タイトル: | 特許公報(B2)_ジルコニアの製造方法 |
出願番号: | 1994248374 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C01G25/02,B01J21/06,B01J23/75,B01J32/00,B01J35/02,C07C1/04,C07B61/00,C10G2/00 |
ポール・ブランケンスタイン パウルス・ヨハネス・マリア・レツク JP 3591597 特許公報(B2) 20040903 1994248374 19940919 ジルコニアの製造方法 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ 390023685 SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP 川原田 一穂 100064355 ポール・ブランケンスタイン パウルス・ヨハネス・マリア・レツク NL 93202731.1 19930921 20041124 7 C01G25/02 B01J21/06 B01J23/75 B01J32/00 B01J35/02 C07C1/04 C07B61/00 C10G2/00 JP C01G25/02 B01J21/06 Z B01J32/00 B01J35/02 K C07C1/04 B01J23/74 311Z C07B61/00 300 C10G2/00 7 C01G 25/00 B01J 13/00 特開平03−232724(JP,A) 特開平01−294532(JP,A) 19 1995089724 19950404 9 20010704 大工原 大二 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ジルコニア先駆体、成形可能なドウおよび成形ジルコニア粒子の製造方法に関し、特に触媒もしくは触媒先駆体の製造に有用なジルコニア先駆体、成形可能なドウおよび成形ジルコニア粒子に関するものである。【0002】【従来の技術】ジルコニア(二酸化ジルコニウム)は、触媒としての或いは触媒用の担体もしくは支持物質としての用途を有する。触媒として或いは触媒担体として使用する場合、ジルコニアは大きい表面積を有すると共にその表面積が高温度にて安定であることが望ましい。さらに、多くの用途につき触媒もしくは触媒担体として使用するのに適するためには、ジルコニア生成物が所要用途につき充分な強度を有することも重要である。これは、特に触媒がたとえば押出により成形されたジルコニアの粒子を含む場合である。ジルコニアは、主たる条件に応じ多数の結晶型で存在する。たとえばジルコニアは温度および圧力の周囲条件下で、安定な単斜晶系の結晶構造として存在する。極端な圧力下または典型的には450〜1000℃の程度の高温度にてジルコニアは正方晶系の結晶構造として存在する。一層高い温度(典型的には1500℃を越える温度)にて立法晶の結晶相が形成する。ジルコニアの性質に関する一般的説明については、カーク・オスマー「エンサイクロペジア・オブ・ケミカル・テクノロジー」、第2版、第22巻、第651〜655頁が参照される。【0003】ジルコニアの製造は、当業界で周知された方法により行うことができる。たとえばフランス特許出願公開第2 590 887号(FR−A−2 590 887号)は、水酸化ジルコニウムを硝酸ジルコニルの溶液からアンモニア水溶液の添加により沈澱させ、次いで得られた沈殿物を乾燥すると共に焼成することからなる方法によるジルコニアの製造を開示している。同様な方法がB.H.デービス等、「アルコールの接触変換。II.ジルコニアの選択性に対する製造および予備処理の影響」、インダストリアル・エンジニアリング・ケミストリー・Prod.Res.Dev. 、第18巻、第3号(1979)、第191〜198頁およびM.J.トラルボ等、「酸化ジルコニウムゲルの結晶化特性」、ジャーナル・オブ・キャタリシス、第86巻(1984)、第473〜476頁に開示されている。米国特許第4,822,575号公報は、硫酸ジルコニアの水溶液に対するアンモニアの添加に際し生成した沈殿物の焼成によりジルコニアを作成する同様な方法を開示している。【0004】P.D.L.メルセラ等、「触媒用支持体としてのジルコニア:空気中での焼成における組織および構造の発生」、アプライド・キャタリシス、第57巻(1990)、第127〜148頁は、塩化ジルコニルの溶液からpH10にて沈澱させ、次いで850℃の温度で空気中にて焼成することによるジルコニア試料の製造を記載している。このゲル−沈澱技術は、大きい表面積(450℃で焼成した後にBETにより測定して111m2 /gまで)を有するジルコニアを生成した。