生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_自己免疫疾患のバイスタンダー抑制
出願番号:1993515078
年次:2005
IPC分類:7,A61K39/00,A61K38/26,A61P3/10,A61P37/00


特許情報キャッシュ

ウェイナー,ハワード ミラー,アリエール ザング,ゼンギ アル‐サバー,アーマッド ハフラー,デビッド アレン JP 3712260 特許公報(B2) 20050826 1993515078 19930225 自己免疫疾患のバイスタンダー抑制 オートイミューン インク 500379163 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 ウェイナー,ハワード ミラー,アリエール ザング,ゼンギ アル‐サバー,アーマッド ハフラー,デビッド アレン US 843,752 19920228 20051102 7 A61K39/00 A61K38/26 A61P3/10 A61P37/00 JP A61K39/00 A61P3/10 A61P37/00 A61K37/28 7 A61K 39/00 国際公開第91/008760(WO,A1) 国際公開第91/012816(WO,A1) 特表平5−506427(JP,A) Miller A et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 1992年 1月 1日,89(1), 421-5 Miller A et al, J Exp Med, 1991年10月 1日,174(4), 791-8 Zhang ZY et al, J Immunol, 1990年10月15日,145(8), 2489-93 Zhang ZJ et al, Proc Natl Acad Sci U S A, 1991年11月15日,88(22), 10252-6 Nussenblatt RB et al., J Immunol, 1990年 3月 1日,144(5), 1689-95 2 US1993001705 19930225 WO1993016724 19930902 1996504745 19960521 42 20000224 川口 裕美子 アメリカ合衆国政府は、アメリカ予防衛生研究所からの承認番号529352からの資金援助によってこの発明の権利を有する。この発明に達した研究の一部は、公衆衛生局フォガティ・インターナショナル・リサーチ・フェローシップ(Forgarty Int&l Research Fellowship)番号1fo5two44181cpによって支持されている。この出願は、ウェイナーらによって1990年2月21日に出願された出願番号460,852の米国特許出願と、1990年10月15日に出願された出願番号596,936の米国特許出願(前者は、1988年6月24日に出願された出願番号PCT/US88/02139のPCT出願の国内段階)の一部継続出願であり、これらの出願は、以下に挙げる出願に換わる一部継続出願である。その出願とは、1987年6月24日に出願された出願番号065,734の米国特許出願;ウェイナーらによって1989年12月20日に出願された出願番号454,486の米国特許出願;ウェイナーらによって1990年3月2日に出願された出願番号487,732の米国特許出願;1989年7月14日に出願された出願番号379,778の米国特許出願(現在は放棄されている)に換わる一部継続出願で、ウェイナーらによって1990年7月10日に出願された出願番号551,632の米国特許出願;ウェイナーらによって1990年10月31日に出願された出願番号607,826の米国特許出願;そしてウェイナーらによって1990年10月10日に出願された出願番号595,468の米国特許出願である。発明の分野この発明は自己免疫疾患の治療における改良に関する。より詳しくは、本発明は、自己免疫疾患の治療のためにバイスタンダー(bystander)抗原(すなわち、自己免疫の進行過程に関与する細胞を抑制する抗原)の利用に関するものである。本発明は、哺乳動物の自己免疫疾患の治療に有益なバイスタンダー抗原を含む薬剤の製剤をも含むものである。発明の背景自己免疫疾患は、正常な自知の(自己の)組織に対して向けられる異常な免疫反応によって特長付られる。哺乳動物における自己免疫疾患は、そこに含まれる超正常な免疫反応の種類に基づいて、一般に二つの異なるカテゴリーの一方に分類されうる:細胞-媒介性(すなわち、T-細胞-媒介性)、または、抗体-媒介性の疾患である。細胞-媒介性の自己免疫疾患の非限定的な例としては、多発性硬化症(MS)、リウマチ様関節炎(RA)、自己免疫性甲状腺炎(AT)、糖尿病(若年性初期、またはタイプ1の糖尿病)および自己免疫葡萄膜網膜炎(AUR)がある。抗体-媒介性の自己免疫疾患には、重症筋無力症(MG)および全身性エリテマトーデス(SLE)がある。両方のカテゴリーの自己免疫疾患は、現在のところ非特異的に免疫反応を抑制する薬、すなわち異常な免疫反応を選択的に抑制することができない薬を用いて治療されている。このような薬の非限定的な例は、メトトレキセート、シクロホスファミド、イムラン(アザチオプリン)およびシクロスポリンA(cyclosporin A)を含んでいる。プレドニソンやメチルプレドニソロンのようなステロイド化合物(これらも非特異的な免疫抑制剤)もまた、多くの例に使用されている。これらの現在用いられている薬の全ては、細胞-および抗体-媒介性の自己免疫疾患の両方に対して限られた効力しか有さない。さらに、このような薬はかなりの毒性と副作用とを有し、さらに重要なことに、結局のところ治療患者に「全体的な」免疫抑制を引き起こしてしまう。言い換えれば、この薬による長期にわたる治療は、病原体に対する正常な防衛的免疫反応をダウンレギュレート(downregulate)してしまい、その結果として、感染の危険性が増加する。さらに、長期にわたり全体的な免疫抑制を受けた患者は、治療によって、例えば悪性の腎臓疾患や糖尿病のような重い病気を患う危険性が増加してしまう。自己免疫疾患の従来の治療の欠点の克服の努力において、本発明者とその協力者は、自己抗原、あるいは、疾患-抑制性フラグメントまたは自己抗原の類似体を単独またはいわゆる「相乗剤」すなわち自己抗原のトラライジング(tolerizing)の効果を増幅する化合物と組み合わせたものをトラライザー(tolerizers)として用いて、経口トラライゼーション(Tolerization)(または吸入によるトラライゼーション)の概念に基づいて、自己免疫疾患の治療に有用な方法および薬剤の製剤を発明した。自己抗原とは、それ自身が自己免疫反応の主要な標的となる、自己免疫の攻撃にさらされる器官または組織に特異的で、その内部に普通に見られる抗原である。上記方法と薬剤の製剤は自己免疫疾患の治療に本質的な改善を示したが、それらの治療上の有効性は遅れている。それは、各々の場合について、疾患状態の誘発及び維持に含まれる特異的な自己抗原が同定されなければならないからである。言い換えれば、免疫機構による攻撃の標的である特異的な物質が同定されなければならない。多くの場合、当業者には認められているように、このことは困難かつ時間を要するものである。例えば、一つ以上の自己抗原が同時に自己免疫攻撃の標的であるかもしれず、疾患が徐々に関与する組織をますます破壊するにつれ自己抗原の属性が変化するかもしれない。それゆえ、当該技術分野において必要とされるものは、自己免疫疾患で苦しむ個体を治療するための改良された試薬、方法、組成物であり、これらはより容易に治療用途に供することができ、例えば、自己抗原を予め同定する必要がないものである。さらにこの分野において、自己免疫疾患を治療するために付加的な方法と組成物が必要であり、その方法と組成物は自己抗原に加えて、あるいは自己抗原に代わって使用されるものである。さらには、当該技術分野において、それによって自己免疫疾患が戦われる機構を解明し、自己免疫疾患と戦うために使用できる新たに獲得されたこの知識を考慮した新規な方法と組成物とを同定する必要がある。従って、本発明の一つの目的は、自己免疫疾患に苦しむ哺乳動物を治療するために改善された方法と組成物を提供することであり、前記方法と組成物は単独に、または、一つまたはそれ以上の自己抗原、相乗剤、他の免疫反応抑制剤と任意に組み合せて使用される。本発明のさらなる目的は、自己免疫疾患に苦しむ哺乳動物を治療するための方法および組成物を提供することであり、これは、そのような病気を治療するため、症状を和らげるため、または予防するために効果的に使用され、自己免疫疾患を引き起こし維持することに関与する自己抗原を予め同定する必要がないものである。さらに、本発明のもう一つの目的は、自己免疫疾患にひどく苦しめられ、あるいは、自己免疫疾患を受けやすい哺乳動物を治療するための方法および組成物を提供することであり、この方法と組成物とは無害な試薬を伴うもので、好ましくは、疾患-特異的なものである。発明の要旨本発明は、ある抗原(「バイスタンダー抗原」と呼ばれるもので、定義は後述する)の経口または経腸投与(あるいは吸入による投与)がT-細胞の誘引を生ずること、逆に、器官または組織の免疫攻撃に寄与する抑制細胞が自己免疫疾患に含まれるという予期せぬ、驚くべき発見に基づくものである。バイスタンダー抗原によって誘引されたT-細胞は、同じ部位に見られる免疫攻撃に寄与する細胞を抑制するトランスフォーミング(transforming)成長因子β(TGF-β)の放出を媒介する。このタイプの作用する抑制機構では、TGF-βを放出するT細胞が疾患-寄与の細胞を認識する必要がない。唯一、TGF-βが放出されるときに、同じ部位に両種の細胞が見られればよい。これに到達する一つの方法は、バイスタンダー抗原として、(a)TGF-βの放出を引き起こすT細胞を誘引する能力をもち、(b)それ自体が攻撃を受けている器官や組織に特異的であって、TGF-βを放出させるサプレッサーT-細胞(バイスタンダー抗原の経口投与に応じて引き起こされる)が、疾患を促進する細胞が集中した場所でもある同じ器官や組織に向かうような抗原を用いるものである。バイスタンダー抗原は、自己抗原であってもよいが、そうである必要はない。すなわちそれらは疾患を引き起こす細胞によって攻撃されるものと同じ抗原である必要がない。バイスタンダー抗原の経口投与により、他の抗原または抗原フラグメントに特異的な細胞によってなされる組織の被害を食い止めることができるということは、本発明における興味深い特長である。この第二の抗原(またはフラグメント)は同定される必要すらない。それゆえ、本発明の一つの態様は、哺乳動物における自己免疫疾患の治療方法であり、その方法は前記疾患を治療するためにバイスタンダー抗原の効果的な量を前記哺乳動物に投与することからなり、前記抗原は、自己免疫応答に寄与するT細胞が前記応答に寄与するT-細胞を抑制することが確認される前記哺乳動物の体の部位にトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)の放出を引き起こすものである。他の態様は、本発明が哺乳動物における自己免疫疾患を治療するのに効果的なバイスタンダー抗原の量を含む組成物および投薬形態である。さらに他の態様は、本発明が哺乳動物における自己免疫疾患を治療する吸入型投与形態を提供することであり、その形態は、前記病気を治療するために効果的な量のバイスタンダー抗原であって、投与に供される前記抗原が、自己免疫反応に寄与するT細胞が前記反応に寄与するT-細胞を抑制することが確認される前記哺乳動物の体の部位にトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)の放出を引き起こすもの;そして薬剤学上許容されるキャリアまたは希釈剤からなる。【図面の簡単な説明】図1は、経口でトラライズされた動物から単離したリンパ球の上澄みまたはリンパ球サブセットによるインビトロにおける増殖反応の抑制を示す棒グラフである。図2は、抗-トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)抗体によるインビトロにおける抑制の阻害を示す棒グラフである。図3は、経口でトラライズされた動物から単離されたサプレッサーT-細胞の無血清培養上澄みにおけるTGF-βの活性を示す棒グラフである。