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タイトル:特許公報(B2)_洗剤用酵素造粒物の製造方法
出願番号:1994113991
年次:2004
IPC分類:7,C12N9/98,C11D3/12,C11D3/386


特許情報キャッシュ

谷本 均 山星 浩樹 宮原 務 JP 3565578 特許公報(B2) 20040618 1994113991 19940427 洗剤用酵素造粒物の製造方法 花王株式会社 000000918 細田 芳徳 100095832 谷本 均 山星 浩樹 宮原 務 20040915 7 C12N9/98 C11D3/12 C11D3/386 JP C12N9/98 C11D3/12 C11D3/386 7 C12N 9/48-99 C11D 3/12 C11D 3/386 JSTPlus(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG) 国際公開第87/004184(WO,A1) 6 1995289259 19951107 16 20000810 左海 匡子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は製造時の酵素の失活や造粒ロスによる酵素のロスが少なく、製造後の保存時の酵素の安定性が良好で、しかも使用時の分散溶解性が良好な、洗浄有効成分を含有した洗剤用酵素造粒物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】衣料用の粉末洗剤には、その洗浄力をより高めるために各種の酵素が配合されている場合が多い。この酵素は洗剤が使用される洗濯時に水中に溶解して効果を発揮する。従って粉末洗剤が製造されてから使用にいたるまでの期間、粉末洗剤中で酵素はできるだけ失活せずに機能を保持し続けることが必要である。そのためには酵素成分と洗剤成分あるいは外気との接触をできるだけ最小にしなければならない。また安全性の面から、製造時の作業者や使用時の消費者が酵素との接触をできるだけ避ける必要もある。そのために通常、酵素は粉末洗剤に配合する際には造粒物として配合されている。【0003】洗剤配合用酵素造粒物およびその製造方法に関しては、従来より種々検討がなされてきた。特に酵素のみでの造粒が困難であるため、造粒時の添加剤についての検討が多く行われている。そして、最も一般的な造粒添加剤である水溶性無機塩の使用以外にも、特開昭60−262900号公報に記載のある硫酸カルシウムや炭酸カルシウムなどの難溶性塩の使用や、特開昭53−6484号公報に記載のあるセルロースあるいは特開昭61−92570号公報に記載のある合成繊維といった繊維状フィラーの使用などが検討されている。しかしながらこれらの成分は、洗剤用酵素造粒物の成分として考えた場合に洗浄機能への寄与が期待できず、逆に洗浄阻害作用が考えられるものもある。【0004】酵素造粒物の成分として、洗浄時に機能する洗浄ビルダー成分を使用することに関しては、例えば特開昭60−37983号公報、特開昭58−179492号公報にアルミノ珪酸塩(ゼオライト)を酵素造粒物に使用することが記載されている。【0005】これらの記載については、特開昭60−37983号公報はゼオライト等を核剤とし、酵素を含有する液をそれに噴霧しつつ球形造粒し、ゼオライトを含有するバインダー溶液を噴霧して表面を被覆する方法であり、特開昭58−179492号公報は粒剤の中心核材の材料としてゼオライトを用いるものであり、10〜30メッシュ程度の粒径が好ましいとしている。これらはいずれもアルミノ珪酸塩を造粒物粒子の核としてあるいは表面に極在化させて使用することについての記載であり、アルミノ珪酸塩を造粒物中で実質的に酵素成分と均質に混合させて、造粒物の造粒性及び酵素の安定性に寄与することに関する記載はない。【0006】また、造粒時に用いるバインダーについては、前述の特許公開公報の他に特開昭57−165492号公報や特開昭60−37983号公報などの酵素造粒物に関する検討において、水溶液あるいは他の溶媒による溶液の形で用いられており、湿式造粒法で行われる場合が多い。この場合、粒子の強度を高めて発塵を防ぐとともに保存時の酵素の安定性を高めるために乾燥工程が必須となる。しかし乾燥を行うことにより、酵素造粒物はどうしても高温にさらされるために酵素の失活を招き易い。【0007】これを避けるために国際公開番号WO87/04184号公報においては、水あるいは溶媒を用いない乾式造粒を行う方法が提案されている。しかしながら、この場合に基本的な造粒組成を変えること無く造粒法を湿式から乾式に変更した場合には、特に水溶性塩を造粒添加剤として用いた場合には、造粒装置への造粒物の付着が激しく、造粒物の回収率が低下するとともに、付着の除去が必要となり作業性も悪くなる。【0008】一方、造粒添加剤として難溶性塩や繊維状フィラーを用いると造粒物の付着は低減し、造粒物の回収率や作業性は良くなるが、乾式造粒では湿式造粒に比べてバインダーを多く用いる必要があるため、造粒添加剤同士が強固な集合体を形成し、酵素造粒物の使用時における造粒物の溶解性の低下による酵素の効果発現の低下や溶残物による問題が生じる。