タイトル: | 特許公報(B2)_発酵食品からの液体回収方法 |
出願番号: | 1992227517 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C12H1/04,A23L1/238,C12G3/02,C12J1/04 |
門脇 利夫 野田 義治 JP 3541279 特許公報(B2) 20040409 1992227517 19920826 発酵食品からの液体回収方法 大塚化学ホールディングス株式会社 000206901 目次 誠 100095382 宮▼崎▲ 主税 100086597 門脇 利夫 野田 義治 20040707 7 C12H1/04 A23L1/238 C12G3/02 C12J1/04 JP C12H1/04 A23L1/238 104A C12G3/02 119T C12J1/04 104 7 C12H 1/04 A23L 1/238 C12G 3/02 C12J 1/04 特開平4−144665(JP,A) 日本醸造協会誌,86(11),p.810-813,1991 1 1994070745 19940315 5 19981208 2000016937 20001025 河野 直樹 鵜飼 健 柿沢 恵子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、醤油、清酒、味醂、食酢、ワイン及びビール等の発酵食品からオリを除去し、発酵食品の液体を回収する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】醤油、清酒、味醂、食酢、ワイン及びビール等の発酵食品を製造する際には、オリと呼ばれる微細な固形分が液体中に発生することが知られている。例えば、醤油においては、大豆と小麦を原料とし、これを麹として食塩水で仕込みを行い、その後半年〜1年位発酵熟成させ、これを圧搾濾過して、まず「生揚醤油」と呼ばれる液体を製造している。この生揚醤油の中には、「生オリ」と呼ばれる微細な固形分が多く存在する。この生オリは圧搾濾過の工程で漏れ出してきた原料及び微生物に由来するものであり、従来、「オリ引き」と呼ばれる清澄タンクでの長期間の静置による沈降分離で除去され、さらに上澄液を珪藻土濾過等することによって除去している。【0003】このように上澄液を濾過することによって得られたものを「生醤油」と呼んでおり、このような生醤油はさらに各種副原料を混合した後、所定の温度で火入れ処理がなされる。火入れ処理は、微生物の殺菌、酵素の失活、風味の調整等を目的としてされるものであるが、この際に再び多量のオリが発生する。このオリは「火入れオリ」と呼ばれており、生オリと同様に清澄タンクによるオリ引きの後、一般的には濾過処理によって除去されている。以上のように、醤油の醸造においては、生オリ及び火入れオリが発生し、このようなオリの発生のため、製品の歩留り及び作業性が低下している【0004】【発明が解決しようとする課題】以上のように、醤油からオリを除去する方法としては、清澄タンクにおける沈降分離(オリ引き)及び珪藻土等の濾過助剤による濾過が一般的であるが、このような方法による場合には、清澄タンクを多数準備する必要があり、またオリ引きのため長時間放置しておく必要がある。また、オリ引き後の清澄タンクに沈降したオリは極めて粘性の高いものであり、さらにオリ粒子が微細であるので、その処理が困難であるという問題があった。【0005】このような問題を解決する方法として、有機膜を用いた膜濾過によりオリを分離する方法が検討されているが、醤油の回収率が低いという問題があった。本発明の目的は、このような従来の問題点を解消し、短時間で、かつ高い収率で発酵食品からオリを除去し液体を回収する方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、発酵食品からオリを除去し発酵食品の液体を短時間にかつ効率的に回収する方法について鋭意検討を重ねた結果、オリ発生前またはオリ発生後の発酵食品にシリカゾルを添加し、発生したオリを凝集させ、さらに凝集したオリをセラミックフィルタで濾過することにより、発酵食品から短時間にかつ効率的にオリを除去し液体を分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】すなわち、本発明の方法は、製造過程において発酵食品である醤油から発生するオリを濾過し醤油を回収する方法であり、オリ発生前またはオリ発生後の醤油にシリカゾルを添加し、発生したオリをシリカゾルによって凝集させる工程と、シリカゾルによって凝集したオリをセラミックフィルタで濾過し、オリから醤油を回収する工程とを備えることを特徴としている。【0008】本発明において用いられるシリカゾルは、特に限定されるものではなく、従来から公知のものを広く使用することができる。従来より、シリカゾルは、水ガラスまたはアルコキシド等の珪酸化合物を加水分解することにより製造されており、本発明においてもこのようなものを使用することができる。特に好ましいシリカゾルとしては、ゾルの固形分の94重量%以上がSiO2 であり、ゾル固形分中のFe含量が10ppm以下のものが好ましい。このようなシリカゾルの具体例としては、大塚化学株式会社製のシリカゾル、例えばコポロックSA(商品名)が好ましい。【0009】本発明において用いられるセラミックフィルタとしては、特に限定されず、従来から公知のものを広く使用することができる。