図4(A−D)は、経口でトラライズされたMBP給餌動物および非MBP給餌動物における実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)に対する、抗-TGF-β抗体と対照血清の効果を示す一連のグラフを示すものである。図5(A−D)は、抗-TGF-β抗体の、経口でトラライズされた動物とその対照動物における遅延型過敏症(DTH)反応に対する効果を示した一連の棒グラフを示すものである。図6(A−C)は、バイスタンダー抗原の経口投与と、実質的に同時のMBPを用いた免疫処置に続く選定された抗原の注射とに関係した自己免疫疾患の抑制を示す一連の図を示したものである。図7は、このようなバイスタンダー抑制と関連した遅延型過敏症(DTH)反応を示す棒グラフである。図8は、インビボでのEAEのバイスタンダー抑制が、MBPで免疫処置され、与えられたものと同じ抗原を注射された動物に与えられた、ウシ血清アルブミン(BSA)、オブアルブミン(OVA)およびミエリン塩基性タンパク質(MBP)に関係するかどうかを示す棒グラフである。図9は、バイスタンダー抑制のアドプチブ・トランスファー(adoptive transfer)がCD8+サプレッサーT-細胞と関係していることを示す棒グラフである。図10は、MBPで感作されたリンパ系細胞による合成された重複するモルモットのMBPペプチドに対する反応におけるT-細胞(EAEを媒介するタイプのもの)の増殖を示す棒グラフである。図11は、MBPを与えられた動物の脾臓細胞がインビトロのトランスウェル(transwell)装置におけるOVAで感作された脾臓細胞を抑制する契機となる様々なMBPペプチドの効力を示す棒グラフである。図12(A)は、自己抗原(PLP)またはバイスタンダー抗原(MBP)を与えることが、PLPペプチドを用いてSJL/Jマウスに引き起こされたEAEに与える効果を示したグラフである;(B)は(A)の結果を要約した棒グラフである。図13(A)は、PLPペプチドを用いてSJL/Jマウスに引き起こされたEAEに対する、自己抗原(PLP)またはバイスタンダー抗原(MBP)の静脈内への投与というトラライジングの効果を示したグラフである;(B)は(A)の結果を要約した棒グラフである。図14は、様々なモルモットMBPペプチドを単独またはダイズのトリプシン阻害剤(STI)と組み合せて与えることによる、EAE(MBPペプチド71-90で引き起こされたもの)の抑制を示す棒グラフである。図15(A−D)は、完全なMBPまたはMBPペプチド71-90を用いてEAEに対して免疫処置され、完全なMBPまたは様々なMBPペプチド(単独またはSTIとの組み合せで)を与えられた動物におけるDTH反応を示す一連の棒グラフである。図16は、MBPと発病性および発病性でないその断片を用いた静脈内へのトラライゼーションの、SJL/Jマウスに引き起こされた表現への効果を示した棒グラフである。発明の詳細な説明この明細書に引用された全ての特許出願、特許、および引用文献は、その全体が参考として取り入れられる。矛盾がある場合は、本明細書中の定義および説明を含む記述が優先されるであろう。定義この明細書中で使用された以下の用語は、その後に続く意味を有する。(a)“バイスタンダー抗原”あるいは“バイスタンダー”は、タンパク質、タンパク質フラグメント、ペプチド、糖タンパク質、あるいは他の免疫原物質(例えば、免疫応答を引き出すことが可能な物質など)である。そして、それは、経口あるいは経腸投与(あるいは吸入による投与)により、TGF−βを放出する一因となるサプレッサーT細胞を引き出し、それによって、自己免疫疾患の間および破壊的な細胞が異なる免疫原物質に特異的であるときでさえ、組織の破壊の一因となる細胞を抑制する。好ましくは、バイスタンダーによって顕現されたサプレッサーT細胞は、自己免疫疾患中に攻撃下にあるものと、同じ組織を標的にする。それゆえ、この用語は、前記TGF−βの放出の一因であり、自己免疫疾患の攻撃下の組織または器官に特異的な抗原を含むものであるが、それに限定されるものではない。また、この用語は、自己抗原、および経口投与、経腸投与、あるいは吸入において、T細胞のようなサプレッサーを顕現させることができるフラグメントあるいは類似体を含む。このように、“バイスタンダー”は、“自己抗原”と同一ではない。なぜなら、後者は、ここで、経口摂取あるいは吸入により上述したようなTGF−βの放出の原因となるT−サプレッサーの顕現を経て自己免疫反応を抑制しないならば、“自己抗原”は“バイスタンダー”ではないと定義されるからである。(b)“バイスタンダー抑制”は、免疫抑制因子であるTGF−βの放出による自己免疫破壊に寄与する細胞の抑制である。逆に、この放出はバイスタンダー抗原の経口摂取あるいは吸入により引き出されたサプレッサーT細胞によって媒介され、自己免疫破壊に寄与する細胞が見いだされる部位に補充される。その結果は、特定の自己免疫反応のダウンレギュレーションである。(c)“哺乳類”は、ここでは、免疫系を有し、自己免疫疾患になり得る生物体と定義する。(d)“自己免疫疾患”は、ここでは、ヒトを含む哺乳類の免疫系の機能不全と定義し、そこでは、哺乳類中の外来物質及び/または自己組織または自己物質との間の区別ができなくなり、結果として、自己組織および自己物質を、まるでそれらが外来物質であるかのように扱い、それらに対して免疫応答を開始する。(e)“自己抗原”は、異常な状態の哺乳類に通常見つけることのできる物質またはタンパク質で、もはや、その哺乳類中のリンパ球または抗体によって、哺乳類の一部と認識されず、それゆえ、外来物質として、免疫調整系によって攻撃される主要な標的となるものと定義する。また、この用語は哺乳類に投与したとき、自己免疫疾患の特徴を有する状態を誘発する抗原物質をも含む。(f)“治療”は、自己免疫疾患を防ぐため(あるいは、臨床的または亜臨床的な発現、例えば組織学的な徴候などを防ぐため)の予防処理と同様に、このような自己免疫疾患開始後の徴候の治療的抑制または緩和の両方を含むと意味される。(g)“相乗剤”は、ここでは、バイスタンダー抗原および/または自己抗原の投与とともに、経口的にあるいは吸入によって投与したときに、自己免疫疾患の臨床的(および/または組織学的)な発現の抑制を促進向上させる物質として定義される。また、前文および明細書中の他の箇所で使用されている“とともに(in conjunction with)”(また、とともに(in association with)も参照)とは、自己抗原および/またはバイスタンダー抗原の経口あるいはエアロゾル投与の前、実質的には同時、あるいは後であることを意味する。当然、その共同物質の投与は、最初に投与された物質の関連した効能が、徐々になくなってしまうほどの長時間間隔をあけて、自己抗原あるいはバイスタンダー抗原の投与より先行することもなく、遅れることもないようにすべきである。それゆえ、相乗剤は、自己抗原あるいはバイスタンダー抗原の投与の前後24時間以内、好ましくは1時間以内に投与されるべきである。(h)“経口”投与は、経口、経腸、あるいは胃内投与を含む。(i)特別な自己免疫疾患の”特徴”あるいは”徴候”を有する疾患とは、自己免疫疾患に悩まされるのと同じ器官あるいは組織の特異的な炎症に存在する自発的なあるいは誘発された疾患状態である。誘発された状態の例として、多発性硬化症のモデルであるEAEがある。また、自発的症状の例として、NODマウスによって発現された糖尿病がある。バイスタンダー抑制の説明バイスタンダー抗原の経口あるいは吸入による投与は、自己免疫疾患において効果的な治療であることが予期することなく発見された。少なくとも、細胞-媒介自己免疫疾患は、本発明に記載の方法および薬剤製剤を使用することによって治療することができる。バイスタンダー抗原の経口投与によって媒介された抑制は、免疫抑制因子、トランスフォーミング(transforming)成長因子ベータ(TGF−β)を放出するサプレッサーT細胞の顕現によって引き起こされる。TGF−βはそれを放出するサプレッサー細胞を誘発する抗原にとって特異的なものではない、たとえ、これらのサプレッサーT細胞が、経口的に投与(あるいは吸入)された抗原によって誘発されたとき、TGF−βを放出するものであってもである。器官あるいは組織の自己免疫破壊に寄与する細胞が存在する哺乳類中の部位へのサプレッサーT細胞の補充は、疾患誘発細胞近傍へのTGF−βの放出により濃縮が可能となり、これらの細胞を抑制(例えば、シャット・ダウン(shuts down))する。これらの“破壊的な”細胞を抑制するTGF−βの能力は、破壊的な細胞に特異的な抗原とは無関係である。破壊的な細胞の抑制を完成するための好ましい方法は、哺乳類への抗原の経口投与を選ぶことである。そして、前記抗原は、TGF−βを放出するサプレッサーT細胞を顕現させるだけでなく、破壊的な細胞が高濃度で発見される哺乳類の体の中の部位をこれらのサプレッサーT細胞の標的とすることができる。サプレッサーT細胞にとって、好ましいそして有効な標的は、特別の自己免疫疾患における免疫攻撃下の器官または組織である。なぜならば、破壊的な細胞は、その器官または組織の付近に濃縮されているからである。この故に、バイスタンダー抗原(サプレッサーT細胞と特異的な)は、それ自身、攻撃下の組織または器官に特異的な抗原であることが好ましい。このように、バイスタンダー抗原は、自己抗原、あるいは好ましくは非疾患誘発フラグメント、あるいは自己抗原の類似体であってもよい(誘発疾患、あるいは組織破壊に含まれる自己抗原のエピトープの一部は、バイスタンダー抑制に含まれるものとは同じものではないという証拠がある。これは、以下実施例6に示す)。しかしながら、もっと重要なことは、バイスタンダーは自己抗原ではない他の抗原であってもよいということである。この故に、自己抗原(あるいは自己抗原群)は、同定される必要はない。本発明による組織特異性バイスタンダー抗原のバイスタンダー抑制の機構を、より詳細に以下に示す。組織特異性バイスタンダー抗原は、経口投与(あるいは経腸投与、たとえば胃に直接)されるかあるいは吸入された後、小腸に入り込み、腸壁下にある免疫細胞の集合体であるパイエル板と呼ばれているものと接触する。逆に、これらの細胞は、脾臓やリンパ節を含む免疫系と連絡している。その結果、サプレッサー(CD8+)T細胞が誘導され、自己免疫攻撃のエリアに増加していく。前記エリアは、TGF−βの放出がされる箇所であり、また、前記TGF−βは非特異的であり、哺乳類が有する組織に直接拮抗するCD4+T細胞を活性化するのと同様、B細胞をダウンレギュレートさせる。TGF−βの活性の非特異性にもかかわらず、結果的なトラランスは、バイスタンダー抗原が、攻撃下の組織に特異的であり、損傷を受けている組織あるいはその近傍で発見される免疫細胞を抑制するという事実によって、自己免疫疾患に対して特異的である。本発明の範囲内のバイスタンダーサプレッションの他の例は、自己抗原でもなく、攻撃下において組織あるいは器官に特異的でもない抗原の経口投与を含む。バイスタンダー抑制を活性にするために、同じ抗原を注入することが行われなくてはならない。摂取されたまたは吸入された抗原は、TGF−βの放出させる微環境、経路、炎症が起こった組織(注入された抗原が位置する)を標的とするサプレッサーT細胞の構成を顕現させる。一度、放出されたTGF−βは、組織破壊細胞を含む全ての免疫攻撃細胞を抑制する。TGF−βTGF−βは免疫系の細胞(例えば、TまたはBリンパ球)に影響を及ぼす。その結果、炎症性の反応にも影響を及ぼす。T−リンパ球(そして、他の細胞)は、TGF−βを生産する。すなわち、免疫系応答の結果(T−細胞の活性後)、のカスケードにおいて比較的遅く放出され、TおよびB細胞の増殖を高度に抑制する。多数の通常の組織は、TGF−βを生産する能力を有する。これらは、CD4+およびCD8+T細胞及び活性化大食細胞と同様、ヒトの血小板、胎盤、ウシの腎臓、骨、NK細胞を含む。TGF−βの分離と、生物的性質は、トランスフォーミング成長因子β 化学、生物学、及び治療学、Piez, K.A. et al., eds., Ann. N. Y. Acad. Sci. 593: 1-217, 1990に記載されている。TGF−βは、当初は成長因子として確認されていなかったが、齧歯動物及びヒトにおける、B及びT細胞の阻害や、CD8+細胞よりも高い、CD4+細胞の活性の阻害を含む、多数のそして重要な免疫調整特性を有する物質であることが即座に確認された。