タイトル: | 特許公報(B2)_B型肝炎表面抗原および他の抗原からなる複合ワクチン |
出願番号: | 1994500162 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K39/29,A61K39/295,A61K39/39 |
ペトレ,ジャン ハウザー,ピエール JP 3626996 特許公報(B2) 20041217 1994500162 19930515 B型肝炎表面抗原および他の抗原からなる複合ワクチン グラクソスミスクライン・バイオロジカルス・ソシエテ・アノニム 青山 葆 田中 光雄 ペトレ,ジャン ハウザー,ピエール GB 9211081.6 19920523 GB 9213308.1 19920623 20050309 7 A61K39/29 A61K39/295 A61K39/39 JP A61K39/29 A61K39/295 A61K39/39 7 A61K 39/29 A61K 39/295 A61K 39/39 特開平01−279842(JP,A) 特開昭61−036228(JP,A) Coursaget P et al., Infect Immun, 1986年 3月,51(3), 784-7 25 EP1993001276 19930515 WO1993024148 19931209 1995508267 19950914 17 20000515 川口 裕美子 本発明は、新規ワクチン製剤、その製法および治療におけるその使用に関する。詳細には、本発明は、B型肝炎感染を治療するためのB型肝炎ワクチン成分を含有する新規複合ワクチン製剤に関する。B型肝炎(HB)ウイルス感染は広範囲にわたる問題であるが、多人数を免疫するために用いられるワクチンが、現在、市販されている(例えば、「エンゲリックス(Engerix)−B(スミスクライン・ビーチャム・ピーエルシー(SmithKline Beecham plc))。エンゲリックス−Bは、遺伝子組み換え法により得られたB型肝炎表面抗原(HBsAg)をB型肝炎抗原成分として含有している。しかしながら、B型肝炎ワクチンを他のワクチンと同時投与することがしばしば必要あるいは望ましいとされており、このことは、複数回の注射を意味する。複数改変された抗体の注射に関連する問題としては、より複雑な投与方法および注射体積の合計量が多いことが挙げられる。それゆえ、他の抗原と混合されたB型肝炎抗原からなる混合ワクチンが必要である。他の抗原とは、特に、ワクチン製剤中にあって、A型肝炎(HA)、ジフテリア(D)、破傷風(T)、全細胞性百日ぜき(Pw)、無細胞性百日ぜき(Pa)、ヘモフィルス・インフルエンザb(Hib)およびポリオ(P)を予防することのできる抗原である。水酸化アルミニウム(AH)は、ワクチン製剤においてアジュバントとして広く用いられている。例えば、エンゲリックスBには水酸化アルミニウムに吸着したB型肝炎表面抗原(HBsAg)が使用されている。本発明者らも、A型肝炎ワクチンおよびDT、DTPwおよびDTPa混合ワクチンにAHをうまく使用した。しかしながら、AH−吸着HBsAgを混合製剤において他のワクチンと混合して使用する場合、HBsAgに対する免疫応答の実質的減少があり、接種後、低度あるいは不十分な血清防御しか起こらない。さらに、混合ワクチンのHBsAg成分の安定性が低い。コリアン・チェイル・シュガー・カンパニー・リミテッド(Korean Cheil Sugar Co Ltd.)により製造されている市販1価(monovalent)ワクチン(ヘパシン(HEPPACINE))中にHBsAgを吸着したリン酸アルミニウム(AP)が使用されている。本発明者らは、AH−吸着HBsAg1価ワクチン(エンゲリックスB)とAP−吸着1価ワクチンとの間に免疫特性の有意な相違がないことを見い出している。欧州特許出願公開第0339667号には、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムいずれかをアジュバントとして用いたHBsAgおよびAP型肝炎抗原からなる2価ワクチンが開示されている。しかしながら、HBsAgからなる多価ワクチンのアジュバントとして水酸化アルミニウムを避ける必要性はないように思われる。そのうえさらに、HBsAg以外の少なくとも1種の抗原が水酸化アルミニウムに吸着しており、HBsAgがリン酸アルミニウムに吸着している2価または多価B型肝炎ワクチンの開示文書または他の文書は存在しないようである。実際には、HBsAgからなる安定かつ有効な多価(multivalent)ワクチンの先行開示はないようである。