生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルコール/アルデヒド脱水素酵素
出願番号:1993349815
年次:2004
IPC分類:7,C12N9/04,C12P7/60,C12N1/20


特許情報キャッシュ

朝倉 明 星野 達雄 JP 3590647 特許公報(B2) 20040827 1993349815 19931229 アルコール/アルデヒド脱水素酵素 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 小田島 平吉 100060782 朝倉 明 星野 達雄 CH 92811029.5 19921230 20041117 7 C12N9/04 C12P7/60 C12N1/20 C12N1/20 C12R1:01 C12N9/04 C12R1:01 C12P7/60 C12R1:01 JP C12N9/04 Z C12N9/04 E C12P7/60 C12N1/20 A C12N1/20 C12R1:01 C12N9/04 C12R1:01 C12P7/60 C12R1:01 7 C12N 9/00-9/99 C12P 1/00-41/00 PubMed BIOSIS/WPI(DIALOG) 特開平5−68543(JP,A) 特開平5−68542(JP,A) 特開昭61−96986(JP,A) 特開昭63−12279(JP,A) Korean Biochem.J., 1990, Vol.23, No.2, p.190-197 Agric.Biol.Chem., 1978, Vol.42, No.11, p.2045-2056 10 FERM BP-3812 1995000182 19950106 17 20001227 佐久 敬 【0001】【産業上の利用分野】本発明は新規なアルコール/アルデヒド脱水素酵素(本文中AADHと記す)およびその製造法、および本酵素をもちいたアルデヒド類、カルボン酸類およびケトン類化合物、特に該酵素をもちいた2ーケトーLーグロン酸(本文中2KGAと記す)の製造方法に関する。【0002】本発明によるAADHはアルコール類およびアルデヒド類化合物の酸化を触媒し、それぞれに対応するアルデヒド類およびケトン類化合物およびカルボン酸化合物を生成する。さらに特徴的に、本発明によるAADHはL−ソルボースを酸化しL−ソルボソンをへて2KGAを生成する。2KGAはビタミンC製造における重要な中間体である。【0003】【従来技術及び発明が解決しようとする課題】アルコールおよびアルデヒド化合物の酸化により対応するアルデヒドおよびカルボン酸を生成しピロロキノリン キノン(本文中PQQと記す)を補欠分子族として含有している酵素はこれまでにもいくつか報告されている。【0004】アルコール脱水素酵素に属するメタノール脱水素酵素は一般にメタノール酸化によるホルムアルデヒド生成のみならずホルムアルデヒド酸化によるギ酸の生成も触媒する(アドバンセズ・イン・マイクロバイアル・フイジオロジー 第27巻、113−209頁、1986)。これらの酵素はメタノール、エタノールのような一級アルコール類やアルデヒド類をアンモニアやメチルアミン類を活性化剤として酸化するが、しかし、これらの酵素のうち大部分は二級アルコールを酸化することはできない。メチロバクテリウム オルガノフィラム、シュードモナス C、ヂィプロコッカス PAR および ロドシュードモナス アシドフィルより得られるメタノール脱水素酵素は二級アルコールの酸化を触媒することができる例である。これらの前例に対して、本発明によるAADHは広い範囲の一級および二級アルコールを酸化し、既存のメタノール脱水素酵素と以下の点において明らかに異なっている。【0005】本AADHはエタノールはよい基質とするが、メタノールを酸化できない。アンモニアやメチルアミンなどの活性化剤を必要としない。一般のメタノール脱水素酵素の等電点が7.0以上なのに対して、本AADHの等電点は約4.4である。【0006】PQQを補欠分子族として含むアルコール脱水素酵素の例としてほかにシュードモナス エルギノーサのキノプロテインアルコール脱水素酵素(バイオケミカル・ジヤーナル、 第223巻、921−924頁、1984)およびシュ−ドモナス テストステロニのキノヘムプロテインアルコ−ル脱水素酵素(バイオケミカル・ジヤーナル、第234巻、611−615頁、1986)が知られている。前者は、本発明によるAADHがサブユニットの二量体で存在し活性化剤を必要としないのに対して、分子量101、000の単量体で活性化剤としてアンモニウム塩又はアミンを必要とする。