このジルコニアは良好に発生したメソポラス構造を有した。しかしながら、P.D.L.メルセラ等は、多孔質組織が不安定であると共に初期の大きい表面積が焼成温度の上昇と共に急速に喪失されることを報告している。実験の際に作成されたゲルは焼成に際し正方晶構造まで結晶化した。しかしながら、P.D.L.メルセラは、冷却に際しジルコニアが相転移を受けて実質的に単斜晶系の結晶生成物をもたらし、表面積と気孔容積との損失が生ずることを突き止めた。この結果、ジルコニア構造の収縮が生ずると共に材料強度の低下が生ずる。安定かつ大きい表面積のジルコニアを製造すべく多くの方法が提案されている。たとえばUSSR特許第1 370 079号(SU−A−1 370 079号)はアンモニア水溶液と硝酸ジルコニア水溶液との反応からなる単斜晶系ジルコニアの製造方法を開示しており、得られるゲルを洗浄すると共に乾燥させ、次いで生成物を熱処理にかけ、ここでは6〜10気圧の圧力下にて水蒸気の存在下に2〜10時間にわたり150〜175℃の温度に保つ。SU−A−1 370 079号には、この方法が正方晶系の結晶相を含まず105m2 /gの高い比表面積と0.19ml/gの気孔容積とを有するジルコニアを生成すると記載されている。【0005】さらに上記FR−A−2 590 887号は、ジルコニアを珪素、希土類金属もしくはアルミニウムの酸化物から選択される添加物と組合せてなる組成物を開示している。この添加物は、ジルコニアの比表面積を高温度にて安定化させると言われる。好適な安定化用添加物はイットリウム、ランタンおよびセリウムである。この添加物は組成物中に1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%の量で存在させることができる。組成物は、添加剤化合物の先駆体とジルコニア先駆体との共沈により作成することができる。或いは、添加物をジルコニア材料の含浸により組成物中に混入することもできる。米国特許第2,442,772号および第2,467,089号(それぞれUS−A−2,442,772号およびUS−A−2,467,089号)は両者とも、安定なジルコニアヒドロゲルの製造方法を開示している。この方法は、可溶性ジルコニウム化合物の水溶液を少なくとも2種の弱酸(たとえば酢酸、炭酸および亜硝酸)の水溶性塩と反応させて、実質的に沈殿物を含有しない均質なジルコニアヒドロゲルを生成させることからなっている。US−A−2,442,772号およびUS−A−2,467,089号は、この生成物をそのまま触媒または触媒成分として使用することを記載している。或いは、この生成物に他の酸化物などを含浸させ或いは他の材料と共に微粉砕することもできる。微粉砕はヒドロゲルを湿潤型にて必要に応じ湿潤シリカゲルと共に用いボールミルにて押出前に行うことができる。【0006】上記したように、多くの触媒用途はたとえば押出およびペレット化のような技術を用いて成形された予備成形触媒粒子を用いる。ヨーロッパ特許出願公開第0 510 772号(EP−A−0 510 772号)はジルコニア系触媒もしくは触媒先駆体の製造方法を開示しており、この方法はジルコニアおよび/またはジルコニア先駆体と溶剤との混合物を混練することからなり、混合物は20〜60重量%の固形物含有量を有し、この混合物を押出すことを含む。得られる押出物には適する触媒活性元素、好ましくはコバルトを含浸させることができる。EP−A−0 510 772号に記載された方法を用いて作成したジルコニア押出物は焼成すると収縮を受け、或る種の用途に必要な強度の仕様に合致しない弱い押出物をもたらすことが判明した。このような場合、たとえばシリカのような耐火性酸化物を押出される混合物に添加することにより、結合剤として作用させると共に最終的な焼成押出物の強度を向上させることができる。驚くことに、ジルコニア含有触媒もしくは触媒先駆体を製造するのに最も適するジルコニア先駆体は、酸性ジルコニウム化合物の溶液を塩基性ジルコニウム化合物の溶液と接触させ、以下「ゲル」と称する物質の形態にて先駆体を生成させることにより作成しうることが判明した。【0007】【発明の要点】したがって第1面において本発明はジルコニア先駆体の製造方法を提供し、この方法は酸性ジルコニウム化合物の溶液を塩基性ジルコニウム化合物の溶液と接触させてゲルを形成させることからなっている。さらに本発明は、上記方法により得られるジルコニア先駆体をも提供する。この方法に使用するのに適した酸性ジルコニウム化合物はジルコニウムの有機酸塩および無機酸塩の両者を包含する。適する無機塩はたとえば塩化ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニウムおよび燐酸ジルコニウムである。