本発明は1の態様において、nの値が1またはそれ以上である、1種またはそれ以上のアルミニウム塩からなるアジュバントと混合されたB型肝炎表面抗原(HBsAg)およびn個の他の抗原からなり、HBsAgを吸着するのに用いられるアジュバントが水酸化アルミニウムでない混合ワクチン組成物を提供する(ただし、nが1である場合には、他の抗原はA型肝炎に対する抗原ではない)。好ましくは、nは2、3、4、5または6である。本発明の利点は、HBsAgの免疫原性の実質的な減少が混合ワクチン製剤において起こらないことである。ワクチン製剤中においてHBsAg成分を吸着させるためのAHの使用を避けることは、製品の安定性を著しく向上させることにもなる。本発明のさらなる利点は、多数回の注射に関連する上記問題が克服ないしは軽減され、高度に免疫原のある混合製剤が提供されることである。本発明組成物は、特に、小児への投与に適している。好ましくは、HBsAgをAPに吸着させる。特に、本発明者らはヒトの臨床研究において、混合ワクチンにおいてAP−吸着HBsAgを1種またはそれ以上のAH−吸着またはAP−吸着抗原と混合した場合、免疫原性の実質的な減少が起こらないことを見いだしている。製剤中のAP−吸着HBsAgの安定性も、AH−吸着HBsAgより高い。したがって、さらなる態様において、HBsAg以外の少なくとも1種の抗原がリン酸アルミニウムに吸着している本発明ワクチン組成物が提供される。さらなる好ましい態様において、HBsAg以外の少なくとも1種の抗原がAHに吸着している。さらなる態様において、本発明は、APに吸着したB型肝炎表面抗原(HBsAg)および以下のウイルスの1種またはそれ以上に対する免疫性を提供する抗原から選択される、APまたはAHに吸着した抗原からなる混合ワクチンを提供する。以下のウイルスとは、ジフテリア(D)、破傷風(T)、百日ぜき(P)、不活性化ポリオ(IPV)、ヘモフィルス・インフルエンザb(Hib)およびA型肝炎である。小児用ワクチンにおいては、例えばB、AおよびC型脳膜炎に対して有効であることが知られている抗原ならびに耳炎メディアのような他の併存しうる抗原を含んでいてもよい。本明細書に用いる「2価」なる語は、合計2種の抗原の混合からなるワクチンをいう。「多価」は、2種より多い種類の抗原、例えば3、4または5もしくは6種の抗原からなるワクチン組成物をいう。「リン酸アルミニウム」および「水酸化アルミニウム」なる語は、ワクチンのアジュバントとして安定なすべての形態の水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムをいう。例えば、リン酸アルミニウムは不溶性リン酸アルミニウム(非晶質、半結晶または結晶)となり、所望により(しかし他の方法によっても)、可溶性アルミニウム塩とリン酸塩とを混合することにより製造されうる。「水酸化アルミニウム」は、水酸化アルミニウムの不溶性沈澱(非晶質、半結晶または結晶)であり、所望により(しかし他の方法によっても)、アルミニウム塩の溶液を中和することにより製造されうる。特別には、市販されている種々の形態の水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムゲルが適当である(例えば、デンマーク、ベドビーク(Vedbeak)2950のスーパーフォス(Superfos)社により市販されているアルヒドロゲル(Alhydrogel)(水中3%水酸化アルミニウム懸濁物)およびアジュ−フォス(Adju−fos)(セイライン中2%リン酸アルミニウム懸濁物が挙げられる)。本発明者らにより初めて、HBsAgからなる安定かつ有効な多価ワクチン組成物を提供されうることが理解されよう。したがって、本発明のさらなる態様において、HBsAgおよび少なくとも2ふの他の抗原からなる、2種以上の疾患の予防に指向された安定かつ有効な混合ワクチン組成物が提供される。アジュバントの選択に関しては、HBsAgをAPに吸着させ、HBsAg以外の少なくとも1種の抗原をAHに吸着させた場合、優れた効果が得られる。しかしながら、他の適当なアジュバントを使用することもできる。例えば、HBsAg以外の1種またはすべての抗原をAPに吸着させてもよい。本発明による好ましい安定な混合ワクチンは、ジフテリア−破傷風−百日ぜき−B型肝炎(DTP−HB)ジフテリア−百日ぜき−B型肝炎(DT−HB)DTP−IPV(不活性化ポリオワクチン)−B型肝炎である。Hib成分を含有するワクチンについては、投与直前にワクチンを処方することにより、Hib抗原を一時的に使用してもよいことが理解されよう。このようにして、本発明の範囲内の以下の混合ワクチン組成物を、例えば、製造することができる。以下の混合ワクチンとは、Hib−B型肝炎DTP−Hib−B型肝炎IPV−DTP−Hib−B型肝炎である。