後者は、本発明によるAADHがサブユニットの二量対でヘムc分子団を含まないのに対して、分子量67、000の単量体で一分子ずつのPQQとヘムc分子団を含む。【0007】上記で述べたように、今日まで本発明で述べられているようなAADHの報告はない。特定の菌株の菌体可溶性画分より単離された精製酵素がアルコ−ル類およびアルデヒド類の酸化を触媒し、アルコ−ル類からはアルデヒド類またはケトン類、アルデヒド類からはカルボン酸類を生成することが見いだされた。さらに特徴的には該酵素はL−ソルボ−スをL−ソルボソンを経て2KGAに酸化する。本発明はこの知見を基礎として完成された。【0008】【課題を解決するための手段】後述の実施例に従って調製されるAADH精製標品の物理化学的諸性質を以下に示す:1)酵素活性本発明のAADHは電子受容体の存在下でアルコ−ル類およびアルデヒド類の酸化を触媒し、アルコ−ル類からはアルデヒド類またはケトン類、アルデヒド類からはカルボン酸類を生成する。【0009】本酵素は酸素を直接電子受容体として利用できない。しかし、電子受容体として機能する能力のあるいくつかの適切な物質を本発明による酵素は利用することができる。電子受容体として、2、6−ジクロロフェノ−ルインドフェノ−ル(本文中以後、DCIPと記す)、フェナジン メソサルフェイト(本文中以後、PMSと記す)、ウルスタ− ブル−、フェリシアナイド、コエンザイムQおよびチトクロ−ムcなどが使用できる。【0010】酵素活性測定はスペクトロフォトメ−タ−(UVIKON 810、コントロン社製)を用いDCIPの600 nmの吸光度の減少を25℃で測定することによっておこなった。酵素活性1単位は1分間に1 μmole量のDCIPの還元を触媒する酵素の量と定義した。DCIPの分子吸光係数はpH 8.0においてmM濃度当たり15とした。標準反応溶液( 1 ml)は0.1 mMのDCIP、1 mMのPMS、125 mMのL−ソルボ−ス、50 mMのトリス−マレイト−苛性ソ−ダ緩衝液(pH 8.0)と3−8 μlの酵素溶液を含んでいる。比較対照用として上記反応溶液に基質のみを含まないものをもちいた。【0011】2)基質特異性AADHの基質特異性はL−ソルボ−スのかわりに様々な基質をもちいた上記1)の酵素活性測定法をもちいて決定された。測定結果は表1に示す。一級アルコ−ル、二級アルコ−ル、アルデヒドおよびポリエチレングリコ−ル、ポリビニルアルコ−ルを含む高分子量アルコ−ルと様々な物質が基質となりえた。【0012】3)至適pHAADHの反応速度とpHのあいだの関連性はトリス−マレイト−苛性ソ−ダ緩衝液(pH 6.0から8.0)とトリス−塩酸緩衝液(pH 9.0)でいくつかの基質をもちいて測定された。結果は表2に示す。基質の種類に関係なく、AADHはpH 7.0から9.0の範囲でもっとも高い活性を示した。【0013】4)pH安定性精製AADHは表3に示す様々なpH値の緩衝液中4℃で一定時間放置された。残存酵素活性はL−ソルボ−スまたはL−ソルボソンを基質としてもちい上記1)の酵素活性測定法で測定された。測定結果を表3に示す。精製酵素はアルカリpH領域で比較的安定で、酸性化により不安定となる。【0014】5)熱安定性精製AADHは0.1 M NaCl 、5%スクロ−スを含む25 mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)中様々な温度で10分間処理された後に、ただちに氷冷された。残存酵素活性はいくつかの基質をもちい上記1)の酵素活性測定法で測定された。測定結果を表4に示す。AADHは30℃以下では安定であるが、40℃以上で不安定である。【0015】6)至適温度AADH の酵素活性は10℃から50℃の温度下でいくつかの基質をもちい上記1)の酵素活性測定法で測定された。結果は表5に示す。本酵素は20℃から40℃の温度領域に反応至適を示す。【0016】7)分子量AADHの分子量はゲル濾過カラムクロマトグラフィ−をもちいて決定された。酵素サンプルは酵素精製のための樹脂、たとえば0.1 M NaCl 、5%スクロ−スを含む25 mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化されたセファクリルS−300HR(ファルマシア社製)に添加された。分子量スタンダ−ドとして、チログロブリン(670,000 ダルトン)、フェリチン(450,000 ダルトン)、カタラ−ゼ(240,000 ダルトン)、アルドラ−ゼ(158,000 ダルトン)、ガンマ グロブリン(158,000 ダルトン)、ウシ血清アルブミン(66,200 ダルトン)、オボアルブミン(45,000 ダルトン)、キモトリプシノゲン A(25,000 ダルトン)、ミオグロビン(17,000 ダルトン)、チトクロ−ム c(12,500 ダルトン)およびビタミン B12(1,360 ダルトン)がもちいられた。