【0009】従って本発明は、酵素造粒物製造時の造粒性が良好で、洗浄作用にも影響を及ぼすこと無く洗浄力の向上に寄与し、しかも酵素の造粒時及び保存時の酵素安定性が良好な洗剤用酵素造粒物の製造方法を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、洗剤用酵素とアルミノ珪酸塩粉末を含有する混合物を水溶性有機バインダーを使用して攪拌転動造粒法により乾式造粒を行うことで、製造時の酵素の失活が少なく、造粒物の回収率が高く、製造後の保存時の酵素の安定性が良好で、しかも使用時の分散溶解性が良好な、洗浄有効成分を含有した洗剤用酵素造粒物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0011】即ち、本発明の要旨は、(1)洗剤用酵素およびアルミノ珪酸塩粉末を含有する混合物を水溶性有機バインダーを用いて乾式造粒を行うにあたり、攪拌転動造粒機を用いて、造粒時の造粒物の温度を40〜90℃に保持して造粒を行い、該造粒物中のアルミノ珪酸塩含有量が5〜80重量%であって、該造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在する洗剤用酵素造粒物を得ることを特徴とする洗剤用酵素造粒物の製造方法、(2)混合物中にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、および塩酸塩からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の無機塩をさらに含有する前記(1)記載の製造方法、(3)アルミノ珪酸塩が式(1)で示される結晶性アルミノ珪酸塩である前記(1)又は(2)記載の製造方法、x(M2 O)・Al2 O3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1)(式中、Mはナトリウム,カリウム等のアルカリ金属原子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数である)(4)アルミノ珪酸塩が式(2)で示される無定形アルミノ珪酸塩である前記(1)又は(2)記載の製造方法、x’(M2 O)・Al2 O3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2)(式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む任意の正数である)(5)水溶性有機バインダーが次の(a)〜(c)(a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、(b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上である前記(1)〜(4)いずれかに記載の製造方法、(6)酵素が造粒物に含まれる水溶性有機バインダーおよび/または造粒物に含まれる増量剤を分配基剤に使用した水性二相分配法により精製されたものであり、かつそれが水溶性有機バインダーおよび/または増量剤との混合物として造粒に用いられる前記(1)〜(5)いずれかに記載の製造方法、に関する。【0012】本発明の製造方法において用いられる洗剤用酵素としては、洗剤へ配合して効果を発揮する酵素であれば特に制限されないが、リパーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、およびデキストラナーゼから選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。なかでもリパーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼがより好ましい。造粒物中の酵素の含有量は特に制限はないが、洗剤に配合して使用する際の効果から考えて一般には0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。【0013】本発明の造粒時に配合する酵素の形態としては、一般には菌体分離した酵素濃縮液に硫酸ナトリウム等の増量賦形剤を添加して噴霧乾燥し粉末化した物が用いられる。また、特に本発明の造粒時に配合する酵素の形態として好ましいものの一つに、水性二相分配法により精製され、そのまま水性二相分配基剤と混合状態で固形化あるいは粉末化された酵素が挙げられる。【0014】水性二相分配法とは、2種の水溶性高分子の混合溶液、水溶性高分子と水溶性無機塩の混合溶液、あるいは水溶性高分子と水溶性有機塩の混合溶液が二相に分離する現象に基づいて、この二相間での酵素の分配を利用した酵素の分離精製法である。このとき、用いられる水溶性高分子としては、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール硫酸などのポリエチレングリコール誘導体、メチルセルロース等が挙げられ、水溶性無機塩としては硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられ、水溶性有機塩としてはクエン酸ナトリウム等が挙げられる。【0015】これらの水溶性高分子、水溶性有機塩は、本発明の水溶性有機バインダーとして作用し、水溶性無機塩は増量剤として用いることができる。この水性二相分配法により精製された酵素は、水溶性高分子を含有する相に分配精製された場合には乾燥し造粒された後の造粒物中では水溶性高分子相の内部に包含された状態になり酵素が保護されて安定性がより向上する。そのため通常は酵素造粒物は外部表面をワックス、高分子物質等でコーティングされて安定性を維持するが、水性二相分配の水溶性高分子相に分配され高分子と共に乾燥・造粒された酵素の場合にはコーティングすること無しに造粒物の安定性が維持される。