より詳細には、本発明の範囲内の特別なワクチンは、ジフテリア−破傷風−百日ぜき(AHまたはAPに吸着したDTP)−B型肝炎(APに吸着したHBsAg)ジフテリア−破傷風(APまたはAHに吸着したDT)−B型肝炎(APに吸着したHBsAg)である。本明細書中、「安定な」なる語は、本発明ワクチンが37℃で1週間、HBsAg成分の免疫原性を何ら実質的に失わないことを意味する。本明細書中、「有効な」なる語は、ヒト小児において、適切なワクチン接種計画において1カ月間隔でワクチン投与した場合、3回目の接種後1カ月に後にヒト小児において、混合ワクチン中のHBsAgの免疫原性が少なくとも200mIU/ml、好ましくは300mIU/mlまたはそれ以上の幾何平均の力価であることにより特徴づけられるワクチン組成物をいう。さらなる態様において本発明は、HBsAgおよびワクチンが37℃で1週間、HBsAg成分の免疫原性を何ら実質的に失わないように選択された安定化アジュバントからなる多価ワクチン組成物を提供する。好ましくは、該多価ワクチン組成物を、さらに、ヒト小児において、適切なワクチン接種計画において1カ月間隔でワクチン投与した場合、3回目の接種後1カ月に後にヒト小児において、混合ワクチン中のHBsAgの免疫原性が少なくとも200mIU/ml、好ましくは300mIU/mlまたはそれ以上の幾何平均の力価であることにより特徴づける。本明細書で用いる「適当なワクチン接種計画」とは、特に小児の服用に関する当業者に知られたワクチン投与量の経時変化をいう。例えば3、4および5カ月の計画を使用する。例えば、本発明DTP−HBsAg含有ワクチンに関して適当である。1の態様において、HBsAgを水酸化アルミニウム以外のアルミニウム塩に吸着させることができる。多価ワクチン製剤中の他の抗原をAPまたはAHに(または両方に)吸着させることができ、下記実施例に示すようにAHに有利に吸着する。有利には、本発明ワクチン製剤は百日ぜきワクチンからなる。適当には、百日ぜき成分は、部分精製または高度に精製された抗原を含有する全細胞性百日ぜきワクチンまたは無細胞性百日ぜきワクチンである。上記混合物が、所望によりA型肝炎に対して防御的な成分、すなわちHAV抗原を含んでいてもよい。有利には、B型肝炎混合ワクチンは小児用ワクチンである。抗原の製造およびアジュバントとの吸着方法は当業者によく知られている。例えば下記参照。B型肝炎表面抗原(HBsAg)の製造は十分に開示されている。例えば、ハーフォード(Harford)ら(1983年),ディベロップ・バイオロ・スタンダード(Develop.Biol.Standard)第54巻,125頁、グレッグ(Gregg)ら(1987年),バイオテクノロジー(Biotechnology)第5巻,479頁、EP−A第0226846号、EP−A−0299108号およびそれらの引用文献参照。本明細補中、「B型肝炎表面抗原」または「HBsAg」は、HBV表面抗原の抗原性を示すすべてのHBsAg抗原またはそのフラグメントを意味する。所望ならば、本明細書記載のHBsAgが、HBsAgの226個のアミノ酸配列(チオライス(Tiollais)ら,ネイチャー(Nature),第317巻,489頁(1985年)およびその中で引用された文献参照)の他に、上記文献およびEP−A第0278940号記載のプレーS配列の全部または一部を含んでいてもよい。詳細には、HBsAgが、ad血清型のB型肝炎ウイルス上のオープンリーディングフレームに対するHBsAgのL−蛋白の175〜400番目の残基に連結した133〜145番目の残基に連結した12〜52番目の残基からなるアミノ酸配列よりなるポリペプチドからなっていてもよい(このポリペプチドはL*)と呼ばれる。EP第0414374号参照)。本発明の範囲内のHBsAgが、EP第0198474号(エンドトロニクス(Endotronics))記載のプレS1−プレS2−SポリペプチドまたはEP第0304578(マコーミック・アンド・ジョーンズ(McCormick and Jones))記載のアナログごときそのアナログを含んでいてもよい。本明細書記載のHBsAgは、例えばWO第91/14703号または欧州特許出願公開第0511855A1記載の「莢膜変異株」のような変異株、あるいは特に145番目のグリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を有するHBsAgに関するものでかってもよい。通常は、HBsAgは粒子状であろう。該粒子が、例えばS蛋白のみからなっていてもよく、あるいは例えばL*が上記定義のものであり、SがHBsAgのS−蛋白を意味するような(L*,S)のごとき混成粒子であってもよい。有利には、該粒子は酵母において発現される形態である。