生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子のための解毒薬
出願番号:1993513709
年次:2006
IPC分類:A61K 38/46,A61P 7/04,A61K 38/48,C12N 9/74


特許情報キャッシュ

ノヴァック,ゲッツ ブッハ,エルケ JP 3744936 特許公報(B2) 20051202 1993513709 19930125 ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子のための解毒薬 マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ 390040420 Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V. 酒井 一 100081514 ノヴァック,ゲッツ ブッハ,エルケ DE P4203965.7 19920211 20060215 A61K 38/46 20060101AFI20060126BHJP A61P 7/04 20060101ALI20060126BHJP A61K 38/48 20060101ALI20060126BHJP C12N 9/74 20060101ALN20060126BHJP JPA61K37/54A61P7/04A61K37/475C12N9/74 A61K 38/00 CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN) FAREED,J. et al, FASEB JOURNAL, 1989年,Vol.3, No.3, page A328 BRUGGENER,E. et al, Pharmazie, 1989年,Vol.44, No.9, p.648-9 LIU,L.W. et al, J. Biol. Chem.,, 1991年,Vol. 266, Issue 35, p.23633-23636 MORITA,T. et al, J. Biochem., 1976年,Vol.79, No.5, p.1089-1108 5 EP1993000162 19930125 WO1993015757 19930819 1995503719 19950420 9 20000106 安川 聡 本発明は、ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子のための解毒薬;プロトロンビンをメイゾトロンビンに分割する化合物、プロトロンビン中間体もしくは薬学的に許容できるその塩を、ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子のための解毒薬として、またはヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子のための解毒薬を調製するために使用することに関する。ヘパリンまたはクマリンのような抗凝血物質は、今日しばしば血栓塞栓性疾患の治療および予防に、特に冠状動脈塞栓、動脈硬化症の処置に、さらに輸血中およびその後の手術に用いられる。そのらはまた、露出による死を予防するために用いることもできる。なぜならば、それらは、血液が極端に低い温度で凝固するのを防ぐからであり、そうでなければ血管が部分的に詰まり、凍結器管が血液循環から遮断されることになろう。ヒルジンは、Hirudo medicinalis(ヒル)の唾液腺から得られ、抗凝血物質であり、その作用は、トロンビンとの化学的複合体の生成に基づき、それによってその触媒作用は抑制される。ヒルジンは、65個のアミノ酸を含む、分子量7kDのミニ蛋白である。トロンビンに対するその強力な親和性(k1値は10-12mol/l)およびその直接的作用機構のために、ヒルジンは極めて興味深い。過去においては、その臨床的利用は極めて限られていた。なぜならば、ヒルジンは標準化された形態では容易に入手できず、さらに、解毒薬も利用できなかったからである。今日、ヒルジンは遺伝子工学によって製造でき、したがって、その臨床利用も近い将来期待できる。例えば、経口投与用医薬調製物は、欧州特許公開468327号公報に開示されており、当該調製物は組換え体ヒルジンを含む。最近、ヒルジンは集中的に薬理学的に研究されてきており、その薬理学的データが実験動物とヒトから得られた。ヒルジンは、肝では代謝されず、むしろそのままの形で賢から排出される。ヒルジンは、排除半減期がおよそ1から2時間で、体の細胞外液腔に分布する。ヘパリンに似て、ヒルジンは経口的に吸収されない。過去の研究によって、ヒルジンはほとんど全ての血栓症モデルにおいて活性で、したがって、内毒素ショック、実験的心筋梗塞、及び血栓崩壊後の再閉塞防止においても活性であることが明らかにされた。