タイトル: | 特許公報(B2)_経口摂取用新陳代謝促進剤およびそれを配合した食品 |
出願番号: | 1994095461 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 38/17,A23L 1/30,A23L 1/305,A61K 36/00,A61K 38/00,A61P 3/00 |
山西 敦之 宮川 亮 川瀬 漣 JP 3782122 特許公報(B2) 20060317 1994095461 19940411 経口摂取用新陳代謝促進剤およびそれを配合した食品 サンスター株式会社 000106324 八嶋 敬市 100084353 山西 敦之 宮川 亮 川瀬 漣 20060607 A61K 38/17 20060101AFI20060518BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060518BHJP A23L 1/305 20060101ALI20060518BHJP A61K 36/00 20060101ALI20060518BHJP A61K 38/00 20060101ALI20060518BHJP A61P 3/00 20060101ALI20060518BHJP JPA61K37/12A23L1/30 BA23L1/305A61K35/78A61K37/18A61P3/00 A61K 38/17 CA(STN) BIOSIS(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN) 特開平05−184340(JP,A) 特開平05−199855(JP,A) 特開昭62−209011(JP,A) 特表平03−502919(JP,A) 特開昭52−111600(JP,A) 特開平06−046875(JP,A) 特公昭54−010619(JP,B1) 特開昭61−263905(JP,A) 特開平04−009331(JP,A) 特開平03−164145(JP,A) 特開平02−182160(JP,A) 島野 紘一,コラーゲン食はガンを予防する−美容にも役立つ注目の作用−,曜曜社出版,1992年,第56頁〜第65頁 難波 恒雄,原色和漢薬図鑑(上),株式会社 保育社,1980年,第1〜3頁、第151〜152頁 難波 恒雄,原色和漢薬図鑑(下),株式会社 保育社,1980年,第136〜138頁、第144〜145 5 1995278012 19951024 10 20010323 榎本 佳予子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、コラーゲン蛋白、もしくはその加水分解物を必須成分とし、生体コラーゲンの生合成を促進させることにより、生体組織の新陳代謝を活発にする新陳代謝促進剤に関する。また該新陳代謝促進剤を配合してなる加令変化に伴う組織の疲労、機能の低下を改善させる加令変化予防食品に関する。【0002】【従来の技術及び課題】医療技術の向上、食生活の改善等により高齢化社会を迎えた現在、加令変化に伴う様々な疾病は大変深刻な社会問題となっている。加令変化とは、生体成分の新陳代謝能力が低下し、組織の疲労と萎縮、酸化が進み、本来の機能が低下する現象とみなすことができる。この加令変化により健康が脅かされ、各種疾病にかかり易くなり、また疾病からの回復を遅らせる。従来より、これらの加令変化への対応策として、抗酸化ビタミン、各種ホルモン剤、不飽和脂肪酸などの経口投与が試みられているが、未だ顕著な効果は得られていないのが現状である。【0003】コラーゲンは生体蛋白質の1/3を占め、生体の骨格の主なる構造蛋白質であるが、近年結合組織の生化学が著しく進歩するにつれ、コラーゲンは生体の支持組織として単に機械的な機能を営むだけでなく、細胞を保護し、細胞間因子として非常に重要な生理的役割を果たしていることが明らかにされてきた。また、加令変化に伴う生体成分の新陳代謝の低下は、コラーゲン蛋白の新陳代謝の低下が引金となって進行していくという考え方がある〔藤本、高橋、その他:老化のメカニズムと制御(アイピーシー出版)〕。コラーゲン合成の生化学反応に限らず、一般的な化学反応においては反応の原料濃度と反応を触媒する強さの二者によって生産物の生成量は支配されるが、コラーゲンが生体の蛋白質の1/3を占めているにもかかわらず、生体内のコラーゲン合成の反応系を極めて高い濃度に高める発想はこれまでになかった。また、食品としてのコラーゲン蛋白は、アミノ酸組成がFAOが提唱している標準アミノ酸組成量より極端に低値であり、特に必須アミノ酸であるトリプトファンが殆んど存在しない為、単独では蛋白質としては利用できず、従来からの栄養学では栄養上の価値は極めて低いものとされてきた。