本発明ワクチンに使用するのに適した抗原は、すでに市販されており、その詳細が世界保健機関(World Health Organization)から得ることができる。例えば、IPV成分がソーク(Salk)不活性化ポリオワクチンであってもよい。百日ぜきワクチンが、全細胞性生成物、無細胞性生成物または組換え生成物からなっていてもよい。特に、百日ぜき成分がPT(百日ぜき毒素)またはそのサブフラクション、FHA(糸状血球凝集素抗原)、凝集原(繊毛の)および69kDa蛋白(ペルタクチン,繊毛の凝集原でない)をはじめとする外膜蛋白であってもよい。文献:ロビンソン,エイ(Robinson,A.)アイアンズ,エル・アイ(Irons,L.I.)およびアシュワース,エイ・イー(Ashworth,A.E.),ワクチンズ(Vaccines),第3巻,1985年,11〜22頁;およびブレナン,エイチ・ジェー(Brennan,H.J.)、リー,エス・エム(Li,S.M.)、カウェル,ジェー・エル(Cowell,J.L.),ビシェン,エム・イー(Bishen,M.E.)スティーブン,エイ・シー(Steven,A.C.)、ノボトニー,ピー(Novotony,P.)、マンクラーク,シー・アール(Manclarck,C.R.)、インフェクション・アンド・イミュニティー(Infection and Immunuty),第56巻,1988年,3189〜3195頁。A型肝炎に対する防御を提供する成分は、好ましくは、HAVのHM−175株由来の死滅弱毒化ワクチンである「ハブリックス(Havrix)」(スミスクライン・ビーチャム・バイオロジカルズ(SmithKline Beecham Biologicals))である[エフ・イー・アンドレ(F.E.Andre)、エイ・ヘプバーン(A.Hepburn)およびイー・ドン(E.D'Hondt),「インアクティベイティッド・キャンディデイト・ワクチンズ・フォー・ヘパタイタス A(Inactivated Candidate Vaccines for Hepatitis A),プログ・メディ・ウイロロ(Prog.Med.Virol.),第37巻,72〜95頁(1980年)」参照。製品「ハブリックス」に関する論文集(1991年)がスミスクライン・ビーチャム・バイオロジカルズから出版されている]。フレーミッヒ(Flehmig)ら(上記引用文献56〜71頁)はA型肝炎の臨床的態様、ウイルス学、免疫学および伝染病学について再調査を行い、このありふれたウイルス感染に対するワクチンの開発へのアプローチについて議論した。本明細書中、「HAV抗原」は、ヒトのHAVに対する抗体の中和を刺激することのできるすべての抗原をいう。好ましくは、HAV抗原は不活性化弱毒ウイルス粒子からなっていてもよく、あるいは例えばHAVキャプシドまたはHAVウイルス蛋白であってもよい。便利には、それらを組換えDNA法により得ることができる。一般的には、ワクチン標品は、ボラー(Voller)ら編,ニュー・トレンズ・アンド・ディベロップメンツ・イン・ワクチンズ(1978年)(米国メリーランド州ボルチモア(Baltimore)のユニバーシティー・パーク・プレス(University Park Press))に記載されている。個々のワクチン用量中の抗原量は、典型的なワクチンの有意かつ有害な副作用なしに免疫防御応答を誘導する量として選択される。一般的には、個々の用量は、全免疫原1〜1000μg、好ましくは2〜100μg、より好ましくは1〜40μg、最も好ましくは1〜5μgからなると考えられる。特別なワクチンの最適量は、対象中の抗体力価および他の応答の測定をはじめとする標準的研究により確認される。最初の接種コースには、DTP免疫化に関するWHO推奨に従い1ないし2カ月間隔で2または3回のワクチン投与が含まれる。よって、本発明は、ヒト、特に小児のB型肝炎および他の感染の予防方法であって、上記本発明態様のいずれかに従って、処置が必要な対象のヒトを免疫学的に有効量のワクチンで処置することからなる方法を提供する。本発明のさらなる態様において、B型肝炎ウイルス感染の予防のための本発明混合ワクチンの製造のためのHBsAgの使用が提供される。本発明のさらなる態様において、本発明多価ワクチンにおける安定剤として作用させるため、および/またはHBsAgの効力を維持するためのAPの使用が提供される。特別には、本発明は、HBsAgおよび少なくとも1種の他の抗原(好ましくは少くとも2種の他の抗原)からなり、そのことによって、HBsAg成分の安定性および/または免疫原性が、HBsAg成分がAHに吸着されている対応する混合ワクチンにおけるよりも高い安定な混合ワクチンを製造する目的の、リン酸アルミニウムの使用を提供する。