHJP B01J 27/08 20060101ALI20060427BHJP B01J 27/12 20060101ALI20060427BHJP C07C 17/08 20060101ALI20060427BHJP C07C 17/25 20060101ALI20060427BHJP C07C 19/10 20060101ALI20060427BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060427BHJP JPC07C21/18B01J23/26 XB01J23/72 XB01J23/74 301XB01J27/08 XB01J27/12 XC07C17/08C07C17/25C07C19/10C07B61/00 300 C07C 21/18 C07C 17/08 C07C 17/25 C07C 19/10 特開平08−169850(JP,A) 国際公開第93/025510(WO,A1) 特開平04−224532(JP,A) 特開昭52−151105(JP,A) 特開昭55−059119(JP,A) 特開昭55−059118(JP,A) 特公昭46−021607(JP,B1) 特公昭43−011202(JP,B1) 特公昭42−020281(JP,B1) 特公昭40−005610(JP,B1) 特開平04−145033(JP,A) 特公昭49−045379(JP,B1) 国際公開第94/014736(WO,A1) 特開平02−138138(JP,A) 特開昭49−066613(JP,A) 18 1996193039 19960730 12 20020110 滝口 尚良 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、含フッ素高分子材料のモノマーとして産業上重要なヘキサフルオロプロペンの製造方法(特に多段階的製造方法)に関するものである。【0002】【従来の技術】ヘキサフルオロプロペンの製造方法としては、テトラフルオロエチレンの熱分解による方法が知られている。しかし、この製造方法においては、目的であるヘキサフルオロプロペンの他に、パーフルオロブテンやパーフルオロイソブテンが不可避的に副生する。これらの副生成物中のパーフルオロイソブテンは非常に毒性が強く、これを分解、除去するには多大のコストがかかる。【0003】また、ヘキサフルオロプロペンを得る他の方法としては、クロロジフルオロメタンの熱分解によりテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンを同時に得る製造方法が知られている。しかし、この場合でも、上記した方法と同様に、パーフルオロイソブテンの生成が避けられず、経済的に好ましくない。【0004】また、上記の各製造方法は、米国特許3873630号、2970176号、3459818号、2758138号、3306940号に示されているが、いずれも、高温で熱分解を行うものであるため、高価な金属材料からなる反応装置を作製する必要があり、この点でも経済的とはいえない。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、毒性の強いパーフルオロイソブテンを全く生成せず、分離や除害の装置が必要なく、経済性を有しながら、含フッ素高分子材料の有用なモノマーであるヘキサフルオロプロペンを製造できる方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した課題を解決すべくヘキサフルオロプロペンの製造方法について鋭意検討した結果、以下に示す製造方法によって、ヘキサフルオロプロペンを多段階的に製造すれば、毒性の強いパーフルオロイソブテンが全く生成しないため、分離や除害の装置が必要なくなり、経済性を有していることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。【0007】即ち、本発明は、一般式(1):XCF2 CF2 CHClY(但し、この一般式において、X及びYはそれぞれフッ素原子又は塩素原子である。)で表されるプロパン化合物を脱フッ酸させ、一般式(2):XCF2 CF=CClY(但し、この一般式において、X及びYは前記したものと同じである。)で表されるプロペン化合物を得る第1工程と、このプロペン化合物を液相にてアンチモン触媒の存在下に無水フッ酸によってフッ素化し、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパンを得る第2工程と、この1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパンを脱塩酸させ、ヘキサフルオロプロペンを得る第3工程とを有する、ヘキサフルオロプロペンの多段階的な製造方法に係るものである。【0008】本発明の製造方法において、第一段階である、一般式(1):XCF2 CF2 CHClY(X、YはそれぞれF又はCl)で示されるプロパン化合物を脱フッ酸させ、一般式(2):XCF2 CF=CClY(X、Yは一般式(1)のものと同じ。)