また、TGF−βは、腫瘍壊死因子(TNF)、ガンマ・インターフェロン(INF−γ)、ブロック細胞障害性リンパ球活性のような炎症性のシトキンを弱め、インターロイキン−I(IL−1)、インターロイキン−II(IL−2)のレセプターの誘導を阻害することが知られている。それゆえ、これらシトキンを感応の鈍い細胞とすることができる。TGF−βは、分子量が25kDで、多数の鎖間ジスルフィド結合によって結合された2つの同一の12.5kDサブユニットから構成されるタンパク質である。そして、少なくとも、活性、潜伏性の2つの種類のTGF−βが存在する。活性TGF−βは、半減期が短く、小さな容量分布を有しているが、潜伏性TGF−βは、半減期が長く、大きな容量分布を有している。2つのTGF−βのイソ型が、TGF−β1、TGF−β2として存在する。TGF−β1が、バイスタンダー抑制に含まれると考えられている。動物モデル本明細書を通じて、自己免疫疾患研究のために発達してきた種々のモデル系に対して参照がなされた。実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)が、ネズミ及び他の哺乳類種において、多発性硬化症(MS)のモデルとして研究された。当業者は、MSに対する実質的に全ての潜在的免疫治療が、第1にこの動物モデル系で試験されたことを知っている。その疾患は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)またはプロテオリピドタンパク(PLP)、及び(完全フロイントアジュバント、FCAのような)アジュバントの腸管外投与によって引き起こされる。いずれかの抗原によるこの処理は、(その種及び投与の詳細に依存して)、脱髄疾患の単相及び増進/停止形態の両方を引き起こす。引き起こされた疾患は、自己免疫疾患MSの特徴を有している。油中の結核菌と完全フロイントアジュバントの、感受性の哺乳類の後根尾部への腸管外投与は、ヒトのリウマチ様関節炎の特徴を持つ疾患を引き起こす。同様な方法で、タイプIIコラーゲンとアジュバントの腸管外投与も、ヒトのリウマチ様関節炎の特徴を持つ疾患を引き起こすだろう。ルイスラットへのS−抗原またはIRBP−抗原とアジュバントの投与は、自己免疫性葡萄膜網膜炎を引き起こし、一方、NODマウス及びBBラットにおいては、糖尿病が自発的に進行する。上述したモデル系のひとつまたはそれ以上は、本発明によって提供された効力及び改善された治療を示すために採用できる。実際に、それらの動物モデルは、バイスタンダー抑制を含む治療の試験に対して特に好適である。これは、この機構が、それらに特異的な抗原に関わらず、すべての免疫攻撃細胞を抑制させ、従って、ヒトの自己免疫性の病気とその動物モデルとの間の、実際のまたは潜在的な多数の相違により影響を受けないからである。上記の動物モデルは、本発明の、哺乳類(ヒトを含む)での有用性の確立に使用することができる。例えば、本願発明者は、ダブル−ブラインド(double-blind)研究において、多発性硬化症抗原、ウシのミエリンを、ヒトに経口投与し、ある患者亜群が、この処理からかなりの恩恵を受けることを見いだした。さらに、ヒトにおける関節痛、AMこわばり、握り強さ等の、リウマチ性関節炎の徴候は、経口コラーゲン(0.1−1.0mg1日1回投与)を受けて連続的に抑制された。最後に、経口S−抗原のヒト試験は、葡萄膜網膜炎に対して非常に助長する結果を示した。これらのヒト試験の全ては、適当な疾患モデルを用いた動物データに基づいて試みられた。よって、自己免疫疾患の治療的処理のための動物モデルの予想値は、実質的に高められた。バイスタンダー抗原疾患の間攻撃を受けている組織に特異的でないバイスタンダー抗原は、非毒性抗原物質の中で、例えば実施例1におけるOVAに対して用いたものと同様な検定系を使用して同定できる。組織または器官に特異的なバイスタンダー抗原は、検知可能なTGF−βの放出を引き起こすそのような抗原の能力を試験することによって簡単に同定できる。例えば、ひとつまたはそれ以上の潜在的組織特異的バイスタンダー抗原は、自己免疫性攻撃の標的である器官または組織から、良く知られた抗原精製方法を用いて精製される。バイスタンダー抗原及び自己抗原(それらの任意のもののフラグメント及び類似体も同様に)は、当業者にはよく知られた技術を用いた、細菌、酵母菌、昆虫(プサカラン(Psacalan)ウィルス)及び哺乳類の細胞中での、再配列DNA技術を用いても得ることができる。多くの潜在的及び実際のバイスタンダー抗原のアミノ酸配列は知られている(好ましくは、疾患誘発性エピトープは用いられるべきではない):例えば、Hunt, C. et al PNAS(USA), 82: 6455-6459, 1985(熱衝撃タンパク質hsp70);Burkhardt, H., et al., Eur. J. Immunol. 21: 49-54, 1991(抗原性コラーゲンIIエピトープ);Tuohy, V.K., et al., J. Immunol. 142: 1523-1527, 1989(マウスPLPの起脳炎決定基);Shinohara, T., et al., In Progress in Retinal Research, Osborne, N. & Chader, J. Eds, Pergamon Press 1989, pp. 51-55(S−抗原);Donoso, L.A., et al., J. Immunol. 143:79-83, 1989(IRBP);Borst, D.E., et al., J. Biol. Chem. 264: 115-1123, 1989(IRBP);Yamaki, K., et al., FEBS 234: 39-43, 1988; Donoso, L.A., et al., Eye Res. 7: 1087, 1988(IRBP);Wyborski, R.J., et al., Mol. Brain Res. 8: 193-198, 1990(GAD)。ウシPLP;ウシ、ヒト、チンパンジー、ラット、マウス、ブタ、ウサギ、モルモットMBP;ヒト及びウシコラーゲンアルファ−1(II)及びウシコラーゲンアルファ−1(I);及びヒトインシュリンのアミノ酸配列を、出版物から取り出したものであるが、便利のために補足Aに与えた。さらに、いくつかの組織特異的抗原が商業的に入手可能である:例えば、インシュリン、グルカゴン、ミエリン塩基性タンパク質、コラーゲンI、コラーゲンII、等。そこで、潜在的バイスタンダーは、哺乳類に与えることができ、これらの哺乳類からのEAEまたはMSの場合、例えば、血液または脳脊髄液からの脾臓細胞またはサーキュレーティング(circulating)T−細胞を取り出し、同じ抗原でインビトロで刺激することができる。刺激によって引き出されたT−細胞は、精製され、希釈液はTGF−β含有量を、例えば、TGF−βに対して生成した、好適な商業的に入手可能なポリクローナルまたは好ましくはモノクローナル抗体を用いて、あるいは、商業的に入手可能なミンク肺上皮細胞列を用いた後述の実施例1に示すような他の知られたTGF−β検出検定を用いて、定量的及び/または定性的に試験される。TGF−βの試験のそのような方法は、後述の実施例では詳細に説明する。自己抗原から導かれるペプチドのバイスタンダー能力の確認方法もまた実施例中で説明する。バイスタンダー抗原の用途−投与法(薬用量)本発明のバイスタンダー抗原に誘引されたトラランスは、経口(または経腸)もしくは吸入投与の広い範囲に渡って投与量依存性である。しかし、最小及び最大の有効投与量が存在する。言い換えれば、自己免疫性疾患の臨床的及び組織学的特徴の抑制は、特別な投与量範囲で起こるが、それは疾患に応じて、哺乳類の種に応じて、そしてバイスタンダー抗原に応じて変化する。例えば、その疾患がマウスにおけるPLP−またはMBP−誘起性EAEである場合、MBPをバイスタンダーとして用いたときの抑制できる投与量範囲は、約0.1から約1mg/マウス/給餌(給餌を、ほぼ1日おきに行って、例えば、10−14日に渡って5−7給餌)。最も好ましい投与量は0.25mg/マウス/給餌である。ラットにおける同じ疾患の抑制については、MBPの抑制できる投与量範囲は、約0.5から約5mg/ラット/給餌であり、最も好ましい投与量は1mg/ラット/給餌である。MSのヒトに有効な投与量は、MBPを用いる場合、1日に約1から約100、好ましくは約1から約50mgのMBP(毎日または1日おきに投与)であり、最適値は約30mg/日である。リウマチ様関節炎に対しては、タイプIまたはタイプIIコラーゲンのいずれかを受容しているヒトに対する有効な投与量範囲は、約0.1から約1mg/日である。ネズミにおけるアジュバント誘起性関節炎に対する有効コラーゲン投与量範囲は、EAEに対するものと同じ給餌計画によれば、約3から約30マイクログラム/給餌である。有効投与量範囲と最適量の確認は、当業者にとって良好である。例えば、哺乳類に対する投与量及びヒト投与量は、比較的低い投与量(例えば1ミリグラム)からはじめて、徐々にそれを増やし(例えば対数的に)、血液中のTGF−β量を測定し、及び/または、(例えば1から5で記録したり、または攻撃の数を測定したり、または疾患のタイプに応じて、関節腫脹、握り強さ、こわばり、視力等を測定するといった)よく知られた記録方法に従って疾患の重篤さを記録することにより決定することができる。最適投与量は、血液中にTGF−βの最大量を生成するものであり、及び/または、疾患徴候の最大の減退を引き起こすものである。有効な投与量範囲は、治療されるべき疾患に特徴的な徴候の少なくともひとつの、少なくとも統計学的に有意義な希薄化を生ずるものである。本発明は、自己免疫性疾患の危険にさらされている感受性の個人における自己免疫性疾患の開始の防止にも有利に使用できる。例えば、進行性タイプ1糖尿病の危険性にさらされている患者の識別は現存し、信頼され、最近米国糖尿病協会(ADA)によって裏書きされている。(特に組み合わせにおいて)タイプ1糖尿病に対する感受性を評価する高い予想値を持つ種々の検定系が発達してきている(Diabetes Care 13: 762-775, 1990)。ひとつの好ましいスクリーン試験の詳細が、当業者に入手可能である(Bonifacio, E., et al., The Lancet 335: 147-149, 1990)。実用的な見地から、ほとんどの自己免疫疾患の開始を防止することは、糖尿病の場合の測定のように重要ではない。MS、RA、AT及びAURは、実際の組織破壊が起こる以前の初期の段階で宣言され、従って、これらの疾患の抑制治療は、糖尿病の場合ほど重要ではない。自己免疫疾患、及び、組織または器官特異的な、確認されたまたは潜在的な、経口または吸入形態で投与されたとき、これらの疾患の治療に有効なバイスタンダー抗原の、限定されないリストを以下の表1に示す。各個の疾患に対する挙げられた抗原の組み合わせの投与もまた、疾患の治療に有効であると予想される。任意の自己免疫疾患に対して、組織抽出物は、特異的なバイスタンダー抗原と同じように用いることができる。例えば、ミエリンはMSに対して用いられ、膵臓抽出物は、タイプ1糖尿病に対して用いられる。しかし、個々の抗原をひとつまたはそれ以上投与するのが好ましい。そのように、本発明によれば、タイプ1糖尿病を治療するとき、(上述のように決定した)有効な量のグルカゴンを、経口または吸入によって投与できる。グルカゴンは、特に膵臓に存在する。しかし、グルカゴンは自己抗原ではない。なぜならば、それはタイプ1糖尿病の間に破壊される膵臓ベータ細胞であり、一方グルカゴンは、異なる細胞種であるアルファ細胞中にのみ見いだされるからである。従って、グルカゴンは、自己抗原活性を持たない「純粋な」バイスタンダーである。インシュリンは、明確にタイプ1糖尿病に対するバイスタンダー活性を有している。現時点では、インシュリンが自己抗原でもあるかどうかは知られていない。しかし、機能の機構がいかなるものであれ、経口、経腸、または吸入可能なインシュリン製剤は、審査中の共同出願した特許出願である出願番号595,468にあるように、タイプ1糖尿病の特徴を有する疾患の抑制に有効である。多発性硬化症の特徴を有する疾患に対して、MBPの非誘引性フラグメント、例えばモルモットMBPアミノ酸21−40からなるペプチドは、MBP誘引性疾患(即ち、MBPが自己免疫の攻撃の第1の標的であるとき)のみならず、PLP誘引性疾患(即ち、PLPが自己免疫の攻撃の第1の標的であるとき)に対してもバイスタンダーとして振る舞う。