従って、日常の食習慣においては、一部の食事性蛋白摂取時に少量同時摂取される他は、コラーゲン蛋白の熱変性物であるゼラチン、もしくはその分解物を少量または適当量を食品、化粧品、および健康食品の一部として使われるのみで、積極的に大量のコラーゲンの摂取を推奨されるようなことはなかった。【0004】【問題を解決するための手段】 本発明者らは、コラーゲン蛋白の経口摂取の薬理作用について鋭意研究を重ねた結果、平均分子量3000以上のコラーゲン蛋白加水分解物(但しゼラチンを除く)を必須成分とし、さらに、杜仲葉の植物有用部分、もしくはその抽出物を配合してなる経口摂取用新陳代謝促進剤または食品を大量摂取することにより、従来より良質蛋白質と考えられている鶏卵系蛋白のみを与えた場合より、生体コラーゲンの生合成を促進させ、生体コラーゲンの新陳代謝の低下に伴う種々の疾病を改善させることを見出し、本発明を完成するに至った。【0005】すなわち、本発明は、平均分子量3000以上のコラーゲン蛋白加水分解物(但しゼラチンを除く)を必須成分とし、さらに、杜仲葉の植物有用部分、もしくはその抽出物を配合してなる経口摂取用新陳代謝促進剤を提供するものである。【0006】また、本発明は、平均分子量3000以上のコラーゲン蛋白加水分解物(但しゼラチンを除く)を必須成分とし、さらに、杜仲葉の植物有用部分、もしくはその抽出物を配合してなる食品を提供するものである。【0007】本発明に用いられる、コラーゲン蛋白及びその加水分解物は、商業上容易に入手可能であるが、たとえば動物の皮膚、動物の骨および他の十分な純度を有する結合組織から抽出、もしくは抽出物を加水分解して得られ、コラーゲン蛋白の熱変性物であるゼラチンも含まれる。加水分解は、アルカリ加水分解、酸加水分解、与圧加水分解、及び酵素加水分解のいずれの方法でも有効である。それぞれの分解処理においては、所望する分子量の範囲が得られるように加水分解の条件を適宜選択することができる。このコラーゲン蛋白もしくはその加水分解物を使用して、この発明に係る新陳代謝促進剤及び加令変化予防食品とするには、通常摂取者が一日0.5g〜40g摂取するのが好ましいが、この範囲については臨界的ではない。コラーゲン蛋白が0.5g以下であると基本的に目標とする効果が得られず、40g以上であれば、経口蛋白質中の必須アミノ酸バランスが崩れ、栄養学上好ましくない。【0008】本発明にもちいられる植物は、たとえば杜仲葉、人参、五加皮、黄耆などがある。【0009】本発明に用いられている杜仲葉は、杜仲(Eucommia ulmoides oliv,トチュウ科)の生の葉を細かく裁断したものをそのまま、またはそれを乾燥させる、またはそれを定法に従って、たとえば80℃〜120℃で0.5時間〜2時間焙煎することによって得られる。また、必要に応じて粉砕機等により適宜所望のメッシュに調製できる。本発明に用いられる杜仲葉の抽出物は、杜仲の生の葉もしくはその乾燥物のいずれかを定法に従って、たとえば水または水性有機溶剤にて室温、あるいは80℃〜100℃にて抽出して得られた抽出液をろ過後、そのまま、または必要に応じて濃縮、もしくは乾燥した水溶液、もしくは粉末状のものをさす。【0010】本発明に用いられる人参は、朝鮮人参(Ponax ginseng C. A. Meyer )の根を細かく切断したものをそのまま、または乾燥させる、またはそれを定法に従って、たとえば100℃〜150℃で0.5時間〜2時間焙煎することによって得られる。また、必要に応じて粉砕機等により適宜所望のメッシュに調製できる。本発明に用いられる人参の抽出物は、人参の生の根、もしくはその乾燥物のいずれかを定法に従って、たとえば水、または水性有機溶剤にて室温、あるいは80℃〜100℃にて抽出して得られた抽出液をろ過後、そのまま、または必要に応じて濃縮、もしくは乾燥した水溶液状、もしくは粉末状のものをさす。【0011】本発明に用いられる五加皮 (Acanthopanax gracilistylus をはじめとする五加皮の原料に使用されるAcanthopanax属の植物) 、またはその抽出物も、上記に示した杜仲葉、人参と同様の操作により得ることができる。【0012】本発明に用いられる黄耆 (Astragallus membranaceusをはじめとする黄耆の原料に使用されるAstragallus 属の植物)、またはその抽出物も、上記に示した杜仲葉、人参と同様の操作により得ることができる。