このようなセラミックフィルタは、従来から知られているように、例えば、流し込み法や圧縮成形法で製造することができる。【0010】流し込み法では、カーボン粒子等の焼成によって消失する気孔形成剤を所定の粒度にして添加し流し込んで成形した後、焼成して製造する。圧縮成形法では、所定粒度のセラミック骨材を有機質あるいは無機質接着剤を用いて結合材で均一にコーティングし、これを金型に充填して所定形状に成形した後、乾燥焼成して製造する。セラミックフィルタの材質としては、特に限定されるものではないが、アルミナ、炭化珪素、ムライト(2Al2 O3 −3SiO2 )、磁器粒子、珪砂等を用いることができる。気孔径としては、0.05〜0.2ミクロン程度のものが好ましく、また気孔率としては30〜40%程度のものが好ましい。【0011】本発明において、発酵食品に対して添加するシリカゾルの量は、発酵食品に対し、1/2000〜1/500容量程度が好ましい。また、醤油の沈降オリのように沈降させたオリに対してシリカゾルを添加する場合には、沈降しているオリに対し1/500〜1/100容量程度添加するのが好ましい。【0012】発酵食品としての醤油に対して本発明を適用する場合の具体的な態様としては、以下の▲1▼〜▲4▼をその例として挙げることができる。▲1▼生揚醤油または清澄タンクで沈降させた生オリにシリカゾルを添加して凝集した後、これをセラミックフィルタで濾過し清澄生揚醤油を回収する。▲2▼火入れ処理後の沈降した火入れオリにシリカゾルを添加し、凝集させた後、これをセラミックフィルタで濾過し清澄醤油を回収する。【0013】▲3▼火入れ処理前の醤油にシリカゾルを添加した後、火入れして、火入れによって発生した火入れオリをセラミックフィルタで濾過し、清澄醤油を回収する。▲4▼火入れ後の醤油にシリカゾルを添加し、発生した火入れオリをセラミックフィルタで濾過し清澄醤油を回収する。【0014】【発明の作用効果】本発明の方法に従えば、発酵食品の製造の際に発生したオリをシリカゾルの添加により凝集させ、この凝集したオリをセラミックフィルタで除去することにより、短時間でかつ効率的にオリを除去し、発酵食品の液体を回収することができる。また得られた液体は、従来の方法による液体に比べて、清澄度に優れている。【0015】また本発明の方法に従えば、従来の方法に比べ、発酵食品からの液体の回収率を大幅に向上させることができる。例えば醤油の場合、従来の方法では歩留りが95%であったのに対し、本発明に従えば、歩留りを99%以上にすることができる。【0016】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより一層詳細に説明する。実施例1圧搾後の生揚醤油に対し、シリカゾルとして、0.1容量%のコポロックSA(商品名;大塚化学株式会社製、固形分30%)を添加した。コポロックSAは5倍量の水で希釈して添加した。添加後十分に攪拌した後、清澄タンクでオリ引きし、生オリを沈降させた。得られた沈降生オリ70リットルを2つに分け35リットルとし、一方をモノリス型セラミックフィルタ(日本ガイシ株式会社製、商品名;NGKセフィルト;膜面積0.35m2 )で濾過し、他方をポリスルホン系有機膜(クラレ株式会社製、商品名;MS−8102,膜面積0.35m2 )で濾過して濾過性を評価した。その結果を図1に示す。図1においては濾過の経過時間における濾液量を表している。【0017】実施例2生揚醤油を清澄タンク内で静置して沈澱除去した後、その上澄み液を珪藻土濾過して得られた生醤油を60℃で2時間加温した後にさらに85℃で1時間加温して火入れ処理した後、0.1容量%のコポロックSAを5倍量の水で希釈して添加し、添加した後十分に攪拌した。この沈降火入れオリ70リットルを2つに分け、それぞれ35リットルずつとし、一方を実施例1と同様にセラミックフィルタ膜で濾過し、他方を実施例1と同様にして有機膜で濾過した。この評価結果を図2に示す。図2は濾過の経過時間における濾液量を示している。【0018】図1及び図2に示す実施例1及び2の結果から明らかなように、本発明に従い、シリカゾルを添加した沈降オリをセラミックフィルタで濾過すれば、有機膜の濾過に比べ著しく濾過速度が速くなる。図1から明らかなように、生オリでは5時間の濾過で約90%の醤油を回収することができる。また図2から明らかなように、火入れオリでは3.5時間の濾過時間で約90%の醤油を回収することができる。従って、本発明に従えば、短時間で、かつ収率よく醤油を回収することができる。【0019】なお、この実施例では発酵食品として醤油を例示し説明したが、本発明は醤油のみに限定されるものではなく、その他の清酒、味醂、食酢、ワイン、及びビール等の発酵食品にも適用され得るものである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に従う実施例1における濾過特性を示す図。【図2】本発明に従う実施例2における濾過特性を示す図。 製造過程において発酵食品である醤油から発生するオリを濾過し醤油を回収する方法であって、オリ発生前またはオリ発生後の醤油にシリカゾルを添加し、発生したオリをシリカゾルによって凝集させる工程と、シリカゾルによって凝集したオリをセラミックフィルタで濾過し、オリから醤油を回収する工程とを備える、発酵食品からの液体回収方法。