リウマチ様関節炎及びその動物モデルに対しては、タイプI及びタイプIIコラーゲンがバイスタンダー活性を有する。葡萄膜網膜炎の特徴を持つ疾患に対しては、S−抗原がバイスタンダー活性を有する。自己抗原でもあるこれらのバイスタンダー抗原の非誘引性フラグメントは好ましい。そのようなフラグメントは、実施例3のオーバーラップ・ペプチド法(これは一般的な方法であるが、実施例3では、特にMBPの非誘引性フラグメントの同定について説明される)を用いて同定することができる。本発明者らは、経口投与された自己抗原及びバイスタンダー抗原の両方が、特にTGF−βの生成及び/または放出を誘起するエピトープを有していることを見いだした。例えば、MBPの免疫優性エピトープは、以前に開示されているが、即ち、患者のCD4+Tリンパ球の大多数が認識し、免疫抑制エピトープへの応答において増殖し、または患者の抗体の大多数が認識するもの、即ち、TGF−βの生成及びまたは放出を引き起こすものは、本発明以前に開示も示唆もされていない。従って、これらのエピトープを含むペプチドの、経口または吸入による投与は、バイスタンダー抑制の誘引において、全抗原の投与より特異的であると予想され、抗原の疾患誘引性または疾患促進性部位を動物に感作する危険もない。免疫抑制エピトープは、MBPペプチド21−40の同定に関する実施例3で説明する方法を用いて同定できる。(図14も参照)バイスタンダー抗原は、自己免疫疾患の治療及び予防のために、(有効な組み合わせで)自己抗原とともに投与できる。自己抗原の投与は、先に述べた米国特許出願の出願番号460,852、596,936、454,486、551,632、502,559、607,826及び595,468に開示されたように行われる。特別な自己抗原(及び好ましくは自己抗原の非誘引性フラグメント)と他のバイスタンダー抗原との共投与が、自己免疫疾患を有効に抑制することは、先に出願されている。さらに、上記の有効性を向上させるために、相乗剤を加えることができる。本発明で使用するための相乗剤の非限定的な例は、イー・コリ(E.coli)及びサルモネラの種々のサブタイプのようなグラム陰性細菌の多くのものからの細菌性リポ多糖類(LPS、シグマ・ケミカル、セント・ルイス、MO;ディフコ(DIfco),デトロイト、MI;バイオモル・レス・ラブス(BIOMOL Res. Labs.)、プリマス、PA)、リピドA(シグマ・ケミカル、セント・ルイス、MO;アイシーエヌ・バイオケミカルズ(ICN Biochemicals)、クリーブランド、OH;ポリサイエンス・インク(Polyscience Inc.)、ウェリントン、PA)、及び、デレス・ケー(Deres, K.)ら(Nature, 342: 561-564, 1689)に開示されたように得られるトリパルミトイル−S−グリカリルシステイニル−セリル−セリン(P3C55)に共有結合したペプチド、または、ブラウン・ヴィ(Braun, V.)ら(Biochem. Biophis. Acta 435: 335-337, 1976)に開示されたように得られるイー・コリからの「ブラウンズ(Brauns)」リポタンパクのような免疫調節リポタンパクを含んでいる。LPSが好ましく、リピドAは特に好ましい。リピドAは、全LPS分子より毒性が低いので、本発明で用いるのは特に好ましい。本発明で用いるLPSは、グラム陰性細菌から抽出でき、ガラネス(Galanes)ら(Eur. J. Biochem. 9: 245, 1969)及びスケリー・アール・アール(Skelly, R. R.)ら(Infect. Immun. 23:287, 1979)の方法を用いて精製できる。製剤他の態様において、本発明は、自己免疫疾患にかかった哺乳類の治療用の経口薬剤の製剤も提供する。その製剤は、(以下に説明するように、)自己免疫疾患を抑制するのに有効な量のバイスタンダー抗原からなる。その製剤は、さらに、1990年3月2日に出願された審査中の米国特許出願、出願番号487,732に開示されているような相乗剤を、(本発明のバイスタンダー抗原とともに)、特別な自己免疫疾患の臨床的徴候を処理するのに有効な量含んでいてもよい。相乗剤は、バイスタンダー抗原とともに投与されたとき、標的器官の近傍における、シトキンPGE(プロスタグランジン−E)及びIL−4(インターロイキン−4)の増加をもたらす。この議論を通して、本発明の治療に従う自己免疫疾患のひとつの徴候の統計学的に有意義な希薄化も発明の範囲内であることが理解されるであろう。本発明による各経口(または経腸)製剤は、製薬上許容されるキャリア、希釈剤、フィラー、可溶化または乳化剤、及び塩といったこの分野でよく知られた不活性成分が付加されてもよい。例えば、錠剤は、この分野でよく知られた固体キャリアを用いて、従来の方法に従って製剤できる。本発明で採用されるカプセル剤は、ゼラチンまたはセルロース誘導体のような製薬上許容される材料から製造される。1987年11月3日に発行された米国特許番号4,704,295;1985年12月3日に発行された米国特許番号4,556,552;1982年1月5日に発行された米国特許番号4,309,404;1982年1月5日に発行された米国特許番号4,309,406に記載されたような、持続放出経口デリバリ・システム(delivery system)及び/または経口投与される投薬形態の経腸被覆もまた考えられる。固体キャリアの例は、澱粉、砂糖、ベントナイト、シリカ、及び他の一般に用いられているキャリアを含む。さらに、本発明の製剤に使用できるキャリア及び希釈剤の非限定的な例は、塩化ナトリウム水溶液、シロップ、デキストロース、及び水を含む。各投与形態の個々の投薬に含まれる活性成分の単位含有量は、それ自体で有効量をなす必要はない。なぜならば、必要な有効量は、複数の投薬単位(カプセルまたは錠剤またはそれらの組み合わせ)を投与することによって達成されるからである。本発明のバイスタンダー抗原の投薬経路は、経口または経腸が好ましい。好ましい経口または経腸薬剤の製剤は、例えば、本発明のバイスタンダー抗原のひとつまたはそれ以上の有効量を含み、有効量の相乗剤を含むかまたは含まない丸薬あるいはカプセルからなる。一般に、経口または経腸で投与されるとき、バイスタンダー抗原は、単一投与形態あるいは複数投与形態で投与されてよい。バイスタンダー抗原とともに投与されるべき有効量の相乗剤、例えば、LPSまたはリピドAは、1日に、前記哺乳類の体重1kg当たり、約0.15から15mg、好ましくは、1日に前記哺乳類の体重1kg当たり、0.3から12mgの広い範囲にある。本発明の他の好ましい実施態様にあっては、本発明の薬剤の製剤または投与形態は、自己免疫疾患にかかった哺乳類に対して、吸入、好ましくはエアロゾル形態で投与することができる。吸入方式の投与は、鼻の通路ではなく、気管及び肺の粘膜を通すのが好ましい。1989年12月20日に出願された審査中の米国特許出願、出願番号454,486に開示されている実験的な自己免疫脳脊髄炎をミエリン塩基性タンパク質で、及びアジュバント関節炎のコラーゲンで治療する際に見られるように、自己免疫疾患の治療のためのエアロゾル投与を用いることは、本発明のバイスタンダー抗原のより低い量を必要とすることが予想される。エアロゾル投薬形態で投与される本発明のバイスタンダー抗原の量は、1日に、哺乳類の体重1kg当たり約0.1mgから約15mgであり、任意に、1日に、哺乳類の体重1kg当たり約0.1から約15mgの相乗剤を、単一投与形態または複数投与形態で投与してもよい。投与すべき正確な量は、患者の疾患の段階及び重篤さ、及び患者の肉体的状態に依存して変化するであろう。本発明のエアロゾル薬剤の製薬は、任意の成分として、この分野でよく知られたタイプの、製薬上許容されるキャリア、希釈剤、可溶化及び乳化剤、及び塩を含んでいてもよい。そのような物質の例は、生理学的に緩衝された水酸化ナトリウム水溶液のような標準水酸化ナトリウム水溶液、及び水を含む。本発明のこの他の実施態様によるバイスタンダー抗原の投与経路は、エアロゾルまたは吸入形態である。本発明のバイスタンダー抗原及び関連化合物は、乾燥粉体粒子として、またはキャリア・ガス(例えば、空気またはN2)中に懸濁させた噴霧した水溶液として投与することができる。好ましいエアロゾル薬剤の製剤は、例えば、本発明のバイスタンダー抗原を約1mgから約300mg含む生理学上許容される緩衝水酸化ナトリウム水溶液からなる。液体に溶解せず、懸濁もしていないバイスタンダー抗原の、微細に分割した固体粒子の形態をした乾燥エアロゾルもまた、本発明の実用において有用である。バイスタンダー抗原は、ダスティング(dusting)粉体の形態にあってもよく、平均粒子寸法が約1から5ミクロン、好ましくは2から3ミクロンの微細に分割した粒子からなってもよい。微細に分割した粒子は、この分野でよく知られた技術を用いて、粉砕及びスクリーン・フィルトレーション(screen filteration)によって調整される。その粒子は、予め決められた量の微細に分割した材料を吸入によって投与され、それは粉体の形態であることができる。本発明のエアロゾル薬剤の製剤において有用なキャリア及び/または希釈剤の、特別な非限定的な例は、水、及び、燐酸緩衝水酸化ナトリウム水溶液pH7.0−8.0のような、生理学的に許容される緩衝水酸化ナトリウム水溶液である。さらに、本発明のエアロゾル薬剤の製剤または投与形態において使用される好適なキャリアまたは希釈剤の非限定的な例は、1987年4月21日に発行された米国特許番号4,659,696、1989年9月5日に発行された4,863,720、及び1987年10月6日に発行された4,698,332に開示されている。本発明の薬剤の製剤は、例えば、1986年11月25日に発行された米国特許番号4,624,251、1972年11月21日に発行された3,703,173、1971年2月9日に発行された3,561,444、及び1971年1月13日に発行された4,635,627に開示されているもののような噴霧器を用いて、エアロゾル・スプレーの形態で投与することができる。エアロゾル材料は、治療されるべき主体に吸入される。ニューマン・エス・ピー(Newman, S. P.)の、エアロゾル及び肺、クラーク・エス・ダブリュ(Clarke, S. W.)とダビア・ディー(Davia, D.)編、pp.197−224、ブッターワース(Butterworths)、ロンドン、英国、1984に開示されていように、加圧メータード・ドーズ・インハラー(meterd dose inhaler)(MDI)及び乾燥粉体吸入器のような、他のエアロゾル・デリバリ・システムが、本発明を実用する際に使用できる。ここで開示されるタイプのエアロゾル・デリバリ・システムは、フィッションズ・コーポレーション(Fisions Corporation)(ベッドフォード(Bedford)、MA)、シェリング・コープ(Schering Corp.)(ケニルワース(Kenilworth)、NJ)、及びアメリカン・ファーマシール・カンパニー(American phemeseal Co.)(バレンシア(Valencia)、CA)を含む多くの販売元から入手可能である。当業者には理解されるだろうが、本発明のバイスタンダー抗原の投与(経口またはエアロゾル形態)の、正確な投与量及び頻度は、バイスタンダー抗原の活性によって決まり、同様に、治療されるべき主体の年齢、体重、肉体的状態、及び同時投与または他の治療の欠落によって決まる。従って、使用される投与量及び投与計画の調節は、これらの因子を基に決めなければならず、それは実験的に決定する必要があるかもしれない。しかし、そのような決定は、ここのガイドラインに与えられた日常的実験以上のものを要求しない。実験以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を例解するものであるが、この実施例において次のことが説明される:実施例1は、TGF-β1イソタイプの活性の形態はMBPに特異的なCD4+T細胞の抑制を媒介し、動物にMBPを給餌することによって誘発されるCD8+T細胞はTGF-βの放出を引き起こし、抑制の原因はTGF-βであることを示している。同じ例によって、自己抗原ではなくかつ自己免疫の攻撃下の組織又は器官に特異的でもない抗原は、TGF-βの放出を引き起こすTサプレッサー細胞の形成を引き出すことができることも説明される。