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タイトル:特許公報(B2)_(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法
出願番号:1993197176
年次:2005
IPC分類:7,C07C51/64,C07C57/075,C07C67/62,C07C69/54


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保坂 浩親 世木 徹 JP 3684582 特許公報(B2) 20050610 1993197176 19930809 (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 保坂 浩親 世木 徹 20050817 7 C07C51/64 C07C57/075 C07C67/62 C07C69/54 JP C07C51/64 C07C57/075 C07C67/62 C07C69/54 Z 7 C07C 51/64 C07C 57/075 C07C 67/62 C07C 69/54 特開昭64−066140(JP,A) 特開昭50−101313(JP,A) 特開平06−345681(JP,A) 3 1995053449 19950228 10 20000721 穴吹 智子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、(メタ)アクリル酸(ここで(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びメタクリル酸を意味する)又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法に関する。更に詳しくは、本発明は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを含む系の蒸留において、重合防止剤としてフェノチアジン、ハイドロキノン及び分子状酸素を共用する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法に関する。【0002】【従来の技術】プロピレン又はイソブチレンの気相接触酸化反応によりアクリル酸又はメタクリル酸、更に(メタ)アクリル酸エステルを製造するプロセスにおいて(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを分離、精製するために種々の蒸留操作が用いられる。【0003】(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルは、熱等により容易に重合することは広く知られているが、蒸留においては程度の差はあれ加熱が必要であり、特に蒸留工程などの高温状態での処理においてはその重合性が極めて高くなるので、重合防止に対する考慮がなされねばならない。【0004】蒸留の際には一般に重合防止剤が用いられるが、(メタ)アクリル酸の場合、液相部に比べて塔内壁、プレートの裏面溢液管の外側等の気相部における重合が非常に起り易すい。そして、重合が蒸留塔内で起こると、重合体が蒸留塔内に蓄積し、蒸留効率や製品回収率が低下し、更には蒸留操作の運転継続を困難にする。【0005】従って、(メタ)アクリル酸の工業的製造プロセスにおける重合によるトラブルの防止は、プロセス操作上、非常に重要な項目であり、特に(メタ)アクリル酸を高温状態で取り扱う蒸留工程において有効な重合防止技術を確立することは、該製造プロセスを連続的にかつ安定に運転する上で必要不可欠である。【0006】従来、(メタ)アクリル酸の重合防止方法の一つとして、重合防止剤を添加することが、古くから提案され実施されている。代表的な重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール等のフェノール類、ジフェニルアミン、チオジフェニルアミン等のアミン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、銅塩、鉄塩等が知られている。そして、これらの重合防止剤を単独の形で用いたり、これらの組み合わせの形で用いたり、或いは分子状酸素含有ガスとこれらの重合防止剤との併用による方法などがいろいろ提案されている。しかしながら、このように提案されている重合禁止剤は(メタ)アクリル酸製造プロセスの蒸留工程などの高温状態では、その効果が小さいため、多量に添加しなければならず、工業的実施において満足すべきものではない。【0007】多成分系の重合防止剤の例としては、例えばアクリル酸の蒸留における安定化法として特公昭50−6449号公報では重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル−ベンゾキノン−酸素を用いる方法が、又、特公昭50−6450号公報では重合防止剤としてジフェニルアミン−ベンゾキノンあるいはハイドロキノンモノメチルエーテル−酸素を用いる方法がそれぞれ提案されている。【0008】また、フェノチアジンと他の重合防止剤の併用の例としては、特開平2−17151号公報で、メタクリル酸メチルエステルの重合防止剤としてフェノチアジン−パラベンゾキノン系が、特開平2−193944号公報では(メタ)アクリル酸メチルをエステル交換させる際の重合防止剤としてフェノチアジン−ハイドロキノンモノメチルエーテル系がそれぞれ提案されている。【0009】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した重合防止剤は何れも(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを高温状態で取り扱う蒸留工程での重合防止効果は充分とは言い難く、またパラベンゾキノンは比較的蒸気圧が高く、製品に混入し易く、製品を着色させるという問題もある。そして、これらの重合防止剤では(メタ)アクリル酸を高温で取り扱う蒸留工程での重合を防止するためには、重合防止剤を多量に添加しなければならず、重合防止剤を多量に添加した場合でも蒸留の長期運転は難しいという問題がある。本発明の目的は(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造において、少量の重合防止剤の添加でもポリマーの発生を防止し、長期連続運転を可能にする重合防止方法を提供することにある。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルに対して重合防止効果が高く、重合防止剤が製品に混入しない重合防止方法について鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを高温状態で取り扱う蒸留工程では、フェノチアジン単独でもある程度の重合防止は可能であるが、その効果は不十分であり、ハイドロキノンに至っては、高温では殆ど重合防止効果がない。この単独では重合防止効果の小さいフェノチアジンとハイドロキノンを分子状酸素含有ガスと共存させることにより、予想を遙かに越える重合防止効果が発現することを見い出し、本発明を完成した。【0011】 即ち、本発明は、 1.(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを含む系の蒸留において、重合防止剤としてフェノチアジン及びハイドロキノンを、ハイドロキノン/フェノチアジン=2〜10(重量比)となるように用い、かつ分子状酸素を共用することを特徴とする、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。 