で示されるプロペン化合物を得る工程について説明する。【0009】原料であるXCF2 CF2 CHClY(X、YはそれぞれF又はCl)で示されるプロパン化合物としては、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(以下、HCFC−226caと称する。)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン(以下、HCFC−225caと称する。)、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン(以下、HCFC−225cbと称する。)、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,3,3−トリクロロプロパン(以下、HCFC−224caと称する。)などが挙げられる。【0010】HCFC−226caは、HCFC−225ca又は225cbをクロム等の触媒存在下に無水フッ酸でフッ素化することにより得られる。HCFC−225ca、HCFC−225cbは、テトラフルオロエチレンとフルオロジクロロメタンとを、またHCFC−224caはテトラフルオロエチレンとクロロホルムとを塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下に反応させることにより、容易に製造することができる原料である。【0011】(液相での脱フッ酸)これらの化合物からの脱フッ酸反応は、KOH、NaOH、Ca(OH)2 等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機の塩基性化合物や、アミン等の有機の塩基性化合物、アルカリ金属アルコキサイドにより実施可能であるが、経済性の面から無機の塩基性化合物を用いることが好ましい。脱フッ酸反応の溶媒としては、水、メタノール等のアルコール類やジブチルエーテル等のエーテル類等を用いることができるが、生成物の回収、経済性の面から、水を溶媒として用いることが好ましい。【0012】水酸化カルシウムを用いて脱フッ酸反応を行う場合には、水溶液でも或いは水と水酸化カルシウムとの混合により形成されるスラリーを用いてもよい。また、このとき水酸化カリウムと混合して用いてもよい。水酸化カルシウムを用いた場合の利点は、脱フッ酸により生成するフッ化カルシウムをフッ酸の原料として再利用可能である点である。【0013】脱フッ酸反応を水溶液中で実施する場合には、反応を円滑に進行させるために、第四級アンモニウム塩やホスホニウム塩、クラウンエーテル等の相間移動触媒を用いることも可能である。【0014】第四級アンモニウム塩のカチオンとしては、ベンジルトリエチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリカプリルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。第四級ホスホニウム塩のカチオンとしては、テトラブチルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム等が挙げられる。それらのカチオンと塩を形成するアニオンは限定されないが、一般的に、塩素イオン、臭素イオン、硫酸水素イオン等が挙げられる。また、クラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6等が挙げられる。しかしながら、上記のものは例示したにすぎず、相間移動触媒の種類を限定するものではない。【0015】これらの水溶液は、反応後に生成したフッ化物を沈澱法、濾過法等により分離した後、再度アルカリを加えて再利用が可能である。【0016】反応温度は特に限定されないが、30〜150 ℃の範囲で実施可能である。例えば、沸点の低い化合物であるHCFC−226caの場合には、加圧反応容器中で実施することも可能である。【0017】(気相での脱フッ酸)脱フッ酸反応は、金属酸化物を触媒とした気相反応でも可能であり、金属酸化物としてはFe、Cr、Cuの塩化物、硫酸塩、硝酸塩の水溶液に、アルカリであるアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物を加えるか或いは尿素を加え、加熱して得られる金属水酸化物を焼成して得ることができる。クロムの場合には、6価のクロムを還元して調製することも可能である。【0018】これらの金属酸化物は単独に用いることもできるが、これらの金属(Fe、Cr、Cu)より選ばれた複数の金属の複合酸化物又は混合された酸化物でもよい。【0019】クロムの酸化物の場合には、一部フッ素化された酸化物を用いることも可能であり、そのフッ素化は通常、20〜450 ℃、好ましくは 200〜400 ℃でフッ素化処理することよって行えるが、無水フッ酸を用いてもよいし、フッ素化炭化水素との加熱処理によっても行える。