生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_免疫抑制剤
出願番号:1992361962
年次:2004
IPC分類:7,A61K31/20,A61K31/23,A61K38/00,A61P37/06


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鹿島 稔 辻 邦郎 JP 3558351 特許公報(B2) 20040528 1992361962 19921207 免疫抑制剤 辻 邦郎 593030358 舟橋 榮子 100083714 鹿島 稔 辻 邦郎 20040825 7 A61K31/20 A61K31/23 A61K38/00 A61P37/06 JP A61K31/20 A61K31/23 A61P37/06 A61K37/22 7 A61K 31/20 A61K 31/23 A61K 38/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平05−148152(JP,A) 特開昭59−190948(JP,A) 特開昭62−012716(JP,A) 国際公開第91/017749(WO,A1) 1 1994172168 19940621 9 19991203 田名部 拓也 【0001】【産業上の利用分野】本発明は免疫抑制剤に関する。【0002】【従来の技術】サイクロスポリンA(以下、CSと略記)は、抗生物質スクリーニング中に発見された薬物であり、ボレル(Borel)により強力な免疫抑制作用 (Pharmcol. Rev., 41,239 (1989))が発表されて以来、現在までに、臨床的に広く用いられている免疫抑制剤である。CSの発見以前の免疫抑制剤はすべて殺細胞作用につながるDNA合成阻害という共通の作用により免疫抑制作用を発現する。これに対して、CSの場合はリンパ球細胞相互間における免疫応答を中断することにより免疫抑制作用を発現する。【0003】【発明が解決しようとする課題】CSは、すでに確立された免疫反応には影響を及ぼさずに、問題となっている抗原を認識・排除する反応のみを特異的に抑える。従って、移植中のウイルス感染のような二次的な異物に対する防御機能は保証されている。CSがそれ以前の免疫抑制剤と比較して、最も優れているのがこの点である。しかしながら、それの投与により、種々の組織障害の結果としておこる体重減少が顕著であるなどの副作用が問題である。【0004】本発明の目的は、投与による体重減少を伴わず、効果的でかつ安全な免疫抑制剤を提供するものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結果、奇数脂肪酸およびそれらの誘導体が副作用の発現の少ない免疫抑制剤であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、奇数脂肪酸および/またはそれらのリン脂質誘導体を有効成分とする免疫抑制剤である。【0006】本発明において奇数脂肪酸は、例えばトリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸またはノナデカン酸などであり、特にペンタデカン酸、ヘプタデカン酸が好ましい。本発明において奇数脂肪酸の誘導体とは、グリセロリン脂質誘導体である。【0007】グリセロリン脂質誘導体としては、例えば1,2−ジペンタデカノイル−sn−グリセロール−3−フォスフォコリン、1,2−ジペンタデカノイル−sn−グリセロール−3−フォスフォエタノールアミンなどが挙げられる。本発明の免疫抑制剤は、経口投与が可能であり、溶液として注射で投与してもよい。【0008】本発明の免疫抑制剤の有効投与量は25〜400 mg/kg体重/日である。【0009】【発明の効果】本発明は、安全な免疫抑制剤を提供するものである。すなわち、副作用が少なく、臓器移植での拒絶反応、自己免疫疾患等に有効な薬剤である。【0010】【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。免疫抑制効果は、ジェルン(Jerne)らが開発した溶血プラーク法 (Science,140, 405 (1963))で脾細胞の抗体産生細胞数を測定することにより評価した。すなわち、SRBC (Sheep red cell) 1×108 cells/0.25mlをマウス(ddY系6週齢雄 n=8) の尾静脈より注射して感作させた。被検物質は1% Tween80生理食塩水に懸濁してマウス1匹当たり0.5ml となるように調製し、0日目(感作30分前) 、1日目、2日目、3日目の計4回腹腔内投与あるいは経口投与し、4日目に脾臓を摘出した。また、コントロール群には、1%Tween80 生理食塩水 0.5mlのみを同様に投与した。脾細胞中の抗体産生細胞の検出は、ジェルン (Jerne)らの方法に準じて行った。抗体産生能はマウス1匹の脾臓当たりの抗体産生細胞数を表わし、コントロール群との比較により次式に示すような抗体産生抑制率を算出した。【0011】【数1】尚、脂肪酸混合物▲1▼〜▲5▼(被検物質)の各種脂肪酸の配合比を表1に、腹腔内投与による被検物質の抗体産生抑制率を表2、経口投与による被検物質の抗体産生抑制率を表3に、被検物質投与前後のマウスの体重変化を表4に示す。【0012】これらの結果から判るように、腹腔、経口のいずれの投与形態でもトリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ジペンタデカノイルフォスファチジルコリン、トリペンタデカノイン、脂肪酸混合物* (下記参考例参照)および脂肪酸混合物▲1▼〜▲3▼は、顕著な抗体産生抑制作用を示した。また、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ジペンタデカノイルフォスファチジルコリン、トリペンタデカノイン、脂肪酸混合物* および脂肪酸混合物▲1▼〜▲3▼は、投与時において、サイクロスポリンA投与時のようなマウスの体重減少は認められず、コントロール群と同じように体重が増加し、安全性の高いものである。【0013】(参考例)緑イ貝(Perna canaliculus)中には、奇数脂肪酸を有効成分とする免疫抑制作用物質が存在する。このような物質は、溶血プラーク法を指標にして次のように分離、精製した。すなわち、緑イ貝全体凍結乾燥粉末をクロロホルム抽出し、クロロホルム不溶部をメタノール抽出しメタノール可溶部を得た。メタノール可溶部は水に溶解後、HP−20(ポリスチレンゲル:逆相系の充填剤)に供し、水溶出後、メタノール溶出部をLH−20 カラムクロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、最終的には次に示すような脂肪酸組成の脂肪酸混合物* を得た。【0014】【表1】【0015】【表2】【0016】【表3】【0017】投与量100mg/kg/dayの時;実験動物8匹中4匹死亡投与量200mg/kg/dayの時;実験動物8匹中6匹死亡投与量400mg/kg/dayの時;実験動物8匹全部死亡【0018】【表4】 奇数脂肪酸またはそれらのリン脂質誘導体の少なくとも1種を有効成分とする免疫抑制剤。


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