より特別には、本発明は、ワクチンを37℃で1週間(すなわち7日間)おいてもHBsAgの免疫原性の実質的損失がない使用を提供する。ヒト小児の適当な接種計画で1カ月間隔で接種するコースの3回目の投与1カ月後の幾何平均力価(GMT)が200、好ましくは300mIU/mlより大きい使用が提供される。本発明のさらなる態様において、下記実施例記載のB型肝炎の予防に効果的な混合(すなわち2価(bivalent)または多価)ワクチンの製造法が提供される。1の好ましい態様において、HBsAg以外の抗原をすべてAHに吸着させる。例えば、非常に効果的なDTPa−B型肝炎ワクチンをこのようにして製造することができる。一般的には、本発明のいかなる態様の混合ワクチン組成物も以下のごとく製造することができる。必要なDT、DIPw、DTPa、HAまたは他の成分を適当なアジュバント、特にAHまたはAPに吸着させる。HBsAgを、上記から選択される適当な安定化アジュバント、特別にはAH以外のアルミニウム塩上に吸着させる。好ましくは、HBsAgをAP上に吸着させる。それぞれの成分の吸着を完全かつ安定にするための時間経過後、別の成分を適当な条件下で混合する。吸着済みのHBsAg成分を添加する前に、ある種の成分、例えばDT、DTPwおよびDTPa成分を別々に混合することができる。HBsAgおよび他のあるいは上記抗原に対する付加的な抗原からなる多価ワクチンを同様の方法で製造することができる。好ましい態様において、リン酸アルミニウム−吸着HBsAgを1種またはそれ以上の水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムに吸着した抗原と混合することからなる、本発明混合ワクチン組成物の製造法が提供される。以下の実施例により本発明を説明する。実施例1〜5製剤本発明の特別な製剤を下記のごとく製造した。実施例1 混合ワクチン製剤のための濃縮物としてのAlPO4に吸着したHBsAg等張セイライン中のアルミニウム0.03ないし0.3g(リン酸アルミニウムとして)を含有するリン酸アルミニウムの懸濁液を、最終体積10ないし100ml中にHBsAg蛋白10mgを含有するHBsAg濃縮物と混合する。pHを5〜6.5に合わせた後、混合物を撹拌しながら室温で10〜24時間置く。ついで、所望により、防腐剤(すなわちメルチオレート(merthiolate),1:20,000ないし1:10,000または2−フェノキシエタノール,3ないし6mg/ml)を添加してもよく、ついで、等張セイラインで体積を50mlとする。実施例2 ジフテリア−破傷風−B型肝炎混合ワクチン製剤A1(水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミとして)0.35gに吸着したジフテリアトキソイド25,000Lfおよび破傷風トキソイド10,000Lfを含有する濃縮物を、最終体積0.15リットルの等張セイライン中で調製し、ついで、DTおよびDTPワクチンに関してWHOにより示されているようにpHを6ないし7の間に合わせる。この濃縮物を、実施例1のB型肝炎濃縮物0.05lと混合する。この混合物の体積を等張セイラインで0.5リットルとする。所望により防腐剤(メルチオレート,1:20,000ないし1:10,000または2−フェノキシエタノール,3ないし6mg/ml)を添加してもよい。DTおよびDTPワクチンに関してWHOにより示されているように最終pHを6ないし7の間に合わせる。このバルクワクチンの0.5ml用量は、活性成分として、Dトキソイド:25LfTトキソイド:10LfHBsAg:10μg(蛋白として)を含有する。所望により、より多量またはより少量の活性成分を使用するために方法を修正してもよい。実施例3 ジフテリア−破傷風−百日ぜき(全細胞性ワクチン)−B型肝炎混合ワクチン製剤A1(水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして)0.45mgに吸着したジフテリアトキソイド7,500Lf、破傷風トキソイド3,250Lfおよびビー・ペルツシス(B.pertussis)抗原15,000キャパシティーユニットを含有するベーリングウェルケ(Behringwerke)から購入した濃縮物を、最終体積0.4リットルの等張セイライン中に調製し、DTPワクチンに関してWHOにより示されているようにpHを6〜7に合わせる。この濃縮物を、実施例1のB型肝炎濃縮物0.05リットルと混合する。この混合物の体積を等張セイラインで最終体積0.5リットルとする。所望により防腐剤(メルチオレート,1:20,000ないし1:10,000または2−フェノキシエタノール,3ないし6mg/ml)を添加してもよい。