結果として、AADHの分子量は135,000±5,000 ダルトンと決定された。つぎに、精製AADHはベ−タ メルカプトエタノ−ル存在下ソディウム ドデシル サルフェイト(SDS)で処理され、その分子構造はSDS−ポリアクリルアミド電気泳動分析により解析された。分子量スタンダ−ドとして、 フォスフォリラ−ゼ B(92,500 ダルトン)、ウシ血清アルブミン(66,200 ダルトン)、オボアルブミン(45,000 ダルトン)、カ−ボニック アンヒドラ−ゼ(31,000 ダルトン)、大豆トリプシン インヒビタ−(21,500 ダルトン)およびリゾチ−ム(14,400 ダルトン)がもちいられた。本酵素は2種のサブユニットから成ることが示された。第一のサブユニット(アルファ サブユニット)は分子量が64,500±2,000であり、第二のサブユニット(ベ−タ サブユニット)は分子量が62,500±2,000である。【0017】8)Km(ミカエリス定数)値の測定1)に記載の方法をもちいて、酸化速度と基質濃度変化の関係をみかけ上のミカエリス定数(Km)として決定するために測定した。DCIPとPMSを電子受容体として含む反応液で測定した。L−ソルボ−スおよび1−プロパノ−ルに対するKm値はそれぞれ230 mMおよび2 mMと算出された。【0018】9)金属イオンの影響1)に記載の方法をもちいて、様々な金属イオンの酵素活性に対する影響を測定した。表6に結果を示す。検査された金属イオン中、Mg2+とCa2+イオンのみが酵素活性に影響を与えなかった。他は酵素活性に対して強度および中度の影響を示した。Cu2+, Mn2+, Fe3+ は酵素の強い阻害剤である。【0019】10)阻害剤の影響1)に記される方法をもちいて、阻害剤の酵素活性に対する影響を測定した。表7に結果を示す。エチレンヂアミン テトラアセティック アシッド(EDTA)およびエチレン グリコ−ル ビス(ベ−タ−アミノエティルエ−テル)−N,N,N’,N’−テトラアセティック アシッド(EGTA)は酵素活性に対して強い阻害を示した。【0020】11)補欠分子族精製AADHの吸光スペクトルは図1に示すように280 nmの極大吸収と290 nmの肩を示した。第二の吸収ピ−クが340 nmに380−420 nmの広い肩をともない検出された。この吸収スペクトルはAADHがPQQを補欠分子族としてもっていることを強く示唆した。【0021】100 mM NaH2PO4−塩酸(pH 約 1.0) 中の精製酵素(4.5 mg量)に同容量のメタノ−ルを添加し混合した。サンプルより15,000 rpm、10分間遠心分離で沈殿物を除去した。この抽出物を補欠分子族の同定にもちいた。抽出物の吸収スペクトルはPQQの標準サンプル(三菱ガス化学社製)と完全に一致した。さらに、逆相カラム(TSK−ODS 80TM, トヨ−ソ−ダ社製)をもちいた高圧液体クロマトグラフィ−分析でAADH抽出物はPQQ標準サンプルと同一の保持時間を示した。【0022】12)等電点AADHの等電点(pI)が決定された。エレクトロ フォ−カシングのため8.5 M尿素、2%(w/v)非イオン性界面活性剤例えばノイデット P−40および2.4%(w/v)のpH勾配形成のための緩衝剤物質;アンフォライト例えばファルマライト, pH 2.5−5.0(ファルマシア社製)を含んだ4%濃度のポリアクリルアミド ゲルをもちいた。電極液としては、0.01 Mのイミノ二酢酸を陰極に、0.01 MのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルフォニック アシッド(HEPES)を陽極にもちいた。サンプルの等電点はファルマシア社製の低pHキャリブレ−ション キット、pH 2.5−5.0との比較により算出した。結果として、AADH は等電点約4.4 のバンド群を示した。【0023】13)精製法AADHの精製は以下のような通常もちいられる精製法の組み合わせが有効である。【0024】沈殿剤による分画、例えば 硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコールなどイオン交換クロマトグラフィー吸着クロマトグラフィーゲル濾過クロマトグラフィーゲル電気泳動塩析および透析本発明によるAADHは、適切な微生物株を培養し、得られた細胞を破砕し、破砕細胞の無細胞抽出物、好ましくは微生物菌体可溶性画分(cytosol fraction)から調製する事ができる。