タイトル: | 特許公報(B2)_安定な液状配合物およびそれらの使用 |
出願番号: | 1994516788 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A01N43/80,A01N25/22,C07D275/06 |
ペイン,ジョン・デイヴィッド JP 3623792 特許公報(B2) 20041203 1994516788 19940119 安定な液状配合物およびそれらの使用 アーチ・ユーケイ・バイオサイズ・リミテッド 社本 一夫 増井 忠弐 小林 泰 千葉 昭男 富田 博行 細川 伸哉 野矢 宏彰 松山 美奈子 ペイン,ジョン・デイヴィッド GB 9300936.3 19930119 20050223 7 A01N43/80 A01N25/22 C07D275/06 JP A01N43/80 102 A01N25/22 C07D275/06 7 A01N 43/80 特開昭54−59329(JP,A) 特開昭62−36303(JP,A) 特開昭62−190106(JP,A) 特開平3−63204(JP,A) 11 GB1994000100 19940119 WO1994016564 19940804 1996505639 19960618 8 20000901 松本 直子 本発明は、従来知られているものよりも低いpHおよび低い粘度を有する、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアルカリ金属塩およびジプロピレングリコールを含む安定な液状配合物に関する。1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下、BITと称される)は、定評のある工業用殺生物剤であり、特に、微生物学的腐敗から水性媒質を保護するのに有効である。それは殺菌剤として特に有効であり、具体的には、ラテックスの保護に適している。例えば、その主要な用途の一つは、アクリルおよびアクリレート塗料エマルジョンの保存のための缶中防腐剤としてである。BITは水に対する溶解度が低く、多数の個体において感作を引き起こすことがある。したがって、取扱いの容易さのためにおよび取扱い上の危険を低減させるために、英国特許第1,191,253号明細書および同第1,330,531号明細書で開示されたように、水性分散液として、更にはアミン溶媒中の安定な溶液として配合されてきた。アミンは揮発性であり且つ不快臭を有しがちであるので、いくつかの用途にとってこれらアミン配合物は興味をそそるものではなく、例えば、食品包装工業において用いることができる水性接着剤での使用などの間接的に食品に接触する用途に用いられることは滅多にない。更に、BITのアミン溶液は、アミン溶媒がラテックスの黄変を引き起こすことがあるので、ラテックスの缶中保存において殺生物剤として用いるには適当でないかもしれない。更に、アミンは、ある種の殺生物剤と反応し且つそれを失活させる可能性があり、このことは、このような殺生物剤と一緒に用いられた場合のBITのアミン配合物の使用を更に制限する。アミンに関係したこれらの問題を避けるために、現在、米国特許第4,188,376号明細書に開示されたように、BITをジプロピレングリコールなどの1種類またはそれ以上の水混和性溶媒中のアルカリ金属塩として配合するのが一般的である。このような配合物は、凍結融解温度サイクルに耐える安定な溶液であり、たとえ凍結したとしても、加温によって元の状態に戻って安定な溶液を再生する。20%BITおよび65%ジプロピレングリコールを含み、残りの部分は水であり、ここにおいてBITは、米国特許第4,188,376号明細書の実施例1に記載のように、1.1モル水酸化ナトリウムと1モルBITとを反応させることによってナトリウム−BITに変換されているこの種類の配合物は、プロキセル(Proxel)GXL(プロキセルはICI PLCの登録商標である))として長年商業的に入手可能である。これら配合物は極めて好結果であることが分かっており、最極限以外の全ての低温に耐える。しかしながら、これらのグリコール配合物は、流体の状態の時でも、一層低温で高粘度に悩まされ、これは、特に、ポンプ輸送によって正確な投与量を計量する場合に問題を引き起こす。このような配合物のもう一つの欠点は、通常pH12またはそれ以上のそれらの高いpHであり、これは、保護される媒質、例えば、エマルジョン塗料またはラテックスに対して加えられた場合、媒質の異なるpHのために「pHショック」および凝固作用を引き起こすことがある。高粘度および高pHは、ナトリウム−BITの安定な溶液を製造するのに従来必要と考えられてきた用いられる溶媒の量および種類並びにアルカリ金属の量双方の組合せによって生じる。