また水溶性無機塩あるいは水溶性有機塩を含有する相に分離精製される場合でも、水性二相分配法による分離精製は通常用いられる限外濾過法や逆浸透法、遠心分離法などの方法に比べて酵素に対する影響がマイルドで酵素の歩留まりも良いので、酵素を効率よく造粒物にすることができる。このように水性二相分配法により精製された酵素を本発明の造粒法で造粒すれば、発酵から造粒までの全工程を通しての酵素の全体回収率がよく、さらに安定性も良好な洗剤用酵素造粒物を製造することができる。【0016】本発明の製造方法において用いられるアルミノ珪酸塩としては次のような物が挙げられる。【0017】次の式(1)で示される結晶性アルミノ珪酸塩x(M2 O)・Al2 O3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1)(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数である)【0018】特に洗浄への寄与性能から次の一般式で示されるものが特に好ましい。Na2 O・Al2 O3 ・aSiO2 ・bH2 O(式中、aは1.8〜3.0、bは1〜7を表す)【0019】次の式(2)で示される無定形アルミノ珪酸塩x’(M2 O)・Al2 O3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2)(式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む任意の正数である)【0020】特に洗浄への寄与性能と造粒性改善効果から、次の一般式で示されるものが特に好ましい。Na2 O・Al2 O3 ・a’SiO2 ・b’H2 O(式中、a’は1.9〜4.1、b’は1〜7を表す)【0021】造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は5〜80重量%が適当であるが、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。アルミノ珪酸塩の含有量がこの範囲より少ないと、造粒時及び保存時の酵素安定効果が発現しにくい傾向があり、さらに造粒時における造粒装置への付着防止などの造粒性改善効果も発現しにくい傾向がある。またこの範囲を超えると、バインダーが過剰に必要となるため造粒物中に配合可能な酵素量が低減する傾向があるので好ましくない。【0022】このようなアルミノ珪酸塩粉末は、一次粒子の平均粒子径が20μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは0.1〜5μmのものが好ましい。平均粒子径がこの範囲を越えると造粒性改善効果が発現しにくくなる傾向があり、また洗浄時に衣類等に付着残留して不都合を生じ易い。ここで、アルミノ珪酸塩の一次粒子の平均粒子径は、光散乱を利用した方法、例えばパーティクルサイズアナライザー(堀場製作所(株)製)により、また顕微鏡観察による測定等で測定される。【0023】本発明における好適な水溶性有機バインダーとしては、次の(a)〜(c)(a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、(b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上が挙げられる。【0024】特に好ましい水溶性有機バインダーとしては、(a)のポリエチレングリコールおよびその誘導体として、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール硫酸、メトキシポリエチレングリコール等が挙げられ、(b)の非イオン界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ、(c)のポリカルボン酸塩としてはポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリアセタールカルボキシレート等のアルカリ金属塩が挙げられる。【0025】また特にこれらの水溶性有機バインダーは、洗剤に使用される成分でもあるので有用である。通常の水溶性有機バインダーの使用量は、バインダー毎に性質の相違があるので一概にはいえないが、得られる酵素造粒物の酵素活性をできるだけ高めるためにはできるだけ少量でバインダー効果が発現するのが一般には好ましい。そのため通常は5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。【0026】さらに本発明の造粒物には必要に応じて粉末あるいは固形状の増量剤を添加することができる。増量剤としてはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、塩酸塩からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の無機塩が用いられる。即ち、なかでも硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の水溶性無機アルカリ金属塩が洗浄への影響等を考えると好ましいが、本発明においてはアルミノ珪酸塩を用いるためカルシウムイオンやマグネシウムイオン等を捕捉して洗浄への影響を防止でき、さらに水溶性有機バインダーにはポリエチレングリコール、非イオン界面活性剤、ポリカルボン酸塩など分散剤としての効果を有する物も多いので、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、塩酸塩等も酵素の安定性向上効果を有しており使用可能である。同様の理由で水不溶性物質も使用可能である。