【0025】本発明により使用される微生物菌株は前述したAADHを生産する能力をもつグルコノバクター属に属するすべての菌株を含む。また、本菌株の機能的同等物、継代培養、変異株および誘導体も本発明に使用できる。【0026】好適な菌株はグルコノバクター オキシダンス(Gluconobacter oxydans)である。特に好適なグルコノバクター オキシダンス株はゲッチンゲン(ドイツ)にあるドイツ微生物寄託所(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen in Gottingen; Germany) にDSM No. 4025株として1987年4月17日に寄託されている。【0027】さらに、該菌株の継代培養はブタペスト条約(Budapest Treaty) の契約規定にもとずいて微生物工業技術研究所(日本)(Industrial Science and Technology, Fermentation Research Institute, Japan) に;グルコノバクター オキシダンス(Gluconobacter oxydans) DSM No. 4025 FERM BP−3812株として1992年3月30日に寄託されている。【0028】さらに、ヨーロッパ特許公開(European Patent Publication) No.0278 447 (4226/081k)に本菌株の性質が記載されている。【0029】本微生物は好気条件下、適切な栄養源を含んだ液体培地によって培養される。培養はpH 約4.0−9.0の間でおこなえるが、好ましくはpH約6.0−8.0のあいだがのぞましい。培養時間は、pH、温度および使用される培地条件によりことなるが、通常2ー5日間で好結果をもたらす。好ましい培養のための温度範囲は、約13℃から36℃であるが、好ましくは約18℃から33℃がのぞましい。【0030】通常培養用培地は資化可能な炭素源、利用可能な窒素源や無機物質、ビタミン類、微量成分および他の成育促進因子などを含む。資化可能な炭素原としては、L−ソルボース、グリセロール、D−グルコース、D−マニトール、D−フルクトース、D−アラビトールおよびこれらに類するものが使用できる。【0031】様々な無機および有機物質が窒素源としてもちいられる、例えばイースト エキストラクト、ミート エキストラクト、ペプトン、カゼイン、コーン スチィープ リカー、尿素、アミノ酸、硝酸、アンモニウム塩およびこれらに類するものが使用できる。 無機物質として硫酸マグネシウム、リン酸カリウム、塩化第一および第二鉄、炭酸カルシウムおよびこれらに類するものが使用できる。【0032】以下に、培養後の菌体からのAADHの単離精製法の実施態様を簡便に記す。【0033】(1)菌体を培養槽より遠心分離もしくは濾過によって収集する。【0034】(2)該菌体を緩衝液に懸濁した後、ホモゲナイザー、超音波、リゾチーム処理など細胞破砕液を調製できるもので破砕する。【0035】(3)AADHは破砕された細胞の無細胞抽出液より、さらに好ましくは微生物菌体の可溶性画分より単離精製される。【0036】本発明によるAADHはアルコール類およびアルデヒド類からのアルデヒド類、カルボン酸類およびケトン類、とくにL− ソルボースよりL−ソルボソンを経て2KGAを生産する触媒として有用である。【0037】反応はトリスー塩酸緩衝液、リン酸緩衝液又はそれに類する溶媒中で、電子受容体例えばDCIP、PMS、ウルスタ− ブル−、フェリシアナイド、コエンザイムQ、チトクロ−ムcおよびそれに類するものの存在化、pH約 6.0−9.0でおこなわれる。【0038】該反応のためのこのましい温度範囲は約10℃から50℃である。pHと温度がそれぞれ約7.0−8.0、20℃−40℃に設定されたとき通常最もこのましい反応結果が与えられる。【0039】反応溶媒中の基質濃度は他の反応条件によって変得ることができる、しかし、一般的に約10−100 g/l濃度、さらに最も好ましくは約30−40 g/lである。【0040】該反応において、AADHは適切な担体に固定された状態でも使用できる。一般的にこれまで知られているような固定化酵素としても使用可能である。例えば、本酵素は直接反応基をもった膜、粒子、もしくは樹脂のようなものに結合できる、又はグルタルアルデヒドのような反応基物質を架橋として樹脂に結合することもできる。上記に加えて、培養された細胞もアルコール類およびアルデヒド類からのアルデヒド類、カルボン酸類およびケトン類、とくにL− ソルボースより2KGAを生産する触媒として有用である。