適する有機塩は酢酸ジルコニウム、エタン酸ジルコニウムおよびプロパン酸ジルコニウムを包含する。特に適する酸性ジルコニウム化合物は有機酸塩、特に酢酸ジルコニウムである。この方法に使用するのに適した塩基性ジルコニウム化合物は有機および無機ジルコニウム化合物の両者を包含する。適する塩基性化合物は炭酸ジルコニウムおよび塩基性ジルコニウム錯体を包含する。最も適する塩基性ジルコニウム化合物は炭酸アンモニウムジルコニウムである。【0008】酸性および塩基性のジルコニウム化合物は、それぞれ適する溶剤に溶解して溶液を形成する。好ましくは同じ溶剤を用いて両溶液を形成させる。この溶剤は当業界で知られた任意適する溶剤とすることができ、たとえば水;アルコール、たとえばメタノール、エタノールおよびプロパノール;ケトン、たとえばアセトン;アルデヒド、たとえばプロパナール;並びに芳香族溶剤、たとえばトルエンである。最も便利かつ好適な溶剤は水である。これら2種の溶液は、混合により極めて簡単に接触させることができる。ジルコニア先駆体は、組合せた溶液から濾過によりゲルとして回収することができる。ジルコニア先駆体を好ましくは洗浄して、微量の原酸性および塩基性溶液を除去する。このようにして作成されたジルコニア先駆体は、触媒もしくは触媒先駆体として使用するための成形ジルコニア粒子の製造に出発物質として最も適している。この方法の第1工程として、ジルコニア先駆体を成形可能な物質(以下「成形可能なドウ」と称する)に形成する。したがって第2面において本発明は成形ジルコニア先駆体の製造に使用するのに適した成形可能なドウの製造方法を提供し、この方法は上記のように作成したジルコニア先駆体を成形可能にすることからなっている。本発明はさらに、この方法により得られる成形可能なドウをも提供する。【0009】成形可能なドウは、ジルコニア先駆体に存在する溶剤とジルコニア先駆体の固形物含有量との比を減少させることによりジルコニア先駆体から作成される。これは、ジルコニア先駆体を乾燥させ、すなわちジルコニア先駆体の溶剤含有量を減少させて達成することができる。乾燥の代案として、成形可能なドウはジルコニア先駆体を固体充填剤と合して得ることもできる。乾燥と固体充填剤添加との組合せを用いて、成形可能なドウを作成することができる。ジルコニア先駆体を乾燥するのに適する技術は当業界で周知されている。典型的には、乾燥はジルコニア先駆体を200℃まで、より好ましくは150℃までの温度に加熱して行うことができる。温度は、ジルコニア先駆体に対し実質的な化学変化を与えることなく溶剤をジルコニア先駆体から蒸発させるのに充分高くなるよう選択される。ジルコニア先駆体へ添加するのに適する充填剤は耐火性酸化物、たとえばアルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアを包含する。シリカが、成形可能なドウの形成に使用するのに最も適した充填剤である。成形可能なドウは、用いるべき成形処理に必要な固形物含有量を有するよう作成される。典型的には、成形可能なドウの固形物含有量は20〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲である。【0010】ジルコニア先駆体からの成形可能なドウの作成は好ましくは混練操作からなっている。混練操作の使用は、成形可能なドウの最適組織をその後の成形段階につき準備すべく得ることを可能にする。これは、充填剤を用いて成形可能なドウを作成する場合、特に有利である。さらに、成形すべきドウの溶融性を向上させるため、ドウは1種もしくはそれ以上の表面活性剤もしくはポリ電解質(しばしば流れ向上剤とも称する)を含むことができる。この流れ向上剤は、便利には混練操作の際に組成物に含ませることができる。流れ向上剤の添加は一層スムースな組織を与えると共に、その後の成形操作を容易化させる。適する流れ向上剤は脂肪族アミン、第四アンモニウム化合物、脂肪族モノカルボン酸、エトキシル化アルキルアミン、ポリビニルピリジンおよびスルホキソニウム、スルホニウム、ホスホニウムおよびイオドニウム化合物、アルキル化芳香族化合物、非環式モノカルボン酸、脂肪酸、スルホン化芳香族化合物、アルコールサルフェート、エーテルアルコールサルフェート、硫酸化油脂およびホスホン酸塩、ポリエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオールおよびアセチレン系グリコールを包含する。好適な添加物はナルコおよびスーパーフロック(それぞれ登録商標)として市販されている。【0011】流れ向上剤は、好ましくは混合物の全重量に対し1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%の範囲の全量にて成形可能なドウに存在させる。