但し、造粒用核粒子として使用する場合は水溶性物質が好ましく、例えば硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、砂糖等を挙げることができる。核粒子として使用する場合の平均粒子径は0.2mmから1.2mmが好ましい。また増量剤としては一種類の増量剤のみならず2種以上の増量剤を組み合わせて使用してもかまわない。増量剤の使用量に特に制限はないが、好ましくは70重量%以下である。【0027】本発明における乾式造粒法は、洗剤用酵素造粒物を製造するに際し前記のようなアルミノ珪酸塩を造粒添加剤として使用し、得られる酵素造粒物中の酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在するところに特徴がある。ここで「実質的に均質」とは、200μmから2000μmの大きさの酵素造粒物の場合に、酵素成分とアルミノ珪酸塩が、数μmから数十μmの大きさをそれぞれの構成単位としてランダムに入り交じった状態の相が観察され、さらにこの相が増量剤を取り巻く形で酵素造粒物を形成していることをいう。従って、得られる酵素造粒物の平均粒子径の0.3倍から1倍の平均粒子径を持つ核形成粒子の成分としてアルミノ珪酸塩を使用したり、逆に酵素造粒物の外部表面の色相を白色化するための着色顔料としてアルミノ珪酸塩を造粒物の外部表面のみに存在させる場合などは、本発明にいう「実質的に均質」の範囲には含まれない。但し、造粒物の断面を走査型電子顕微鏡等で観察した場合には、アルミノ珪酸塩やその他の無機成分の存在が明確に確認できるのに対して、酵素成分や水溶性有機バインダー成分などの有機物は可塑性を有する場合が多く、無機成分の周りを取り巻く形となる為に存在する大きさが確認しがたい場合もある。【0028】造粒時の添加剤としてアルミノ珪酸塩を使用することにより、造粒時においては、アルミノ珪酸塩を使用せずに水溶性無機塩や難溶性塩あるいは繊維状フィラーを使用した場合に比べて、造粒性、粘着性が制御されて、造粒操作中に造粒機の内壁への造粒物の付着や粗大粒子の発生によって収率が低下したり付着除去の必要による作業性の低下を避けることができる。またアルミノ珪酸塩はその分子構造中に持つ結晶水を温度により脱離させたり吸収したりすることができるために、造粒時及び造粒物形成後の造粒物内において湿度コントロール剤としての役目を果たし酵素の失活を抑制する効果がある。【0029】一方、洗剤使用時において、アルミノ珪酸塩としては特にイオン交換能を有する物が好適であり、イオン交換能を有することにより酵素の失活をまねく重金属イオンを捕捉して酵素の失活を抑制する効果を合わせ持つ。さらにアルミノ珪酸塩は水不溶性にもかかわらず水中での分散性が良好なため、アルミノ珪酸塩を用いた酵素造粒物の分散溶解性は良好である。【0030】また、特開昭62−257990号公報に記載のある核物質を造粒用核粒子として使用した洗剤用酵素顆粒の製造方法に本発明を適用してもよい。即ち、核粒子の表面に酵素をバインダーで付着させて球状の粒子を形成させる方法において、酵素とアルミノ珪酸塩を実質的に均質に混合された層として核粒子の外部に形成させることもできる。この場合にもアルミノ珪酸塩を使用しない場合に比べて収率向上、作業性向上、安定性向上等の効果が得られる。つまり、この場合の核粒子は、単に本発明における固形状増量剤として用いられたにすぎず、当然に本発明と同様の効果が得られるからである。【0031】本発明において乾式造粒を行う温度としては、造粒時の造粒物の温度を通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃に保持して行うのが好ましい。この範囲より高温では酵素の失活が避け得ず酵素活性の低下をまねく傾向がある。また、この範囲より低温では本発明のような水や溶媒などを用いない乾式造粒では、水溶性有機バインダーのバインダー効果つまり粘着性の発現が不十分となる傾向があるために良好な造粒が行えない。【0032】特に本発明の水溶性有機バインダーとして好適な、前記(a)の融点が35℃以上のポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる水溶性高分子、前記(b)の融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活性剤を用いる場合には、バインダーを流動化し粘着性を発現させるために40℃以上の造粒温度に保って造粒を行うことが重要である。【0033】またこれらとは別の好適な水溶性有機バインダーである前記(c)の平均分子量が4000以上のポリカルボン酸塩を用いる場合にも、40℃以上の造粒温度を保って造粒を行うことが重要である。この場合には、40℃以上でアルミノ珪酸塩の結晶水や酵素の付着水が一部脱離してポリカルボン酸塩と作用して粘着性を発現させるためである。以上のように本発明における乾式造粒においては、造粒温度が重要な因子となる。尚、造粒時間は、特に限定されず、造粒原料の性状に応じて適宜設定すればよいが10〜60分が好ましい。【0034】本発明の製造方法によって得られる造粒物には、造粒物の白色度を向上させるために、更に二酸化チタン、タルク、シリカ、クレー等を添加することができる。また色素や染料を配合して酵素造粒物を着色することも任意である。さらに培養に由来する有臭成分を吸着させるために合成ヘクトライトやセピオライトを添加することもできる。これらの成分は造粒前に予め酵素に添加しておいても、あるいは本発明の造粒工程で添加しても差し支えない。