免疫学的反応は、臨床薬理学的研究では検出されなかった。臨床研究の間に、ヒルジンは、抗凝血剤および抗血栓剤としてヘパリンより優れていることが証明された。最近合成トロンビン抑制因子が重要性を増してきた。現在のところ、世界的規模で多くの研究室が、そのような合成抑制因子を合成することについて取り組んでいる。ベンザミジンの誘導体(例えば小分子の合成トロンビン抑制因子NAPAP(Nα-(2-ナフチルスルフォニル-グリシル)-D,L-アミジノフェニルアラニン-ピペリジン))およびいわゆるトリペプチドに関する研究がもっとも進んでいる。全ての合成トロンビン抑制因子は、現在前臨床試験の段階にある。それらの効果はヒルジンのそれと質的に同等と見做すことができる。しかしながら、合成トロンビン抑制因子の代謝は、ヒルジンのそれと異なる。通常、トロンビン抑制因子は肝または血中で代謝される。そのような物質はまもなく臨床試験用に利用可能になるであろうと期待される。ヒルジンに優る利点は、専ら、該化合物は経口的に投与できるという事実にある。この有利な効果にも拘らず、ヒルジンは今日まで臨床的に用いられず、またはその使用は極めて限られていた。その理由は、前述のように、例えばヘパリンの場合には硫酸プロタミンが存在するように、解毒薬がないからである。。解毒薬の存在は、トロンビン抑制因子にはぜひとも必要である。なぜならば、偶発的な過剰投与の場合、または腎機能不全の患者、出血の合併症の危険性がある患者のために、過剰投与と決定された場合に、解毒薬は直ちに利用できなければならないからである。そのような出血合併症は、例えば出血性副作用として、とりわけ腹膜、胸膜、心筋膜および軟膜の脈管領域に発生するが、また、極めて高い血中濃度のトロンビン抑制因子を有する動物で認められるように、外科的切開の傷においても発生する。以前、ヒルジンに対する種々の解毒薬成分が、したがってDFPトロンビンまたはベンゾイルトロンビンのようなガンマトロンビン調製物の使用が実験的に調べられた(Brueggener, E., Walsmann, P., Markwardt F.:「DIP-トロンビンによるヒルジン抗凝血物作用の中和(Neutralization of Hirudin Anticoagulant Action by DIP-Thrombin)」Pharmazie 1989; 44:648-9)。これらの調製物は実際には成功せず、毒性が高すぎる。FEIBAまたはオートプレックス調製物のような活性化された血漿フラクションでさえ、トロンボプラスチン類似活性のために不適当である(Fareed, J., Walenga, J.M.:「出血を最小限にするためにヒルジンの抗凝血物質活性を中和する必要があるだろうか(Do we need to neutralize hirudin's anticoagulant effects to minimize bleeding?)」Fed Proc 1989; 3: A328; Walenga, J.M., Piffarre, R., Hoppensteadt, D.A., Fareed:「治療用抗凝血物質および抗血栓剤としての組換え体ヒルジンの開発:いくつかの客観的考察(Development of recombinant hirudin as a therapeutic anticoagulant and antithrombotic agent. Some objective considerations.)」Sem Thromb Hemost 1989; 15: 316-33)。本発明は、ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子に対する解毒薬を提供するという課題に基づく。該解毒薬は非常に有効で、すなわちヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子に対する適切な親和性を示し、その投薬は簡単で、容易に入手できるものであろう。本発明の要旨は、ヒルジンおよび合成トロンビン抑制因子に対する解毒薬で、これは、プロトロンビンをメイゾトロンビンに分割する化合物、プロトロンビン中間体、薬理学的に許容できるの塩、またはこれら化合物の混合物と、慣用的な賦形剤および/または稀釈剤とを含み、前記プロトロンビン中間体が、メイゾトロンビン、PIVKAプロトロンビン、メイゾトロンビン−デス−フラグメント−1又はこれら以外のメイゾトロンビン含有化合物を含むという特徴を有する。適切なトロンビン抑制因子は、本発明にしたがえば、ヒルジンおよび合成の、好ましくは小分子のトロンビン抑制因子である。