【0041】【実施例】以下の実施例にてさらに本発明についてのべる。【0042】実施例 1AADHの調製すべての操作は特に記載のないかぎり4℃でおこなわれた。【0043】(1)グルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025(FERM BP−3812)の培養(A)培地調製L−ソルボース 8%(w/v)(別滅菌)、グリセロール 0.05%、MgSO4・7H2O 0.25%、コーン スティープ リカー 1.75%、ベーカーズ イースト 5.0%、CaCO3 0.5%と尿素 0.5%(別滅菌)(滅菌前pH 7.0)を含む培養培地を試験管(それぞれ5 ml)にいれ120℃, 20分間滅菌した。【0044】(B)植菌、培養この種培養培地に、D−マニトール 5.0%、MgSO4・7H2O 0.25%、コーン スティープ リカー 1.75%、ベーカーズ イースト 0.25%、CaCO3 0.5%、尿素 0.5%(別滅菌) および寒天 2.0%(滅菌前pH 7.0)を含むスラント培養培地で27℃、3日培養された菌株より一白金耳の細胞を植菌し30℃で24時間培養した。この種培養(5 ml)は500 ml エルレンマイヤ− フラスコにいれた100 mlの上記と同様の培地に植菌され30℃、24時間培養した。さらに、この種培養(5 ml)は500 ml エルレンマイヤ− フラスコにいれた100 mlの上記と同様の培地に植菌され30℃、24時間培養された。このように調製された種培養を30 l ジャー培養槽中の15 l の本培地への種菌としてもちいた。培地はL−ソルボース 10%(w/v)(別滅菌)、グリセロール 0.05%、尿素 1.6%(別滅菌)、MgSO4・7H2O 0.25%、ベーカーズ イースト 5.0%、CaCO3 1.5%とコーン スティープ リカー 3.0%を含む。発酵は、温度30℃、攪拌500 rpmおよび通気7.5 l/分でおこなった。発酵開始40時間後、菌体は遠心分離(10,000 g, 15分)で集菌された。菌体は1 l の0.9% NaCl、5 mMのMgCl2および1 mMのフェニルメチルスルファニル フルオライド(PMSF)をふくむ25 mMトリスー塩酸、pH 7.0、に懸濁された。懸濁液はCaCO3および他の沈降性培地成分を除去するため500 g、5分間遠心分離された。その後、細胞は10,000 g、15分間の遠心分離で回収された。上記の操作は再度繰り返された。結果として、125 g(湿式重量) のグルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025(FERM BP−3812)細胞が得られた。洗浄菌体は次の精製段階まで、−20℃で1週間冷凍保存された。【0045】(2)可溶性画分の調整上記ステップ(1)でえられたグルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025(FERM BP−3812)細胞は100 mlの0.5 mMのPMSFをふくむ25 mMのトリスー塩酸緩衝液、pH 8.0に懸濁され細胞破砕のため細胞破砕装置(フレンチ プレス)で2度処理(1,500 kg/cm2)された。この均一化された懸濁液に 2 mlの1 mg/ml のDNA切断用DNA分解酵素I(シグマ社製)と1 mlの0.5 M濃度のMgCl2を添加し、混合物を15分間放置した後に、細胞残さを除くため6,000 g、15分間遠心分離した。こうして得られた無細胞抽出液(210 ml)は100,000 g、60分間遠心分離された。この上清を可溶性画分として回収した(200 ml)。【0046】(3)PEG(MW6000) 処理(DNA沈殿)上記ステップ(2)の可溶性画分(200 ml)は2 Lの0.5 mMのPMSFをふくむ25 mMのトリスー塩酸緩衝液、pH 8.0に対して透析された後に、40 gのPEG 6000( 半井化学工業)と5 ml の2N KClを添加され、30分間放置され、14,000 g、20分間遠心分離された。上清は同様の緩衝液で400 mlまで希釈された。【0047】(4)DEAE トヨパール 650M(弱イオン交換) カラム クロマトグラフィー上記ステップ(3)でえられた上清(400 ml)は0.25 mMのPMSF、5%のスクロースを含む25 mMのトリスー塩酸緩衝液、pH 8.0で平衡化されたジエチルアミノエチル(DEAE)トヨパール 650M カラム(内径2.5 cm、全長35 cm)に添加された。