DTおよびDTPワクチンに関してWHOにより示されているように最終pHを6ないし7の間に合わせる。このバルクワクチンの0.5ml用量は、活性成分として、Dトキソイド:7.5LfTトキソイド:3.25LfPw抗原:15OUHBsAg:10μg(蛋白として)を含有する。所望により、より多量またはより少量の活性成分を使用するために方法を修正してもよい。実施例4 ジフテリア−破傷風−百日ぜき(無細胞性成分)ワクチン製剤A1(水酸化アルミニウムおよびリン酸塩ゲルとして)0.35mgに吸着したジフテリアトキソイド25,000Lf、破傷風トキソイド10,000Lfを、最終体積0.15リットルの等張セイライン中に調製し、DTPワクチンに関してWHOにより示されているように最終pHを6ないし7の間に合わせる。それぞれA1(水酸化アルミニウムおよびリン酸化アルミニウムとして)0.05gと混合された不活性化百日ぜき毒素(DTPa)25mg、糸状凝集素(FHA)25mgおよび所望により69kDa外膜蛋白(ペルタクチン)8mgを添加する。ビー・ペルツシス(B.pertussis)抗原PT、FHAおよびペルタクチンを、例えば欧州特許出願第427462号、PCT出願WO第91/12020号記載の方法のような当該分野で知られた方法により、あるいは生理学的に許容されかつ有効なビー・ペルツシス抗原が得られる他の方法により調製することができる。この混合物を等張セイラインで最終体積0.5リットルとする。所望により防腐剤(メルチオレート,1:20,000ないし1:10,000または2−フェノキシエタノール,3ないし6mg/ml)を添加してもよい。DTおよびDTPワクチンに関してWHOにより示されているように最終pHを6ないし7の間に合わせる。このバルクワクチンの0.5ml用量は、活性成分として、Dトキソイド:25LfTトキソイド:10LfDTdトキソイド:25μgFHAトキソイド:25μg69kDaOMP:8μg(所望による)所望により、より多量またはより少量の活性成分を使用するために方法を修正してもよい。実施例5 ジフテリア−破傷風−百日ぜき(無細胞性成分)−B型肝炎混合ワクチン製剤実施例1で調製したHBsAg吸着濃縮物50mlを最終混合物にさらに添加すること以外は実施例4の方法を適用する。得られた混合物を等張セイラインで最終体積0.5リットルとする。所望により防腐剤(メルチオレート,1:20,000ないし1:10,000または2−フェノキシエタノール,3ないし6mg/ml)を添加してもよい。DTおよびDTPワクチンに関してWHOにより示されているように最終pHを6ないし7の間に合わせる。このバルクワクチンの0.5ml用量は、活性成分として、Dトキソイド:25LfTトキソイド:10LfDTdトキソイド:25μgFHAトキソイド:25μg69kDaOMP:8μg(所望による)所望により、より多量またはより少量の活性成分を使用するために方法を修正してもよい。実施例6〜10動物およびヒトでの研究実施例6 A型肝炎−B型肝炎混合ワクチン製剤最終体積約125ml中、Al(水酸化アルミニウムとして)0.02ないし0.2g、好ましくは0.04〜0.1gに吸着した不活性化A型肝炎ウイルス濃縮物(460,000Elisaユニット)を、実施例1記載のリン酸アルミニウムに吸着したHBsAg10mgを含有する濃縮物50mlと混合する。得られた混合物に等張セイラインおよびアミノ酸濃縮物(トラバソール(Travasol),バクスター−トラベノール・インク(Baxter−Travenol Inc)製)を添加して最終体積0.5リットル(アミノ酸1.5g含有)とする。その結果pHは6ないし7の間となる。バルクワクチン1ml用量中には、活性成分として、A型肝炎ウイルス抗原:800ElisaユニットHBsAg:20μg(蛋白)所望により、より多量またはより少量の活性成分を使用するために方法を修正してもよい。結果:HBsAg(1価ワクチン)を吸着した水酸化アルミニウム(AH)とリン酸アルミニウム(AP)とを比較する臨床的研究最初は血清反応陰性の健康な成人ボランティアを、20μgのHBsAg蛋白を1カ月間隔で3回接種して免疫化した。2回目および3回目の接種1カ月後に得た血清中の抗体レベルをオーサブ(アボット)(Ausab(Abbott)test)試験を用いて測定した。バックグラウンドよりも有意に高い力価を有する対象について応答があるものとした。力価をミリIU/mlで表した。結果をミリIU/mlで表した幾何平均(GMT)として示す。実施例7マウス免疫原性試験およびアジュバントとしての水酸化アルミニウム(HA)またはリン酸アルミニウム(AP)を伴ったHBsAgからなる混合ワクチンに関する加速安定性試験の結果10匹のOF1マウスの群を、皮下注射により、2.5μgのHBsAg(単一成分または混合)で2回(0日目、14日目)免疫化した。