また、一部フッ素化されたクロムの酸化物は、三フッ化クロムの水和物を酸素処理することによっても得ることができる。【0020】これらの金属酸化物は粒状化されてもよく、また、ペレット状に圧縮されてもよい。また、これらは直接反応に関与しない担体、例えばフッ化アルミニウム、シリカゲル等に担持されてもよい。触媒の劣化を防ぐために、酸素、空気等を原料と同時に流通させてもよい。【0021】脱フッ酸反応は、活性炭を触媒とした気相反応でも可能である。活性炭の種類については限定されないが、粒状活性炭、ヤシ殻活性炭等が好適に用いられる。【0022】気相反応の反応温度としては、 200〜600 ℃が良く、さらに好ましくは、 250〜500 ℃の範囲である。【0023】気相反応の方法としては、固定床型流通反応装置や流動床型流通反応装置等を用いた方法が採用できる。【0024】本発明の製造方法において、第二段階である、一般式(2):XCF2 CF=CClY(X、Yは一般式(1)のものと同じ。)で示されるプロペン化合物を液相にてアンチモンを触媒として無水フッ酸によりフッ素化し、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(以下、HCFC−226eaと称する。)を得る方法について説明する。【0025】本発明では、特に、アンチモン触媒を用いて液相法で反応を行うことが重要である。アンチモン触媒としては、5塩化アンチモン、3塩化アンチモンをフッ素化して得られるフッ化塩化アンチモンを触媒として用いることができるが、触媒上に塩素がある場合には、一般式(2)で表されるプロペン化合物の塩素化が進行する場合があり、反応の選択率を低下させる可能性があるため、完全にフッ素化された5フッ化アンチモン、3フッ化アンチモンを触媒として用いることが好ましい。【0026】5価のハロゲン化アンチモン(例えば5フッ化アンチモン)、3価のハロゲン化アンチモン(例えば3フッ化アンチモン)はそれぞれ単独で用いることもできるし、混合して用いることもできる。【0027】本発明においては溶媒を特に必要としないが、反応物質である無水HFを溶媒として用いることが可能である。必要に応じて反応溶媒を用いることも可能であり、触媒に対して不活性なものであれば溶媒として用いることができる。例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカリン、パーフルオロトリブチルアミン等のパーフルオロ化合物が挙げられる。【0028】5フッ化アンチモンを触媒として用い、無水HFを反応溶媒として用いる場合には、腐食性が強いため、反応容器の材質によりアンチモン触媒の濃度が限定される場合がある。フッ素樹脂製の反応容器の場合には、触媒の濃度は限定されないが、耐食材であるハステロイC22等の反応容器の場合には、触媒濃度は限定される。5フッ化アンチモンのみを触媒として用いる場合には、無水HFに対して1 mol%以下、さらに好ましくは0.5mol%以下が腐食の点で好ましい。【0029】5フッ化アンチモンと3フッ化アンチモンを混合して用いる場合には、混合のモル比率は5フッ化アンチモン/3フッ化アンチモン≦2、さらに好ましくは5フッ化アンチモン/3フッ化アンチモン≦1、混合された5フッ化アンチモンの濃度は無水HFに対して 10mol%以下、さらに好ましくは3 mol%以下が腐食の点で好ましい。【0030】3フッ化アンチモンのみを触媒として用い、無水HFを反応溶媒として用いる場合には、腐食性が非常に小さいため触媒の濃度は限定されない。【0031】腐食性の問題を避けるために、5フッ化アンチモン中に一般式(2)で表されるプロペン化合物と無水HFを仕込んでいき、生成したHCFC−226ea及び未反応の無水HF又は/及び一般式(2)で表されるプロペン化合物を反応系外へ抜き出し、無水HFが反応系内に蓄積しないような反応形態も本発明では採用が可能である。【0032】反応温度は特に限定されないが、25〜150 ℃、さらに好ましくは40〜100 ℃である。【0033】反応圧力も特に限定されないが、大気圧から50Kg/cm2G、さらに好ましくは大気圧から30Kg/cm2Gが採用できる。【0034】一般式(2)で表されるプロペン化合物と無水HFとのモル比は任意に変動させ得るが、反応の選択率を上げる意味では、HF/プロペン化合物=4以上が好ましい。この場合には、未反応のHFがHCFC−226eaと共に反応系外へ出てくる場合もあるが、このときでも、HFは分離後に反応系へリサイクルが可能である。【0035】反応の形態としては、必要な原料を仕込んだ後に反応を行い、生成物等を回収するバッチ方式、一方の原料を連続的に仕込んでいき、生成物等を連続的に抜き出していくセミバッチ方式や、原料を連続的に仕込み、生成物等を連続的に抜き出していく方式等が採用できる。【0036】本発明の製造方法において、第三段階である、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)を脱塩酸させてヘキサフルオロプロペンを得る方法について説明する。