カラムが同様の緩衝液600 mlで洗浄された後、酵素は同様の緩衝液(2000 ml)に含まれる 0から0.5 MまでのNaClの濃度勾配によって溶出された。活性画分(174 ml)は回収され次のステップに供された。【0048】(5)Q−セファロース(強イオン交換) カラム クロマトグラフィー 「第2ステップ」前ステップで得られた活性画分は0.25 mMのPMSF、5%のスクロースを含む25 mMのトリスー塩酸緩衝液、pH 8.0で平衡化されたQーセファロース カラム(内径2.5 cm、全長35 cm)に添加された。カラムが緩衝液により完全に洗浄された後、酵素活性溶出は同様の緩衝液(2000 ml)に含まれる 0.25から0.5 MまでのNaClの濃度勾配によってなされた。電気泳動的に均一なAADHを含む画分は回収され、PM−30膜(アミコン コーポレイション)により20 mlまで濃縮された。【0049】AADH の精製段階の要約は表8に示す。【0050】(6)単離されたAADH の純度単離されたAADH の純度検定のため、ポリアクリルアミド ゲル電気泳動をおこなった。 サンプルはデイビス(Davis)らの方法(Ann. N.Y.Acad. Sci. 121: 404, 1969)にしたがってトリスー塩酸緩衝液、pH 9.4の7.5% ポリアクリルアミドゲルに添加された。タンパク質はタンパク染色剤であるコマシー ブリリアント ブルー R−250によって染色された。ゲル中の酵素活性はニトロ ブルー テトラゾリウム クロライド(シグマ社製)の還元との共役によって検出された。ゲルは50 mMのトリス−マレイト−苛性ソ−ダ緩衝液、pH 8.0、0.01 mMのPQQ、0.1 mMのPMS、0.4 mMのニトロ ブルー テトラゾリウム クロライドおよび0.25 MのL−ソルボースを含む溶液に、30 ℃暗所下浸された。【0051】AADHはタンパク染色において3本の近接したバンドを示し、すべてのバンドは酵素活性を示した。 3本のゲル中でのタンパクバンドは電気泳動中、酵素より補欠分子族であるPQQが解離することに起因する。【0052】(7)反応生成物の同定50 μlの精製AADH(1.5 mg)、0.1 mlの10 mM PMS、0.5 mlの0.4 M リン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5、0.25 mlの水および0.1 mlのさまざまな基質の20%溶液を含む反応液が30℃、15時間、緩やかな攪拌をともない反応させられた。反応生成物は薄層クロマトグラフィ−で分析された。生成物は標準サンプルと直接比較することで同定された。結果は表9に示す。【0053】実施例 2精製AADHによる2KGA生産0.5 mlの精製AADH(15 mg)、1 mlの20% L−ソルボ−ス溶液、1 mlの10 mM PMS、5 mlの0.4 M リン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5 および2.5 mlの水を含む反応液が30℃で緩やかな攪拌をともない反応させられた。結果として、約70 mg/時間の生成速度で2KGAが生産された。【0054】実施例 3休止菌体系での2KGA生産反応液(10 ml): 実施例 1のステップ(1)と同様の方法で調整されたグルコノバクタ− オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP−3812)菌体 0.25 g、1 mlの20%L−ソルボ−ス溶液、1 mlの10 mM PMS、1 mlの3% 食塩水、1 ml の30 μM PQQ、0.1 g 炭酸カルシウム、が30℃で緩やかな攪拌をともない反応させられた。結果として、約6 mg/時間の生成速度で2KGAが生産された。【0055】【表1】【0056】【表2】【0057】【表3】【0058】【表4】【0059】【表5】【0060】【表6】【0061】【表7】【0062】【表8】(a) “活性“は5頁の酵素活性1)に記載の方法により測定した。【0063】(b) “無細胞抽出物”は実施例1(2)に記載の方法により調製された。【0064】(c) “可溶性画分”は実施例1(2)に記載の方法により調製された。【0065】(d) “PEG 6000上清は実施例1(3)に記載の方法により調製された。(e) “DEAE−トヨパール”は実施例1(4)に記載の方法により調製された。【0066】(f) “Q−セフアロース”は実施例1(5)に記載の方法により調製された。【0067】【表9】【図面の簡単な説明】【図1】AADHの吸収スペクトルを示す。 