このことは、オボアルブミンの経口投与によって例解される。しかし、オボアルブミンの問題は、これは自己免疫に苦しめられている組織に特異的でないため、これ自体は、自己免疫の攻撃に関与している細胞が見出され得る部位に、Tサプレッサー細胞を指し向けることができない。(この問題は実施例2に譲る。)実施例1は、全ての経口投与された抗原がバイスタンダー型抑制を引き起こすわけではない(ウシ血清アルブミンは引き起こさない)ことも例解している。最後に、実施例1は、同じ機構(バイスタンダー抑制)がMBPの経口投与によってEAEの抑制において作用していることも説明している。実施例2は、バイスタンダー抑制の能力のある抗体は経口投与の際にTGF-βの放出を引き起こすことと、さらに、この抗原によって引き出されるサプレッサーT細胞が自己免疫の攻撃に関与する細胞が見出され得る位置に補充され得るならば、それらの疾患を促進する細胞は抑制されることとを示している。さらに実施例2は、抗原が自己免疫の攻撃下にある組織に特異的ではないときであっても、この様な補充をもたらす仕方を提供する。最後に、実施例2は、TGF-βの放出の準備をするサプレッサーT細胞は、抑制が起こるために抑制された細胞に出会う必要はないことを示している。非特異的バイスタンダー抗原が効率的なバイスタンダーにされ得る(すなわち、疾患を促進する細胞の近傍でTGF-βの放出が起こるように「強いられる」)仕方は、同じ抗原を実質的に同時に注射すること(バイスタンダーの経口投与の前後24時間以内)によるものである。例えば、OVAが動物に給餌され、次いでこれらの動物がEAEを誘発するためにMBP/CFAで免疫化されたとき、OVAを用いた注射はEAEを抑制することがわかった。これは、動物のリンパ節中のOVAに特異的な細胞(これは、まさにOVAに引き出されるサプレッサーT細胞の様に、OVAに特異的である)とEAEを促進する細胞(OVAに引き出されるサプレッサーT細胞はこれを認識しない)との両方の濃度による。非特異的バイスタンダー抗原は、これらのサプレッサーT細胞が、これらが疾患を促進する細胞を抑制する部位に指し向けられ得るならば、自己免疫疾患と戦う際にも用いることができるであろう、という意味をこの治療のための説明は包含している。この様な非特異的バイスタンダー抗原の使用は、特異的バイスタンダー治療にとってのアジュバントとして主に考えられるが、これは明らかに本発明の範囲内にある。実施例3は非誘発のフラグメントと、そしてより重要な、自己抗原でもある、あるバイスタンダーに関する免疫抑制エピトープ、すなわちMBP、とを同定するための技術を例解している。しかし、この技術は、一般的なものであり、アミノ酸配列がわかっている限り、いかなるバイスタンダー抗原にも適用可能である。(図10,11及び14も参照。)実施例3は、TGF-βの放出の触発(triggering)にも、バイスタンダー抑制にも参加しない、自己抗原(例えば、EAEを誘発するフラグメントである、モルモットMBPのイムノドミナント(immunodominant)エピトープ、MBP71-90)の部分があることも示唆している。この様に、実施例3は、「純粋な」バイスタンダーが好ましく、自己抗原のうち少なくともイムノドミナント(疾患を誘発する)の部分は用いられるべきではなく、その代わりに、免疫抑制エピトープを含み疾患を促進するエピトープを除外するように構成物が作られなければならないことを例解している。実施例3は、バイスタンダー抑制の能力のある抗原中に免疫抑制のエピトープがあり、自己抗原の場合には、この免疫抑制のエピトープは、自己免疫応答の原因となるものとは異なることも示している。実施例4は、実際に自己免疫応答及びその抑制に包含される細胞及びシトキンの型は、純粋な(対照)動物、又はMBP/CFAで免疫処置され及び/又はMBPを給餌された、又はMBPと相乗剤LPSとを給餌された動物の皮質及び小脳中に存在する(あるいは存在しない)ことを説明している。実施例5は、タイプ1糖尿病(NODモデル)に関連するインシュリン炎のバイスタンダー抑制におけるグルカゴンと同様に、インシュリンA鎖、インシュリンB鎖、及び4つのインシュリンのB鎖のフラグメントのそれぞれの効能を例解している。インシュリン炎、すなわち島の細胞で観察される炎症の応答は、タイプ1糖尿病の自己免疫の抑制の効能を測定するための適当なマーカー(marker)を提供する。なぜなら、インシュリン炎は、(a)タイプ1糖尿病と同じ機構によって触発され、(b)自己免疫の破壊がなおも起こっている間にのみ、すなわちこの主体が少なくともある島の細胞の機能を維持している間に存続する。実施例6は、ある自己抗原は、他の自己抗原に関するバイスタンダーとして単独で作用できることを説明している。この様に、MBPはPLPに関してバイスタンダーであることが説明された。(PLPも、MBPで誘発される疾患を抑制する能力を有し、それゆえにPLPはMBPに関してバイスタンダーである。)実施例6は、バイスタンダーの抑制とは異なり、I.V.トラライゼーションには、自己免疫の攻撃の標的である(あるいは動物モデル中で、疾患を誘発する)抗原と同じ抗原が投与されることが要求されることも示している。実施例1: ミエリン塩基性タンパク質への経口トラライゼーションによって生じたサプレッサーT細胞は、抗原特異性の触発に続くTGF-βの放出によるインビトロ及びインビボの両方の免疫応答を抑制する下記の実験において、次の材料及び方法が用いられた。動物. メスの生後6-8週のルイス(Lewis)ラットをハーラン-スプレイグ ドーリー インク(Harlan-Sprague Dawley Inc.)(インディアナポリス,IN)から入手した。動物は任意に標準飼料及び水を与えて飼育した。抗原. 1990年3月2日に出願された米国特許出願出願番号第07/487,732号に開示されている、ディブラー(Deibler)他(Prep.Biochem. 2:139,1972)の修正された方法によって、モルモットのミエリン塩基性タンパク質(MBP)を脳組織から精製した。ゲル電気泳動及びアミノ酸分析によって、タンパク質含有量及び純度を確かめた。試薬. 用いられた商業的試薬は次の通りである: モノクローナルマウス抗ラットINFγ中和抗体(アムゲン バイオロジカルズ(Amgen Biologicals),サウザンド オークス(Thousand Oaks), CA);モノクローナルハムスター抗マウスTNFα+β抗体(ゲンザイム(Genzyme),ボストン,MA);ポリクローナルウサギ抗TGF-β1+2中和抗体(アール アンド ディー システムズ,インク(R & D Systems, Inc.),ミネアポリス,MN),及びインドメタシン(シグマ(Sigma),セントルイス,MO)。TGF-βのタイプ1イソ型タンパク質に関して特異的なシチメンチョウ抗血清を、前記したように(ダニエルプール,ディー.(Danielpour, D.)他, J. Cell. Physiol. 138: 79-86,1989)調製した。経口トラランスの誘発. 18ゲージのステンレス鋼動物給餌針(トーマスサイエンティフィック(Thomas Scientific),スウィーズボロー(Swedesboro),NJ)を用いた胃の挿管によって、1mlのPBSに1mgのMBPを溶解したもの又はPBSのみをラットに給餌した。最後の給餌を免疫処置の2日前とし、2-3日の間隔で5回動物に給餌した。この目的は、トラランスを誘発することである。上澄みによる増殖応答のインビトロ抑制. 最後の給餌の7-14日後に脾臓細胞を取り除き、この脾臓をステンレス鋼のメッシュに押し通して単一細胞の懸濁物を調製した。上澄みを調製するために、5x106細胞/mlの濃度の脾臓細胞を、10mlの増殖媒体中のMBP(50μg/ml)を用いてインビトロで刺激した。増殖媒体は、2x105Mの2-メルカプトエタノール、1%のピルビン酸ナトリウム、1%のペニシリンとストレプトマイシン、1%のグルタミン、1%のヘペス(HEPES)緩衝剤、1%の非必須アミノ酸、及び1%の自己由来の血清を補った、RPMI1640(ギブコ(GIBCO),グランド アイランド(Grand Island),NY)からなる。24時間で上澄みを収集し、前に記したように100μlを2.5x104のMBP特異性T細胞に加え、増やし、維持して(ベン-ナン,エイ.(Ben-Nun, A.)他,Eur. J. Immunol. 11: 195-199,1981)、そして100μlの増殖媒体中で5x105の照射された(2500rad)胸腺細胞を用いて培養した。丸底の96ウエル(well)のプレート(コスター(Costar),ケンブリッジ,MA)中で実験を3度行った。湿された6%CO2及び94%空気の雰囲気を有するインキュベーター中で37℃で72時間細胞を培養し、培養の最後の18時間の間、1μCiの3Hチミジンを用いてそれぞれのウエルをパルスした(pulsed)。培養をマルチハーベスター(multiharvester)を用いてファイバーグラスフィルター上に収集し、標準液体シンチレーションの技術を用いて計数した。この目的は、経口トラライゼーションの際に生成する可溶の因子に関する検定系を設定することである。T細胞サブセットの精製. クルイクシャンク(Cruikshank)(J. Immunol. 138:3817-3823,1987)の修正された方法に従って、磁気ビーズを用いて負の選択をすることによって、リンパ球サブセットを減少させた。脾臓細胞を、氷上で30分間、マウス抗ラットCD8、CD4又はB細胞モノクローナル抗体(mAbs)(それぞれ、クローンOX/8、W3/25、又はOX/33、セロテック/バイオプロダクツ(Serotec/Bioproducts),インディアナポリス,IN、より商業的に入手可能)の1:10の希釈物を用いてインキュベートし、2度洗浄し、次に、ヤギ抗マウスIgGが共有結合的に付着した、4.5μm(M-450)の平均直径を有する、予備洗浄した磁気粒子(ダイナル インク(Dynal Inc.),フォートリー(Fort Lee),NJ)に加えた。用いられた磁気ビーズの量は、概算される標的細胞の個数の10倍となるように計算された。この細胞を、10ml丸底試験管(ヌンク(Nunc))中の、10%ウシ胎児血清(FCS)を補った0.5mlのRPMI1640中で、このビーズを用いて、5分毎に穏やかに振りながら、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーションの後、このビーズ/細胞懸濁物を5mlの媒体で洗浄し、この細胞-mAb-ビーズ複合体を、磁気粒子コンセントレーター(concentrator)(ダイナル-MPC-1)を2分間用いて、強力な磁場中で標識されていない細胞から分離した。上澄みを取り除き、この手順を2回繰り返して非付着の部分を得た。このT細胞及びB細胞を減少させた集団の細胞は、間接流動細胞計測法で示されたものによれば、>95%CD4+CD8-、CD4-CD8+、又はCD4+CD8+、又はCD4+CD8+OX/33-(B細胞を減少させたもの)であった。MBPを給餌された、あるいは対照を給餌された動物からの脾臓の集団全体(5x106細胞)を、血清の無い増殖媒体1ml中で、MBP(50μg/ml)の存在下で培養した。減少された集団を、2.5x106細胞/mlの濃度で培養した。24時間後に上澄みを収集し、100μlを上述したようにレスポンダー(responder)細胞に加えた。この目的は、どのT細胞がバイスタンダー抑制に関わっていたかを決定するために、T細胞の特異的サブセットを単離することである。抗シトキン抗体を用いた上澄みの処置. MBPを給餌された、及び対照の動物からの脾臓細胞(増殖媒体中で5x106/ml)を、MBP(50μg/ml)の存在下で、インターフェロン-ガンマ(INFγ)、TGF-β、腫瘍壊死因子(TNF)α+βに抗する中和する抗体と共に、又はインドメタシンと共に、72時間インキュベートした。抗体は(1:250,1:500,1:1000)の濃度の範囲で試験され、インドメタシンは0.5−1μg/mlの濃度で試験された。24時間後に、上澄みを収集し、遊離の抗体又は抗体-シトキン複合体を、磁化できる重合体のビーズ(ダイナビーズ(Dynabeads),ダイナル インク,フォート リー,NJ)を用いて除去した。