合成トロンビン抑制因子の例は、NAPAP(N-α-(2-ナフチルスルフォニル-グリシル)-D,L-アミジノフェニルアラニン-ピペリジン)であり、さらにトリペプチドPhe-Pro-Argの誘導体、例えば硼酸誘導体、アルギニナール、クロロメチルケトン誘導体およびアミノ酸修飾誘導体およびベンザミジン誘導体、並びにいわゆるヒロローグ、すなわちヒルジン部分類似の合成配列である。これら全ての化合物について、該解毒薬成分はヒルジンに対するものと同じである。本発明の解毒薬は、非経口投与用に適した形態で存在する。すなわち、皮下、筋肉内または静脈内投与に適した形態である。静脈内投与が好ましい。場合によって、本発明の解毒薬は、持続的輸液として投与することもできる。本発明にしたがえば、プロトロンビンをメイゾトロンビンに分割する化合物として蛇毒が用いられる。蛇毒の例は、エカリン(Ecarin)およびジスフォリドゥス(Dispholidus-)、ラブドフィス(Rhabdophis-)、ボトロプス(Bothrops-)、ノテキス(Notechis-)、オキシスラヌス(Oxyuranus-)およびラッセル(Russel-)クサリヘビ型の毒である。好ましいものは、エカリン(エキス−カリナートゥス[Echis-carinatus]毒素の精製毒フラクション)である。全ての蛇毒は、生化学物質として例えばシグマヘミー社(Sigma Chemie GmbH, 8024 Deisenhofen)で入手できる。列挙した個々の蛇毒の精製分画は、スイスのペンタファーム社(Pentapharm company)から問い合わせにより入手できる。蛇毒、特にエカリンおよび固定エカリンもまた、スイスのペンタファーム社から購入できる。該毒物は、乾燥物質、通常凍結乾燥物質として5mgから1gの範囲の量で入手できる。全ての毒物は、容易に水に溶け、0.9%食塩水で吸収されるべきである。投与量は、熟練者が容易に決定できる。投与量は、体重、ヒルジン濃度および投与方法の関数である。用いられる量は、70kgの体重の一人につき0.5から5mgの範囲である。本発明にしたがえば、例えばメイゾトロンビン、メイゾトロンビン−デス−フラグメント−1(Meizothrombin-des-Fragument-1)、PIVKAプロトロンビン、またはメイゾトロンビン含有化合物が、プロトロンビン中間体として用いられる。メイゾトロンビンは市販されており、また上述のペンタファーム社から入手できる。しかし、メイゾトロンビン、PIVKA−プロトロンビン、メイゾトロンビン−デス−フラグメント−1、または他のプロトロンビン中間体は、インビトロで生成することもできる。下記図表に示したように、凝固系の4つの因子(第II因子(プロトロンビン)、第VII因子、第IX因子、及び第X因子)は、ガンマ−カルボキシグルタミン酸基を含むという特徴を有する。グルタミン酸におけるこのガンマ−カルボキシル化は、ビタミンKを補助因子として要求する酵素系の助けを借りて、肝で「アカルボキシ(acarboxy)因子」のリボソーム合成が行われるまで起こらない。ビタミンKおよびクマリンの治療メカニズムガンマ−カルボキシグルタミン酸基は、凝固作用に必須である。それらは、カルシウムイオンのための必要な結合原子価を表している。ジクマロール型(”ビタミンK拮抗物質”)の間接的抗凝血剤による処置に対しては、このポストリボソームガンマ−カルボキシル化は起こらず、血液は不完全な凝固因子またはアカルボキシ因子を示す。なぜならば、それらは、カルシウム結合ガンマ−カルボキシ基を欠くからである。これらの凝固因子はまた、PIVKA因子(PIVKA=proteins induced by vitamin K antagonists,ビタミンK拮抗物質誘導蛋白)と呼ばれる。そのようなジクマロール型の抗凝固剤で処置した患者の血漿にエカリンを加えると、PIVKAメイゾトロンビンが、プロトロンビンを有する正常な血漿サンプルの場合のように制限的蛋白分解によって同じ態様で、、PIVKAプロトロンビンからこの血漿中に生成される。このPIVKAメイゾトロンビンまたは他のPIVKA中間体は、ヒルジンに結合する活性は保持しているが、凝固カスケードの他の因子(血小板、フィブリノーゲン、トロンボモジュリンなど)に対する影響は全くないか、または顕著に減少している。本発明にしたがえば、メイゾトロンビン、PIVKAメイゾトロンビン、それらの中間体、およびPIVKAプロトロンビンからのPIVKA中間体を、解毒薬として用いることができる。それらは、ヒトまたは他の動物に由来するものであってよい。メイゾトロンビンを調製するために、固定エカリン(ペンタファーム社(バーゼル)の製品)を例えば、大きさが2から4cm3の範囲のミニカラムに充填することができる。エカリン固定物は、膨張状態で購入され、0.15Mの塩化ナトリウム、0.02Mの酢酸ナトリウム、0.2%のプリオネックス(Prionex)(登録商標)(洗浄豚皮膚コラーゲンの蛋白安定化ポリペプチドフラクションのペンタファーム社の商標)、0.3%のトリクロロイソブタノール(pH5.5)の水溶液に懸濁される。