【0035】本発明において乾式造粒に使用される攪拌転動造粒機は、攪拌羽根を備えた主攪拌軸を内部の中心に有し、更に混合を補助し粗大粒子の発生を抑制するための補助攪拌軸を一般的には主攪拌軸と直角方向に壁面より突出させている。このような構造を有する攪拌転動造粒機としては、主攪拌軸が垂直に設置されているものとしてはヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)等が挙げられ、主攪拌軸が水平に設置されているものとしてはレディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プローシェアミキサー(太平洋機工(株)製)等が挙げられ、本発明においてはいずれでもよい。【0036】本発明の製造方法においては、この造粒機の槽内に、洗剤用酵素、アルミノ珪酸塩粉末、水溶性有機バインダー及び必要に応じて増量剤やその他の成分を投入し、該造粒機のジャケットに温水等の加熱媒体を流したり、あるいは槽内に温風を吹き込む等の方法で攪拌混合しながら造粒原料を昇温する。そして40℃以上になると造粒が始まる。造粒に最適な温度は、酵素の種類や量、水溶性有機バインダーの種類や量、アルミノ珪酸塩粉末の量などの造粒物の組成により異なる。但し、90℃を越えるとアルミノ珪酸塩からの脱離水の増加による酵素の失活や造粒速度が速くなり過ぎることによる過造粒のための造粒収率の低下が発生する。造粒が始まると攪拌による転動作用により球状の粒子が形成される。更に攪拌を続けると粒子同士の凝集による粗大粒子が生成するのに加えて、酵素の受ける熱的作用も大きくなるので好ましくない。そのため造粒の終点を検出することが必要となるが、攪拌に要する動力(例えば電力値)が造粒の進行と共に変化することを利用して判別することができる。また、原料組成及び物性(水分含有量、粒径、仕込時温度等)がほぼ一定であれば時間管理により造粒可能である。【0037】造粒時の水溶性有機バインダーの添加方法としては、先に述べた造粒開始時の一括投入以外にも、造粒操作を行いながら粉末、固形状あるいは溶融したバインダーを徐々に添加することも可能である。この際にバインダーを一定量ずつ間欠的に添加したり、連続的に添加することができる。また酵素の分離精製法として水性二相分配法により、水溶性高分子相側に酵素が分離される場合であって、その水溶性高分子が本発明における水溶性有機バインダーとして造粒に使用可能であり、酵素が水溶性高分子との混合物として得られる場合には、造粒開始時に該混合物を一括投入する以外に、粉末、固形状あるいはペースト状の該混合物を先に述べたバインダー添加方法と同様の方法で造粒機に仕込むことにより造粒を行うことが可能である。【0038】本発明の製造方法によって得られる造粒物は、発塵の防止や色相の改善等の必要に応じてポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、非イオン界面活性剤などの熱溶融ワックス性物質やシェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等のフィルム形成性物質を用いてコーティングすることもできる。熱溶融ワックス性物質を用いる場合は、融点あるいは流動点が35℃以上の物質を用いることが好ましい。コーティング方法としては、熱溶融性物質の場合は造粒終了後に造粒物の温度をコーティング剤の融点あるいは流動点以上に保持したところにコーティング剤を投入し攪拌しながら徐冷してコーティングする方法や、ハイコーター(フロイント産業(株))やドリアコーター((株)パウレック)等の湿式パンコーティング装置あるいは液スプレーと加熱冷却が可能な流動層装置を用いてフィルム形成性物質やワックス性物質を含有する水溶液あるいは溶媒溶液を造粒物にスプレーしながら乾燥する方法や、さらに特開平3−111497号公報に記載のあるようなコーティング剤溶液中にさらに微粒子を分散させたコーティング剤を湿式コーティングして色相や溶解性を改善する方法を用いることもできる。この際のコーティング剤の量としては、造粒物100重量部に対してコーティング剤固形分が0.5〜5重量部が好ましい。【0039】また造粒物の流動性、色相、保存安定性を改善する目的で、本発明の製造方法によって得られた造粒物や、さらにコーティングを施した造粒物に対して、一次粒子の平均粒子径が20μm以下の微粉末を添加して外表面に付着させることができる。例えば白色度向上や流動性改善にはアルミノ珪酸塩、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが好ましく、安定性向上にはステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸や二酸化チタンなどが好ましい。添加量としては造粒後の造粒物あるいはコーティング後の造粒物100重量部に対して3〜15重量部が好ましい。添加方法としては、通常の粉体混合機に造粒物と微粉末を投入して混合を行う他に、造粒終了時に造粒機内に造粒物を保持したまま微粉末を造粒機に投入し攪拌混合する方法やコーティング終了後にコーティング装置内に造粒物を保持したまま微粉末をコーティング装置に投入し混合する方法もある。【0040】【実施例】以下に、本発明の実施例を述べ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0041】〈造粒原料用酵素の調製〉噴霧乾燥酵素原末バチルス属に属する菌より培養採取されたアルカリプロテアーゼの水溶液に乳糖と硫酸ナトリウムを添加して並流式噴霧乾燥機で乾燥して平均粒子径50μmの粉末を得た。乾燥物中の乳糖と硫酸ナトリウムの量は乾燥物に対してそれぞれ5重量%と42重量%であった。