【0013】これらの植物有用部分、もしくはその抽出物を使用してこの発明に係る新陳代謝促進剤および加令変化予防食品とするには、通常摂取者が一日0.1g〜10gを摂取するのが好ましい。植物有用部分、もしくはその抽出物が0.1g以下であると基本的に目的とする効果が得られず、10g以上であってもそれ以上の効果が望めず、さらに植物特有の苦味が発生し、経済面、嗜好面で不利である。【0014】また、本発明に係る新陳代謝促進剤および加令変化予防食品中のコラーゲン蛋白、もしくはその加水分解物と植物有用部分、もしくはその抽出物との配合比率は特に限定するものではないが、コラーゲン蛋白、もしくはその加水分解物1重量部に対し、植物有用部分、もしくはその抽出物の合計量が0.05〜1.0重量%配合するのがより好ましい。【0015】本発明の新陳代謝促進剤は、経口投与で適用するのが好ましく、散剤、顆粒、錠剤、カプセル剤などの剤型にすることができ、また常法に従い、たとえば菓子や清涼飲料水や主食など、種々の使用形態の食品とすることができ、食品に配合すれば生体組織の新陳代謝を活発にする加令変化予防食品が得られる。【0016】本発明に係る加令変化予防食品には、上記コラーゲン蛋白もしくはその加水分解物、植物有用部分、もしくはその抽出物のほか、ローヤルゼリー、ムコ多糖類などの動物性抽出物、抗酸化ビタミン類、不飽和脂肪酸、核酸などの従来公知の加令変化防止効果を有する成分を同時に配合してよく、更に、必要に応じて通常食品に用いられる賦形剤、増量剤、甘味剤、香味剤、着色剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。【0017】【実施例】以下、実施例、比較例を挙げて本発明の効果をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、「%」は特に断わらない限り重量%を意味する。試験例1ホルマリンろ紙法(FFP法:A.Tanaka et al,Endocrinol.Japan.1960,(4),357 〜364 )による組織修復能、コラーゲン合成能の回復効果の測定実験を行なった。本実験はRaoらの報告(Rao et al ,Leather Science ,Vol.33 (1),1986,1 〜7 )をもとに、長期間低蛋白食で飼育することによって蛋白合成能を大きく低下させた老化モデルラットに対するコラーゲン蛋白加水分解物、植物抽出物の影響を検討したものである。【0018】(1)実験動物10週齢のWister系雄性ラット(2)飼料の調製コラーゲン蛋白の加水分解物として Deutsche Gelatin Fabriken社から平均分子量3000のもの(商品名:Gelita-sol D1 ,粗蛋白量92.5%)を入手し、これを用いて表1に示す割合で配合したラットの飼料を調製した。各飼料中の粗蛋白量は、ミルクカゼインの粗蛋白量(配合量に0.85かけた値)とコラーゲン蛋白加水分解物の粗蛋白量(配合量に0.925かけた値)の総量として表され、Aを6%、B、C、Dを11%となるようにし、トータル重量はコーンスターチで調製した。【0019】【表1】【0020】(3)飲料水の調製植物有用部分乾燥物を10倍量の水で1時間熱水抽出を行い、冷却後ろ過し、ろ液を濃縮した。植物有用部分抽出物は、ラットの飲料水に植物有用部分乾燥物重量当りで換算して所定量を混ぜ、飲水させた。(4)実験プロトコールラットを実施例として1〜7の7群、比較例として1〜4の4群、計11群に分け、一群5匹とした。まず実験開始後、予備飼育期間として所定の飼料、飲料水で4週間飼育したのち、全群を背部を剃毛し、皮下の4箇所に7%ホルマリン20%を含む直径6mm、重量8mgのろ紙( TOYO No.126)を挿入、縫合した。同日より、各群所定の飼料、飲料水でさらに1週間飼育の後、ただちにろ紙を囲む肉芽組織の湿重量及び組織中のヒドロキシプロリン(Hyp)の含量を測定し、コラーゲン合成能、ラットの組織修復能の指標とした。表2に予備飼育期間、及びろ紙挿入後の各群の飼料、飲料水中の植物抽出物の投与量、及び肉芽組織湿重量と組織中のヒドロキシプロリン測定結果を示す。【0021】【表2】【0022】表2から明らかなように、実施例1〜2のコラーゲン蛋白のみの投与群と比較例1のコラーゲン蛋白非投与群において、粗蛋白量がおなじ11.0%の飼料で飼育した場合でも、コラーゲン蛋白の占める割合が高いものほど顕著な肉芽形成能の回復が見られている。また、比較例2〜4の植物有用部分抽出物のみの投与群では本実験レベルでの付加量では肉芽形成能の回復は全く見られないが、実施例3〜7のコラーゲン蛋白と植物有用部分抽出物の併用群では飛躍的に肉芽形成能が回復し、コラーゲン蛋白と植物有用部分抽出物の相乗効果が認められた。