21日目の血液を抜き取り、オーサブ(アボット)試験を用いて抗−HBsAg力価を測定した。抗体力価をミリIU/mlとして計算した。バックグラウンドよりも有意に高い力価を有する動物について応答があるものとした。また結果を幾何平均(GMT)で計算した。DT−HB、DTPw−HB、DTPa−HBの結果により、HBsAgを吸着したAPが、応答を示した動物およびGMTの両方においてHBsAgを吸着したAHよりも良好な結果を示した。HBsAgを吸着したAPに対する応答は、1価のHBsAg投与により得られる応答と比肩しうるものであった。実施例8サルにおけるDTPwと混合したHBsAgの免疫原性水酸化アルミニウム(AH)およびリン酸アルミニウム(AP)吸着抗原についての結果セルコピテヌス・エチオプス(Cercopithenus aethiops)のサルに、0日目および30日目に10μgのHBsAg(単独または混合)を2回注射した。30日目および57日目の血清を取り、抗−HBsAg力価を測定(アーサブ,アボット試験)した。バックグラウンド(接種前の血清)よりも有意に高いレベルの抗体を有する動物を応答したものと見なした。GMTをミリIU/mlで計算した。AP吸着HBsAgがAH吸着HBsAgよりも良好な結果を示した。その応答は、1価のHBsAg投与により得られる応答と比肩しうるものであった。実施例9水酸化アルミニウム(AH)またはリン酸アルミニウム(AP)に吸着したHBsAgを用いた混合DTPwワクチンでの臨床的研究3、4および5カ月齢において、対象に、DTPwおよび10μgのHBsAg蛋白を含有する0.5ml用量を3回接種した。6カ月目に採血し、オーサブ試験で血清の力価を測定した。応答した対象(血清変換)のパーセント値は、バックグラウンドよりも有意に抗体レベルが上昇した対象数と関連する。防御のパーセント値は、力価が10ミリIU/mlに等しいか、またはそれより高い対照数と関連する。GMTはミリIU/mlである。DTPw−HBに関する結果により、AP吸着HBsAgが、AH吸着HBsAgと比較して満足な応答を引き起こしたことが示される。血清変換速度およびGMTは、1価のHBsAgワクチン(エンゲリックスB)で典型的に見られるデータと比肩するものであった。実施例10A型肝炎−B型肝炎混合ワクチンにおける水酸化アルミニウム(AH)またはリン酸アルミニウム(AP)に吸着したHBsAgの免疫原性および安定性10匹のOF1マウスに、0日目および14日目に、2.5μgのHBsAgを皮下注射により2回投与して免疫化した。21日目に採血し、実施例7のごとく抗−HBsAgの力価を測定した。HA−HB混合品の免疫原性および安定性の結果により、AP吸着HBsAgがより高い抗体レベルおよびより安定な形態を提供したことが示された。実施例11:ヒトにおけるさらなる臨床結果1.小児におけるDTPw−B型肝炎ワクチンの免疫原性実験Aスロバキアでの研究:計画:3−4−5カ月。リン酸アルミニウム上のHBsAg10μg;ベーリングウェルケから購入したDTPw(AH上のDT;AHとAPからなる混合物上のPw)この実施例および他の実施例において、II回目の後は2回目の接種の後を意味し、III回目の後は3回目の接種の後を意味する。つねに計画に示された注射時期の1カ月後にGMTを測定した。SPは血清変換率である。実験Bギリシャでの研究:計画 2−4−6カ月(実験Aと同じワクチン)実験Cスロバキアでの実験:計画 3−4−5カ月(リン酸アルミニウム上のHBsAg=5μg;実験Aと同様ベーリングウェルケから購入したDTP)実験Dスロバキアでの研究:計画 3−4−5カ月齢(リン酸アルミニウム上のHBsAg=10μg;実験Aと同様ベーリングウェルケから購入したDTPw)2.DTPaの免疫原性−小児におけるB型肝炎ワクチン実験Aトルコでの研究。AP上HBsAg10μg;AH上DTP(無細胞性)。予備試験の結果 B型肝炎表面抗原(HBsAg)およびn種の他の抗原を、水酸化アルミニウム(AH)およびリン酸アルミニウム(AP)のうち1種またはそれ以上のアジュバンとともに含有するワクチン組成物であって、nが2またはそれ以上であり、HBsAbを吸着させるためのアジュバントがリン酸アルミニウム(AP)であり、該他の抗原が、下記のもの:ジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、ヘモフィルス・インフルエンザbおよびA型肝炎のうち2種またはそれ以上に対する免疫を提供するように選択されるワクチン組成物。 さらなる抗原がA型脳膜炎およびC型脳膜炎に対して有効な抗原から選択されるものである請求項1記載のワクチン組成物。 