膨張エカリン固定物1グラムは、クエン酸バリウム溶出液から37℃、pH8.4で30分以内に500から700Uのアミド分解活性(1U=123NIH単位)を生じる(tos-gly-pro-arg-pNA(Chromozym(登録商標)TH)で測定)。続いて、精製プロトロンビンフラクションをこれらのカラムに入れ、場合によってヘパリンによる安定化の後で、生成されたメイゾトロンビンをその後凍結乾燥させる。この凍結乾燥物質をアンプルに詰め、その後、適切な溶媒、好ましくは滅菌塩化ナトリウム溶液で再調製することが、これは解毒薬として使用する場合、静脈内注射に適している。メイゾトロンビン−デス−フラグメント−1を調製するためには、メイゾトロンビンの場合と同じ方法が用いられる。バッチ工程では、反応時間のみをより長く(3から4時間)しなければならない。メイゾトロンビン−デス−フラグメント−1は、メイゾトロンビンの活性化後の生成物である。非経口投与のために、解毒薬は、注射用(脈管内例えば静脈内、筋肉内または皮下注射のような、)に製剤化される。脈管内投与が好ましい。注射用調製物は1回の投与量として例えばアンプルで、または保存料添加の複数投与量入り容器で利用できる。該調製物は、油性または水性担体中の懸濁液、溶液または乳濁液として存在することができるが、さらに調製補助剤(例えば懸濁剤、安定剤および/または分散剤)、および/または溶液の張度を調節する薬剤を含むことができる。選択肢として、該活性成分は、使用前に適切な担体例えば発熱物質非含有滅菌水によって再調製される粉末として存在することができる。脈管内使用のためのアンプルおよび複数投与量入り容器において、当該生成物、例えばメイゾトロンビンは、好ましくは凍結乾燥状態で存在すべきである。この形態では、該生成物は滅菌水、生理的食塩水または緩衝溶液に完全に溶解するが、これらはCA++イオンを含み、pH値は6.5から7の範囲に調節される。アンプルは、0.5;1;2または5mgのメイゾトロンビンを含むべきで、複数投与量入り容器は、10;20または50mgを含むべきである。短期間貯蔵(数日から1か月)もまた急速冷凍状態(−25℃)で可能である。脈管外非経口使用のためには、1%ジメチコン懸濁物、5%赤血球膜フラグメント、または硫酸バリウム乳濁液入り混合物が適切である。脈管外使用用には、リポゾーム吸着もまた適切である。メイゾトロンビン単一製剤の内容物は、脈管内使用用アンプルや複数投与量入り製剤の充填物のこれら調製物と同等である。本発明にしたがえば、好ましくはエカリン(エキス−カリナ−トゥス毒素の高度精製フラクション)が、蛇毒として用いられる。エカリンは、プロトロンビンのアルギニン232のペプチド結合を分割し、中間体メイゾトロンビンを生じる。通常は、自触反応またはトロンビン加速を介してさらに別の反応が生じる。ヒルジンまたは合成トロンビン抑制因子が血中に存在するとき、メイゾトロンビンと該抑制因子が相互反応を起こす。反対に、ヘパリンはメイゾトロンビンと反応することができない。添付の図1はこれらの反応を示している。非常に希釈されたヒト血漿では、エカリンのためにプロトロンビン活性化が誘発されるということを明らかにできた。トロンビン/メイゾトロンビン活性をクロモザイム(Chromozym)(登録商標)THで測定した。図2は、得られた結果を示している。2.5−35IE/mlの範囲のヘパリン量で検出できる投与量非依存性残留活性は、メイゾトロンビンがエカリンの作用の後形成される程度に対応する。投与量の関数として、ヒルジンは、メイゾトロンビン/トロンビンの生成を完全に抑制する。解毒薬の効果を証明するために、種々の薬理学的検査を実施した。本発明の解毒薬の効果は、ラットの試験で証明された。図3は得られた結果を示している。ラットのクエン酸塩血漿をトロンビンで凝固させた。コントロールは平均して17秒の凝固時間を有する。この試験バッチに0.1μgヒルジン/mlを加えると、トロンビン時間は30秒に延長する。このバッチを0.25mUエカリン/mlとともに予め保温すると、20秒間の予備保温の後、血漿中のヒルジン消毒によって、トロンビン時間は27.5秒に低下する。50秒の予備保温では、トロンビン時間はコントロール値と対等になる(ヒルジン添加無し)。用いられるエカリン濃度自体は、この時間範囲では試験バッチで凝固を促進させない。この解毒薬作用を証明するために、さらに、1mg/kgのヒルジンの静脈内使用後、3.5から4.2μg/mlの範囲のヒルジン定常血中レベルを腎摘出ラットで作った。50μgエカリン/kg・h-1の輸液の間、ヒルジンレベルは急速に低下し、使用開始後30分で2.1μg/mlにまで顕著に減少した。毒素輸液の終了時に血中レベルは1.2μg/mlまで減少した。