また、肉芽組織中のヒドロキシプロリン量も組織重量にパラレルであることからも、コラーゲン蛋白と植物有用部分抽出物を併用投与することにより、コラーゲン生合成能が大きく促進され、組織修復能が向上することが明らかとなった。【0023】(実施例8)下記の処方により各成分を混合して、常法により粉末飲料を調製した。成分 配合量コラーゲン蛋白加水分解物(Gelita-sol D1 ) 300.0g粉糖 200.0g粉末ピーチ果汁 100.0gL−アスコルビン酸 50.0g結晶クエン酸 10.0gクエン酸ナトリウム 5.0gアスパルテーム 0.8g粉末ピーチ香料 1.0g【0024】(実施例9)乾燥五加皮200g、黄耆100gを粉砕したものを常法により、熱水にて1時間抽出した後、 その抽出液を乾燥し、 五加皮、黄耆エキス粉末30gを得た。この五加皮、黄耆エキスを用い、下記の処方により各成分を混合して常法により散剤を調製した。成分 配合量コラーゲン蛋白加水分解物(Gelita-sol D1 ) 120.0g五加皮、黄耆エキス粉末 30.0gキシリット 100.0g【0025】(実施例10) 乾燥杜仲葉300gを粉砕したものを常法により、90℃において1時間撹拌して焙煎した。この杜仲葉焙煎物を用い、下記の処方により各成分を混合して常法によりタブレットを作成した。成分 配合量コラーゲン蛋白加水分解物(Gelita-sol D1 ) 30.0g杜仲葉焙煎物 10.0gムコ多糖複合体(SCP) 5.0g マルハ社製パラチノース 100.0gL−酒石酸 0.5gアスパルテーム 0.1gショ糖脂肪酸エステル 2.0g香料 0.5g【0026】(実施例11)人参の粉末300gに3000mlの水を加え、1.5時間熱水抽出を行い、冷後ろ過し、ろ液を濃縮することにより人参抽出物100gを得た。この人参抽出物を用い、下記の処方により各成分を混合して、常法によりゼリーキャンディーを作成した。成分 配合量ゼラチン(Fー1773) 70.0g宮城化学工業社製人参抽出物 10.0g熱水 250.0gソルビット 60.0g砂糖 380.0g麦芽水飴 320.0gクエン酸 10.0gβ−カロチン3%懸濁液 5.0g香料 2.0g【0027】(実施例12)杜仲葉の粉末300gと人参の粉末100gの混合物に3000mlの水を加え、1時間熱水抽出を行い、冷後ろ過し、ろ液を濃縮することにより杜仲人参抽出物100gを得た。この杜仲人参抽出物を用い、下記の処方により各成分を混合して、常法により飲料を作成した。成分 配合量コラーゲン蛋白加水分解物(Gelita-sol D1 ) 200.0g杜仲人参抽出物 40.0g果糖ブドウ糖液糖 120.0gクエン酸 10.0g香料 5.0g水 625.0g【0028】試験例2前記実施例12にて得られた飲料A、飲料Aから杜仲人参抽出物を除いた飲料B(実施例13)、飲料Bからさらにコラーゲン蛋白加水分解物を除いた飲料C(比較例5)を用い、腰痛,関節痛の悩みをもっている各群20名の女性(35〜55才)に対し、1日50mlを3ヶ月にわたり投与し、投与前後における身体状態の変化について調査した。調査項目は腰痛、関節痛の状態、肌荒れの状態、髪の毛の状態、爪の状態、疲労感の5項目とし、評価方法はアンケート調査によって著効、有効、無効、悪化の4段階で評価してもらった。結果を表3に示す。【0029】【表3】【0030】表3の結果から判るように、本発明に係るコラーゲン蛋白は長期摂取により、加令変化に伴う諸症状の改善効果を有するとともに、杜仲葉などの植物有用部分抽出物を併用することでいっそうの効果を発揮できることが明らかである。【0031】【発明の効果】本発明によれば、生体コラーゲンの生合成を促進させることにより、生体組織の新陳代謝を活発にする新陳代謝促進剤、及びこれを配合してなる加令変化に伴う組織の疲労,機能の低下を改善させる加令変化予防食品が提供される。 平均分子量3000以上のコラーゲン蛋白加水分解物(但しゼラチンを除く)を必須成分とし、さらに、杜仲葉の植物有用部分、もしくはその抽出物を配合してなる経口摂取用新陳代謝促進剤。 さらに人参の植物有用部分、もしくは抽出物を配合してなる請求項1に記載の経口摂取用新陳代謝促進剤。 平均分子量3000以上のコラーゲン蛋白加水分解物(但しゼラチンを除く)を必須成分とし、さらに、杜仲葉の植物有用部分、もしくはその抽出物を配合してなる食品。 さらに人参の植物有用部分、もしくは抽出物を配合してなる請求項3に記載の食品。 加令変化予防用の食品である請求項3または請求項4のいずれかに記載の食品。