【0037】(液相での脱塩酸)HCFC−226eaからの脱塩酸反応は、KOH、NaOH、Ca(OH)2 等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機の塩基性化合物や、アミン等の有機の塩基性化合物、アルカリ金属アルコキサイド等により実施可能であるが、経済性の面から無機の塩基性化合物を用いることが好ましい。脱塩酸反応の溶媒としては、水、メタノール等のアルコール類やジブチルエーテル等のエーテル類等を用いることができるが、生成物の回収、経済性の面から、水を溶媒として用いることが好ましい。【0038】水酸化カルシウムを用いて脱塩酸反応を行う場合には、水溶液でも或いは水と水酸化カルシウムとの混合により形成されるスラリーを用いてもよい。また、このとき水酸化カリウム、水酸化ナトリウムと混合して用いてもよい。【0039】脱塩酸反応を水溶液中で実施する場合には、反応を円滑に進行させるために、第四級アンモニウム塩やホスホニウム塩、クラウンエーテル等の相間移動触媒を用いることも可能である。【0040】第四級アンモニウム塩のカチオンとしては、ベンジルトリエチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリカプリルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。第四級ホスホニウム塩のカチオンとしては、テトラブチルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム等が挙げられる。それらのカチオンと塩を形成するアニオンは限定されないが、一般的には、塩素イオン、臭素イオン、硫酸水素イオン等が挙げられる。また、クラウンエーテルとしては18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6等が挙げられる。しかしながら、上記のものは例示したにすぎず、相間移動触媒の種類を限定するものではない。【0041】これらの水溶液は、反応後に生成した塩化物を沈澱法、濾過法等により分離した後、再度アルカリを加えて再利用が可能である。【0042】反応温度は特に限定されないが、30〜150 ℃の範囲で実施可能であり、加圧反応容器中で実施することも可能である。【0043】(気相での脱塩酸)脱塩酸反応は金属酸化物を触媒とした気相反応でも可能であり、金属酸化物としてはFe、Co、Ni、Cr、Cuの塩化物、硫酸塩、硝酸塩の水溶液に、アルカリであるアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物を加えるか或いは尿素を加え、加熱して得られる金属水酸化物を焼成して得ることができる。クロムの場合には、6価のクロムを還元して調製することも可能である。【0044】これらの金属酸化物は単独に用いることもできるが、これらの金属(Fe、Co、Ni、Cr、Cu)より選ばれた複数の金属の複合酸化物又は混合された酸化物でもよい。【0045】クロムの酸化物の場合には、一部フッ素化された酸化物を用いることも可能であり、そのフッ素化は通常、20〜450 ℃、好ましくは 200〜400 ℃でフッ素化処理することによって行えるが、無水フッ酸を用いてもよいし、フッ素化炭化水素との加熱処理によっても行える。また、一部フッ素化されたクロムの酸化物は、三フッ化クロムの水和物を酸素処理することによっても得ることができる。【0046】これらの金属酸化物は粒状化されてもよく、また、ペレット状に圧縮されてもよい。また、これらは直接反応に関与しない担体、例えばフッ化アルミニウム、シリカゲル等に担持されてもよい。触媒の劣化を防ぐために、酸素、空気等を原料と同時に流通させてもよい。【0047】脱塩酸反応は、活性炭を触媒とした気相反応でも可能である。活性炭の種類については限定されないが、粒状活性炭、ヤシ殻活性炭等が好適に用いられる。【0048】気相反応の反応温度としては 200〜600 ℃がよく、さらに好ましくは 250〜500 ℃の範囲である。【0049】気相反応の方法としては、固定床型流通反応装置や流動床型流通反応装置等を用いた方法が採用できる。【0050】【発明の作用効果】本発明によれば、一般式(1)のプロパン化合物の脱フッ酸、この脱フッ酸による一般式(2)のプロペン化合物のフッ素化、このフッ素化物の脱塩酸という多段階的なプロセスによって、毒性の強いパーフルオロイソブテンが全く生成しないため、分離や除害の装置が必要なくなるといった経済性を有しながら、含フッ素高分子材料の有用なモノマーであるヘキサフルオロプロペンを製造できる。【0051】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。【0052】(脱フッ酸)例1滴下ロート、コンデンサーを備えた 200mlガラス製反応容器に、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン(HCFC−225ca)を40.7g、及びテトラブチルアンモニウムブロマイド 0.5gを仕込み、室温で攪拌した。