典型的には、成形可能なドウを10〜120分間、好ましくは15〜90分間の全時間にわたり混練する。混練過程に際し、エネルギーを混練装置によりドウ中に導入する。ドウ中へのエネルギーの導入速度は典型的には0.05〜50Wh/min/kg、好ましくは0.5〜10Wh/min/kgの範囲である。混練過程は広範囲の温度、好ましくは15〜50℃にて行うことができる。混練過程に際しドウ中へエネルギーを導入する結果、混練の間にドウの温度が上昇する。混練過程は便利には周囲圧力にて行われる。任意適する市販の混練機を用いることができる。所望ならば、成形可能なドウは、1種もしくはそれ以上の触媒活性成分の原料を含むよう作成することもできる。本発明の目的で、「触媒活性成分」と言う用語は、1種もしくはそれ以上の反応に関し触媒として活性である元素、並びに助触媒もしくは促進剤として活性な元素を意味する。したがって、ドウは元素周期律表第IB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII族またはランタニドおよびアクチニドよりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の元素の原料を含むことができる。特に、ドウは周期律表第VIII族の1種もしくはそれ以上の元素、特に鉄、ルテニウム、コバルト、レニウム、ニッケル、パラジウムおよび白金、殊にコバルト、鉄およびニッケルから選択される元素または周期律表第IVB族から選択される元素、特にチタンおよび/またはジルコニウムの原料を含むことができる。【0012】触媒活性成分の典型的な原料は有機酸から得られる塩、たとえば酢酸塩、安息香酸塩、エタン酸塩およびプロパン酸塩;ハロゲン化物、たとえば塩化物、臭化物、沃化物および弗化物;並びに他の塩、たとえば硝酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩および塩素酸塩を包含する。触媒活性成分の原料は、混練操作中にドウに含ませることができる。上記したように、成形可能なドウは、本明細書では「成形ジルコニア先駆体」と称する成形ジルコニア粒子の製造に最も適する出発物質である。したがって他面において本発明は成形ジルコニア先駆体の製造方法をも提供し、この方法は上記ドウを成形することからなっている。さらに本発明は、この方法により得られる成形ジルコニア先駆体をも提供する。当業界で知られた任意の適する成形技術を、本発明におけるドウの成形に用いることができる。ドウを成形するための適する1つの技術はペレット化である。成形触媒先駆体の製造に特に適した最も適する成形法は押出である。押出は任意慣用の市販押出機を用いて行うことができる。特にスクリュー型押出機を用いて、ドウを適するダイプレートにおけるオリフィスに強制通過させることにより所望形状の押出物を得ることができる。押出に際し形成されたストランドを所望の長さまで切断もしくは破砕することができる。【0013】押出物は任意適する形状を有することができる。一般的に用いられる形状の例はシリンダ、たとえば密実もしくは中空シリンダを包含する。或いは、押出物は断面をマルチローブまたはトウィステッド・マルチローブとすることができる。触媒用途につき、押出物は典型的には0.5〜5mm、より好ましくは1〜3mmの範囲の公称直径を有する。成形可能なドウまたは充填剤のいずれをも成形過程に際し解膠させる必要のないことが、本発明の方法および生産物の特徴である。これは不必要であることが判明した。比較としてEP−A−0 510 772号に記載かつ例示された方法においては、混合物を先ず最初に解膠剤を用いて処理した後に押出すことが好適な特徴である。EP−A−0 510 772号の例において、これは混合物中に存在するシリカおよびジルコニアの両者を解膠する作用を有する。これは、EP−A−0 510 772号に例示された方法においてシリカがジルコニア粒子の結合剤として化学的に作用すると言う効果を有する。これに対し、本発明の成形可能なドウに含ませうる充填剤は実質的に不活性に留まり、成形すべき適するコンシステンシーをドウに与えるよう単に存在するに過ぎない。この種の解膠処理は、本発明の方法では必要とされない。【0014】さらに、成形前に本発明のジルコニア先駆体に添加することが必要とされる充填剤の量は、EP−A−0 510 772号に記載された方法にて押出前に好ましくは混合物中に含ませる耐火性酸化物結合剤の量よりも極めて少いことが判明した。これは、本発明の方法を従来技術に記載された方法の生産物よりも実質的に多いジルコニア含有量を有する形成ジルコニア粒子の製造に使用することを可能にする。