タイトル: | 特許公報(B2)_新規ビスオキサゾリン化合物 |
出願番号: | 1994256857 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07D493/10,B01J27/25,C07B61/00,C08G85/00 |
大沼 吉信 金山 薫 JP 3551493 特許公報(B2) 20040514 1994256857 19941021 新規ビスオキサゾリン化合物 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 大沼 吉信 金山 薫 20040804 7 C07D493/10 B01J27/25 C07B61/00 C08G85/00 JP C07D493/10 B01J27/25 C07B61/00 C08G85/00 7 C07D493/10 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) 特開昭55−66569(JP,A) 1 1996119970 19960514 7 20010321 大久保 元浩 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂、オリゴマー等の架橋剤または鎖延長剤として、あるいは電気機器やその部品の絶縁材料、接着剤及び成形材料の原料として有用なビスオキサゾリン化合物に関する。【0002】【従来の技術】従来、ビスオキサゾリン化合物としては、脂肪族ジカルボン酸とアミノアルコールから脱水反応により得られる、例えば2,2´−エチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2´−テトラメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2´−ヘキサメチレン−ビス(2−オキサゾリン)等の脂肪族ビスオキサゾリン化合物(Tetradron Lett.,25(6),675,1984)や、2,2´−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)(武田薬品工業、商品名,1,3−PBO)、2,2´−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)(特開昭55−66569号公報)等の芳香族ビスオキサゾリン化合物が知られている。【0003】しかし、これら脂肪族及び芳香族ビスオキサゾリン化合物をポリエステル等の合成樹脂の鎖延長剤およびエポキシ樹脂等のオリゴマーの架橋剤として用いて得られたポリマーは、一般的に可撓性に乏しく、成形材料として使用した場合、ヒビや割れを生じやすいという欠点を有している。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のビスオキサゾリン化合物では得られない、可撓性に優れたポリマーを与える新規なビスオキサゾリン化合物を得ようとするものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式(I)【0006】【化2】【0007】〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は水素原子、メチル基またはエチル基を示す〕で示されるビスオキサゾリン化合物を提供するものである。本発明の一般式(I)で表わされるビスオキサゾリンは、例えば、ペンタエリスリトールとβ−シアノプロピオンアルデヒドとの反応生成物である下記式(II)【0008】【化3】【0009】で示される3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラスピロ〔5.5〕ウンデカンと、下記一般式(III)【0010】【化4】【0011】〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は前記と同じ〕で示されるアミノアルコール化合物とを金属塩触媒の存在下、有機溶媒中で反応することにより、前記一般式(I)で示されるビスオキサゾリン化合物を得ることができる。かかるアミノアルコール化合物としては、2−アミノエタノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール等が挙げられる。【0012】また、金属塩触媒としては、塩化コバルト、酢酸コバルト、硝酸コバルト等のコバルト塩、塩化クロム、硫酸クロム等のクロム化合物、硝酸カドミウム、塩化カドミウム、硫酸カドミウム等のカドミウム化合物、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケル化合物、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、塩化スズ、酸化スズ、硫酸スズ等のスズ化合物が挙げられる。使用される量は、ジニトリル化合物1モルに対して、0.0001〜0.5モル、好ましくは0.001〜0.1モルである。【0013】また、本反応に使用される有機溶媒は水に難溶性のものが好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、キュメン、メシチレン等の芳香族炭化水素、1,2−ジクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、クロルトルエン、1,1,2,2−テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ギ酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジグライム等の非プロトン性極性溶媒及びプロパノール、ブタノール、ヘキサノール等のアルコールが挙げられる。有機溶媒の使用量は式(II)で示される上記ジニトリル化合物1重量部に対し0.5〜30重量部、好ましくは1〜10重量部である。【0014】反応は、上記ジニトリル化合物1モルに対し、一般式(III) で示されるアミノアルコール化合物を2〜10モル用い、80〜200℃の温度範囲で1〜24時間、脱アンモニア反応を行なう。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、触媒等を除去した後、前記反応溶媒を留去するか、または、反応溶液を冷却して、生成したビスオキサゾリン化合物を結晶として、単離することにより得ることができる。アミノアルコールを過剰に用いた場合、反応後、反応液を静置すると、使用した触媒を溶解しているアミノアルコール層が分液されることがあるのでこれを除去し、残った有機層を冷却してビスオキサゾリン化合物を結晶として得ることができる。結晶は必要に応じ、水、エステル、ケトン、アルコール等の有機溶媒またはその混合溶媒で洗浄する。単離された結晶は融点以下、好ましくは融点から30℃低い温度以下で加熱乾燥して精製することが好ましい。【0015】【実施例】以下、実施例により本発明の製造方法をさらに詳しく説明する。実施例1温度計、撹拌機及び冷却器の付いた500mlの四口フラスコ内に、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン80g(0.3モル)、2−アミノエタノール73.2g(1.2モル)、硝酸カドミウム・四水和物1.2g及びo−キシレン180gを仕込み、還流下、内温137〜143℃で、副生するアンモニアを希酢酸水溶液中にトラップし中和しながら12時間反応を行った。【0016】終了後、過剰の2−アミノエタノール層を分液ロートにて分別、除去した後、反応溶液を30℃に冷却した。淡褐色の結晶が析出したので、濾別し、結晶をアセトン/酢酸エチルの1:1(重量比)混合溶媒で洗浄後、80℃で20時間乾燥して白色粉末のビスオキサゾリン化合物67.2gを得た(収率63.3%)。融点142〜144℃。【0017】得られた化合物が目的物であるかどうかは1H−核磁気共鳴スペクトルにより同定された。得られたスペクトルは図1に示すとおりであり、各ピークは下記のように帰属され、下記構造式であることを確認した。【0018】【表1】【0019】【化5】【0020】実施例22−アミノエタノールの代わりに2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを用いる以外は実施例1と同様にして、白色板状結晶のビスオキサゾリン化合物61.8gを得た(収率50.2%)。融点120〜121℃。得られた化合物が目的物であるかどうかは1H−核磁気共鳴スペクトルにより同定された。得られたスペクトルは図1に示すとおりであり、各ピークは下記のように帰属され、下記構造式であることを確認した。【0021】【表2】【0022】【化6】【0023】【発明の効果】本発明により得られるビスオキサゾリン化合物は、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基、アミノ基などの活性水素を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマー、エポキシ樹脂および酸無水物化合物等と反応して、強靱なポリマーを得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1において合成されたビスオキサゾリン化合物の核磁気共鳴スペクトルである。【図2】実施例2において合成されたビスオキサゾリン化合物の核磁気共鳴スペクトルである。 下記一般式(I)〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は水素原子、メチル基またはエチル基を示す〕で示されるビスオキサゾリン化合物。