【0042】水性二相分配酵素原末バチルス属に属する菌より培養採取されたアルカリプロテアーゼの水溶液に融点が53℃の粉末ポリエチレングリコール4000(PEG4000)と硫酸ナトリウムを添加して水性二相分配を行い、上層のPEG4000相を回収、凍結乾燥した。乾燥物中のPEG4000と硫酸ナトリウムの量は乾燥物に対してそれぞれ53重量%と13重量%であった。【0043】〈造粒品評価〉造粒機付着量造粒終了後に造粒機内に付着残留した物を回収し重量測定し、原料仕込量に対する重量百分率として求めた。【0044】造粒収率造粒終了後に造粒機より排出した造粒品のうち、粒子径250〜1410μmの物の造粒機排出造粒品に対する重量百分率として求めた。【0045】造粒安定性仕込酵素量より計算される造粒品理論活性に対する、回収造粒品酵素活性測定値の百分率として求めた。【0046】溶解性粒子径250〜1410μmの造粒品50mgを100mlビーカーに取り、20℃、硬度4°DHの水100mlを入れてマグネチックスターラー(100r.p.m.)で5分間攪拌し、造粒物の酵素活性値より算出される理論溶液酵素活性値に対する5分後に採取した溶液の酵素活性値を百分率として求めた。【0047】保存安定性温度30℃で、湿度が40%RHを12時間、80%RHを12時間、40%RHと80%RHの間の変化時間をそれぞれ12時間とるようにプログラムされた試験室に60日間開放系で保持した造粒物の、保存前の酵素活性値に対する保存後の酵素活性値の百分率として求めた。【0048】酵素活性測定法カゼイン1%を含む50mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH10)1mlを0.1mlの酵素溶液と混合し、40℃、10分間反応させた後、反応停止液(0.123Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナトリウム−0.369M酢酸)2mlを加え、30℃、20分間放置した。次に濾紙(ワットマン社製,No.2)で濾過し、濾液中の蛋白分解物をフォーリン・ローリー法の改良法によって測定した。【0049】実施例1噴霧乾燥酵素原末 1,200g結晶性アルミノ珪酸塩〔Na2 O・Al2 O3 ・2SiO2 ・4.5H2 O〕(トヨビルダー,東ソー(株)製) 600g無水硫酸ナトリウム(中性無水芒硝,四国化成工業(株)製)2,500g粉末ポリエチレングリコール6000 700g(三洋化成工業(株)製,融点60℃)をハイスピードミキサー(FS−GC−10型、深江工業(株)製)に投入し、ジャケットに75℃の温水を流して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌して造粒した。造粒時の槽内最高温度は79℃であった。30分で造粒を完了し、二酸化チタン粉末(TIPEQUE R−780−2,石原産業(株)製)を500g添加してアジテーター、チョッパーの回転数は造粒時と同一条件でさらに1分間混合した後に排出し、流動層装置に移して造粒物の温度が30℃になるまで通風冷却した。ここで使用した結晶性アルミノ珪酸塩及び二酸化チタンの一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイズアナライザー(LA−500型、堀場製作所(株)製)を用いて水を分散媒として測定した値でそれぞれ2.5μm、0.4μmであった。また、アルミノ珪酸塩の含有量は11.1重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0050】【表1】【0051】実施例2噴霧乾燥酵素原末 1,200g結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 2,000g無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 950g粉末ポリエチレングリコール6000(実施例1と同一) 850gをハイスピードミキサー(実施例1と同一)に投入し、ジャケットに75℃の温水を流して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌して造粒した。造粒時の槽内最高温度は78℃であった。40分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は35.5重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0052】実施例3噴霧乾燥酵素原末 650g結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 3,250g無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 100g粉末ポリエチレングリコール6000(実施例1と同一) 1,000gをレディゲミキサー(M20型、松坂技研(株)製)に投入し、ジャケットに75℃の温水を流して加温しながらミキサー150r.p.m.、チョッパー3,000r.p.m.で混合攪拌して造粒した。造粒時の槽内最高温度は77℃であった。60分で造粒を完了し、実施例1と同一の二酸化チタンを500g添加してアジテーター、チョッパーの回転数は造粒時と同一条件でさらに1分間混合した後に排出し、流動層装置に移して造粒物の温度が30℃になるまで通風冷却した。