【0053】滴下ロートより、水酸化カリウム16.8gを水50mlに溶解させた水溶液を反応温度が30℃を保つように滴下した。【0054】滴下終了後、更に2時間反応を続けた後、有機層を分離し、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、HCFC−225caの転化率は 100%であり、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンが98%の選択率で生成していた。この有機層を塩化カルシウムで乾燥後に蒸留を行ったところ、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの沸点は46℃であった。【0055】例2コンデンサーを備えた 200mlガラス製反応容器に、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン(HCFC−225cb)40.7g、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド 0.5g、水酸化カリウム16.8gを水50mlに溶解させた水溶液を仕込んだ。【0056】攪拌しながら反応を55℃で行い、10時間反応後、上記と同様に分析したところ、HCFC−225cbの転化率は15%であり、1,1,2,3−テトラフルオロ−1,3−ジクロロプロペンが98%の選択率で生成していた。【0057】例3滴下ロート、コンデンサーを備えた 200mlガラス製反応容器に、水酸化カリウム16.8gを水50mlに溶解させた水溶液及びテトラブチルアンモニウムブロマイド 0.5gを仕込み、40℃で攪拌した。【0058】滴下ロートより、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,3,3−トリクロロプロパン(HCFC−224ca)43.9gを反応温度が40℃を保つように滴下した。【0059】滴下終了後、更に4時間反応を続けた後、有機層を分離し、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、HCFC−224caの転化率は99%であり、目的の1,1,2−トリフルオロ−1,3,3−トリクロロプロペンの選択率は96%であった。【0060】例4SUS316製オートクレーブに、水酸化カリウム16.8gを水50mlに溶解させた水溶液及びテトラブチルアンモニウムブロマイド 0.5gを仕込み、−20℃に冷却した。【0061】冷却後、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ca)37.3gをオートクレーブに仕込み、室温に戻した。攪拌を開始し、反応器内温を80℃に保ち、8時間反応させた。反応終了後に生成物を−70℃に冷却したトラップに初めは大気圧、その後、減圧下で回収した。【0062】回収した有機物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、HCFC−226caの転化率は20%であり、目的の1,1,1,2−テトラフルオロ−3−クロロプロペン−2の選択率は96%であった。【0063】例5硝酸クロム水溶液及びアンモニア水から調製した水酸化クロムを濾別、水洗し、 100℃で乾燥し、これを打錠成型機を用いて直径3mm、高さ3mmの円筒状に成型した。【0064】こうして得た触媒を反応前にハステロイC製反応管に充填し、窒素気流下、 400℃で1時間加熱保持した。その後、温度を 200℃に下げ、無水フッ酸を供給して1時間処理し、活性化した。【0065】内径2cm、長さ40cmのハステロイC製反応管に上記のようにして調製した触媒(20g)を充填し、窒素ガスを流通させながら電気炉にて 350℃に加熱した。窒素をHCFC−225ca(57cc/min)に変え、酸素(3cc/min)を同伴して、反応管に流通させた。【0066】反応管出口ガスは、水洗し、塩化カルシウムで乾燥後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。反応開始1時間後のHCFC−225caの転化率は70%であり、目的の1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペン−2の選択率は85%であった。【0067】例6触媒として酸化銅−クロミア複合酸化物を用いた以外は、例5と同様に反応を行った。反応開始1時間後のHCFC−225caの転化率は52%であり、目的の1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペン−2の選択率は83%であった。【0068】例7触媒として酸化鉄を用いた以外は、例1と同様に反応を行った。