実際に、米国特許第4,188,376号明細書の実施例のいずれにおいても、ナトリウム塩を製造する場合、BITに相対して10%過剰の水酸化ナトリウムが用いられてきた。ここで、本発明者は、このような高濃度の水酸化ナトリウムの使用が不必要であることおよび化学量論的量より少ないアルカリを用いたとしても適当な溶液を得ることができるということを発見した。更に、ジプロピレングリコールの量を減少させることもできることが分かっており、これは貯蔵性に悪影響を与えることなく粘度を更に減少させる。本発明により、5〜25重量%のBITおよび40〜68重量%のジプロピレングリコールを含む安定な配合物であって、該BITは0.75〜1.07モルアルカリ金属水酸化物と1モルBITとを反応させることによって生成されたアルカリ金属塩として存在している上記配合物を提供する。配合物の残りの部分は、水;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、C1〜4−アルキルカルビトールおよびC1〜4−アルカノールから選択される1種類またはそれ以上の溶媒であってよい。アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの1種類またはそれ以上であってよいが、特に、水酸化ナトリウムである。配合物中のBITの好ましい量は、配合物総重量に基づいて、好ましくは10〜25重量%、更に好ましくは15〜25重量%、具体的には18〜23重量%、更に具体的には約20重量%である。配合物中のジプロピレングリコールの量は、配合物総重量に相対して、好ましくは50〜65重量%、更に好ましくは50〜60重量%、具体的には52〜58重量%である。アルカリ金属水酸化物は、好ましくはBIT1モルにつき0.80〜1.05モル、更に好ましくはBIT1モルにつき0.95〜1.02モル、具体的には0.98〜1.01モルである。BITおよびアルカリ金属水酸化物の化学量論的量または工業用製造規模で実際に達成しうる程度のほぼ化学量論的量を用いることは特に好ましい。C1〜4−低級カルビトールの例は、メチルおよびエチルカルビトールであり、C1〜4−アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールである。好ましくは、配合物は、ジプロピレングリコールおよび水以外の他の溶媒を含まない。好ましくは、安定な溶液は、20重量%BIT、55%重量ジプロピレングリコールおよび4.2〜5.7重量%水酸化ナトリウムを含んで得られ、残りの部分は水であった。このような溶液中の水酸化ナトリウムの量は、BIT1モルに付き0.8〜1.07モルである。このような溶液のpHは約8.9〜約10であり、18℃で測定された粘度は約60〜約180mPa.s.である。これらの溶液は、より低温で容易に注ぎうるし且つポンプ輸送可能であるし、しかも約40℃の高温、約−13℃の低温で貯蔵された場合または−13℃〜40℃の温度で24時間にわたって繰り返し循環された場合に分離などの不都合な性質を示さないことが分かった。更に、溶液は、溶液にNa−BIT結晶種が入ったとしても、低温度で安定である。BITの取扱いおよび乾燥を避けるために、本配合物は、典型的に20重量%〜35重量%の水を含むBITの水性ペースト、例えばプレスペーストから直接的に製造することができる。配合物は、アルカリ金属水酸化物をジプロピレングリコールおよび水の混合物中に溶解させ且つ最高80℃まで加熱して溶液を生じることによって製造することができる。次に、BITプレスペーストを塩基性溶媒に加えることができ、混合物を最高80℃までの温度で再度撹拌してBITを溶解させる。次に、場合により溶液を、加温してかまたは周囲条件まで冷却した後に濾過することができる。周囲温度での濾過は、本配合物の一層低い粘度のために、米国特許第4,188,376号明細書に記載の配合物の場合よりも本配合物によって容易に行なわれる。本発明の配合物は、BITの既存の配合物と同様に微生物を防除し、したがって、微生物が増殖する媒質における微生物による腐敗を防止するのに用いることができる。本発明を以下の実施例によって例証するが、部および百分率はいずれも、特に断らない限り重量による。実施例1〜5および比較例A水酸化ナトリウム(5.8部;1.09モル/モルBIT)をジプロピレングリコール(150部)および水(18.9部)に対して加え、70℃まで加熱し、そして水酸化ナトリウムを溶解させるまで撹拌した。BITプレスペースト(乾燥BIT50部に相当する66.6部;0.1325モル)をアルカリ溶液に対して加え、50℃で撹拌してBITを溶解させた。溶液は、水の添加によって250部に調整され、次に濾過されて、20重量%BITおよび60%ジプロピレングリコールを含んでいたが、残りの部分は水であり、そしてBITは、BIT1モルにつき1.09モルの水酸化ナトリウムから生成されたNa−BITとして存在している。