成形の後、成形ジルコニア先駆体の作成は好ましくは乾燥工程を含む。乾燥は高められた温度、好ましくは800℃まで、より好ましくは300℃の温度にて行うことができる。乾燥時間は典型的には5時間まで、より好ましくは30分間〜3時間である。成形ジルコニア先駆体の焼成は成形ジルコニア粒子をもたらす。焼成は高められた温度、好ましくは1000℃まで、より好ましくは200〜1000℃、特に好ましくは300〜800℃にて行われる。焼成は典型的には5時間まで、好ましくは30分間〜4時間にわたり行われる。焼成は、たとえば先駆体を空気中で加熱することにより、或いは先駆体と接触する火炎の熱排気ガスを用いて直接加熱により行うことができる。【0015】成形ジルコニア粒子は、触媒として直接に用いることができる。或いは、成形ジルコニア粒子を最終的触媒製品の製造に触媒先駆体として用いることもできる。触媒先駆体として使用する場合、成形ジルコニア粒子は沈着工程にかけられ、ここで1種もしくはそれ以上の触媒活性成分の原料を粒子に沈着させる。この原料は、上記した元素周期律表の各群における任意の元素とすることができる。ジルコニア粒子を触媒活性成分の原料を含むドウから作成する場合、同一もしくは異なる元素の原料の沈着を行うことができる。沈着は当業界で知られた任意の技術によって行うことができる。触媒活性成分をジルコニア粒子に沈着させる好適技術は含浸である。含浸は、ジルコニア粒子を液体の存在下に好ましくは元素の化合物の溶液として所望元素の化合物と接触させることにより行うことができる。【0016】仕上触媒に存在させる触媒活性成分は、担体100重量部当り全量で1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部で存在させることができる。他面において本発明は、上記方法により作成される触媒をも提供する。本発明による方法の触媒製品は、上記触媒活性成分とジルコニア含有担体とからなる触媒を用いうる任意の工程に使用される。特に触媒活性成分がフィッシャー・トロプシュ触媒として活性であれば、これら触媒製品は一酸化炭素と水素との混合物からの炭化水素の合成(いわゆるフィッシャー・トロプシュ合成)に用いることができる。典型的には、炭化水素合成反応は125〜350℃、より好ましくは175〜250℃の範囲の温度で行われる。反応圧力は典型的には5〜100バール、より好ましくは10〜50バールの範囲である。供給物における水素/一酸化炭素の比は典型的には1.5より大、好ましくは1.75〜2.25であり、未変換の一酸化炭素と水素とを循環させて再び触媒と接触させる。【0017】【実施例】以下、限定はしないが実施例により本発明の方法をさらに説明する。これら実施例において、灼熱損失に関する数値は、試料を550〜600℃の範囲の温度まで加熱した際に喪失する水に基づいて現す。実施例1ジルコニア先駆体ゲルの作成炭酸アンモニウムジルコニウムの第1水溶液を市販供給業者から得た(バコテ20、マグネシウム・エレクトロン・リミテッド社、21重量%当量のZrO2 、100g)。酢酸ジルコニウムの第2溶液を市販供給業者から得た(マグネシウム・エレクトロン・リミテッド社、20重量%当量のZrO2 、45g)。これら2種の溶液を撹拌しながら互いに混合した。硬質ゲルが生成した。成形可能なドウの作成上記のように作成した充分量のゲルを採取し、ゲル中の水の蒸発により乾燥させて200gの成形可能なドウを得た。この成形可能なドウに、水(5g)と流れ向上剤(ナルコ)(2重量%水溶液として4g)とを添加した。得られた混合物を15分間混練した。得られた成形可能なドウは8.0のpHと69.6重量%の灼熱損失とを有した。成形ジルコニア先駆体および触媒先駆体の作成上記のように作成した成形可能なドウを3mmの鋼材トリローブマトリックス挿入体を有する1インチのボンノット押出器により押出して、3mmの公称直径を有するトリローブ押出物の形態で成形ジルコニア先駆体を得た。得られた押出物を120℃の温度で乾燥させた。その後、押出物を800℃の温度で焼成して、ジルコニアの白色押出物よりなる触媒先駆体を得た。この触媒先駆体は良好な破砕強度と0.1mm/gの気孔容積とを有した。【0018】実施例2ジルコニア先駆体ゲルの作成ジルコニア先駆体ゲルを上記実施例1に記載したように作成した。成形可能なドウの作成このように作成した成形可能なドウ(290g)と水酸化ジルコニウム[Zr(OH)4 、マグネシウム・エレクトロン・リミテッド社、79重量%当量のZrO2 、150g]とシリカ[シペルナート50、デグッサ社、34.4重量%当量のSiO2 、40g]とを合し、得られた混合物を20分間にわたり混練して成形可能なドウを形成させた。