抗イムノグロブリン抗体と対にしたビーズを30分間、4x107ビーズ/mlの濃度でインキュベートし(それぞれの試料について2回行った)、そしてリアバク(Liabakk)他(Scand. J. Immunol. 30: 641,1989)の修正された方法によって、ダイナル磁性粒子コンセントレーター(ダイナル,MPC-1)を用いて除去した。これらの実験の目的は、経口トラライゼーションに際して生成された可溶性のシトキンを検討することである。血清の無い培養の上澄み中のTGF-βの測定. 血清の無い培養の上澄みを、前に記されたように(ケーリ(Kehri)他J. Exp.Med.163:1037-1050, 1986;ワール(Wahl)他J. Immunol.145:2514-2419,1990)収集した。簡潔に言えば、モジュレーター細胞を、増殖媒体中でMBP(5cμ1/ml)を用いて8時間最初に培養した。その後で、細胞を3回洗浄し、72時間の培養の残り時間で血清の無い媒体中で再懸濁し、収集し、次いで検定するまで氷結した。上澄み中のTGF-βの含有量およびイソ型タンパク質のタイプの決定を、ダニエルプール他(上述)によってミンクの肺上皮細胞列(cell line)(アメリカンタイプ培養コレクション(American Type Culture Collection),ベセズダ(Bethesda),MD #CCL-64)を用いて行い、前に記されたように(ダニエルプール他成長因子(Growth Factors)2:61-71,1990)によるサンドイッチ(Sandwich)免疫検定法(SELISA)の検定によって確定した。前もって試料を酸で活性化しない検定によって、パーセント活性TGF-βを決定した。これらの実験の目的は、経口的にトラライズされた動物から得られたT細胞によって生成されたTGF-βのイソ型タンパク質を測定し決定することである。動物の免疫処置. 実質的なEAE疾患状態を誘発するために、ルイスラットを、左のフードパッド(food pad)内に、50μl中の25μgのMBPであって、4mg/mlのヒト型結核菌(ディフコ(Difco))を含有する同体積の完全フロイントアジュバント中で乳化されたものを用いて、免疫化した。抗TGF-β抗血清および対照血清のインビボ投与. タイプ1イソ型タンパク質に特異的なシチメンチョウ抗TGF-β抗血清をインビボ実験のために用いた。これは前に調製され、特定されたものである(ダニエルプール他,1990,上述)。注射の前に血清を56℃で30分間熱不活性化した。様々な濃度(最終体積100μlまでPBS中で希釈された、12.5、25、又は50μl)の抗TGF-β抗血清又は対照シチメンチョウ血清を用いて、MBP/CFA免疫処置に関して−2、0、+2、+4、+6日目に5回、動物(グループあたり5匹)の腹腔内(I.P.)に注射した。1μgの抗血清は、I-TGF-β1のA549細胞に対する結合の活性4mg/mlを遮断した(ダニエルプール他,1990,上述)。経口トラライズされた動物と、経口トラライゼーションなしでEAEを発達させる動物との両方に対して、インビボ処置を与えた。これらの実験は、インビボでの経口トラランス誘発に関する抗TGF-β抗血清の効果を検討し、TGF-β活性が廃棄されるかどうかを確かめるために実施された。臨床評価. インビトロ検定と臨床上の疾患との相関性を検討するために、見えないようにした(blinded)仕方で毎日、EAEの徴候に関して動物を評価した。EAEの臨床上の重症度(severity)は、次のように採点された: 0,疾患なし;1,尾の弱り;2,後脚の麻痺;3,後脚の対麻痺、失禁;4,四肢麻痺;5,死亡。疾患の持続期間は、各動物に関して、疾患の始まり(通常、免疫処置後第10又は11日)から完全な回復又は死亡までの合計日数を数えて測定した。遅延型過敏症(DTH)検査. 耳中の皮下に、PBS中の25μgのMBPを注射して、DTHを検査した。測微計カリパス(ミツトヨ、日本)を用いて、見えないようにした観測者によって、免疫性テスト(challenge)の前及び48時間後に、厚さを測定した。免疫性テストの前後の耳の厚さにおける変化を各動物に関して記録し、その結果を各実験グループ±SEMに関する平均として現した。DTH応答を観測した。なぜなら、これらは、EAEがそうであるように、CD4+T細胞によって仲介されるからである。統計的分析. ワン−テイルド(one-tailed)スチューデントt-検定を用いて平均の比較を行い、グループ間の疾患の発生率を比較する際にカイ二乗解析(当該技術において通常の知識を有する者に公知のもの)を用いた。MBPに経口トラライズされ、MBPによってインビトロで刺激されたラットからのB細胞又はT細胞サブセットを減少した脾細胞から収集された上澄みが、MBP系(line)を抑制することができるかどうか決定するために、実験を行った。図1に示された通り、MBP系の増殖の減少は、MBPを給餌した、及びMBPを用いてインビトロで刺激された動物からの、B細胞欠如又はCD4欠如脾細胞からの、上澄みの追加と共に起こった。ウシ血清アルブミン(BSA)を給餌された動物の細胞からの、又はMBPを給餌された動物より得られたCD8欠如脾細胞からの上澄みを用いた場合は、抑制は起こらなかった。このことは、抑制が給餌された抗原と、必要なサプレッサーT細胞とに特異的であることを示唆している。公知のシトキンが抑制を媒介することに関与しているかどうかを決定するために、サプレッサー活性を有すると仮定されるシトキンに対する中和する抗体を、抑制を排除するために上澄みに加えた。図2に示されたように、ウサギ抗TGF-β抗体は、投与量に依存するように、上澄みによって媒介される抑制を排除した。INFγ、TNF-α+βに対する中和抗体について、又はインドメタシン、プロスタグランジン遮断薬、が加えられたときは、抑制に関する効果は見られなかった。抗TGF-β抗体が、MBP特異性のレスポンダーT細胞系に直接加えられたときは、抑制は起こらなかった(データは示されていない)。このことは、TGF-βが、図1で観察された抑制に関与し、可溶性因子によることを示唆している。MBPを給餌され、MBPを用いてインビトロで刺激された動物からの脾臓の細胞の上澄み中のTGF-βの存在を直接的に説明するために、血清のない状態で上澄みを収集し、上述のようにTGF-βに関して直接的に検定した。図3に示されたように、TGF-βは、MBPの不在下ではなく、存在下で、インビトロで刺激された、MBPを給餌された動物からの脾臓細胞によって分泌された。さらに、TGF-βは、オボアルブミン(OVA)を給餌された動物からの脾細胞が、OVAを用いてインビトロで刺激された時にも分泌された。TGF-β1又はTGF-β2のいずれかに特異的な遮断する抗体を用いる特定のSELISA検定を用いて、TGF-βがTGF-β1のイソタイプのものであることがさらに説明された。また、分泌されたTGF-βは、潜伏性の形態というよりむしろ活性の形態にあるものであった。MBPを用いて給餌されインビトロで刺激されたグループにおけるTGF-βの量は、6.8±1.7ng/mlで、活性の形態で68±9%を有していた。OVAグループにおいて、TGF-βの量は、6.1±1.0ng/mlで、活性の形態で65±9%を有していた。MBPを給餌され、T細胞増殖の非特異的誘導物質、コンカナバリンA(Con-A)、を用いて刺激された動物の脾臓細胞からの上澄み中では観察されたなかった。もっとも、少量(2.1±0.45ng/ml)の潜伏性のTGF-βは観察された。TGF-β1が、MBPへの経口トラライゼーションによるEAEの抑制においても役割を演じるかどうかを決定するために、シチメンチョウ抗TGF-β1抗血清をインビボで投与した。図4Aに示されたように、動物がPBS又は対照シチメンチョウ血清を注射された場所に、第13日目に、3.2-3.5の間の最大疾患重症度で、対照動物中に麻痺のEAEが発達した。MBPを用いた経口トラライゼーションによって、PBS又は対照シチメンチョウ血清を注射した動物中のEAEの重症度は著しく減少した(図4C)。50μlの対照血清で5回処置された動物中の最大疾患重症度は3.2±0.2で、50μlの対照血清で5回処置された経口トラライズされた動物中では1.0±0.2(p<0.001)であった。図4Dに示されたように、抗TGF-β1抗血清でのインビボ処置によって、投与量依存の仕方でのMBPの経口投与によって誘発された保護は廃棄された;50μlの抗TGF-β1抗血清で5回処置された経口トラライズされた動物における最大重症度は、1.0±0.2に対して3.7±0.2であった(p<0.001、グループCに対してグループD)。図4Bに示されたように、MBPへ経口トラライズされなかった抗TGF-β1抗血清で処置された動物中での疾患の投与量依存の増大があったことが注目される。疾患の開始はより早期であり、回復は遅れ、そして疾患の重症度はより大きかった(3.2±0.2に対して4.5±0.2、グループAに対してグループB、p<0.01)。遅延型過敏症(DTH)の応答は、EAEの臨床上の道程と相関があり、MBPへのインビボでの細胞の免疫の手段として使われる(ブロド,エス.エイ.(Brod, S. A.)他Ann. Neurol. 29:615-622,1991;コウリー,エス.ジェイ.(Khoury, S. J.)他,Cell. Immunol. 131:302-310,1990)。耳中の皮下に、PBS中の25μgのMBPを注射して、図4に記載された同じグループにおいて、DTH応答を検査した。免疫性テストの前及び48時間後に、厚さを測定した。免疫性テストの前後の耳の厚さにおける変化を各動物に関して記録し、その結果を各実験グループ±SEMに関する平均として現した。図5(A-D)に示されたように、顕著なDTH応答がEAEを被る動物中に発達し、DTH応答はMBPの経口投与によって抑制された。抑制されたDTH応答は、投与量依存の仕方で、インビボ抗TGF-β1処置によって廃棄された(1.4±0.3に対して2.1±0.3;p<0.01、対照血清に対して50μlの抗TGF-βで5回注射された動物中)。上記の結果より、MBPへの経口トラライゼーションによって誘発されるEAEの抑制において及び自発的に起こるEAEからの回復において、内因性のTGF-β1によって演じられる免疫調節の役割についての証拠が与えられる。TGF-βの特徴が進化において高度に保存されるということを考慮すれば、実験動物中でのTGF-βの免疫抑制効果はヒトにおけるその効果と同様であると予想される。実施例2: 抗原の経口投与後の抗原駆動のバイスタンダー抑制下記の実験において、以下の原料及び方法を用いた。動物. メスの生後6-8週のルイスラットをハーラン-スプレイグ ドーリー インク(インディアナポリス,IN)から入手した。動物は任意に標準飼料及び水を与えて飼育した。抗原.上記実施例1で述べられているディブラー他(上述)を修正した方法によって、モルモットのMBPを脳組織から精製し、ゲル電気泳動によって純度を確かめた。オボアルブミン(OVA)及びBSAを、シグマ ケミカル カンパニー(Sigma Chemical Co.)(セントルイス,MO)から購入し、キーホール リンペット(keyhole limpet)のヘモシアニン(KLH)をカルバイオケム ベーリング コープ(Calbiochem Behring Corp.)(ラ・ジョラ(La Jolla),CA)から購入した。動物の免疫処置. 実質的なEAE疾患状態を誘発するために、動物を、足蹠内に、25μgのMBPであって、4mg/mlのヒト型結核菌(ディフコ ラブズ(Difco Labs),デトロイト,MI)を含有する同体積のCFA中で乳化されたものを用いて、免疫処置した。インビボバイスタンダー抑制実験のために、MBP CFAを用いた最初の免疫処置の8時間後に、50-300μgの二次的抗原OVA、BSA又はKLHを、100μl PBS中で、同じ足蹠の皮下に注射した。臨床評価. バイスタンダー抑制の臨床上の発現の、上述したインビトロ検定との相関性を示すために、見えないようにした仕方で毎日、EAEの徴候に関して動物を評価した。EAEの臨床上の重症度は、次のように採点された:0,疾患なし;1,尾の弱り;2,後脚の麻痺;3,後脚の対麻痺、失禁;4,四肢麻痺;5,死亡。各実験グループ(7)に関して、前に述べたように、平均最大臨床重症度を計算した。グループ間の疾患の発生率を比較するために、一末端のスチューデントt-検定及びカイ二乗解析を用いて統計的解析を行った。