少なくとも1種の他の抗原がリン酸アルミニウム(AP)に吸着している請求項1または2記載のワクチン組成物。 少なくとも1種の他の抗原が水酸化アルミニウム(AH)に吸着している請求項1または2記載のワクチン組成物。 nが2、3、4、5または6である請求項1ないし4のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 他の抗原がジフテリア(D)、破傷風(T)および百日ぜき(P)に対する免疫性を付与する請求項5記載のワクチン組成物。 百日ぜき成分が全細胞性百日ぜき(Pw)または無細胞性百日ぜき抗原(Pa)である請求項5記載のワクチン組成物。 加えて、ヘモフィルス・インフルエンザb(Hib)に対する抗原を含んでなる請求項6または7記載のワクチン組成物。 加えて、不活性化ポリオ(IPV)を含んでなる請求項6ないし8のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 加えて、A型肝炎に対する抗原を含んでなる請求項6ないし9のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 ワクチンの安定性が、HBsAg成分の免疫原性を実質的に失うことなく、37℃で1週間保持できるものである、請求項1ないし10のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 ワクチンのHBsAgの免疫原性が、適当なワクチン接種計画にて1ヶ月間隔でワクチン投与した場合に、ヒト小児において200mlU/ml(3回目の接種の1ヶ月後)またはそれ以上の幾何平均が認められるものである、請求項1ないし11のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 医薬として用いられる請求項1ないし12のいずれか1つに記載のワクチン組成物。 リン酸アルミニウム(AP)に吸着したHBsAgを水酸化アルミニウム(AH)またはリン酸アルミニウム(AP)に吸着した1またはそれ以上の他の抗原と混合することを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1つに記載のワクチン組成物の製法。 リン酸アルミニウム(AP)上に吸着されたHBsAgならびにリン酸アルミニウム(AP)または水酸化アルミニウム(HA)上に吸着されたジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、ヘモフィルス・インフルエンザbおよびA型肝炎から選択される他のn種の抗原(ここにnは2またはそれ以上)を含むワクチン組成物であって、リン酸アルミニウム(AP)がHBsAgを吸着するためのアジュバントとして用いられており、そのことによりHBsAg成分の安定性および/または免疫原性が、HBsAgを水酸化アルミニウム(HA)上に吸着させた対応混合ワクチンのそれよりも高められているワクチン組成物。 ワクチンの安定性が、HBsAg成分の免疫原性を実質的に失うことなく、37℃で1週間保持できるものである、請求項15記載のワクチン組成物。 ワクチンのHBsAgの免疫原性が、適当なワクチン接種計画にて1ヶ月間隔でワクチン投与した場合に、ヒト小児において200mlU/ml(3回目の接種の1ヶ月後)またはそれ以上の幾何平均が認められるものである、請求項15または16に記載のワクチン組成物。 DTP−B型肝炎ワクチン組成物である請求項15〜17のいずれか1項記載のワクチン組成物。 DTP−B型肝炎−Hibワクチン組成物である請求項15〜17のいずれか1項記載のワクチン組成物。 DTP−B型肝炎−Hib−IPVワクチンである請求項15〜17のいずれか1項記載のワクチン組成物。 DTP−B型肝炎−Hib−IPV−A型肝炎ワクチンである請求項15〜17のいずれか1項記載のワクチン組成物。 無細胞性百日ぜき(Pa)成分がワクチン組成物中に存在し、そのPaがペルタクチンを含んでなる、請求項1ないし13または15ないし21のいずれか1項に記載のワクチン組成物。 無細胞性百日ぜき(Pa)成分がワクチン組成物中に存在し、そのPaがペルタクチンを含んでなる、請求項14記載の製法。 0.5ml用量のワクチンが、以下の活性成分:ジフテリアトキソイド:7.5Lf破傷風トキソイド:3.25Lf全細胞性百日ぜき抗原:15OUHBsAg:10μg蛋白を含んでなる請求項7記載のワクチン組成物。 0.5ml用量のワクチンが、以下の活性成分:ジフテリアトキソイド:25Lf破傷風トキソイド:10Lf不活性化百日ぜきトキシン:25μg纎維状赤血球凝集素:25μgペルタクチン:8μgを含んでなる請求項7記載のワクチン組成物。