反動現象は認められなかった。これらの試験で、血小板数およびフィブリノーゲンレベルは実質的に変化がなかったという発見は、特に重要なものとして評価されるべきである。エカリン輸液時間を30から15分まで減少させたときでさえ、したがって投与量が半分または1/4まで減少したときでも、このヒルジンレベルの低下は、同様に示された(図4参照)。また別の一連の試験で、この解毒薬の機構が出血モデルで確認された。このために、腎摘出ラットの静脈内に5mg/kgのヒルジンを投与した。2時間後、ヒルジン濃度は18μg/mlの定常血液レベルに達した。この時点で、100分より長い出血時間が測定された。このラットにエキス−カリナートゥス毒素を輸液すると(1mg/kg・h-1)、90分後に出血は停止する。実験的切開による血液損失は顕著に減少し、ヒルジンの血中レベルは1から3μg/mlの範囲の値まで減少した。下記の表は得られた結果を示している。上記の試験から、メイゾトロンビン(エカリンのプロトロンビン活性化中間産物)は、ヒルジン中毒に対して解毒薬として作用するということが明らかである。同様の薬理学的結果が他のプロトロンビン中間体で得られた。以下の実施例は本発明を詳述する。実施例1バッチ工程におけるメイゾトロンビンの製造500mlのプロトロンビン溶液:蓚酸塩血漿2リットルからBaSO4によってプロトロンビンを沈殿させ、続いて0.1Mの蓚酸ナトリウムおよび0.006Mのクエン酸ナトリウム(pH7.5)で洗浄する。0.15Mのクエン酸ナトリウムでプロトロンビンを溶出し、pHを7.5に調整した後、アルコール沈殿(19%)を−5℃で実施する。上清をpH5.5に調整し、アルコール濃度を25%まで上昇させる。沈殿を溶解し、50℃で5分加熱し、6000gで遠心して酢酸緩衝液で500mlにする。pH5.5で酢酸緩衝液500mlに溶解したヒトプロトロンビン50mgを10gの固定エカリンとともに60分に20℃で撹拌する。遠心(6000gで15分)後、上清をメイゾトロンビン標準物質を用いて得た較正曲線で1mg/mlとし、10mlアンプルに充填し、凍結乾燥して加熱封印する。充填は無菌状態下での同時滅菌とともに実施される。凍結乾燥後、アンプルを封止し4℃で保存する。この形態で該調製物は、活性を失うことなく少なくとも12か月間保存できる。実施例2カラム工程におけるPIVKAメイゾトロンビンの調製PIVKAプロトロンビン(実施例1の調製物、蓚酸血漿出発物質1リットル(ジクマロールで処置された患者の血漿を集めて得られる))25mgを含む酢酸緩衝溶液250ml(pH5.5)を、10gの膨張エカリン固定化物を充填した40cm3カラム(長さが50−70cm)で溶出させる。溶出容積を500mlに制限し、滅菌フィルターによる濾過で続いて滅菌し、さらにその後10mlずつアンプルに充填する。凍結乾燥後、アンプルを封止し、実施例1で述べたのと同じ態様で保存する。実施例3凍結乾燥させた1mgのアンプルを0.9%のNaCl 10mlで溶解し、この形で投与する。静注輸液のためには、複数投与量入り容器(10mgのメイゾトロンビンを含む)を0.9%NaClで溶解し、各々の0.9%NaCl輸液溶液500mlで投与する。輸液の速度は、およそ1000ml/hであるべきである。血漿ヒルジン濃度は患者の枕元で持続的に制御されねばならない。 プロトロンビンをメイゾトロンビンに分割する化合物としての蛇毒、プロトロンビン中間体、薬理学的に許容できるその塩、またはこれら化合物の混合物と、慣用的な賦形剤および/または希釈剤とを含み、前記プロトロンビン中間体が、メイゾトロンビン、PIVKAプロトロンビン又はメイゾトロンビン−デス−フラグメント−1を含む、ヒルジンおよび、N-α-(2-ナフチルスルフォニル-グリシル)-D,L-アミジノフェニルアラニン-ピペリジン、トリペプチドPhe-Pro-Argの誘導体及びヒロローグから選択される合成トロンビン抑制因子のための解毒薬。 前記プロトロンビンをメイゾトロンビンに分割する化合物としての蛇毒が、エカリン(Ecarin)、ジスフォリドゥス(Dispholidus-)、ラブドフィス(Rhabdophis-)、ボトロプス(Bothrops-)、ノテキス(Notechis-)およびオキシウラヌス(Oxyuranus-)クサリヘビ型の毒から選択される請求項1記載の解毒薬。 前記誘導体が、硼酸誘導体、アルギニナール、クロロメチルケトン誘導体、アミノ酸修飾誘導体又はベンザミジン誘導体である請求項1又は2記載の解毒剤。 前記解毒薬が非経口投与に適した形である、請求項1〜3のいずれか1項記載の解毒薬。 前記解毒薬が皮下、筋肉内、または脈管内投与に適した形である、請求項4記載の解毒薬。


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