経口トラランスの誘発. 18ゲージのステンレス鋼動物給餌針(トーマス サイエンティフィック,スウィーズボロー,NJ)を用いた胃の挿管によって、1mlのPBSに1mgのMBP、OVA、BSA又はKLHを溶解したものを、又はPBSのみを動物に給餌した。最後の給餌を免疫処置の2日前とし、2-3日の間隔で5回(総投与量5mg)動物に給餌した。遅延型過敏症(DTH)検査. 耳中の皮下に、PBS中の50μgのMBP又はOVAを注射して、DTHを検査した。MBPは左耳に注射され、OVAは同じ動物の右耳に注射された。測微計カリパス(ミツトヨ、宇都宮、日本)を用いて、免疫性テストの前及び48時間後に、見えないようにした仕方で、0.01インチの単位で厚さを測定した。免疫性テストの前後の耳の厚さにおける変化を各動物に関して記録し、その結果を各実験グループ±SEMに関する平均として表した;各グループは5匹の動物からなる。トランスウエル(Transwell)培養. 孔の大きさが0.4μmのポリカーボネート半透膜で隔離された2つの隔室からなり、直径が24.5mmの、双室トランスウエル培養システム(コスター,ケンブリッジ,MA)を用いた。2つの室は1mm離れており、細胞どうしが直接接触することなく、細胞がごく接近して共にインキュベートされるようになっている。トランスウエル培養中での増殖の応答のインビトロ抑制を測定するために、前に述べられたように(ベン-ナン,エイ.他,Eur. J. Immuno. 11:195,1981)増大され維持された、5x104のMBP又はOVA特異性の系統の細胞を、下部ウエルにある600μlの増殖媒体中の、106の照射された(2,500rad)胸腺細胞を用いて培養した。経口でトラライズされたラット又は対照(BSAを給餌されたもの)からの脾臓細胞を、上部ウエルに加えた(200μl中に5x105細胞)。最後の給餌から7-14日後に脾臓細胞を取り除き、この脾臓をステンレス鋼のメッシュに押し通して単一細胞の懸濁物を調製した。MBP及びOVA(50μg/ml)を、20μlの体積で加えた。モジュレーター細胞は半透膜によってレスポンダー細胞から隔離されるので、照射は不要である。いくつかの実験においては、モジュレーター細胞をレスポンダー細胞と共に下部ウエル中に加え、この場合には、培養中に置かれる直前に、モジュレーター細胞を照射した(1,250rad)。増殖媒体は、2x105Mの2-メルカプトエタノール、1%のピルビン酸ナトリウム、1%のペニシリンとストレプトマイシン、1%のグルタミン、1%のヘペス緩衝剤、1%の非必須アミノ酸、及び1%の自己由来の血清を補った、RPMI1640(ギブコ,グランド アイランド,NY)からなる。各トランスウエルは、4倍にされた。このトランスウエルを湿された6%CO2及び94%空気の雰囲気中で、72時間インキュベートした。培養の54時間後、4μCiの[3H]チミジンを用いてそれぞれの下部ウエルを短期間標識し、72時間後にファイバーグラスフィルター上に収穫して、標準液体シンチレーションの技術を用いて計数するために、丸底の96ウエルのプレート(コスター)中の3つのウエルに、分割して播種した。パーセント抑制=100x(1−モジュレーターで培養されたΔcpmレスポンダー/レスポンダーのΔcpm)。バイスタンダー抑制の間に生成された可溶性の因子を検討し、この課程での抑制の転移を監視するために、このトランスウエル システムを用いた。T細胞サブセットの精製. クルイクシャンク、上述、の修正された方法に従って、磁気ビーズを用いて負の選択をすることによって、T細胞サブセットを減少させた。脾臓細胞を、氷上で30分間、マウス抗ラットCD8、又はCD4、mAbs(クローンOX/8又はW3/25、セロテック/バイオプロダクツ,インディアナポリス,IN)の1:100の希釈物を用いてインキュベートし、2度洗浄し、次に、ヤギ抗マウスIgGが共有結合的に付着した、450ミクロン(M-450)の平均直径を有する、予備洗浄した磁気粒子(ダイナル インク,フォート リー,NJ)に加えた。用いられた磁気ビーズの量は、概算される標的細胞の個数の10倍となるように計算された。この細胞を、10ml丸底試験管(ヌンク,ロスキルド(Roskilde),デンマーク)中の、10%FCSを補った0.5mlのRPMI1640中で、このビーズを用いて、5分毎に穏やかに振りながら、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーションの後、このビーズ/細胞懸濁物を5mlの媒体で洗浄し、細胞-mAB-ビーズ複合体を、磁気粒子コンセントレーター(ダイナル-MPC-1)を2分間用いて、強力な磁場中で標識されていない細胞から分離した。上澄みを取り除き、この手順を2回繰り返して非付着の部分を得た。この減少させた集団中のT細胞は、間接流動細胞計測法で示されたものによれば、95%CD4+CD8-又はCD8+CD4-であった。疾患抑制の養子移入. バイスタンダー抑制の間に起こる疾患抑制の養子移入を監視するために、ドナーラットに、1mgのMBP、OVA又はKLHのいずれかを2日に5回の間隔で給餌し、最後の給餌から7-14日目に殺した。脾臓細胞を収穫し、増殖媒体中で同一抗原(50μg/ml)を用いてインビトロで72時間インキュベートした。細胞を腹腔内に注射した: 全脾臓集団に対して108細胞、又はCD8あるいはCD4を減少された集団に対して5-6x107細胞。受容体の動物を、養子移入の前に照射し(250rad)、養子移入の6時間後にMBP/CFAで免疫処置し、8時間のちに50μgのOVAで免疫性テストを行った。細胞どうしの直接の接触が、インビトロ抑制が起こるために必要であるかどうかを決定するために、トランスウエル システム(上記)を用いた。この結果は、以下の表2に示されている。表2に示されているように、MBPを給餌された動物からの照射された脾細胞が下部ウエル中でMBP系と共にインキュベートされたとき、増殖の抑制があった(系2)が、一方、PBSを給餌された動物(系3)からの脾細胞では抑制は観察されなかった。モジュレーター細胞が半透膜によってレスポンダー細胞から隔離されたときには、仮想的に理想的な抑制が観察された(系4及び5)。このように、抑制は、トランスウエルの膜を通して拡散する因子又は可溶性の因子によって仲介されているように思われる。従って、バイスタンダー抑制は、EAE中での経口トラランスの誘発において効能があるように思われる。5x104MBP系細胞+MBP(50μg/ml)を、抗体を与える細胞(APC)としての、106の照射された(2,500rad)胸腺細胞と共に下部ウエル中においた。MBP又はPBSを給餌された動物からの脾臓のモジュレーター細胞(5x105)を、上部又は下部ウエルのいずれかに加えた。下部ウエルに加えられたモジュレーター細胞を照射した(1,250rad)。加えられたMBPの無いMBP系のバックグラウンド計数は、1,000と2,000cpmとの間であった。トランスウエル システムで観察されたインビトロ抑制が、モジュレーターとレスポンダー細胞との間の同様の抗体特異性を必要とするかどうかを決定するために、OVA系を下部ウエル中に置いた。この結果は、以下の表3に示されている。表3に表されているように、上部ウエルに置かれたMBPを給餌された動物からのモジュレーター細胞は、MBPの不在下ではなく存在下で、下部ウエル中でのOVA系を抑制することができた(系2及び3)。PBSを給餌された動物からのモジュレーターに加えられたMBPは、OVA系を抑制しなかった(系4)。逆に、OVAの存在下で、OVAを給餌された動物からのモジュレーター細胞を用いた場合には、MBP系の抑制が見られた(系7)。どちらのウエル中のトランスウエルに加えられた可溶性の抗体も、膜を横切って拡散し、従ってインビボで起こり得ると同様に両方のウエルに存在していたことが注目される。5x104MBP又はOVA系細胞を、APCとしての、106の照射された(2,500rad)胸腺細胞と共に下部ウエル中においた。MBP、OVA又はPBSを給餌された動物からのモジュレーター細胞(5x105)を、上部ウエルに加えた。加えられたMBP又はOVAの無いMBP及びOVA系のバックグラウンド計数は、1,000と2,000cpmとの間であった。上記インビトロバイスタンダー抑制とインビボの場合との関係を決定するために、EAEモデルにおいて一連の実験を行った。ラットにOVA(1mg、10日間で5回)を給餌し、次いで足蹠中にMBP/CFAで免疫処置し、8時間後に同じ足蹠中にOVAを注射した。図6Aに示されたように、MBP/CFAでの免疫処置の8時間後の足蹠中への注射は、予想されたように、EAEには影響を及ぼさなかった。平均最大臨床疾患重症度は、免疫処置されたMBP/CFAに関して3.9±0.2であり、皮下に与えられたOVAを用いた場合3.8±0.1であった。しかし、MBP/CFAで免疫処置される前にOVAを給餌された動物で、その後にOVAが足蹠の皮下に与えられたものにおいては、EAEの抑制がMBPの給餌と同様に起こった(図6B);OVAを給餌され、加えてOVAを皮下に与えられたものにおける疾患重症度は0.9±0.2であり、MBPを給餌されたものにおいては1.1±0.1であり、そしてOVAを給餌されKLHを皮下に与えられたもの(対照グループ)においては3.9±0.1であった(p<0.001、対照に対してOVA及びMBPを給餌されたもの)。従って、MBP/CFAを用いた免疫処置によって誘発されたCD4+T細胞はバイスタンダー抗原、この場合OVA、の経口投与によって誘発されたCD8+T細胞によって放出されたTGF-βによってダウンレギュレートされた(down regulated)。MBP/CFAに加え、OVAが皮下に与えれた後に、KLHが与えられた、OVAを給餌された動物においては、EAEの抑制は観察されず(図6C)、疾患の重症度は、それぞれ3.7±0.1及び3.8±0.2であった。これらの実験により、トランスウエル システム中でのインビトロでみられるものと同様のインビボの効果が説明された。特に、ある抗原への経口トラライゼーションによって生じたモジュレーター細胞は、トラライズする抗原が存在するときに、異なる抗原の特異性を有する細胞を抑制できる。インビボ バイスタンダー システムにおいて相関性が存在するかどうかを決定し、バイスタンダー効果と関連して起こる感作の程度を決定するために、DTH応答を測定した。MBPに対する抑制されたDTH応答は、MBPを給餌された動物及びOVAを給餌されたものであって、続いてMBP/CFAに加えてOVAで免疫処理されたものの両方で観察された(図7)。KLHやBSAなどの、他の抗原の経口投与は、これらの動物でのMBPに対するDTH応答に影響を及ぼさなかった。OVAを給餌し、次いでMBP/CFAと共にOVAを皮下に注射することによっては、DTHによって測定されるOVAに対する免疫応答は生じなかった。OVAに独特なものが、観察されるインビボ バイスタンダー抑制に関与する可能性を排するために、MBP/CFA免疫処置の後にBSAが給餌され次いで皮下に与えられる、同様の実験を行った。図8に示されたように、MBP/CFAで免疫処置をし次いでBSA(バイスタンダー抗原)を皮下に与える前の、BSAの経口投与は、OVAを用いた場合にみられたものと同様に、EAEを抑制した。BSAに関連するEAEの抑制が、二次的な抗原が投与量300μgで皮下に与えられたときにのみ観察され、一方OVAを用いた場合には、投与量50μgで抑制が起こったことは注目される。図9に示されたように、MBP又はOVAを給餌された動物からの脾臓細胞は、自然のままの受容体中に保護を養子移入し、これはMBP/CFAで免疫処置され、皮下にはOVAが与えられた。さらに、養子移入された抑制は、CD4+細胞の減少ではなく、CD8+(サプレッサーT細胞)の減少によって廃棄された。KLHを給餌した動物からの脾臓細胞を、MBP/CFAに加えてOVAで免疫処置をした動物へ養子移入した場合には、保護は観察されなかった。実施例3: モルモットMBPの免疫抑制エピトープの同定サプレッサーT細胞からのTGF-βの放出を誘発する、モルモットMBP上に存在するエピトープを同定するために、上記実施例2のトランスウエル システムを用いた。まず、MBPの、疾患を誘発するフラグメント(自己免疫応答エピトープ)を、次のように確定した: モルモットMBPの、図10に詳記した重複するペプチドを、商業的ソースから入手するか、あるいは公知の技術によって、特に商業的なペプチド合成装置(アプライド バイオシステムズ(Applied Biosistems)より)を用いてこの製造者の指示に従い、これを合成した。