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は59.8重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0053】実施例4実施例2における無水硫酸ナトリウムを炭酸カルシウム(エスカロン2300,三共精粉(株)製)に替える他は同一条件で造粒した。造粒時の槽内最高温度は81℃であった。60分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は36.1重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0054】実施例5実施例2における無水硫酸ナトリウムを硫酸カルシウム(T号,(株)ノリタケカンパニーリミテド製)に替える他は同一条件で造粒した。造粒時の槽内最高温度は79℃であった。45分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は36.5重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0055】実施例6実施例1における粉末ポリエチレングリコール6000をマレイン酸/アクリル酸共重合体ナトリウム塩粉末〔平均分子量約7万,ゲル濾過クロマトグラフィー法による測定値〕(Sokalan CP5 Powder,BASF Japan Ltd.製)に替える他は同一条件で造粒した。造粒時の槽内最高温度は78℃であった。25分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は10.7重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0056】実施例7をハイスピードミキサー(実施例1と同一)に投入し、ジャケットに60℃の温水を流して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌して造粒した。造粒時の槽内最高温度は65℃であった。30分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。ここで使用した無定形アルミノ珪酸塩の一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイズアナライザー(LA−500型,堀場製作所(株)製)を用いて水を分散媒として測定した値で6.2μmであった。また、造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は17.5重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0057】実施例8水性二相分配酵素原末 2,000g無定形アルミノ珪酸塩(実施例7と同一) 1,000g無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 2,000gをハイスピードミキサー(実施例1と同一)に投入し、ジャケットに75℃の温水を流して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌して造粒した。造粒時の槽内最高温度は78℃であった。25分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は18.3重量%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。また、造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。【0058】以上の結果が示すように、本発明の製造方法を用いた実施例は、いずれも造粒後の造粒機付着量が少なく、造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、及び保存安定性に優れるものであった。また、造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在しているものであった。【0059】比較例1実施例1で結晶性アルミノ珪酸塩を無水硫酸ナトリウムに替えて造粒を行った。変更分の無水硫酸ナトリウムは粉砕機(アトマイザーEIIW−7.5型,不二パウダル(株)製)で粉砕して使用した。この無水硫酸ナトリウム粉砕品の一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイズアナライザー(LA−500型,堀場製作所(株)製)を用いて石油エーテルを分散媒として測定した値で7.3μmであった。造粒時の槽内最高温度は76℃であった。15分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。アルミノ珪酸塩を用いなかったことで、造粒機槽内への付着が激しく、また造粒の進行が早いことで粗粒化による造粒収率の低下が見られた。【0060】【表2】【0061】比較例2実施例2における結晶性アルミノ珪酸塩を炭酸カルシウム(エスカロン2300,三共精粉(株)製)に替える他は同一条件で造粒した。造粒時の槽内最高温度は78℃であった。30分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。ここで使用した炭酸カルシウムの一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイズアナライザー(LA−500型,堀場製作所(株)製)を用いて水を分散媒として測定した値で1.4μmであった。