反応開始1時間後のHCFC−225caの転化率は33%であり、目的の1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペン−2の選択率は86%であった。【0069】(フッ素化)例8内容積 200mlのハステロイC22製オートクレーブにSbF5 2.0gを仕込んだ。オートクレーブを−30℃に冷却後、無水HF 50g、上記の例1で得た1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペン 20gを仕込んだ後、室温まで戻し、攪拌しながら80℃で10時間反応を続けた。このとき発生するHClを系外へ除去しながら反応圧力を12Kg/cm2に保った。【0070】オートクレーブから反応生成物を、水洗塔、アルカリ水塔によりHFを除去しながら、−70℃に冷却したトラップに捕集した。捕集された有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した。【0071】分析の結果、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの転化率は99%、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率は99.9%以上であった。【0072】例9例8において触媒をSbF5 に代えて、SbF5 5.4gとSbF3 8.9gを仕込み、同様に反応を行った。【0073】同様の分析の結果、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの転化率は99%、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率はほぼ99%以上であった。【0074】例10内容積 500mlのPTFE製内筒管付きSUS316オートクレーブにSbCl5 を60g仕込んだ。オートクレーブを−30℃に冷却後、無水HF 250gを仕込み、室温まで戻した後、攪拌しながら80℃に加熱した。このとき、発生してくるHClを系外に除去しながら、反応圧力を12Kg/cm2に保った。【0075】塩酸の発生が止まった後、80℃で、上記の例1で得た1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンを 100g/Hrで仕込んでいった。このとき、発生してくるHClを系外に除去しながら、反応圧力を12Kg/cm2に保った。3時間後、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの仕込みを停止し、さらに80℃で3時間反応を続けた。【0076】反応生成物を、水洗塔、アルカリ水塔によりHFを除去しながら、−70℃に冷却したトラップに捕集した。捕集された有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した。【0077】分析の結果、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの転化率は99%であり、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率は95%であった。主な副生成物は、1,1,1,2,3−トリフルオロ−3,3−ジクロロプロパンであった。【0078】触媒の残存した反応容器に無水HF 200gを仕込み、同様にして1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンを 300g仕込んで反応を行った。生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,1,1,2−テトラフルオロ−3,3−ジクロロプロペンの転化率は99%であり、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率は96%であった。【0079】例11例8において原料を上記の例3で得た1,1,2−トリフルオロ−1,3,3−トリクロロプロペンに変えて同様に反応を行った結果、1,1,2−トリフルオロ−1,3,3−トリクロロプロペンの転化率は99%、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率は98%であった。【0080】例12例8において原料を上記の例2で得た1,1,2,3−テトラフルオロ−1,3−ジクロロプロペンに変えて同様に反応を行った結果、1,1,2,3−テトラフルオロ−1,3−ジクロロプロペンの転化率は99%、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)の選択率は97%であった。【0081】(脱塩酸)例13ガス導入管、−5℃に冷却したコンデンサー、このコンデンサーの上部から抜け出てくるガスを捕集するための−70℃のトラップを備えた 200mlガラス製反応容器に、水酸化カリウム16.8gを水50mlに溶解させた水溶液及びテトラブチルアンモニウムブロマイド 0.5gを仕込み、0℃で攪拌した。