以下に示す物理化学的特性:a) 至適pH : 7.0 〜 9.0b) 至適温度: 20 〜 40℃c) 分子量:135,000 ± 5,000 ダルトン(それぞれ分子量64,500± 2,000 と62,500±2,000のアルファ サブユニットとベー タ サブユニットのいずれの組み合わせからなる2つのサブユニットからなる)d) 基質特異性:一級および二級アルコール類、およびアルデヒド類に活性を示すe) 補欠分子族:ピロロキノリン キノンf) 等電点:約 4.4を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素。 請求項1に記載の特性を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素を生産する能力をもつグルコノバクター属に属する微生物より取得される、請求項1に記載のアルコール/アルデヒド脱水素酵素。 微生物がグルコノバクタ− オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)と同等と見なされる性質をもつグルコノバクター オキシダンスである請求項2に記載のアルコール/アルデヒド脱水素酵素。 該微生物がグルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)、継代培養又は変異株である請求項3に記載のアルコール/アルデヒド脱水素酵素。 以下に示す物理化学的特性:a) 至適pH : 7.0 〜 9.0b) 至適温度: 20 〜 40℃c) 分子量:135,000 ± 5,000 ダルトン(それぞれ分子量64,500± 2,000 と62,500±2,000のアルファ サブユニットとベー タ サブユニットのいずれの組み合わせからなる2つのサブユニットからなる)d) 基質特異性:一級および二級アルコール、およびアルデヒドに活性を示す、e) 補欠分子族:ピロロキノリン キノンf) 等電点:約 4.4を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素を製造する方法であって、好気条件下液体栄養培地中で、上記の特性を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素を生産する能力をもつグルコノバクター属に属する微生物を培養し、該微生物の細胞を破砕し、該微生物の破砕された細胞の無細胞抽出液より酵素を単離精製することを特徴とする方法。 微生物がグルコノバクタ− オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)と同等と見なされる性質をもつグルコノバクター オキシダンスである請求項5に記載の製造方法。 微生物がグルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)、継代培養又は変異株である請求項6に記載の製造方法。 アルコール及び/又はアルデヒドを、電子受容体の存在下に、(i) 以下に示す物理化学的特性:a) 至適pH : 7.0 〜 9.0b) 至適温度: 20 〜 40℃c) 分子量:135,000 ± 5,000 ダルトン(それぞれ分子量64,500± 2,000 と62,500±2,000のアルファ サブユニットとベー タ サブユニットのいずれの組み合わせからなる2つのサブユニットからなる)d) 基質特異性:一級および二級アルコール、およびアルデヒドに活性を示す、e) 補欠分子族:ピロロキノリン キノンf) 等電点:約 4.4を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素、又は(ii) 好気条件下液体栄養培地中で上記の特性を有するアルコール/アルデヒド脱水素酵素を生産する能力をもつグルコノバクター属に属する微生物、又は(iii) 該微生物の無細胞抽出液と接触させ、そして生成するアルデヒド、ケトン又はカルボン酸を反応混合物から単離することを特徴とする、アルコール又はアルデヒドからアルデヒド、ケトン及び/またはカルボン酸を製造する方法。 微生物がグルコノバクタ− オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)と同等と見なされる性質をもつグルコノバクター オキシダンスである請求項8に記載の方法。 微生物がグルコノバクター オキシダンス DSM No. 4025 (FERM BP-3812)、継代培養又は変異株である請求項9に記載の方法。


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