次に、MBP全体をラットに給餌し、経口トラライズされた動物からのリンパ節細胞を、MBPペプチドを用いて触発した。次に、増殖の検定によって、また、実施例1及び2に述べられているように、そして増殖細胞が疾患を転移する能力を検査することによって、触発された細胞がキラーT細胞を誘発する能力を定量的に決定した。図10に示されたように、モルモットMBPの残基71-90に渡るペプチドは、はるかに、最も効率のよい、キラーT細胞の誘発物質であり、それゆえに、最も効能のある、MBPの疾患促進フラグメントである。従って、モルモットMBPのこの領域は、タンパク質のイムノドミナント エピトープに対応している。MBPを給餌されMBP/CFAで免疫処置された動物から得られた脾臓細胞(上記実施例1及び2に記載)が、OVAを給餌された動物から単離された脾臓細胞と共にトランスウエル システム中で共培養された(co-cultured)とき、モジュレーター ウエルに加えられた、モルモットMBPアミノ酸残基21-40、51-70及び101-120に対応するペプチドは全て、OVAが給餌された系の増殖の抑制を触発することができた。この結果は図11に示されている。図10及び11(アミノ酸残基番号71-90に対応)で同定された、モルモットMBPのイムノドミナント エピトープは、トランスウエル システムにおける抑制の触発においては効果がないことは、注目される。モルモットMBP残基番号151-170及び161-178に対応するペプチドはOVA(レスポンダー)系の増殖を抑制したが、この効果は非特異的であり、そしてこのことはこれらのペプチドによってインビトロで誘発された毒性によるものであったかもしれない。なぜなら、対照(非MBP給餌)モジュレーター細胞と共培養されたとき(データは示されていない)はOVAを給餌された動物から単離された脾臓細胞の増殖はこれら同じペプチドによって抑制されるからである。さらにこれらの実験により、TGF-βを引き出す抗原を動物に給餌するには、バイスタンダー抑制が必要であることが説明された。また、これらの実験により、バイスタンダー抑制に関与する自己抗原の部分は自己免疫応答に関与するものとは異なることが説明された。実施例4: 通常のEAE誘発及びMBP給餌のラットから得られたラットの脳の切片における細胞、シトキン及び活性化マーカーEAEに関して誘発されたラットにおけるMBPの経口投与の効果を、給餌された及び対照のラットの脳に存在する細胞及び因子に関して分析した。ルイスラットにMBPを5回給餌し、次いでMBP/CFAで免疫処置し、そして14日目(疾患のピーク)にこれらの脳を免疫組織学的に検査し、そして同時に収穫された、免疫処置された、対照-給餌動物からの脳、及び自然のままの動物の脳と比較した。皮質及び小脳のクリオスタット切片を、白血球及び活性化抗原を決定するためにパラホルムアルデヒド-リシン-過ヨウ素酸塩中に、又はシトキンの標識をするためにアセトン中に固定し、そしてペルオキシダーゼ-アンチペルオキシダーゼ(antiperoxidase)法によって染色した(ハンコック,ダブリュー.ダブリュー.(Hancock, W.W.)ほか,J. Immunol. 138: 164,1987)。20の連続的なフィールドにおけるシトキン及び内皮の標識付けの結果は、(−)標識付けなし、(+/−)<10細胞/切片又はわずかに標識付け、(+)小数の小さい病巣、(2+)複数の病巣、及び(3+)複数の大きい脈管周囲の堆積と広がった髄膜の染色、として判断された。この結果を、表4に要約する。MBPを給餌されたグループでは、細胞の炎症の免疫応答と、TNF、Ia及びICAM-1の発現とのダウンレギュレーションの証拠があり、一方TGF-β発現のアップレギュレーション(upregulation)があった。リポ多糖(LPS)は、MBPの経口投与によって達せられるEAEの抑制を増大することが前に発見された。従って、疾患のピークにおいて、MBP+LPSを給餌された動物の脳も検討され、そしてMBPのみを給餌して観察された変化の他には、IL-4及びPGE発現のアップレギュレーションはなかった。従って、ある条件では、IL-4又は他の調節シトキンは、TGF-βと共に、免疫応答のダウンレギュレーションに関係する。相乗剤のみの給餌(バイスタンダー又は自己抗原なし)によっては、IL-4又はPGEのアップレギュレーションは、結果的に生じなかった(データは示されていない)。要約すれば、上記表4に示された結果からわかるように、通常のラットの脳は細胞、シトキン及び活性化マーカーを含有しておらず、一方、EAEを誘発されたラットによって、様々な炎症細胞及び炎症シトキン(すなわち、IL-1、IL-2、IL-6、INF-γ及びTNF)が現された。対照的に、MBPに加えてLPS(相乗剤)を給餌された、EAEを誘発されたラットは、細胞及び炎症のシトキンの減少を起こし、さらに、サプレッサーT細胞(CD8+サブセット)、IL-4、TGF-β及びプロスタグランジンE(PGE)を含有していたが、これらは全てCD4+MNC及び炎症シトキンの作用に対抗するものである。実施例5: インシュリンペプチド及びグルカゴンの経口投与によるNODマウスにおけるインシュリン炎の抑制分離されたインシュリンA又はB鎖と、インシュリンB鎖のタンパク質分子から誘導される様々な合成ペプチドとを給餌する効果、及びNODマウスにおけるインシュリン炎に対するグルカゴンの効果を調べた。NODマウス(タコニック ラブズ(Taconic Labs))に、1週間に2回5週間にわたって、1mgのグルカゴン、又は1mgのブタ インシュリン(共に商業的に購入されたもの)あるいは等モル量のインシュリンA鎖、B鎖及び下記のB鎖ペプチド(全てのインシュリンフラグメントは合成されたもの)を給餌し、生後2週目に屠殺した。対照動物に、非脾臓の(すなわち、無関係の)ペプチド、GAPを給餌した。ザン,ズィー.ジェイ.(Zhang, Z. J.),PNAS(USA),88:10252-10256,1991、に記載されている方法による、半定量的なインシュリン炎の採点として、インシュリン炎を測定した。インシュリンB鎖ペプチドは、アミノ酸残基1-12(B1-12)、10-22(B10-22)、11-30(B11-30)及び23-30(B23-30)に対応した。全ての動物に、3週間にわたって10回給餌した。この結果は、下の表5に示されている。上の表6に示された結果からわかるように、インシュリンA鎖又はB鎖はインシュリン炎を抑制し、B鎖の給餌はより程度の高い抑制を示した。ペプチドB1-12、B10-22、及びB11-30もインシュリン炎を抑制したが、B23-30はしなかった。MBP又はGAPを給餌された動物においては、抑制は観察されなかった。さらに、グルカゴン、バイスタンダー抗原、もインシュリン炎の抑制において有効であった。実施例6: ウシPLP又はマウスMBPのIV投与に対する経口トラランス経口又は静脈内(IV)の投与経路を経るトラライゼーションの効果を比べ、さらにバイスタンダー抑制を説明するために、5-6のメスの、生後7週の、SJL/Jマウス(ジャクソン ラブズ(Jackson Labs),バー ハーバー(Bar Harbor),ME)を、0及び7日目にPLPペプチド140-160を用いて免疫処置し、次の処理を施した:グループ1.ヒストン(0.25mg)を給餌2.マウスMBP(0.25mg)を給餌3.ウシPLP(0.25mg)を給餌4.ヒストン(0.25mg)をI.V.注射5.MBP(0.25mg)をI.V.注射6.PLP(0.25mg)をI.V.注射それぞれのグループを、7日間にわたって1日おきに処理した。静脈内のグループにおいては、この材料を目の神経叢に注射した。用いられたPLPペプチドは、ウシPLPの疾患を誘発するフラグメント140-160であった。このペプチドは、前記のアミノ酸残基を表す、アミノ酸配列COOH-PLAYTIGVFKDPHGLWKGLCNH2を有する。図12に示されたように、マウスMBP及びウシPLPは共に、経口投与されたときには、PLPペプチドを誘発されたEAEをダウンレギュレートする際に、等しく効果的であった。非特異的なタンパク質、ヒストンは、経口投与されたときのEAEの抑制に際しては効果がなかった。このように、バイスタンダー抗原、この場合にはマウスMBP、はウシPLPを用いてEAEに関して誘発された動物に経口投与されたときには、効果的にEAEを抑制した。対照的に、静脈内に投与されたときには、疾患を誘発するために用いられた抗原、この場合ウシPLP、のみがEAEを抑制する際に効果的であった。この結果は図13に示されている。様々なペプチドを、モルモットMBP残基番号71-90(上記実施例3に示されたように、モルモットMBPの主要なイムノドミナント エピトープ)によってEAEに関して誘発された、ルイスラットに給餌することの効果も調べられた。完全フロイント アジュバント中の、0.25mgのモルモットMBPのアミノ酸残基番号71-90を用いて免疫処置することによってEAEを誘発し、様々なモルモットMBPペプチドを給餌することによるEAEへの効果を検討した。図14に示されたように、モルモットMBP全体と21-40モルモット、ペプチドとは、71-90がそうであったように、モルモットMBP71-90によって誘発されたEAEをダウンレギュレートする際に、等しく有効であった。モルモットMBPペプチド131-150は、この場合には効果がなかった。ペプチドは、胃液による損傷を防ぎ生物学的効果を増大するSTIと共にも給餌された。MBP全体へのDTH応答は、MBP又はMBPペプチド21-40か71-90かのいずれか一方を給餌することによって抑制された。しかし、モルモットMBPペプチド71-90へのDTH応答は、MBP全体又はモルモット ペプチド71-90のいずれかを給餌することによってのみ抑制され、モルモットMBPペプチド21-40によっては影響されなかった(図15)。このことは、MBPフラグメント71-90はバイスタンダー抑制と関係がないという結論と一致する。最後に、疾患の発現の前の(免疫処置後8及び9日目)、MBP及びMBPペプチドを用いたI.V.トラライゼーションによるEAEの抑制を検討した。図16に示されたように、モルモットMBP全体を用いてEAEに関して誘発された動物においては、モルモットMBP全体及びアミノ酸残基71-90に対応するモルモットMBPペプチドのみが、1.V.経路を経て投与されたときにEAEを抑制する際に有効であった。モルモットMBPアミノ酸残基番号21-40は、経口投与されたときにはEAEをダウンレギュレートする際に有効であるが、静脈内に投与されたときはEAEを抑制する際に効果がなく、バイスタンダー抑制を触発するIV投与の能力がないことと一致した。アミノ酸残基番号131-150に対応するペプチド及びヒストンも、静脈内に投与されたときにはEAEを抑制する際に効果がなく、これらの抗原のいずれもが自己免疫応答に関与しないという事実と一致した。ウシPLPの配列。ヒト(Hum)、ウシ(Bov)、ラビット(Rab)、モルモット(GPig)、ラット(Rat)、及びニワトリ(Chic)中枢神経システム組織から導かれたミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列。使用した速度BPは、14kDaBP(ラットスモール、またはラットS)であり、それはBP遺伝子の6番目のエクソン(exon)によってコードされる残基118−159の欠損を有している。ヒトの18.5及び17.2kDaの遺伝子形態が使用された。後者は、BP遺伝子の5番目のエクソンによりコードされる107−117残基(下線部)の欠損を有する。配列は、各種からの相同残基が垂直に並び、互いに容易に比較できるように並べた。このシステムは、種の間に見られる欠損及び付加を調節し、異なる分子間に合計177の潜在的部位を許容する。括弧内の残基配列は、まだ確定していない。アミノ酸配列の比較: グルカゴンであるバイスタンダー抗原からなる、個人の自己免疫疾患を治療または予防するための経口用または吸入用の薬剤。 前記自己免疫疾患がタイプI糖尿病である、請求項1記載の薬剤。


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