【0082】ガス導入管より上記の例8で得た1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン(HCFC−226ea)(沸点18〜19℃)37.3gを、反応温度が0℃を保つようにガス状態で仕込んだ。このとき、発生するヘキサフルオロプロペンは反応系外へ逃がし、ヘキサフルオロプロペンと共に反応系外へ抜けようとするHCFC−226eaはコンデンサーで還流するように仕込み量を調節した。【0083】仕込み終了後、更に10℃で2時間反応を続けた後、反応を終了した。このとき、反応器の中には有機物はなかった。トラップ内の有機層をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、HCFC−226eaの転化率は98%であり、目的のヘキサフルオロプロペンが99%の選択率で生成していた。【0084】例14内径2cm、長さ40cmのハステロイC製反応管にヤシ殻活性炭(ヤシコールM、太平化学(株)製)10gを充填し、窒素ガスを流通させながら、電気炉にて 400℃で2時間加熱した。【0085】窒素を上記の例8で得たHCFC−226ea(100cc/min)に変え、反応管に流通させた。反応管出口ガスは、水洗し、塩化カルシウムで乾燥後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。反応開始1時間後のHCFC−226eaの転化率は15%であり、目的のヘキサフルオロプロペンの選択率は98%であった。未反応のHCFC−226eaは、回収後に再使用できた。 一般式(1):XCF2 CF2 CHClY(但し、この一般式において、X及びYはそれぞれフッ素原子又は塩素原子である。)で表されるプロパン化合物を脱フッ酸させ、一般式(2):XCF2 CF=CClY(但し、この一般式において、X及びYは前記したものと同じである。)で表されるプロペン化合物を得る第1工程と、このプロペン化合物を液相にてアンチモン触媒の存在下に無水フッ酸によってフッ素化し、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパンを得る第2工程と、この1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパンを脱塩酸させ、ヘキサフルオロプロペンを得る第3工程とを有する、ヘキサフルオロプロペンの製造方法。 第1工程での脱フッ酸をアルカリ水溶液で行う、請求項1に記載した製造方法。 脱フッ酸を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液で行う、請求項2に記載した製造方法。 アルカリ水溶液がKOH、NaOH又はCa(OH)2 の水溶液である、請求項2又は3に記載した製造方法。 脱フッ酸を水酸化カルシウムと水とで形成されるスラリーで行う、請求項4に記載した製造方法。 クロム、鉄及び銅の少なくとも1つを触媒として第1工程での脱フッ酸を気相反応で行う、請求項1に記載した製造方法。 活性炭触媒を用いて第1工程での脱フッ酸を気相反応で行う、請求項1に記載した製造方法。 第2工程でのフッ素化反応のアンチモン触媒が5価のハロゲン化アンチモン、3価のハロゲン化アンチモン又はこれらの混合物である、請求項1に記載した製造方法。 アンチモン触媒が5フッ化アンチモンと3フッ化アンチモンとの混合物である、請求項8に記載した製造方法。 アンチモン触媒が5フッ化アンチモンである、請求項8に記載した製造方法。 無水フッ酸を溶媒として第2工程でのフッ素化反応を行う、請求項1に記載した製造方法。 第3工程での脱塩酸をアルカリ水溶液で行う、請求項1に記載した製造方法。 脱塩酸を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液で行う、請求項12に記載した製造方法。 アルカリ水溶液がKOH、NaOH又はCa(OH)2 の水溶液である、請求項12又は13に記載した製造方法。 脱塩酸を水酸化カルシウムと水とで形成されるスラリーで行う、請求項14に記載した製造方法。 クロム、ニッケル、鉄、コバルト及び銅の少なくとも1つを触媒として第3工程での脱塩酸を気相で行う、請求項1に記載した製造方法。 活性炭を触媒として第3工程での脱塩酸を気相で行う、請求項1に記載した製造方法。 一般式(1)で表される化合物が、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロ−3−クロロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン又は1,1,2,2−テトラフルオロ−1,3,3−トリクロロプロパンである、請求項1に記載した製造方法。


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