流れ向上剤(スーパーフロック)(乾燥ドウに基づき約1重量%の濃度を与えるのに充分な量)を添加し、得られた混合物をさらに5分間にわたり混練した。得られた混合物を周囲条件下で空気中にて24時間にわたり静置させた。得られた成形可能なドウは8.0のpHと49.5重量%の灼熱損失とを有し、16重量%の量のシリカを含んだ。成形ジルコニア先駆体および触媒先駆体の作成上記のように作成した成形可能なドウを3mmのデルリントリローブマトリックス挿入体を有する1インチのボンノット押出器により押出して、3mmの公称直径を有するトリローブ押出物として成形ジルコニア先駆体を得た。得られた押出物を120℃の温度にて乾燥させた。その後、押出物を450℃の温度で焼成して触媒先駆体を得た。この触媒先駆体の物理的性質を下表に示す。【0019】【表1】【0020】触媒の作成上記のように作成した触媒先駆体押出物(30g)に、硝酸コバルトの溶液[Co(NO3 )2 ・6H2 O、11.6g、80℃まで加熱することにより溶融塩として作成]を接触により含浸させた。得られた押出物を120℃の温度にて乾燥させ、次いで500℃の温度まで10時間にわたり加熱すると共にその温度に1時間維持して焼成した。得られた触媒は酸化触媒に基づき7.1重量%のコバルトを含んだ。 酸性ジルコニウム化合物の溶液を塩基性ジルコニウム化合物の溶液と接触させてゲルを生成させることを特徴とするジルコニア先駆体の製造方法。 酸性ジルコニウム化合物を無機化合物、すなわち塩化ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、燐酸ジルコニウムまたは有機化合物、すなわち酢酸ジルコニウム、エタン酸ジルコニウムおよびプロパン酸ジルコニウムよりなる群から選択することを特徴とする請求項1に記載の方法。 塩基性ジルコニウム化合物を炭酸ジルコニウムまたは塩基性ジルコニウム錯体から選択することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。 各溶液を生成させるべく使用する溶剤を水、アルコール、ケトン、アルデヒドまたは芳香族溶剤から選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 両溶液を生成させるべく同じ溶剤を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 成形ジルコニア先駆体の製造に使用するのに適した成形可能なドウを製造するに際し、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により得られるジルコニア先駆体をa)乾燥して該先駆体の溶剤含有量を減少させるか、b)固体充填剤と合するか、或いはc)乾燥し、かつ固体充填剤と合することにより、ジルコニア先駆体を成形可能にすることを特徴とする成形可能なドウの製造方法。 ジルコニア先駆体を乾燥して成形可能なドウを得ることを特徴とする請求項6に記載の方法。 ジルコニア先駆体を固体充填剤と合して成形可能なドウを得ることを特徴とする請求項6に記載の方法。 充填剤が耐火性酸化物であることを特徴とする請求項8に記載の方法。 成形可能なドウが20〜60重量%の固形物含有量を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。 成形可能なドウを混練して作成することを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。 成形可能なドウの作成に際し、流れ向上剤を添加することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法。 成形可能なドウの作成に際し触媒活性成分の原料を添加することを特徴とする請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法。 請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法により得られる成形可能なドウを成形することを特徴とする成形ジルコニア先駆体の製造方法。 成形過程が成形可能なドウの押出からなることを特徴とする請求項14に記載の方法。 成形されたドウを乾燥させることを特徴とする請求項14または15に記載の方法。 請求項14〜16いずれか一項に記載の方法により得られる成形ジルコニア先駆体を焼成することを特徴とする成形ジルコニア粒子の製造方法。 触媒活性成分の原料を請求項17に記載の方法により得られる成形ジルコニア粒子に沈着させることを特徴とする触媒の製造方法。 沈着を成形ジルコニア粒子の含浸により行うことを特徴とする請求項18に記載の方法。