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。造粒性及び酵素の安定性に関しては問題なかったが、アルミノ珪酸塩を用いなかったことで溶解性が不良であった。【0062】比較例3噴霧乾燥酵素原末 1,200g結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 600g無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 2,700gをハイスピードミキサー(実施例1と同一)に投入し、ジャケットに35℃の温水を流して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌しながらポリエチレングリコール6000の60重量%水溶液500gを2分で滴下した後に造粒した。ポリエチレングリコール水溶液の温度は40℃であった。造粒時の槽内最高温度は38℃であった。15分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理を行った。後処理後に造粒機より排出した時の造粒物の温度が34℃であったため冷却操作は行わなかった。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。しかし、バインダーを水溶液として添加したことで、造粒機槽内への付着が増加し、また造粒の進行が早いことで粗粒化による造粒収率の低下が見られた。さらに余剰の水が存在することで造粒時及び保存時の酵素の大幅な失活が見られた。【0063】比較例4実施例1でジャケットに流す温水の温度を30℃にして造粒を行った。120分を経過しても粉体原料の混合状態のままで造粒状態にならず、造粒物を得ることができなかった。【0064】比較例5実施例1で温水に変えて100℃の熱媒油をジャケットに流して造粒を行った。造粒時の槽内最高温度は98℃であった。10分で造粒を完了し、実施例1と同様の二酸化チタンによる後処理と流動層装置を使用した通風冷却を行った。造粒後の造粒機付着量及び造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。しかし、造粒時の温度が高すぎるために、造粒機槽内への付着が多く、また造粒の進行が早いことで粗粒化による造粒収率の低下や、さらに造粒温度が高温であったことによる酵素の造粒時の大幅な失活が見られた。【0065】【発明の効果】本発明によれば、酵素を攪拌転動造粒機で乾式造粒する際にアルミノ珪酸塩を添加することにより、造粒時の酵素の失活が少なく、しかも粒径の揃った造粒物を収率よく得ることができる。しかも得られた造粒物は保存安定性も良好であり、洗剤に配合した場合に酵素が有効に作用することができる。さらにアルミノ珪酸塩自体も洗浄ビルダーとしての機能を持っており、本発明の製造方法により得られる造粒物はより多くの洗浄有効成分を含有しているものである。 洗剤用酵素およびアルミノ珪酸塩粉末を含有する混合物を水溶性有機バインダーを用いて乾式造粒を行うにあたり、攪拌転動造粒機を用いて、造粒時の造粒物の温度を40〜90℃に保持して造粒を行い、該造粒物中のアルミノ珪酸塩含有量が5〜80重量%であって、該造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在する洗剤用酵素造粒物を得ることを特徴とする洗剤用酵素造粒物の製造方法。 混合物中にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、および塩酸塩からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の無機塩をさらに含有する請求項1記載の製造方法。 アルミノ珪酸塩が式(1)で示される結晶性アルミノ珪酸塩である請求項1又は2記載の製造方法。x(M2 O)・Al2 O3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1)(式中、Mはナトリウム,カリウム等のアルカリ金属原子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数である) アルミノ珪酸塩が式(2)で示される無定形アルミノ珪酸塩である請求項1又は2記載の製造方法。x’(M2 O)・Al2 O3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2)(式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む任意の正数である) 水溶性有機バインダーが次の(a)〜(c)(a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、(b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上である請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。 酵素が造粒物に含まれる水溶性有機バインダーおよび/または造粒物に含まれる増量剤を分配基剤に使用した水性二相分配法により精製されたものであり、かつそれが水溶性有機バインダーおよび/または増量剤との混合物として造粒に用いられる請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。


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