2.フェノチアジン及びハイドロキノンを、ハイドロキノン/フェノチアジン=3〜10(重量比)となるように用いることを特徴とする、請求項1記載の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。 3.フェノチアジン及びハイドロキノンを蒸留系に存在する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの全液量に対して合計濃度で0.0002〜0.4重量%の範囲で使用すると共に、分子状酸素を蒸留系に存在する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの全蒸気量に対して0.01〜5容量%の範囲で共用することを特徴とする、請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。」に関する。 以下、本発明方法については具体的に説明する。【0012】(重合防止剤)フェノチアジンは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルに対して0.0001〜0.2(重量%)、好ましくは0.003〜0.15(重量%)、より好ましくは0.005〜0.1(重量%)、又、ハイドロキノンは0.0001〜0.2(重量%)、好ましくは0.003〜0.15(重量%)、より好ましくは0.005〜0.1(重量%)添加される。なお、フェノチアジンとハイドロキノンとの量比は、重量比で1:10〜1:1の範囲で使用される。この際、前記重合防止剤添加量がこの範囲以下の場合には重合防止効果が充分ではなく、また、この範囲以上である場合には充分な重合防止効果は得られるものの経済的ではない。重合防止剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、フェノチアジン及びハイドロキノンの固体または粉体を直接添加しても良いし、あるいは適当な溶媒に溶解した溶液の形で添加しても良い。また、分子状酸素含有ガスとしては、空気が最も安価であり、その供給量は酸素として0.01〜5(容量%)、好ましくは0.05〜3(容量%)、より好ましくは0.1〜1.0(容量%)の範囲である。分子状酸素含有ガスは、蒸留塔の塔部、ボトムまたはリボイラーから送入されるが、モノマー液との効率の良い接触または蒸留塔内での均一分散の向上を目的として供給方法も工夫される。【0013】(蒸留条件)一般に、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの蒸留は、50〜150℃、100〜500mmHgの条件で行われるが、本発明によれば、このような高温状態での処理においても充分に重合を防止することができ、長期の連続運転が可能になる。【0014】【実施例】以下実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0015】比較例1精製したアクリル酸に重合防止剤を添加した溶液を熱電対及びバブリング用ノズル付きの内容積30mlのアンプルに入れ、15cc/分の窒素で15分間バブリングした。その後、窒素バブリングしたままこのアンプルを加熱した油浴中に浸し、アンプル中の液温を熱電対により測定し120℃に保った。重合開始時間は、重合熱により液温が5℃上昇した時間とした。結果を表1に示す。ここで相乗効果の指標として相乗効果指数を次のように定義した。tpz :フェノチアジン添加の重合開始時間t2 :第2成分添加の重合開始時間tpz+2:フェノチアジンと第2成分添加の重合開始時間tN :無添加の重合開始時間相乗効果指数>1の時に、相乗効果があることになる。表1の結果より、窒素雰囲気(分子状酸素の非存在下)では、フェノチアジンと他の禁止剤とを組み合わせても相乗効果は見られず、むしろ単独で用いた時の加算よりも悪くなっている。【0016】【表1】【0017】実施例1比較例1と同様に重合開始時間を測定したが、窒素バブリングの代わりに空気バブリングで行った。結果を表2に示す。表2の結果より、空気雰囲気(分子状酸素の存在下)では、フェノチアジンとハイドロキノン以外の他の禁止剤との組み合わせは、窒素雰囲気(分子状酸素の非存在下)での結果と同様に禁止剤の複合効果は見られないが、フェノチアジンとハイドロキノンの組み合わせは、単独で用いた時の加算以上の優れた効果を示す。【0018】【表2】【0019】実施例2比較例1と同様に重合開始時間を測定したが、窒素バブリングの代わりに空気バブリングで行った。結果を表3に示す。表3の結果より、ハイドロキノン単独の場合ハイドロキノンの添加量を10ppmから100ppmまで増加させても重合禁止効果はほとんど変わらないが、フェノチアジンとハイドロキノンを共存させた場合は、ハイドロキノンの添加量の増加に伴い予想を遙かに上回る優れた重合禁止効果が得られた。【0020】【表3】【0021】実施例3実施例1と同様に重合開始時間を測定したが、アクリル酸の代わりにメタクリル酸、温度を130℃で行った。結果を表4に示した。フェノチアジンとハイドロキノンの組み合わせは、アクリル酸の場合よりも更に優れた重合禁止効果が得られた。【0022】【表4】【0023】実施例4実施例1と同様に重合開始時間を測定したが、アクリル酸の代わりにアクリル酸ブチルエステル、温度を130℃で行った。結果を表5に示した。アクリル酸ブチルエステルの場合でも、フェノチアジンとハイドロキノンの組み合わせは、アクリル酸、メタクリル酸と同様に大きな相乗効果が得られた。【0024】【表5】【0025】【発明の効果】本発明の方法によれば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを含む系の蒸留において、重合防止剤としてフェノチアジン、ハイドロキノン及び分子状酸素を共用することにより蒸留工程におけるポリマーの発生を防止でき、長期の連続運転が可能となり、且つ製品回収率が向上する。 (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを含む系の蒸留において、重合防止剤としてフェノチアジン及びハイドロキノンを、ハイドロキノン/フェノチアジン=2〜10(重量比)となるように用い、かつ分子状酸素を共用することを特徴とする、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。 フェノチアジン及びハイドロキノンを、ハイドロキノン/フェノチアジン=3〜10(重量比)となるように用いることを特徴とする、請求項1記載の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。 フェノチアジン及びハイドロキノンを蒸留系に存在する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの全液量に対して合計濃度で0.0002〜0.4重量%の範囲で使用すると共に、分子状酸素を蒸留系に存在する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの全蒸気量に対して0.01〜5容量%の範囲で共用することを特徴とする、請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法。


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