溶液のpHは11.7であり且つ18℃での粘度は226mPa.s.であった。同様の溶液を、以下の表1に記載のように、更に少ない量の水酸化ナトリウムを用いて調製し、それぞれのpHおよび粘度を記録した。これらの溶液はいずれも、40℃、−13℃で保存された場合および−13℃〜40℃を反復された24時間間隔で循環された場合に優れた貯蔵性を示した。低温での貯蔵性は、Na−BIT結晶種が入った後でも変わらなかった。実施例6〜10および比較例Bこれらの実施例は、ジプロピレングリコール(dpg)137.5部を150部の変わりに用い且つ水を適宜増加させたこと以外は実施例1〜5に記載されたのと同様に行なわれた。これらの溶液は何れも、55%(w/w)ジプロピレングリコールを含んだ。これらの溶液の詳細を以下の表2に記載する。これらの実施例はいずれも、実施例2〜5と同様の貯蔵安定性を示した。実施例11〜15および比較例Cこれらの実施例は、ジプロピレングリコール(dpg)125部を150部の変わりに用い且つ水を適宜増加させたこと以外は実施例1〜5に記載されたのと同様に行なわれた。これらの溶液はいずれも、50%(w/w)ジプロピレングリコールを含んだ。これらの溶液の詳細を以下の表3に記載する。これらの実施例はいずれも、40℃で貯蔵された場合および−13℃〜40℃を24時間間隔で繰り返し循環された場合、冷却された時にNa−BIT結晶種が入ったとしても、優れた貯蔵性を示した。−13℃で貯蔵された場合、実施例11〜15および比較例Cはいずれも凍結したが、試料を周囲温度(約18℃)まで戻した場合、完全な溶液が得られた。実施例16〜21ジプロピレングリコール(dpg)の量を40重量%〜65重量%に変更し、100%までの水の量を対応して調節したこと以外、実施例9を繰り返した。これらの試料はいずれも20%BITを含んでいたが、そのBITは化学量論的量の水酸化ナトリウムによって生成されたNa−BITとして存在している。これらの実験は、BITプレスペーストの3種類の異なる試料を用いる三重反復試験で行なわれた。溶液の−13℃での粘度および外観を表4に記載する。実施例22実施例9の粘度に対する温度の効果を測定し且つプロキセルGXLの市販試料と比較した。実施例9のpHは9.5でありプロキセルGXLのpHは12.0であった。粘度を表5に記載する。実施例9は、低温で計量分配するのが明らかに容易である。この独特の試料を冬期に3か月間更に貯蔵したが、Na−BITの分離または沈殿などの不都合な性質は示されなかった。実施例23〜25並びに比較例DおよびE実施例10を、BITプレスペーストの異なるバッチを用いて繰り返して、20重量%BITおよび55重量%ジプロピレングリコールを含むが、BITに相対する水酸化ナトリウムの比率が異なる配合物を生成した。得られた配合物の性質を以下の表6に記載する。 5重量%〜25重量%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)および40重量%〜68重量%ジプロピレングリコールを含む殺生物用配合物であって、該BITが、0.75モル〜1.075モルアルカリ金属水酸化物と1モルBITとを反応させることによって生成されたアルカリ金属塩として存在している上記配合物。 アルカリ金属水酸化物が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの1種類またはそれ以上である請求項1に記載の配合物。 15重量%〜25重量%のBITを含む、請求項1または請求項2のいずれかに記載の配合物。 50重量%〜58重量%のジプロピレングリコールを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配合物。 BIT1モルにつき0.80モル〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配合物。 BIT1モルにつき0.95モル〜1.02モルのアルカリ金属水酸化物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配合物。 実質的に化学量論的量のアルカリ金属水酸化物およびBITを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配合物。 pHが8.9〜10.0である請求項1〜7のいずれか1項に記載の配合物。 粘度が18℃で60mPa.s.〜180mPa.s.である請求項1〜8のいずれか1項に記載の配合物。 請求項1〜9のいずれか1項に記載の配合物を含む工業用殺生物剤。 請求項1〜10のいずれか1項に記載の配合物を用いて、腐敗を受けやすい媒質の微生物増殖を阻害する方法。